より身近で手軽になってきた海外旅行ですが、旅行者の中には、日本と文化や慣習が違うことを意識せずに行動したため、トラブルに巻き込まれることが少なくありません。まず日本とは文化や習慣が違うんだということを理解する必要があります。
海外で最も注意しなければならないのは、その国の治安です。
日本のような治安が良いところで生活していると、つい感覚が麻痺して警戒心がなくなりがちになります。海外では、至るところで日常茶飯事のように犯罪が起きており、日本人がその被害に遭っていることも少なくありません。特に日本人は現金をたくさん持っているとの評判があり、窃盗や強盗のターゲットになりやすく、実際に最も多くの被害に遭っているのが、スリや置き引きなどの窃盗犯罪です。
海外のホテルは、日本のようにすべて完璧に整備されているわけではありません。もちろんお国柄やホテルのグレードによって差がありますが、まず部屋に入ったら、最低限、次のことをチェックする必要があります。
もしこれらに不備がある場合は、直ちにホテルに申し出るようにしましょう。添乗員が同行しているツアーであれば、添乗員からホテルにいってもらって良いでしょう。
なお、海外でも最近のホテルは、鍵はカードキーを使っているところが多くなっています。カードキーを差込口の矢印の方向に奥まで差し込み、すぐに引き抜くと、ランプの色が変わり、ロックが解除されます。ICチップのカードは、かざすだけで解除されます。カードキーの場合、入口付近の差込口にカードキーを差し込まないと、部屋の電源が入らないこともありますので、注意してください。また、依然として普通の鍵を使っているホテルもあります。部屋の中から鍵をかけるときも、内側から鍵を差し込まなければならないこともあります。
日本では馴染がなく、海外で最も戸惑うのがチップです。いつのタイミングでいくら渡せば良いのか、悩んでしまいます。
チップが必要な国とそうでない国があります。一般的に北米や中南米、ヨーロッパなどは必要で、アフリカや東南アジア、オセアニアは不要だと言われていますが、国によって差がありますので、注意が必要です。そして、チップの額にも差があり、例えば、アメリカやカナダでは、チップは料金の一部であると考えた方が良いかもしれません。タクシーやレストランの支払いでは、15~20%を上乗せして払うことが一般的です。これに対して、ヨーロッパでは、料金にサービス料が含まれていれば、お礼の気持ちとしてお釣りを渡す程度で良いでしょう。
なお、国によって事情が異なりますので、予めガイドブックや添乗員から情報を収集しておくようにしましょう。
ツアーの場合、自分でタクシーやレストランを使わなければ、チップの支払いが必要なのは、食事のときの飲み物代(食事が付いていても飲み物代が別であることがほとんどです)とホテルの枕銭(室内の清掃などに対するチップ)です。飲み物代を支払う際、添乗員からチップの要不要、必要な場合はいくら上乗せするのかが指示されますので、あまり心配する必要はありません。枕銭は、ヨーロッパであれば、1人1ユーロ程度を置いておくだけで良いでしょう。ただし、金額については、その国の物価等の事情がありますので、添乗員や現地ガイドに確認するようにしてください。
海外の観光地では、トイレが有料であるのが原則です。ヨーロッパの場合、1人50セント程度を入口で支払わなければなりません。高速道路のドライブインでは、入口に自動改札機のようなものが設置されていて、コインを入れると、バーが下がり、入ることができます。ドライブインによっては、コインを入れると、そのドライブインだけで使える金券が戻ってくることがあります。金額は、50セント入れて、50セント分が戻ったり、70セント入れて、50セント分が戻ることもあります。金券が戻ってきても、50セントで買える品物がほとんどなく、勿体ないと思って、何か買うと、余分にお金を使うことになりますが…。
なお、観光地の有料トイレの数が限られている場合、旅行会社が現地のお店に交渉して、無料でトイレを借りる代わりにお客さんを連れていくというケースもあります。この場合、別に買い物をしなくても良いのですが、つい買ってしまうことが多いです。
日本では、レストランに入れば、必ず水が出され、しかも無料であることが当たり前ですが、海外では、レストランで水を注文すれば、有料であることが常識です。もちろん水は水道水ではなく、ミネラルウオーター。海外のレストランで、無料で水が出された場合、そのコップに入れられた水は、水道水にほぼ間違いありませんので、注意してください。お腹に自信のない人は飲まない方が無難です。
洒落たレストランを見つけたので、入ってみようと思ったら、服装で断られた。ドレスコードを理解していない日本人がよくやる失敗です。国や地域によって事情は異なりますが、レストランが高級であれば、あるほどドレスコードあると思ってよいでしょう。短パン・サンダルはもちろん、Tシャツ・ジーンズ・スニーカーでも入店を断わられるケースもありますので、気を付けてください。
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