10.湧き上がる陰影 6

 村のすぐ近くに、臨時の食料置き場が設けられている。
 そこでは、常に当番に当たった女達が、村人のための炊き出しの非常食を、常時作り続けていた。
 朝食を作り終えた女達は、早速、お昼の準備に、とりかかろうとしていた。
 女達の中に、レイラも加わっていた。
 そこからは、アキが休んでいる小屋も臨むことができる。
 レイラは、小屋から飛び出してきた鉄郎を目撃した。
 じっと見つめるその様子は、まるで、監視しているかのようだ。
 鉄郎の方は、レイラに見られていることなど、まったく気づいていない。
 夢中で走り続ける鉄郎は、そのまま、集会所の広場に駆け込んだ。
 そして、行き交う村人の足を止めて、トリトンの居場所を聞きまわった。
 あちこち尋ね歩いているうちに、何人目かの話で、トリトンが“植樹場”にいることをつきとめた。
 “植樹場”とは、伐採した木々を補うために、子供達が中心になって、新しく苗木を植えている場所のことだ。
 トリトンはいつの間にかやってきて、子供達の作業を手伝い始めたという。
 鉄郎は急いで森の中に入っていった。
 それは、伐採場の近くにある。
 鉄郎は、伐採場がある高原を目指した。
 高原にたどり着くと、周囲の視界が一気に広がる。
 すると青い空の下、森の一角で、不思議な現象が起きている箇所を発見した。
 信じられないが、大木が、猛スピードで一瞬のうちに成長している。
 それはまるで、早送りのフィルム映像のようだ。
 一瞬、立ち止まって呆然と見つめていた鉄郎は、やっと声をだした。
「あそこにいるのか…!」
 鉄郎は、それがトリトンの力で起きている現象だと、すぐに理解した。


 山の斜面に向かって、十数人の子供達が、苗木を等間隔で植え付けている。
 丹念にスコップで土を掘り返し、苗木を植え終わると、子供達は大喜びで、トリトンを呼びつけた。
「トリトン様〜。こっちだよ!」
「早く、早く!」
 子供達は、いずれも、十歳から十二歳くらいの男の子と女の子達だ。
 それよりも、小さな子供達は、遠巻きに年上の子供達の仕事姿をながめている。
 トリトンは、身についた“アクエリアスの力”を使い、空中に浮いている。
 子供達に呼ばれると、オーラを放出しながら、地上に舞い降りてきた。
「ごめんよ、ちょっと、休んでいいかな?」
 数センチ、体を浮かせた状態で静止すると、トリトンは子供達に頼み込んだ。
 しかし、子供達は口々に、トリトンに激しくねだりはじめた。
「だめ〜。この木も大きくしてよ〜!」
「大人達に頼まれたのよ〜。」
「木が足らなくなるから、いっぱい植えなさいって!」
「わかったよ。でも、これが最後な!」
 トリトンが仕方なくそういうと、子供達は歓声をあげた。
「危ないから離れてるんだ。」
 トリトンが注意すると、子供達は楽しそうに駆け出した。
 子供達の安全を確認すると、トリトンはね苗木の一つに両手をかざして目を閉じた。
 トリトンの両手から、オーラが放出された。
 同時に、トリトンの全身からも、ブルーのオーラが放出される。
 オーラは光の風圧となって、トリトンの周囲で渦を巻く。
 その風にあおられて、トリトンの緑の髪と赤いマント、そして、ドレープの衣装が美しくなびきだした。
 トリトンの力は苗木に降り注いだ。
 すると、苗木が細かく震えだした。
 反応があった。
 苗木がいきなり成長をはじめた。
 素早いスピード。
 苗木の幹はあっという間に太くなり、青々とした若葉を茂らせた。
 その成長にあわせて、トリトンは両腕を左右に大きく広げ、スッとスライドするように後退していく。
 木は、あっという間に、数メートルの高さに達して、さらに上へのびていく。
 トリトンが放出しているのは、“細胞復活”の応用だ。
 細胞の活性化を促し、成長スピードを早めている。
 そのために、数百年単位の成長が、短時間で行われる。
 その魔法のような力の虜になり、子供達は心を躍らせ、成長する木の雄大な姿に歓喜の声をあげた。
「トリトン!」
 急に子供達に混じって、後ろで男の声がした。
 ハッと気がついたトリトンは、途中で、力を中断させると、くるりと振り返った。
 声の主は鉄郎だ。
 輪になって見学している子供達の列を掻き分けると、トリトンの方へ一目散に駆け込んでくる。
「鉄郎、どうした?」
 トリトンは呆気にとられた。
 こんなところに鉄郎がやってくるなんて、思いもしなかった。
 一方の鉄郎は、喜びと興奮が入り混じっている。
 大声でトリトンに叫んだ。
「やったよ! アキが目覚めてくれたんだ! もう心配ないよな!」
「それ、本当か?」
 トリトンは驚いた。
 身を乗り出そうとすると、勢いあまった鉄郎が、トリトンの胸の中に飛び込んでくる。
「うわっ!」
 強烈なタックルをくらって、トリトンの体はよろめいた。
 しかし、何とか鉄郎の体を抱きとめて体勢を保った。
 瞬間、いきなり、トリトンの体からオーラが吹き上がる。
「わっ!」
 今度は、鉄郎が悲鳴をあげた。
 二人は抱き合った状態で、上空に、勢いよく舞い上がった。
「うわ〜。すごーい!」
「いいなぁ…!」
 子供達は羨ましそうに、鉄郎とトリトンの姿をずっと見上げた。
 興奮していたのは、鉄郎も同じだ。
 気がつくと、かなりの高さにまで、トリトンは飛び上がっていた。
 いや、空中を漂っているといったほうがふさわしい。
 眼下には、アトラリアの大パノラマが、どこまでも続いている。
 広々とした緑の壮大な大樹海。
 間をぬって流れる清らかな幾筋もの川が、天から降ってくる光を受けて、キラキラと輝いている。
 はるか向こうに見えるのは、どうやら“アクアの海”のようだ。
 反対側の山の裾野に広がる岩場が、たぶん、アトラリアの市街地だろう。
 空には、美しい雲海が続いている。
 その絶景に、鉄郎は感激した。
「すごい、鳥になったみたいだ!」
「鉄郎…。」
 トリトンは何かをいいかけた。
 しかし、トリトンの顔を覗き込んだ鉄郎は、無邪気にはしゃいだ。
「お前、本当にアキと同じ力を持てたんだな。やっぱりすごいよ。アクエリアスの力って…!」
「鉄郎、待って!」
 トリトンは困惑しながらいった。
「これは、俺の力じゃない…。鉄郎のボルテージが、俺の力を、勝手に誘発しちゃったんだ…。」
「そんなバカな!」
 鉄郎がいいかけた時、ふいに力が弱まった。
 二人は、急に落ちかけて悲鳴をあげる。
 反射的に、トリトンは精神を集中した。
 再び、オーラが放出されて、途中で落下が止まった。
 ほっとした鉄郎は、トリトンに向かって、口をとがらせた。
「お前な、しっかり飛べよ! 落ちたらどーすんだ!」
「だから、さっきのは俺がやったんじゃないってば。今は、ちゃんとコントロールしてるけど…。」
 トリトンは、嫌そうに顔をしかめた。
「それに、どうして、鉄郎が、俺に抱きついてるの?」
 指摘されると、鉄郎は急にむくれた。
 トリトンに文句をいった。
「アキのこと、お前に知らせてやろうとしただけだ…。変に現実にもどすな…! どうしたらいいんだよ、じゃあ…。」
「せめて、肩組むくらいに、ポーズを変えてよ…。」
 トリトンにそういわれたら、鉄郎は逆らえない。
 溜息をつきながら、ポーズを変えた。
 トリトンは、うんざりした口調で鉄郎に聞いた。
「アキと一緒に、何度でも、空中散歩を体験してるだろ?」
「そんなに頻繁に飛んでくれないよ。初めてだぜ。こんなの。」
 鉄郎はそういって、トリトンの顔を見つめた。
「いっとくが、俺は何もしていないぞ。お前の力を、どうして俺が引き出せるんだ!」
「そんなの俺が聞きたいよ。でも、最初の飛行はそうだった。…そうか。あれも鉄郎の力だったのかも…。」
「何が?」
「最初、CIAの調査船で、アキと鉄郎が再会した時に、やっぱりアキの力が放出されて二人で浮き上がった現象だ。」
「あれが、俺のせいだっていうのか?」
 鉄郎は呆れた。
 トリトンはかすかに頷いた。
「可能性の一つだよ。」
「まさか。俺はオーラも出せないし、空を飛ぶなんて夢の話だ。冗談もたいがいにしろ。」
 そういって、鉄郎は笑い出した。
 トリトンは口をつぐんだ。
 しかし、強い確信があった。
 オリハルコンやそれを操るアクエリアスの力は、より強い精神力に反応する。
 まして、ラムセスもだが、アクエリアスの血筋とは無縁の人間でも、血筋を持つ異性と交わることで、力が備わることもある。
 それを可能にした、ラムセスの精神力のすごさに恐れる一方で、鉄郎にも、その素質がないとはいいきれない。
 なぜなら、鉄郎の精神力は、トリトンやアキをはるかに上回るものだからだ。
ー鉄郎は気がついてないだけだ…。アクエリアスの力は、俺達を媒体にして、本当は、鉄郎の力を利用しようとしているのかも…。ー
 それがもし現実なら。
 それまでの方針を、一気に、転換せざるをえなくなる。
 おそらく、鉄郎の存在が、大きな鍵となるだろう。
 トリトンが考え込んでいると、鉄郎が、トリトンに断言した。
「俺は決めた。お前とアキに協力する。直接、アキに働きかけるのはお前だ。俺はサポートで、彼女を勇気ずける役目を引き受ける。それでいいな。」
「いきなり、何を言い出すんだ!」
 トリトンは目を剥いた。
 鉄郎はにこやかに答えた。
「ただし、ここを脱出できるまで。しゃあないだろ。そうしないと、オリハルコンは働いてくれない。それに、俺は、アクエリアスの力なんかもってない。」
「それで、鉄郎は本当にいいの?」
 トリトンは、もう一度、鉄郎の意志を確認した。
 鉄郎は、当然のように、笑いながら頷いた。
「正直、随分、悩んだけどね…。でも、俺が、ここにいる理由を考えたら、それが、俺がやるべき責任だと気がついた。エネシスが俺を呼び寄せた理由は、そのことだったんだって…。」
「それは、鉄郎の思い込みだ。」
 トリトンは反論したが、鉄郎の意志は固い。
 トリトンを見つめる群青の瞳は、どこまでもすみきっていた。
「いいじゃないか。俺とアキはそれでも離れることはない。きっと、これからも…。」
 トリトンは言葉をなくした。
 この自信にあふれた姿を見せられてしまうと、トリトンは、自分の非力さを痛感する。
 鉄郎は、いくらでも自分自身を改革し、常に、新しいことにチャレンジして、自然にステップアップを重ねていく。
 今の鉄郎は、一つの目標をやりとげ、さらに一回りも大きな存在となって、トリトンの前にいる。
ーこの強さがある限り、俺は、この人をずっと追い越すことができない…。ー
 トリトンは、同じ男として、悔しいくらいに、そんな鉄郎を羨ましく思った。
 鉄郎がトリトンに質問した。
「お前の必要なことって、木を育てることだったのか? みんなが、お前のことを心配してるんだぞ。」
「あれは違うよ。」
 トリトンは肩をすくめた。
「たまたま、子供達が木を増やさなきゃいけないって悩んでいたところを見かけたから、力を貸してあげたんだ。エネシスにもいわれた。ああやって、力のコントロール訓練を怠るなって。ちゃんと、別に段取りを進めてるものがある。心配かけて悪いけど。」
「わかった。お前のことを信用する。」
 鉄郎は強く頷くと、口をつぐんだ。
 トリトンは鉄郎の横顔を一瞥した。
 ためらいがちに、気になることを聞いてみた。
「鉄郎は、俺を、スーパーマンかなんかだと思っている? 俺は、まだ夢を見てるようだ…。こんなの、自分がやってるなんて思えない…。今の自分がとても怖い…。」
 鉄郎は、にこやかに返事をした。
「お前の顔にかいてあるよ。いきなり自分が変わってしまって、どうしたらいいんだろうって…。アキもそうだったと思う…。今もだけど、彼女も自分自身が信じられないんだ…。でも、力を使ってる時のお前は、自信にあふれている。コントロールができるということは、自分のことを、無意識のうちに理解してるってことじゃないのか?」
「いっぱいいっぱいだよ、俺は。」
 トリトンは自嘲気味にいった。
「木を育てることは少しも抵抗を感じない…。この木が、りっぱに育ってほしいって、俺も思っているからだ…。でも、だからって、何でも完璧にやれると思われるのは嫌だ…。できないことの方が多いはずなんだ…。うまくいかなかったら、どうしたらいいんだろうって…。その対処を出来る自信もない…。本当は、これからのことが、怖くて怖くてたまらない…。」
「トリ…。」
 鉄郎は穏やかな声でいった。
「自分を卑下するな…。俺は、お前に代わってやれないし、無責任に思われるかもしれない。でも、お前は、今までいくつも困難を克服してきたじゃないか。やる前から諦めるな。出来ると信じてやり続けろ。その応援は、みんながする。わかるな…。」
「うん…。」
 トリトンは素直に頷いた。
 鉄郎は大きく頷いた。
「それでいい…。」
 そして、わずかに周囲を見回すと、声をわずかに潜めた。
「トリ。ここだと、ラムセスに悟られにくいかな…。」
「たぶん…。どうして?」
「アキが目を覚ましたこと…。率直にどう思う?」
 トリトンの表情がわずかに険しくなった。
 呟くような口調で言い返した。
「アキが殺気を克服したか…。または殺気のほうが弱まったのか…。いずれにしても、俺達が探りをいれてることを、ラムセスに悟られた…。」
「そうだな…。」
 鉄郎は相槌を打った。
「今回の攻撃が未遂だったとして…。今後、どう出てくるかは、まったく予想がつかない…。でも、ケリは早めにつけたほうがいい…。トリ、お前が考えているという秘策は、まだ明かせないのか?」
「悪いけど、データがほしい。その期間は、少なく見積もっても数日は必要だ。アトラリア存続のタイムリミットは残り二週間足らず…。それまでに、一気にケリをつけられるプランを考えている。」
「わかった。」
 トリトンの説明に鉄郎は納得した。
 トリトンは鉄郎を見つめた。
「俺も、今回のラムセスの攻撃の意図が読めなくて悩んでいる…。何か他の目的が、必ずあるはずだ。」
「焦っても仕方がない…。」
 鉄郎はかぶりをふった。
「やつは次も必ず動きだす。けっして油断しないようにしよう。」
「うん…。このまま着地するよ。どこか希望はある?」
 トリトンが聞くと、鉄郎はすぐに返答した。
「みんなのところ。でも、どこにいるかな…。」
「了解。それならわかるよ。」
 トリトンは、一気に降下をはじめた。
 体勢はそのままで、森の茂みの一角に、二人で降り立った。
 着地したところは、灌漑用水用に設置された水車小屋の前だ。
 その小屋から、気配を察した地球人とオウルト人メンバー達が飛び出してきた。
「トリトン、あんた今までどこに行ってたの?」
 ケインが真っ先に口走ると、トリトンは、照れた感じで話しかけた。
「ごめんよ。ちょっと調べたいことがあって上空を飛び回っていた。」
「そんなので、該当者がわかるんだったら、俺達に苦労をかけさせるな。」
 倉川ジョウが睨みつける。
 すると、鉄郎が口をはさんだ。
「ジョウ、トリトンなりに考えがあるんだ。信じてやろう。それより、アキが目を覚ましてくれた。」
「本当か?」
 島村ジョーが目を見張った。
 みんなも呆気にとられた。
 鉄郎は一同を見回しながら、言葉を続けた。
「みんなも不安はあると思う。でも、俺達は、気持ちを一つにしてやっていかなきゃいけない。」
「そんなことは、最初からわかってるわ。」
 ユーリィが大きく手を広げた。
 鉄郎は真顔で彼らにいった。
「俺はトリトンのプランにすべてを賭ける。ただ、それには準備が必要らしい。その間、俺達は、この村のために力を尽くしていこう。もう一度、確認したいんだ。」
「お前がいうところの、プランていうのを、聞いておきたいぜ。」
 ジョウがいった。
 トリトンは視線を落とした。
「ごめん。まだ明かせない。でも、俺も基本は守り通す。この世界のすべてを見る必要がある。その時間がほしい。」
「見るって、簡単なことじゃないわ。」
 ケインが低く唸った。
 トリトンは一同を見据えた。
「俺は、まだこの村では、一日しかまともに過ごしていない。時間がないのはわかってる。だけど、できるだけ集中して情報を吸収する。そのために、<リンクスエンジェル>とムギが必要なんだ。」
「いったい、何をおっぱじめる気?」
「ケイン。俺を信頼して。みんなも。頼むよ。」
 トリトンは必死に懇願した。
「トリトンのプランを優先してみよう。不満があるとは思う。だけど、今は、それが一番ベストな方法だ。」
 鉄郎が言葉を添えた。
 ジョウが顔をしかめた。
「それまでの問題は、すべてあやふやにしてか?」
「へたに思考を察知されないためだ。わかってよ。」
 トリトンがそういうと、ジョウは舌打ちした。
「ちっ。うまい理屈だ。」
「それで、なんとかできるの?」
 裕子がトリトンをまじまじと見つめた。
「やるしかない。」
 トリトンは断言した。
「俺も自分の結論を出した。その上で、みんなに、こうしてお願いをしている。」
「しゃーあないわね。」
 ケインは、ぽりぽりと縮れた赤毛をかいた。
「鉄郎は、それでいいんだな。」
 ジョーが鉄郎を見つめると、鉄郎は固く頷いた。
「答えが出たようね。よかった。」
 レイコがアキを連れて、みんなのもとにやってきた。
 一同がアキの名前を呼ぶと、アキは頭を下げて謝った。
「みんなには心配かけました。もう大丈夫です。」
「あんたって、妙なところで面倒をかけるんだから。」
 裕子は頭を抱えた。
「鉄郎。」
 アキは鉄郎を見つめた。
 鉄郎もアキを真っ直ぐに見返した。
「アキ。君はアキでいていい。でも、アルテイアの役目もちゃんと果たすんだ。わかったな。」
「それは…。」
「やるんだ。そうしかない。だけど、俺は全力で君をサポートする。わかったね?」
 鉄郎が念を押すと、アキは驚いたように呆然とした。
 レイコはアキを見つめた。
「すごいね。鉄郎ちゃんという人は…。」
 アキはレイコを見つめて息を飲んだ。
「勝手に自己完結しやがって…。」
 ジョウは皮肉いっぱいに言葉を浴びせた。
 しかし、反対意見は誰からも出なかった。
 一同の気持ちは決まった。
 後は、前に突き進むだけだ。