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アザラシのレスキュー活動

 

 

     3.赤ちゃんアザラシの飼育

 

水族館に収容される赤ちゃんアザラシは、産まれた直後のものから生後1ヶ月を経過したものまで様々です。
運ばれてきた個体は直ちにケガをしていないかどうかボディーチェックをすると同時に性別を調べ、体長と体重の測定、体温測定などを行います。

ゼニガタアザラシの保護個体ではヘソの緒がついている新生児が多く、この場合はヘソからの細菌感染を防ぐため、ヘソの緒を消毒殺菌し細い糸で結びます。授乳には専用の水生哺乳動物用ミルクをカテーテルを用いて与えなければなりません。


  
カテーテルで授乳

 

ゴマフアザラシの場合は体重10kg前後の痩せてガラガラの脱水症状が著しい個体が多く見られます。このような個体に対してはただちにカテーテルを用いてブドウ糖液を補給しなければなりません。

これらの個体は1頭ごと隔離し飼育するため、専用のケージ(廃物利用の浴槽)に収容します。ケージに収容された赤ちゃんアザラシはこの中で安心して眠りにつきます。

強制給餌 : 赤ちゃんアザラシは自分から進んで餌を食べようとしません。
そのため強制給餌という手段で口を無理やり開け餌をのどの奥まで押し込んで食べさせなければなりません。強制給餌はアザラシも苦しく、これを行う飼育係も指を噛まれとてもつらい作業です。「早く、食べることを覚えて!」と祈る気持ちでアザラシに接します。
強制給餌を開始してから3〜5日後、舌を上手くつかって与える餌を飲み込むようになり、飼育係を見ると餌をおねだりするようになったら餌付けの完了です。

餌料 : 強制給餌に使用する餌はホッケという魚を三枚におろし、切り身にして小骨を取り除いて与えます。自力で食べるようになったら排便の状態を確認しながら、徐々に小骨の付いた切り身を増やし、40日程かけて1本ままのイカナゴという魚を与えるようにして行きます。

投薬 : この時期のアザラシは消化器官が未発達なため整腸剤の投与は欠かせません。同時にビタミン剤やカルシュウム剤の投与も行います。

 

 
保護されてきたアザラシ全ての飼育が順調に進むわけではありません。中には保護される以前に、ひもじさのあまり小石やビニールひもなど口に入るものを食べ物と考え誤飲しており、消化することも体内から排出することもできず、最終的に胃潰瘍や腸炎をおこし死亡してしまう個体も多いのです。

 

 
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このページは2005年11月3日に閉館してしまいました北海道の「広尾海洋水族科学館」のサイトの一部を了承を得て保存し公開しているものです。

「あざらしみてきたよ!」 http://www.ne.jp/asahi/kanda/azarashi/