原作

***「源氏物語」の名場面を原文にあたってあじわうページです***


第三章 「中の品の女性たち  空蝉・夕顔・末摘花」
光る君の運命を支配する亡き母を求める深層心理。
母の面影を持つ人は恋してはならないお方。つのる禁断の恋心。
深山の庵で発見した「紫のゆかり」の少女。あの方への渇仰の心が少女を奪わせる。
光る君と少女との不思議な符号の一致。
紫式部が少女に託した遠大なテーマが現代に伝えるものは?


「葵」の巻  1 「貴公子源氏を迎える御息所の喜びと苦悩」 
原文口語訳
  いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむ ごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。  どの帝の御代であったか、女御や更衣が大勢お仕えなさっていたなかに、 たいして高貴な身分ではない方で、きわだって御寵愛をあつめていらっしゃる方があったそうだ。

昔むかしのお話 

*「いづれの御時・・けり。」と物語は語られ始める。今となっては誰も体験した事のない昔のお話ですよ。だから私たちの知らない不思議な事も起こっていたのです。そう語り出す語り手は、お話の主人公の父と母との紹介を始める。

*舞台は女御や更衣が大勢お仕えしている後宮。父は世を治める方ー帝、母は最高の身分ではない方で、寵愛は独り占めにしている方。

*最初の昔話「竹取物語」は「今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつゝ、よろづの事に使ひけり。」と貧しい翁(主人公の養父)を登場させ、竹の中から見いだした輝く子を「妻の女にあづけて養はす。」

*「一寸法師」も「桃太郎」も「山に柴刈り」「川に洗濯」をする貧しい翁・媼の生活を描きながら、ふたりに授けられたこの世ならぬ聖性を負った子を登場させている。

*「源氏物語」もその昔語りの形式をふまえた語り出しだ。しかし、舞台は粗末な山里ならぬ最高に輝かしい場所宮中である。父の仕事は「まつりごと」母の仕事はその父に仕えること。華やかな場所に展開する数奇な物語のはじまり。




第四章  「六条御息所の悲劇  愛とプライドのはざまで」へつづく (準備中) 

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