
CHAPTER 7 初ゴルフ
6時に起きる。昨日、朝食を2皿食ったら、腹一杯になったので、
「今日は一皿にせん、その分少し多めに取るか」
と食ってみると、食い過ぎた。しかし、なぜか全員食い過ぎる。
重い腹を抱えて、クラブハウスに向かう。ここマリアナカントリークラブは、そのコー
スが、我々の部屋から出てダッシュで3秒、クラブハウスまでは、歩いて1分程度。要するに、目の前にある。

相変わらず、いつ降り出してもおかしくない曇天の下、1番ホールへ。そこにいた係員、
我々の華麗なスイング(バッティングフォーム?)を見て不安を感じたか、後ろの組に先
を譲るように指示、素直にそれに従うが、我等の後ろには、まだ2〜3組が控えていた。
後に判明するが、後ろは全て、日本人である。
いざ、ファーストショット。この時点で、我々の手元にはボールが1ダースしかなく、
(1人3個)、これが無くなったら、やめるか、という。今にして思えば、なんと浅はか
な。そう、我々は、幼かった。
哲、第1ホールにて、3連続OB。宮下も、2個を失う。松藤、フェアウェイに入れるも、これを見失ってしまい、挙句の果てには、日出子、空振りを連発、見かねた係員のおっさ
んが、ティーショットを打ってくれた。こんなゴルファーが、存在していいのか?
「うーむ、ちょっとゴルフをなめ過ぎたな。」
と、宮下と話しながらフェアウェイを歩いていると、すかさず
「フェアウェイは、走りなさーい!」
という、おばさんの声が。ここで両名、すかさずこのホールをギブアップ、松藤と日出子
を促して、次のホールへ。我々の課題は、いかに後ろを待たせずにプレーするか、という
ことであった。が、前でプレーしている、地元の連中は、随分のんびりとやっている。
「おい、こんなにせっかちにプレーするのは、日本人だけなんじゃねえのか?」
という疑問が。なんか後ろのおっさん&おばさんたちが、非常に不快に思えてきた。アン
タ達、ここは、サイパン、南の島の(寒いが)楽園じゃないか、おい。
「ふむ、全部、前に行ってもらおう。」
別に競技やってるわけじゃなし、後ろの組が、2組しかいないことに気づいた。我ながら、
いいことを思いついた。
これまでの苦労は、後ろのおばさんがカートで前に行くときに、宮下がかけた一言、
「ああ、どうぞ。別に気にしてませんから。」
で、察することができるというものだ。

もう、やりたい放題である。打って、走って、投げて、拾って。そう、ロストボールは、
拾っちゃだめ、と言われていたのだが、すぐOBを出してしまうので、そこら辺に落ちて
いるボールを捜してきては、またプレーを続行する、という行為を繰り返していた。
なかなか楽しいものだ。だが、次は、もう少し人に迷惑をかけないように練習してから、
やることにしよう。
午前中でプレーを全て終了し、昼食はサンロケの中にある“桃李”で、飲茶。お茶は、
ジャスミン。
ここで、今回の旅行中の、サイパンの天気について確認しよう。まず、太陽の光を遮る
雲が、高層部にあり、その下の低層を、いわゆる雨雲が流れている。雨雲が切れれば、雨
は降らないのだが、しかし、高層の雲が、完璧に太陽光をガードしている。24時間。その
ため、今回の旅行では、天気は常に“雨”と“曇り”の、2種類しかない。
気温も、低い。
しかし、いくら気温が低くても、ここは南の島、やっぱり、海に行かねばならん、とい
うことで、サイパンのメインビーチである、マイクロビーチへと向かう一行であったが、
そこでは、我々を驚愕させる光景が広がっていたのだ!
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