ツアーの日程表には、航空会社が決まっている場合は、「日本航空直行便」だとか、「ルフトハンザ航空・フランクフルト乗継」というように、通常は、航空会社名と、乗継の場合はどこで乗り継ぐのかが明記されています。ツアーによっては、航空会社を選ぶことができるものもあります。
ところが、格安ツアーに多いのですが、乗継便で航空会社が記載されていない場合があります。例えば、「空路、ヨーロッパ主要都市乗継ぎ、○○○○へ」または「空路、パリ、ロンドンまたはアムステルダム乗継ぎ、○○○○へ」というような場合です。この場合、旅行日程表が送られてくるまで、航空会社が分かりません。
なぜこのような記載をするのかというと、旅行会社が、少しでも安く航空券を確保するためです。売れ残った航空券を待ち、より安く仕入れられるものを選びます。実際には、申込を受け付ける段階で、ある程度は航空会社は決まっているようですが、航空会社や航空券の在庫の都合などで、直前になって変更される可能性もあり、事前に公表してしまうと混乱を招くおそれがあるからです。
直行便と乗継便のどちらがよいのかというと、答えは明白、直行便です。
直行便を使えば10時間で行けるところを乗継便で行くと、うまくいっても12~13時間。乗り継ぎで3~5時間も待たされることも珍しくなく、この場合は15~16時間もかかってしまい、当然のことですが、その分観光の時間が削られることになります。
《ポイント》
乗り継ぐことでロストバゲージ(預けたスーツケースの紛失)のリスクも高くなります。直行便がない地域に行く場合は、乗継もやむを得ませんが、直行便がある場合は、料金が少々高くなっても直行便を選択することをお勧めします。
「ソウル2泊3日 19,980円」という激安ツアーの広告。
よく見てみると、初日の成田出発が19:30、仁川到着が22:00。最終日の仁川出発が8:00、成田到着が10:30。2泊3日でありながら、正味観光できるのは、中日の1日だけ。安いツアーは、安い理由があることを思い出してください。ソウルや香港など、1日に何便も飛ばしているところは、夜の往路便と朝の復路便は、利用客が少なく、これらを使うツアーが激安になるのも当然です。
一般的にツアーの集合時刻は、出発2時間前。朝8時のフライトであれば、6時が集合時刻となります。空港まで時間がかかる場合や国内線で乗り継ぐ場合は、集合時刻に間に合わないこともありますので、集合時刻は必ずチェック。
前述の乗継便で航空会社が記載されていない場合、出発時刻は、「8:00~10:30」のように幅をもたせて記載されていることがあります。これでは何時に集合しなければならないのか、はっきりせず、国内交通機関の手配などができずに困ります。出発1週間前に送られてくる旅行日程表には、出発時刻や集合事項は明記されていますが、それ以前に知りたいときは、旅行会社に直接問い合わせると、教えてくれます。
帰りの出発時刻も重要です。ヨーロッパツアーの場合、乗継便を利用する場合は、午前中に現地の空港に行き、乗り継ぎ空港に向かうことになり、最終日の観光はありません。しかし、直行便を利用する場合は、搭乗する便が午後であれば午前中、夜であればほぼ1日観光することができ、同じ日数のツアーでも、観光できる時間に大きな差が生じます。
旅慣れている人は、レストランやメニューが決められていることに不満を抱き、その地域の人気のレストランで、自由に名物などを食べたいと思うかもしれませんが、実は、はじめて訪れる見知らぬ外国で、食事をすること自体が大変なのです。
日本のレストランでは、サンプル品が展示されていたいたり、メニューに写真が掲載されていることがありますが、外国ではまずそのようなものはありません。現地の言語で書かれたメニューを見せられ、注文しなければなりません。英語ならまだしも、それ以外の現地語で書かれていると、よほど語学が堪能でない限り理解することができず、注文すらできません。
はじめて海外旅行する場合は、できるだけ食事が付いたツアーをおすすめします。「全食事付き」がベストです。
朝食は、ホテルのレストランで、パン、ハム、チーズ、フルーツ、ヨーグルト、ジュース、コーヒー、紅茶などの中から、お好みのものをセルフサービスで食べるのが一般的です。地域によっては、卵料理や肉料理、ポテトなども提供される場合もありますが、逆に、パンと飲み物だけといった簡素な場合もあります。「アメリカンブレックファースト」と呼ばれていますが、アメリカの朝食という意味ではありません。
昼食と夕食は、「本場イカスミのパスタ」「ムール貝のワイン蒸し」などと具体的に表記されている場合もあれば、「肉料理」「魚料理」というように大まかな内容を示す場合もあります。また、内容ではなく、単に「ホテルのレストラン」と食事場所を示すだけの場合もあり、ツアーによって様々です。
内容の充実度は、ツアーのグレードに比例すると考えてほぼ間違いありません。同じグレードであれば、パンフレット等に食事を取り上げているものの方が、取り上げていないものよりも充実度が高いといえます。
ホテルは、お湯の出るシャワーを浴びられて、寝られるベッドがあればいい。という人もいれば、部屋が狭いと息が詰まる。ベッドは大きめがいい。夜出かけたいから、立地条件の良いホテルにしてほしい。といったこだわる人もいて、人それぞれです。
それと、お国柄というものもあり、その国では最高級なホテルでも、建付けが悪くてドアが閉まらなかったり、シャワーの出が悪かったりすることがありますので、ホテルの快適さは、一概にグレードだけで判断できないこともあります。
しかし、ホテルの良し悪しは、旅行の本質にかかわることなので、どのようなグレードのホテルに宿泊するかは、チェックしておきましょう。高級なツアーであれば、パンフレットなどで「○○○○ホテル宿泊」と高級ホテルの名前を掲げて、集客を図っていることがありますが、一般的には、「Sクラスホテル」や「デラックスホテル」などと表記されている場合がほとんどです。ここでいう「Sクラス」「デラックス」とは、各旅行会社が独自の判断で示した基準です。例えば、あるツアーで「Sクラス」のホテルに宿泊したのに、あまり良くなかった場合、クレームを付けても、「それがわが社のSクラスです」と答えられれば、それまでです。
グレードの基準は、旅行会社が独自に決めているからです。旅行会社によっては、グレードごとにホテル名が入った一覧表を表示していることもあり、それからおおよその基準を判断するほかはありません。
参考までに、主な旅行会社のグレード表記を挙げておきます。
旅行会社 | グレードの区分 |
---|---|
JTB | SL・L・A・B・Cの5段階 |
日本旅行 | EX・S・A・Bの4段階 |
JALパック | S・A・B・Cの4段階 |
近畿日本ツーリスト | スーパーデラックス・デラックス・スーペリア・スタンダードの4段階 |
阪急交通社 | デラックス・スーペリア・スタンダードの3段階 |
朝8:00ホテル出発、各地を観光した後、次のホテル到着が夜9:00。このスケジュールは、かなりハードな旅程だと推測されます。
体力のある若い人は難なくこなすと思われますが、年配者には結構堪えます。これが2日続くとなると、大変です。逆に、9:00出発で、夕方5:00帰着の場合、年配者にはちょうど良いかもしれませんが、若い人は物足りなく感じると思います。
一般的に、1日の観光時間は、高級なツアーほど短く、安いツアーほど長く設定されています。1つの目安として、1日10~12時間。これを超えるとハードになり、短くなると物足りなく感じます。自分の体力に合ったスケジュールのツアーを選びましょう。
それともう1つ大事なことは、移動時間。旅行会社によっては、時間で表示したり、距離で表示したり、または両方を表示したりしています。
《ポイント》
バス移動が1日6時間以上になると、1日中バスの中にいる感覚になり、年齢に関係なく大変な思いをします。格安ツアーでは、国内線や鉄道の利用を抑えて、長距離移動もバスでまかなうことがあり、移動のために長時間バスに乗っていなければならないケースが多くなります。1日ならまだしも、このような日が連続するとなると、疲れだけが残り、観光を楽しむことができませんので、避けた方が望ましいです。
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