はじめて海外旅行をする人に、どれぐらい両替すれば良いのか、よく尋ねられますが、海外でどのような支払い方法をとるのかによって金額が変わってくるとしか答えられません。そこで、まず海外での支払い方法を紹介します。
海外で買い物したり、食事をしたりしたときの支払い方法は、おおむね次の3つです。
これら3つを、一般的な手数料を含めた換算レートを比較すると、
の順に有利です。換算レートだけを見る限り、トラベラーズチェックが最もお得で、両替が最も損することになります。
それでは、トラベラーズチェックがおすすめかというと、そうとはいいきれません。
トラベラーズチェックとは、「旅行用小切手」のことで、略されて「T/C(ティーシー)」と呼ばれています。外貨に両替するよりも有利な換算レートで購入でき、紛失・盗難の場合にも再発行してくれるというメリットがあります。銀行・郵便局・トラベルセンター・空港などで購入できます。しかも使用期限がないので、長期の旅行でも心配いりません。さらにクレジットカードは、スキミングや偽造などのカード犯罪の危険性が伴いますが、その点でもトラベラーズチェックの方が安全といえます。
いいこと尽くめのトラベラーズチェックですが、大きなデメリットがあります。アメリカやカナダでは、街中のお店でトラベラーズチェックは現金と同様に使うことができるのですが、それ以外の国々、例えば、ヨーロッパでは、一般的なお店でトラベラーズチェックが使えないことが多いのです。
これが最も大きなデメリットといえます。日本でも、トラベラーズチェックが使えるお店は多くありません。お店で使えない場合、トラベラーズチェックを銀行や両替所でいったん現地通貨に換金してから使うしかありません(この場合、手数料がかかることもあります)。時間的な余裕があれば可能ですが、緻密なスケジュールで行動しているツアーでは、銀行や両替所に立ち寄っている暇はありません。
もう1つのデメリットは、余ったトラベラーズチェックを現金に払い戻すのに、再び手数料がかかることです。使用期限がないので、次の機会にそのまま使うことができますが、そのような予定がない場合は、手数料を支払って払い戻すしかありません。
ということで、アメリカやカナダ以外の海外旅行では、トラベラーズチェックはあまりおすすめできません。
海外旅行の支払いは、両替した外貨とクレジットカードを併用することをおすすめします。
換算レートはクレジットカードの方が有利なため、高額なものをクレジットカードで、少額のものを外貨で支払うのが、最もお得な方法です。
ヨーロッパの場合、アメリカと比べるとクレジットカードが使えるお店が少なく、タクシーやバールなどでは使えないこともありますが、旅行者が出入りする大半のお店では、かなりの確率で使うことができます。
したがって、それ程たくさん両替する必要がなく、例えば、ヨーロッパ8日間のツアーでは、1人につき100~150ユーロもあれば十分だと思われます。
両替は、空港内の両替所でできます。保安検査を済ませたあとにも、両替所がありますので、搭乗の待ち時間を利用して両替することもできます。ただし、夏休みや年末年始の混雑期は、両替所も込み合っていますので、早めに両替した方が良いでしょう。
両替する外貨は、少額紙幣にすることをおすすめします。例えば、100ユーロに両替する場合、100ユーロ紙幣を1枚ではなく、例えば、5ユーロ×4枚、10ユーロ×8枚のように少額紙幣で受け取ります。そもそも少額の支払い用に両替するのですから、少額紙幣にしておく方が便利。
なお、日本の両替所では、紙幣にしか両替できず、硬貨は取り扱っていません。したがって、換算レートが1ユーロ=135円で、「10,000円分をユーロに両替してください」というと、70ユーロと日本円の小銭のお釣りが戻ってきます(ユーロの最低紙幣は5ユーロ)。「100ユーロに両替してください」というと、13,500円支払えば、100ユーロを受け取れます。
因みに、海外旅行ツアーで、少額の外貨で支払う必要があるものを参考までに挙げておきます。
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