初日 シュリムアップの秘境を巡る旅に出発!
「シュリムアップの秘境を巡る! カンボジア! プレアヴィヒアを含む5ヵ所の世界遺産観光」という新聞の広告に惹きつけられる。旅行代理店は、ネット通販の格安ツアーが売りのTC社。3泊5日のツアー料金は、驚くべき安さで、ほぼ沖縄旅行並み。
カンボジアを旅行するなら、ぜひ一度は行ってみたかったのがプレアヴィヒア。カンボジア北部のタイとの国境にある「天空の遺跡」として有名な寺院。知る人ぞ知る秘境であるが、長い間タイとの国境紛争で観光客が近づくことができなかった。数年前に紛争が解決し、カンボジア側から観光することができるようになったらしい。
はじめて格安ツアーを使うことに一抹の不安がよぎり、ネットでTC社の口コミを調べてみると、これが凄い! 賛否両論が極端で、評価するものは、コストパフォーマンスの良さを絶賛する。逆に否定するものは、「二度とこんな会社は使わない!」と断言するものが多い。
どちらを信頼するかであるが、否定論者は、格安ツアーというものをよく理解していないのではないかと思われるものが多い。そもそも格安なのであるから、期待する方が間違いで、グレードの高いホテルや食事を望むのであれば、もっとお金を出せば済むことである。
ということで、コストパフォーマンスの良さを期待して、目を瞑って申し込むことにした。出発日は、ベストシーズンの12月9日。この時期は、カンボジアの乾期で最も過ごしやすいという。果たしてどのような結果になるのであろうか。
カンボジアの使用通貨は、なんと米ドル!
10:10所沢発の特急に乗車し、高田馬場でJRに乗り換えて日暮里発11:05のスカイライナーで成田空港に向かう。オフシーズンで空港第一ターミナル内は閑散としている。
TC社の受付はなく、直接大韓航空の受付カウンターに向かう。
受付カウンターで、パスポートとプリントアウトしたEチケットを提示したが、Eチケットは不要だった。成田~仁川と仁川~シュリムアップの2枚の航空券を発券してもらう。預けたスーツケースはシュリムアップで受け取るように手配。
今回のTC社の格安ツアーでは、旅行に関係する書類が一度も送られてくることはなかった。旅行日程表とEチケットは、Webサイトのマイページからダウンロードし、自らプリントアウトして持参する。普通よく送られてくる海外旅行保険やお土産の宅配などの案内も皆無。空港での受付もないのであるから、一切の無駄を省いた合理化が格安ツアーを支えているのではないかと思われる。
搭乗までの時間で、両替を済ます。
カンボジアの使用通貨は米ドル。カンボジア本来の通貨リエルは、補助通貨($1以下)でしか使われないらしい。因みに、$1=4,000リエル。実質3日間のツアーのため$200を両替。レートは$1=117.07円。かなり円安になっている。
 シェリムアップの街並み |
 シティ・アンコール・ホテル |
韓国の仁川でトランジェット!
13:55成田を離陸。乗継地の仁川に向かう。食事には中途半端な時間であったが、離陸後1時間が経過した頃に機内食が出た。チキンの混ぜご飯のようなもの。昼食を摂っていなかったので、完食したが、美味しくも不味くもなかった。
16:30仁川に到着。機内で韓国の出入国カードが配布されたので、念のために記入しておいたが、入国審査はなく、セキュリティー・チェックを受けるだけで、出発ロビーに辿り着いた。添乗員が同行しないツアーなので、自力でシュリムアップに行くしかない。
乗継の間隔は約2時間。セキュリティー・チェックが混雑していたため時間がかかったが、それでも待つこと1時間余り。シュリムアップに向かう飛行機は、通路を挟んで3席ずつの国際線にしては小さな飛行機。18:30発の予定が、機体整備に手間取ったのか、乗客が乗り込んでいるにもかかわらず、30分ほど待たされてようやく飛行機が動き出し、仁川を離陸する。
成田~仁川便と同じように離陸の1時間後に機内食が出てきた。ビーフ・チキン・魚の3種類からの選択。ビーフを選んだが、牛肉入りの極細パスタといった感じのもの。決して美味しくはないが、不味くもないというのは、変わりなかった。
12月にもかかわらずシャツ1枚でしのげる気候!
30分遅れて離陸したにもかかわらず、シュリムアップには定刻の22:20(日本・韓国との時差は2時間)に到着。約5時間30分のフライト。
タラップから直接地面に降り立つと、熱帯特有の湿った熱風が頬をかすめる。夜の10時をすぎているのに、気温は26℃。セーターの上にブルゾンを羽織っていたが、2つともに脱いでポロシャツ1枚で十分にしのげる気候。
到着ロビーに入るとすぐに入国審査。
カンボジアは、観光で入国するのにもビザが必要で、空港で取得することもできるが、時間がかかるというガイドブックの勧めで、事前にe-VISAを取得していた。
カンボジア大使館に行って申請することもできたが、翌日交付のため2度足を運ばなければならず、面倒なので、ネットでe-VISAを申請。必要事項を入力し、写真の画像を貼り付け、クレジットカード決済に必要な項目を入力すれば完了。2日後、ビザが添付されたメールが送られてきた。費用は$40(約4,500円)。直接大使館に申請すると4,000円なので、少し高くつくが、交通費がかからない分こちらの方が安い。
夜遅いためか、空港内は閑散としており、待つことなく入国審査のカウンターにパスポートとプリントアウトしたe-VISA、機内で記入した出入国カード(これの記入はけっこう面倒だった)を提示するだけで、あっさり通過。出入国カードの半券(出国用)がパスポートにホッチキスどめされて返却される。
ロストバゲージを心配していたが、無事にスーツケースが出てきたので、それを受け取り、機内で記入した税関申告書を係員に渡すだけで、空港の外に出られた。
 アプサラダンスショー |
 2000リアル紙幣の図柄 |
現地ガイドはいかもカンボジア人という感じの青年!
出口付近には、手書きのプラカードを持った多くの現地ガイドが到着した客を待ち構えている。
お迎えに来ていたのは、20代の色黒で小柄な現地ガイド。いかもカンボジア人という感じの青年だった。ツアー客が揃うまでしばらく待たされたが、全員が揃ったところで、バスに乗り込み、ホテルに向かう。
15分ほどで宿泊する「シティ・アンコール・ホテル(City Angkor Hotel)」に到着。格安ツアーだけに、ホテルと食事は期待していなかったが、そこそこのグレードのホテル。
1階の部屋は、予想以上に広く、ベッドはセミダブル。湯沸しポットが備え付けられており、1日1本ミネラルウォーターがサービス。シャワーのお湯の出が少し弱かったぐらいで、あとは申し分がなかった。唯一不満だったのは、部屋ではWiFiが使えないこと。しかしロビーの近くまで行くと受信できるので、不満をいっては申し訳ない。
夜遅く到着したのと2度のフライトで疲れきっていたので、シャワーを浴びてすぐに就寝。いつの間にか眠りに落ちていた。
2日目 クメールの伝統舞踊アプサラダンスを堪能!
朝6時30分に起床。時差が2時間しかないので、爽快に目覚める。
7時から1階のレストランで朝食。ビュッフェ形式で、肉、魚、野菜、麺類、パン、ご飯、フルーツ、飲み物などが揃っている。あまりお腹が空いていなかったので、卵焼きやウインナーにパンなどを軽く食べる。オレンジジュースはまだしも、コーヒーが不味くて飲めなかったのが不満。オフシーズンのため宿泊客が少ないと予想したが、早朝にもかかわらず、多くの客がレストランに集まっていた。
森の中に眠る巨大寺院、ペンメリア!
8時30分にホテルを出発。最初の観光地「東のアンコール」と呼ばれるペンメリアにバスで向かう。
バスは、韓国の現代製の古ぼけた中型バス。日本の観光バスよりもやや小さい。市街地の道路は舗装されているが、ところどころでアスファルトが剥げたりしていてデコボコぎみ。20分も走ると農村地帯に入る。今度は舗装したような跡が見られるだけで、ほとんど無舗装の道路を走っている感じで、ときどき土埃が舞う。
市街地以外には信号がまったくないので、バスは停まることなく、かなりのスピードで飛ばすことができるのだが、スピードを出せば出すほど揺れが激しくなり、乗り心地は最悪だった。
ホテルを出発してから1時間20分。遺跡近くの公衆トイレに到着。ここでいったん下車して10分程度のトイレ休憩。遺跡の中にトイレがないらしい。さらに5分バスで走ると、ようやくペンメリアに到着。
「東のアンコール」と呼ばれるペンメリアは、アンコールワットよりも古く、11世紀末から12世紀初頭に建造されている。鬱蒼と繁るジャングルの中に黒石で造られた非常に大きな寺院。「森の中に眠る巨大寺院」という形容がぴったりの遺跡だった。
大半が崩壊しており、完璧な形で現存するものはほとんどなく、至るところに40×40×80cmぐらいの長方形の石が無数に転がっている。残念なことにまったく修復が施されていない。
遺跡内には多くの観光客が押し寄せていたが、大半が中国人。どこに行っても中国人だらけは、カンボジアにもあてはまるようだ。危険なところを避けた順路が作られていたので、それに従って1時間余りをかけて遺跡を1周。外気温は30℃を超えているが、木蔭に入ると涼しく、予想以上に過ごしやすい。
 ペンメリアの崩壊した遺跡 |
 木造の橋が架けられた順路 |
観光後、往きで立ち寄った公衆トイレで小休止したあと、バスでシュリムアップの市街地に戻る。
昼食前にアンコール遺跡群の入場券を購入するために券売所に立ち寄る。この券売所、宮殿のような立派な建物で、とても券売所のために建てられたとは思えない。20以上もある窓口の1つでマイクロカメラに向かって写真撮影。アンコール遺跡群の共通チケットは写真入りらしい。
昼食は、市街地のレストランでカンボジア料理。中華料理のように大皿で出された料理を取り分ける。野菜や肉、ソバを炒めたものなど5~6皿が出てきたが、中でもココナッツカレーが何ともいえない微妙な味だった。デザートとしてカボチャのお菓子とコーヒーまで付いていたのに驚く。食事はあまり期待していなかっただけに大満足。
昼食後、いったんホテルに戻って1時間のお昼寝タイム。
東洋のモナリザ! バンテアイスレイ
3時にバスでホテルを出発し、1時間ほどで「東洋のモナリザ」で有名なバンテアイスレイに到着。
バスの中で、昼食前に撮影をした写真入りのアンコール遺跡群の共通チケットが配布される。首から吊り下げるケースが、チケットとともに配られた。チケットは3日間券で、ツアー料金に含まれているが、自分で購入すると料金は$40(4,500円)。
遺跡の入口でチケットを提示すると、ケースから取り出されてパンチを入れられた。よく見ると、チケットの裏面の周囲に数字が記載されており、その「10」のところに穴が空いている。現地ガイドの説明では、3日間有効のチケットは、連続する日でなくてもよく、任意の日を3日間観光できるため、その日最初に訪れた遺跡でパンチを入れられるらしい。
バンテアイスレイとは「女の砦」という意味。10世紀にアンコール王朝の摂政ヤジュニャヴァラーの菩提寺として創建されたという。周囲が約400mの小さな寺院。ペンメリアに比べると、格段に小さいが、あまり崩壊しておらず、ほぼ原形をとどめている。
外壁は赤色砂岩とラテライト。屋根の一部には煉瓦が使用された美しい遺跡で、壁面に彫刻が施されたレリーフが埋め込まれている。中でも有名なのは「東洋のモナリザ」と呼ばれているレリーフ。しなやかで柔らかい身体の線と表情に魅せられるという定評だったが、残念ながら修復中で近づくことができず、真意のほどはよくわからない。
小さな遺跡なので、30分で観光を終える。バスでシュリムアップに戻る途中、太陽が西に沈み始める。ヤシの木の向こうに沈む夕陽がとても綺麗で、南国に来ていることを実感させられる。
 バンテアイスレイ |
 東洋のモナリザ |
クメールの宮廷舞踊アプサラダンスを観賞!
7時前にアプサラダンスショーが実演される「クレーン(Koulen)」というレストランに到着。
とても広いレストランで、総客席は500席を超えるぐらいの大きさでほぼ満席。私たちが案内された席は、なんとステージの真ん前の特等席。隣の席も日本人ツアー客で、中国人が多く入っているにもかかわらず、特等席付近は日本人で占められている。
7時半から始まるショーの前に夕食。
メニューが豊富なビュフェ形式で、クメールの伝統料理から洋食、中華、和食まで様々な料理がとり揃えられている。中でも行列ができていたのは麺の屋台。待つこと10分、やっと順番が回り、地元で「コイティア」と呼ばれれるカンボジアのラーメンをゲット。コンソメ風味のあっさりした味のスープに春雨のような透明な麺。これがなかなか美味で、あっという間に完食。カンボジア料理の中では、これが一番かも。
アプサラダンスは、9世紀頃に生まれたクメールの宮廷舞踊で、神への祈りとして捧げられたもの。「アプサラ」とは「天女・天使」の意味で、アンコール遺跡のレリーフにも数多く描かれている。
ダンスショーは、5人の女性がハスの花を蒔きながら優雅に踊る「フラワーダンス」や、村の男女の恋愛の駆け引きをコミカルに演出する「フィッシャーマンズダンス」などが演じられ、1時間たっぷりと観客を楽しませてくれた。全演目が終了すると、美人ダンサーがステージに勢揃いして、客と一緒に記念撮影をするというサービスまで。
ホテルに戻ったのが、9時過ぎ。1日の観光の疲れでぐったり。シャワーを浴びて早々に就寝。
今回のツアーメンバーは19人。成田出発組と中部セントレア出発組が、仁川で合流した模様。
 フラワーダンス |
 フィッシャーマンズダンス |
4・5日目 アンコールワットの第3回廊を制覇!
今日が観光最終日。夜には飛行機で帰国する予定のため、朝食後荷物をまとめてホテルをチェックアウトする。スーツケースをバスに積み込む。
8時40分ホテルを出発してアンコール遺跡群に向かう。
アンコール遺跡群は、シュリムアップの中心部の北側、「西バライ」「アンコール」「東バライ」の3つのエリアと、さらに北の「バンテアイスレイ」と南の「ロリュオス」の合計5つエリアが世界遺産として登録されている。
四面塔が乱立しているバイヨン寺院!
今では有名なアンコール遺跡であるが、実は、約150年前まではその存在を知る人さえもいなかったといわれている。フランス人博物学者アンリ・ムネが再発見するまで密林の奥深くに眠り続けていたのである。
12世紀初頭、スールヤヴァルマン2世によって造られたアンコールワットは、南北約1.3km、東西約1.5kmの堀に囲まれている。その半世紀後、クメールの覇者と呼ばれているジャヤヴァルマン7世によって造営されたのがアンコールトム。1辺約3kmの城壁で囲まれ、その中心に位置するのがバイヨン寺院。
午前中はアンコールトムを観光。15分もしないうちに入口の検札所に到着。係員がバスに乗り込み、共通チケットにパンチを入れる。バスは駐車場までしか入れず、遺跡巡回専用の小さなマイクロバスに乗り換えて、南大門の前でいったん下車。参道の両サイドに大きな顔の仏像が並んでいる。写真を撮りながら門を潜ると、再びマイクロバスに乗り込んで、バイヨン寺院の前で下車。驚いたのは、観光客を背中に乗せた大きなゾウが遺跡内をのんびりと歩いている。
このゾウの乗り物が意外と人気で、順番待ちをする観光客が絶えないらしい。
バイヨン寺院は、アンコールトムの中心に位置し、穏やかな微笑みを浮かべた観世音菩薩のモチーフで有名な寺院。内部の至るところに四面塔が乱立し、クメール人独特の宇宙観が描かれているといわれている。四面塔は全部で54もあり、その中でも最も大きな四面塔の前で記念撮影。
 アンコールトムの南大門 |
 バイヨン寺院の四面塔 |
自然の力の凄さに感動、タブローム!
バイヨン寺院のあとは、徒歩で王宮、像のテラス、ライ王のテラスを巡って、いったんフリータイムになる。現地ガイドから、フリータイムを使って希望者にオプショナルツアーでタブロームに案内するという提案。料金は、$10もしくは1,000円で、日本円で支払いが可能。パンフレットや旅行日程表に記載されていないオプショナルツアーというのもはじめてであったが、参加することにした。
タブロームは、アンコールトムの城壁の外にある遺跡。
ジャヤヴァルマン7世が母のために創建した仏教僧院であるが、後にヒンドゥー教寺院に改造されている。東西1km、南北0.7kmのラテライトに囲まれた広大な敷地に巨大な古木が生い茂っており、建造物を自然の力が押しつぶしている。まさに大木が遺跡を侵食している光景を目の当たりにして驚愕する。中には一風変わった木もあり、観光客の目を楽しませてくれる。
タブロームのあと、オプショナルに参加しなかった数名が合流して、市街地のレストランで昼食。
洒落たレストランは、クメール料理や中華、洋食のビュッフェ形式で、豊富な品数が用意されていた。好評だったのは、デザートのアイスクリーム。誰かが見つけて食べ始めると、我も我もと食べまくっていた。これも満足できる食事だった。
 タブロームの中央祠堂 |
 建造物を覆い被さる巨木 |
アンコール最後の観光はワット!
昼食後、アンコールワットを観光。駐車場でバスを降り、徒歩で遺跡に向かう。
周囲を堀に囲まれているアンコールワットは、西を正面にして建てられており、西塔門から入って行くと、まさにこれぞ、アンコールワット! というアングルで巨大な寺院が聳えている。アンコールワットを午後に訪れるのは、午前中は逆光になるため、写真を撮るのであれば、午後の方が映えるからである。
正面に十字のテラスがあり、第1回廊。中に入ると第2回廊。最後に第3回廊があり、急な階段の登ると中央塔まで行くことができる。
すでに第3回廊の階段入口には、順番待ちをする観光客で長蛇の列。高さ20m幅2mほどの狭くて急な階段のため人数制限があり、150枚のある通行許可書のようなものを首から吊り下げないと登ることができないシステム。しかも1人15分という時間制限付き。待つこと10分でようやく登ることができ、第3回廊を1周する。とても見晴らしが良かった。
第3回廊を制覇したあとは、現地ガイドの案内で第2回廊のレリーフを見て回る。壁面の至るところにデバターと呼ばれる女神像が彫刻されており、異様な雰囲気が漂う神秘的な世界であるが、あまりにも多すぎて、見ているうちに飽きてしまう。
 第3回廊の急な階段 |
 第3回廊からの眺望 |
お土産にアンコールクッキーを買う!
アンコールワットの観光後、夕食までフリータイム。希望者には、オプショナルツアーとしてトンレサップ湖の水上生活観光が案内される。料金は、3,000円。私たちは参加せずにオールドマーケットで下車する。
長時間徒歩で観光して疲れていたので、取り敢えず寛げる場所を見つけることにする。シュリムアップ川に架かる橋を渡ると、ベーカリーのカフェが見えたので、そこでコーヒーを飲みながらひと休み。
アメリカンコーヒーを注文したが、これがカンボジアで飲んだコーヒーの中で一番美味しかった。お土産にアンコールクッキーを買うつもりであったが、ガイドブックで店の場所を調べても、とても歩いて行ける距離ではなかった。
シュリムアップでは、路線バスなどの公共の交通機関というものがなく(長距離バスはあるらしい)、もちろん鉄道も地下鉄もない。したがって、交通手段は、歩くか、もしくはバイクタクシーを使うしかないのである。バイクタクシーとは、バイクでリヤカーを牽引する乗り物。もちろんタクシーメーターのような気の効いたものが付いているはずがなく、料金は交渉次第でどうにでもなるらしい。
カフェを出て橋を戻ったところにバイクタクシーがたむろしていたので、1人の青年に片言の英語でアンコールクッキーの店を知っているかを尋ねると、Yesの返事が返ってきた。早速料金を交渉すると、往復で$6だという。バイクタクシーに乗り込んでクッキー店に向かう。一度試しに乗ってみたいと思っていたが、リヤカーの荷台に作られた座席は、決して乗り心地が良いとはいえない。ただしあまりスピードが出ないので、恐怖感はそれほどない。
知っているといったのは本当で、迷いもせずに10分ほどでクッキー店に到着。店の名前は「Angkor Cookies」。日本人が経営しているこのお店、すべての店員が片言の日本語を話す。日本人にターゲットを絞った商売をしているようだ。人気のクッキーは、アンコールワットを形どったもので、大半のガイドブックで取り上げられている。3種類のクッキーを味見した結果、最も売れているものを5個購入。$56で、物価の安いカンボジアにしては、いい値段だった。
バイクタクシーの青年には、買い物をしている間待ってもらい、同じバイクタクシーでオールドマーケットまで引き返す。
 アンコールワットの参道 |
 第2回廊のレリーフ |
カンボジア最後の食事は大満足!
オールドマーケットをしばらく散策して、土産物を物色していたが、これといったものもなく、ブラブラと歩いていると、すぐにバイクタクシーの客引きが声をかけてくるのが煩わしくなり、集合場所に近いテラスのあるレストランで再びティータイム。コーヒーを飲んだばかりだったので、アイスクリームを食べて時間を潰す。
集合時刻になったので、会計を済ましてレストランを出たところで、現地ガイドとツアー客数人と遭遇。どうしたのかと思ったら、夕食の場所がたった今までいたレストランだと聞いてビックリ。再びレストランに戻り、個室に案内される。10分ほどでツアー客全員が揃い、夕食が開始。
野菜サラダの前菜、パン付きのカボチャのスープ、主菜はバジルのパスタ、デザートにフルーツのシャーベットとコーヒーが出された。いずれも申し分なく、今回のツアーで一番の食事だった。
夕食後、30分のフリータイムをとったあと、バスで空港に向かう。現地ガイドとは、空港の入口でお別れ。各自大韓航空のカウンターでチェックインする。往路と同じくシュリムアップ~仁川、仁川~成田の2枚の航空券が発券される。
セキュリティー・チェックを済ませ、出国審査では、入国したときにパスポートに貼られた出入国カードの半券が剥がされて返される。国際空港といってもとても狭く、日本の地方空港とそれほど変わらない。洒落たDuty Freeの免税店以外は、小さな店ばかりで、「吉野家」があったのには驚いた。
往路と同じ1列6席の飛行機で、予定していた23:20よいも10分早くシュリムアップを離陸。
TC社のコストパフォーマンスに感激!
真夜中のフライトであったため、離陸後すぐに機内の照明が消された。
離陸後4時間が経ち、あと1時間で仁川に到着する頃、夢うつつなところで起こされ、かなり早い朝食が出されたが、ちょうどお腹が空いており、すべてを完食。
6:05、仁川に到着。
往路と同じく乗継では、入国審査はなく、セキュリティー・チェックを受けるだけで出発ロビーに出られる。
成田に向かう飛行機の出発は10:10。4時間あまりの時間をこの空港で潰さなければならない。取り敢えず休めるところを探して空港内を彷徨っていると、中2階のフロアーでソファーが備え付けられているエリアを見つけ、そこでしばし仮眠をとる。
2時間ほど仮眠をとったあと、カフェでコーヒーを飲む。カフェを出て免税店を探していると、中部から来た老人2人組に出会う。彼らは無料のシャワーを浴びて、スッキリしたといっており、仁川乗継に慣れているようだった。こんなに時間があるのであれば、事前に仁川空港を調べて待ち時間の過ごし方を研究すべきであったと反省。
免税店でお土産を買って余った米ドルを使い果たすと、ようやく成田に向かう飛行機の搭乗時刻になり、機内に乗り込む。
仁川~成田の飛行機は、1列に10人が並ぶ懐かしいジャンボ機。しかし乗客は疎らで半分程度しかいなかった。
12:20、成田に到着。入国審査も並ぶことなく通過し、思いのほかスーツケースが早く出てきて、税関もスムーズにクリアできた。スカイライナーを経由して2時半頃には所沢の自宅に帰宅する。
 ゾウの乗り物 |
 バイクタクシー |
今回のカンボジア旅行の感想
(1)恐るべきTC社のコストパフォーマンス。格安ツアーだけに覚悟していたが、予想を遥かに上回る内容で、ホテルや食事も満足できる内容で、コストパフォーマンスの高さに感激した。
(2)まる1日をかけてプレアヴィヒアに行ってきたが、これが最高。あの断崖絶壁から絶景を見るためだけでも、1日かけて行く価値があったと思う。それほど感動的な風景だった。
(3)ホテルで1日1本、バスでも1日1~2本、無料でミネラルウォーターが支給されたのが、ありがたかった。カンボジアの水道水は飲むことができず、熱帯の高温多湿で日中30℃を超える暑さでは、水分補給が必須だったので、とてもたすかった。
(4)乗継時間の過ごし方を研究しておかなかったのが反省材料。はじめて乗継で4時間も過ごすことになったが、準備不足だったのが悔やまれる。事前に仁川空港内の設備を調べて、4時間をどのように過ごすかを研究しておくべきであった。
追記
TC社のコストパフォーマンスの高さに感動したカンボジア旅行の3ヵ月後、経営破綻に陥ったTC社が裁判所に破産手続きを申し立てたというショッキングなニュースが大きく取り上げられました。マスコミ報道によると、TC社は、3年前から営業損益が大幅な赤字に陥った可能性があるにもかかわらず、黒字に見せかける粉飾決算を繰り返し、営業を継続していたようです。
お気の毒なのは、破産申し立て時点で申込をしていた約3万6,000人(旅行代金99億円分)の旅行愛好者の人たちです。旅行中止に追い込まれるのは必然的で、旅行代金を全額返済される見込みもなく、このまま泣き寝入りせざるを得ない状況のようです。
私たちも、もし破産申立が3ヵ月早く行われていれば、同じ被害に遭っていたはずなので、決して他人事とは思えません。改めて信頼できる旅行会社を選ぶ大切さを痛感しました。