シーザリオメモリアル
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2005年JRA賞・最優秀3歳牝馬&最優秀父内国産馬
日本オークス5/22・アメリカンオークス7/3制覇!!日本馬初の快挙!
アメリカンオークス優勝のシーザリオ
photo by suponitianex
アメリカンオークス


出資NO.67   シーザリオ   (キロフプリミエール02)  栗東・角居厩舎
キロフプリミエールの02
シーザリオ
3歳 牝 青毛
スペシャルウィイーク サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
キャンペンガール マルゼンスキー
レディーシラオキ
キロフプリミエール Sadler’s Wells Northern Dancer
Fairy Bridge
Querida Habitat
Principia
2002年3月31日生・牝馬・青毛  生地:早来ノーザンファーム産  募集価格14,000,000円/400口

所属厩舎 栗東・角居厩舎  担当:岸本助手・鈴木厩務員 
主戦騎手:福永祐一

<父の種牡馬としての評価>
スペシャルウイークのプロフィールはこちら・準備中
青鹿毛 1995年生 門別産 17戦10勝 日本ダービーGT・ジャパンCGT・天皇賞春・秋GTなどを制した。00年から日本で種牡馬として供用。 代表産駒3年初年度産駒デビュー。多数新馬勝ちしている。

<主な戦績>
アメリカンオークス-GT・優駿牝馬-GT・フラワーC-GV・寒竹賞・桜花賞-GT2着
2005年JRA賞・最優秀3歳牝馬&最優秀父内国産馬

<シーザリオ成 績 表>
出走日 場所 レース コース 騎手 着/人気 頭数 タイム
2004.12.25 阪神 2歳新馬戦  芝1600m  福永  1/2 16頭 1.36.7 
2005.01.09 中山 寒竹賞 芝2000m 福永  1/4 16頭 2.01.6 
2005.03.19 中山 フラワーC・GV 芝1800m 福永  1/1 14頭   1.49.0 
2005.04.10 阪神 桜花賞・GT 芝1600m 吉田稔  2/1 18頭   1.33.5 
2005.05.22 東京 優駿牝馬・GT 芝2400m 福永  1/1 18頭   2.28.8 
2005.07.03 ハリウッドパーク アメリカンオークスGT 芝2040m 福永  1/2 12頭   1.59.3 
くわしい戦績はこちらnetkeiba.com
特別保存版

シーザリオ

02年生/牝/青毛 

2006年4月5日引退

<栗東>
角居厩舎

2004/12/25新馬

2005/1/9寒竹賞

2005/3/19フラワーC

2005/4/10桜花賞(2着)

2005/5/22オークス

2005/7/3アメリカンオークス
父スペシャルウイーク
母キロフプリミエール
母父Sadler's Wells 
5・1・0・0
・新馬戦
・寒竹賞
・フラワーC
・桜花賞2着
・オークスGT制覇
・アメリカンオークスGT
2005/7/4

3日のハリウッドパーク競馬場(アメリカンオークス・芝2000m)では好スタートから道中3番手を追走。3コーナーから馬なりで外目を進出し、4コーナーで先頭に立つと直線は後続を突き放す一方で1着。

「調子も良かったですし、この春のGTは不完全燃焼の競馬が続いていたのでしっかり力を出せれば今回のような走りは十分可能だと思っていました。流れが遅くなりそうな感じがあったのでハナに行くことも考えましたが、内の馬が行ったので3番手外目をキープしました。逃げた馬のペースは速かったですが、シーザリオの位置取り丁度よく、マイペースの走りができ、流れに乗れました。道中はかぶされない様にやや外目を走りました。3コーナーで早め先頭に立ちましたが、自分のペースだったので早いとは思いませんでした。4コーナーでも後ろの脚音が聞こえなかったので勝利を確信しました。先頭に立ってからはややソラを使う感じもありましたが、手ごたえには十分余裕がありました。この馬で負けたら日本の馬は海外で勝てないと思えるくらい馬の能力には自信があったので結果を出せてよかったです。ここまで仕上げてくれた厩舎スタッフに感謝、感謝です」(福永騎手)

「仕上げに自信はありましたが大舞台なのでドキドキして見ていました。3〜4コーナーで先頭もしくは2番手の競馬を予定していましたが、ジョッキーはその通りに運んでくれました。春GT2戦では不利もありましたが、不利さえなければこれくらいの競馬はできる馬なんです。今回は初の長距離輸送、検疫を難なくこなしてくれました。レースも含めて100点満点だったと思います。今後は国内戦も勿論、再度の海外遠征についても検討することになると思います」(角居師)




2006/4/5

ここまで復帰へ向けての調整を行ってきたが、3月末に右前脚に腫れが出てしまい、検査を行った結果、右前繋靭帯炎を再発していることが判明。協議の結果、大変残念ながら中央競馬登録を抹消することになった。

「3日に馬の状態を確認してきましたが、右前の腱が太くなっており明らかに繋靭帯は腫れている状態です。さらに痛み、熱感もあり、繋靭帯炎が慢性化しているようです。このまま治療して行っても復帰まで1年以上は時間は要するでしょうし、たとえ復帰できても満足に競走をさせてあげられない可能性が高いと思います。引退はとても残念ですが、この馬の名誉を傷つけないうちに、繁殖牝馬として第2の人生を歩んでもらいたいと思っています」(角居師)


 シーザリオ 寒竹賞優勝写真館    2005年キャロット展示会でのシーザリオ

<募集パンフレットのコメント>


<みっきのコメント>
父はSSの最有力後継種牡馬スペシャルウィーク、母はサドラーズウエルズ産駒で英米で5勝をあげた実績馬。 産駒にはSSとのあいだに特別2勝のプロトン・ミレニアムダンサーがいる。 本馬は父スペシャルウィークによく似たのびのある馬体。なにより青毛の立派な馬体が目を引く。 顔立ちの気品のよさ。キャロットの02産の中ではもっとも美しい馬。とても気に入っている。
<2005/4/10桜花賞出走へむけての記事情報>
【桜花賞】ムードに続け!デビュー3連勝・シーザリオ
「SANSPO.COM」
 フラワーCを完勝しデビュー3連勝としたシーザリオ=写真左=が、無敗の桜の女王に輝いたダンスインザムードの再現を狙う。2走前に破った牡馬から2頭が皐月賞トライアルを優勝するなど、男勝りの能力の持ち主。今回は公営・吉田稔騎手(36)=写真右下=との新コンビで参戦。中央の関西騎手が19連勝中の桜の舞台で、地方の名手が厚い壁を突破し、歴史に名を刻むか。
◇ フラワーCを好位からの競馬で楽勝して、無傷の3戦3勝。シーザリオが歩んできた足跡は、昨年の勝ち馬ダンスインザムードを連想させる。
 「いろいろな経験を積んで、それをひとつひとつクリアしてきました。特に寒竹賞では、長距離輸送と距離を克服。早い時期にそういうステップをこなせたことは大きいですね」
 角居調教師は淡々とした口ぶりで話すが、自ら“大きかった”と話す寒竹賞は2着が若葉Sの勝ち馬アドマイヤフジ、4着がスプリングS勝ち馬ダンスインザモアとハイレベルな一戦。牝馬で勝てたことは大いに強調できる。新馬戦でもチューリップ賞3着のダンツクインビーを一蹴と能力の違いで勝ち上がってきた。  昨年のダンスと違って関西馬のシーザリオは阪神コースもデビュー戦で経験。それだけに、一番のポイントは乗り替わりだ。今回は3戦すべて手綱を取ってきた福永騎手がラインクラフトに騎乗するため、愛知の吉田稔騎手にバトンタッチ。昭和60年に木藤隆行騎手(エルプス)が勝ったのを最後に桜花賞はJRAの関西騎手が19連勝中。さらに、吉田稔騎手は中央で重賞勝ちの経験(16年GIII阪急杯サニングデールなど)はあるが、GIは連対すらない(別表参照)。  そうした点にについて、「全く心配していません。とにかく競馬が上手な馬ですし、癖がある馬でも上手に乗ってくれるほどの乗り役さんですから」  2年連続してJRA20勝を挙げている名古屋の名手に、角居師も全幅の信頼を寄せる。依頼する際にも細かい指示はなく「頼みますね」とだけ伝えたという。中央のレースはVTRですべてチェックしているという吉田稔騎手は、平常心を心がけ、同馬の持ち味を引き出すことに専念する。
 「牝馬ですし、あまり直前にやるつもりはありません。日曜(3日)に時計を出した時も、動きはしっかりしていましたから」 師も絶賛する3日の追い切りは、坂路4ハロン52秒2−38秒0−12秒8という好タイム。臨戦態勢はすでに整っている。土付かずのまま桜の季節を迎えたシーザリオ。4連勝の戴冠を果たせば、咲き誇る仁川の桜でさえも色褪せて見えることだろう。
(黒田栄一郎)
吉田稔騎手のJRAGI騎乗成績
年度 レース名  馬名  着順  人気
平12 高松宮記念 スピードスター 13 17
13 マイルCS ロサード 13 7
14 高松宮記念 トキオパーフェクト 11 12
15 桜花賞 チアズメッセージ 17 10
宝塚記念 イーグルカフェ 14 12
菊花賞 ペルフェット 15 18
16 桜花賞 ロイヤルセランガー 16 15
天皇賞・春 ナリタセンチュリー 5 13
17 高松宮記念 ウインクリューガー 10 5

▼第65回桜花賞
(10日、阪神、GI、3歳牝馬OP、定量、芝1600m)
アドマイヤメガミ  55 池添
アンブロワーズ   55 四位
エアメサイア    55 武豊
エイシンテンダー  55 武幸
エリモファイナル  55 岩田康
カシマフラワー   55 松永
ショウナンパントル 55 吉田豊
ジョウノビクトリア 55 横山典
シーザリオ     55 吉田稔
ダンツクインビー  55 小牧太
デアリングハート  55 デムーロ
テイエムチュラサン 55 田嶋翔
フェリシア     55 幸
ペニーホイッスル  55 柴田善
マイネコンテッサ  55 松岡
モンローブロンド  55 佐藤哲
ライラプス     55 藤田
ラインクラフト   55 福永
【注】桜花賞は登録23頭、フルゲート18頭。賞金800万円のオリエントチャーム、ジェダイト、ブリトン、リヴァプール及び、賞金400万円のクイックセイコーは除外対象

★馬名の由来
 シーザリオという馬名は、シェークスピアの喜劇「十二夜」に出てくる男装の麗人の名前。寒竹賞で並み居る強豪牡馬を蹴散らした男勝りのシーザリオには、ぴったりのネーミングといえる。

■【桜花賞】ムードに続け!デビュー3連勝・シーザリオ
「スポニチアネックス」
黄門 馬体診断トップはシーザリオ

美浦黄門が馬体診断で48点(50点満点)とトップ指名のシーザリオ
 黄門、無敗の青毛馬に熱視線!「第65回桜花賞」の馬体診断で“美浦黄門”こと境勝太郎元調教師はフラワーCでデビュー3連勝を飾ったシーザリオを50点満点で48点とトップ指名した。馬体の完成度が高く、牡馬の強豪をねじ伏せてきた力は本物と断言した。 【桜花賞】  桜花賞は私には思い出の深いレース。もうはるか昔の話になりますが、騎手時代に初めて阪神競馬場を舞台に行われた桜花賞(第10回、1950年)でトサミツルに乗って優勝。今でも、あの時の感激は鮮明に覚えています。調教師としても何とか勝ちたいと管理馬を出走させましたが、うまくはいかなかった。  桜花賞を目指す調教師は皆、眠れない毎日を送っていることでしょう。何しろ、この時期の牝馬は体調の変化が激しいため調整が難しい。暖かい日が続くと突然、フケ(発情)になるケースもある。今年も馬体を見る限りは「随分と仕上げに苦労しているな」と感じさせられる馬が多かった。そんな中、ひと目見た瞬間に「これだ」と目を奪われたのがシーザリオです。  一般的に黒々とした毛色の青毛の馬は見栄えがするものですが、それを差し引いても素晴らしい馬体の張りをしている。胸前の筋肉が大きく盛り上がり、トモもはちきれんばかりに丸みを帯びている。骨格がしっかりしていて全体にバランスよく筋肉がついている。3歳牝馬とは到底思えない、すでに完成された古馬のような馬体のつくりをしています。  関東に遠征したフラワーCから中2週というローテーションですが、消耗したような印象は全く受けない。むしろ、ムダ肉がそぎ落とされてさらに良くなっている。上積み十分だと思います。昨年のダンスインザムードに続く4連勝でのG1制覇も十分に可能でしょう。
 ≪距離不安説を否定≫シーザリオは前走のフラワーCが1800メートル、前々走の寒竹賞が2000メートル。マイルへの対応が注目されるが、角居師は不安をきっぱり否定。「スペシャルウィーク産駒で距離を心配する向きもあるようですが、スピードがあり競馬での行きっぷりを見ればマイルでも問題ないと思います」と力強かった。
[ 2005年04月06日付 紙面記事 ]


Sanspo.com4月10日
【桜花賞】吉田稔“無念”…シーザリオ猛追及ばず2着
 第65回桜花賞(10日、阪神11R、GI、3歳牝馬オープン、定量、芝1600メートル、1着本賞金8900万円=出走18頭)福永祐一騎乗の2番人気ラインクラフトがデアリングハートとの激戦を制して、1分33秒5(良)の桜花賞レコードでV。デビュー3連勝で1番人気に推されたシーザリオは、追い込み届かず頭差2着。公営・名古屋の吉田稔騎手は中央GI初制覇にあと一歩及ばなかった。4着エアメサイアまでオークス(5月22日、東京、GI、芝2400メートル)の優先出走権を獲得。シーザリオはそこで雪辱を期す。〔写真:1番人気のシーザリオは2着惜敗。アタマ差で中央GI初優勝を逃した吉田稔騎手の落胆ぶりは大きかった〕
◇ 史上7頭目の無敗女王を目指した乙女の夢、そして憧れの中央でGI初制覇に賭けた男の夢は、あと一歩だけ届かなかった。1番人気に支持された吉田稔騎手とシーザリオは、猛追及ばずアタマ差の2着。決して実力ではない。ほんのわずかの運が足りなかった。
 「勝った馬は強かったですね。でも、乗せてもらった以上は勝つことが仕事だし、あそこまでいったら勝ちたかった」
 今回が10回目のGI騎乗だった吉田稔騎手は、うつむき加減に唇を噛んだ。「最初のコーナーで前に入られて、前半にいい位置を取れなかった」と悔やむ場面もあったが、直線でひと追いごとに差を詰めてくる姿は、テン乗りとは思えない抜群のコンビネーション。「不利というほど不利はなかったし、最後もよく伸びてくれた」と力は出し切れた。それだけに、何よりも結果が欲しかった。
 「マイル適性の差はあったかもしれません。うまく言えないですけど…」。今まで経験のない速い流れの競馬でこれだけの走りをしたことで、逆にオークスでの期待度は高まるばかりだが、地方所属の吉田稔騎手に引き続き乗れる保障はなく、今回が勝負だった。角居勝彦調教師が「オークスの実力勝負なら違うと思いますよ」と確信を深めたのと対照的に、「オークス向き? ボクにはどっちが向くとは言えません」と言葉も少なめだ。
 角居師もオークスでの鞍上は明言せず、「(福永)祐一君に乗ってもらいたいですね」とデビューからの3戦で手綱を取った桜花賞ジョッキーを冗談交じりで指名したほど。今後は2週間ほどの短期放牧をはさんで、オークスへ向けて態勢を整える。能力を十分に引き出しながら、続けて乗れる可能性が薄い吉田稔騎手のためにも、樫の女王の座は何としても逃せないタイトルだ。
(越智 健一)

■【桜花賞】ユーイチ会心の騎乗!ラインが桜の女王戴冠
Sponichi.com4月11日
シーザリオ頭差無念〜桜花賞

頭差の2着で、惜しくもG1勝利を逸したシーザリオ
 その差、わずか頭差。1番人気シーザリオに足りなかったのは「運」だけだったのかもしれない。新コンビ・吉田稔が必死の形相で追う。そのゲキに応え、メンバー中No・1の3F34秒4の剛脚を繰り出し、馬群を縫って追い込んだが…。ゴール板では1頭だけ、ラインクラフトが前にいた。
 「惜しかった。最初の2コーナーで(外枠の馬に)前に入られる形になってしまって…。位置取りが後ろになってしまった。それに多少ペースの戸惑いもあったかもしれない」。逃した大魚は小さくはなかった。それでも、吉田稔は悔しさを押し殺すように冷静に切り出した。夢のG1初優勝を飾って、来年3月すでに確定的なJRA移籍。夢のシナリオは完成しかけていたが…。序盤の思わぬビハインドが痛恨だった。
 角居師は「運がなかったね。最初のコーナー?桜花賞といえば桜花賞…。外枠の馬が好位を取ろうとすれば、必ずごちゃつく個所。昔からジョッキーの苦情が多かったから」とピンチヒッターの吉田稔をかばった。その一方で、過去3戦とは違って中団から伸びた愛馬の底力を再認識した様子。「いい脚を使ってくれたし、速い時計にも対応できた。苦しい位置からよく伸びた。将来性をあらためて感じた」と同師は称賛の言葉を続けた。  今後は約2週間、短期リフレッシュ放牧。オークス(5月22日、東京)が当然次なる目標だ。「距離は延びた方がいいと思う。まだまだ良くなる」と吉田稔はエールを送った。主戦・福永はラインクラフトのコンビ続行が濃厚。オークスの鞍上はまた白紙となったが、Vの最短にいることは間違いない。「2400メートルならフルに力が発揮できる」角居師はこの日の悔しさも忘れて、力強く結んでいた。 【桜花賞】
[ 2005年04月11日付 紙面記事 ]

<2005/5/22オークスへ向けての記事情報>
サンスポ。コム5/19
桜2着で素直にザリオ

 G1ウイーク恒例「こだわりデータ室」。オークスの狙い馬を、過去10年間のデータから徹底的に探った。臨戦過程やキャリアなど6つのチェック項目を設け、過去の好走馬の傾向からそれぞれ◎〜×の評価基準を決定。今年の出走メンバーに当てはめてみた結果、桜花賞2着馬シーザリオが不動の中心となった。一方、同時に検証した「穴馬激走パターン」からは、エリモファナイナルなど3頭が“高配当の使者”として浮かび上がってきた。(データ班)
 オークスで好走するために最も重要なファクターはずばり「桜花賞3着以内」であること。(1)臨戦過程はもちろん、(4)距離実績、(5)コース実績、(6)重賞実績のチェック項目でもこの実績が大きなウエートを占めている。1着馬ラインクラフトと3着馬デアリングハートが不在(NHKマイルCで1、2着)の今年、この条件を満たしているのは当然、桜花賞2着馬のシーザリオだけだ。
 同馬を含めて3頭が全6項目を○以上でクリアしたが、◎の数はシーザリオが4つでトップ。しかも、(3)好走確率ではただ1頭、◎を獲得(連対率100%)し、(4)距離実績で◎となった「芝2000メートル勝ち」は牡馬の強豪がそろった寒竹賞で挙げたもの。他馬の◎よりも価値が高いと言える。あらゆる面でライバルをリードしており、1番人気が確実でも逆らうのは無謀だ。
 相手筆頭は、全項目○以上で◎も3つ獲得したディアデラノビア。桜花賞に出走していないだけに未知の魅力にあふれており、シーザリオがいなければ本命視も可能なレベル。角居厩舎勢のワンツー決着となる可能性も十分にありそうだ。減点ゼロだったもう1頭、レースパイロットが3番手。こちらも芝2000メートル以上で【1100】の実績は高く評価できる。
 忘れな草賞1着からの臨戦となるジェダイトが4番手評価の☆。△が2つあるが×はなく、強調材料となる◎を2項目でゲットしており侮れない。×1つも他の5項目を○以上でクリアしているエイシンテンダー、ライラプスまで押さえておこう。 【優駿牝馬  チェック表】
[ 2005年05月17日 ]

ニッカン競馬5/19
シーザリオ「逃げてもいい」/オークス

 えっ、シーザリオが逃げる? 3歳牝馬の祭典、オークス(G1、芝2400メートル、22日=東京)の追い切りが18日、東西トレセンで行われ、シーザリオ(栗東・角居)騎乗の福永祐一(28)が「逃げ」を作戦の選択肢に挙げた。昨年は2角先頭から実質的な逃げ切り勝ちを収めており、ダイワエルシエーロの再現を狙うのか。あるいは他陣営を惑わす陽動作戦か。虚々実々の駆け引きで大本命馬を優位に導く。
 福永から衝撃発言が飛び出した。会見でシーザリオの位置取りについて質問が出た際、「(ペースが)遅かったら逃げてもいい」と堂々と秘策を口にした。シーザリオの過去4戦で逃げ切り勝ちは1度もない。オークスでは91年イソノルーブルが最後。それだけに常識外と受け止められたが、関西リーディング2位と乗りに乗っている男は真顔で話した。「オークスはスローになるケースが多い。皆、距離面で不安があるから。逃げても、そういう競馬はできる」と騎手心理を読み、秘策成就に自信を見せた。新馬戦から3戦目のフラワーCまでコンビを組んで、性格も癖も心得ている。目標になるリスクを背負っても対応できる能力を感じているからこそ、あえて逃げる可能性に触れた。
 確かにメンバーに典型的な逃げ馬はいない。府中の芝は先週の傾向から前残りが続出する状態でもある。ダイワエルシエーロで2角先頭から押し切った昨年に続き、スローの流れなら二匹目のどじょうを狙う腹づもりだ。  条件付きとはいえ、大本命馬の逃げ宣言には有力ジョッキーも驚いた。ジェダイトの藤田は「まさか。1番人気では乗れんやろ」と否定。エアメサイアの武豊も同様に「行かないと思うよ」と懐疑的な見解を示した。2人とも福永発言の真意をつかみ切れず、驚きは隠せなかった。実際に逃げるかどうかは別として、ライバルを惑わす陽動作戦としての効果は十分にあった。
 最終追い切りは坂路800メートル54秒7−38秒8−25秒1−12秒6(馬なり)。長距離を乗り切るのに絶対必要な折り合いもつき、馬場の真ん中をまっすぐに駆け上がった。福永は1週前追い切りで騎乗した際、確かな手応えを感じ取っている。「若干、力強さを増した。何よりも動きがすごく良かった」と愛馬の成長を喜んだ。桜花賞ではお手馬がかち合い、ラインクラフトに騎乗。シーザリオの追撃を頭差退けた。「あの馬にだけは負けたくなかった」と振り返ったのも、強さを知っているからこそ。昨日の敵は今日の友。再びタッグを組む幸運に恵まれた天才2世は「普通の状態で出られればチャンスは十分にある」と史上5人目の連覇を意識した。今年G1・3勝は、目標とする武豊を1つリード。デビュー10年目、区切りのG1通算10勝は、すぐ目の前に転がっている。【岡山俊明】
[2005/5/19/09:00 紙面から]
写真=坂路で追い切られたシーザリオは真っすぐに駆け上がった(撮影・渦原淳)
シーザリオしまいだけ伸ばす〜オークス
速い時計こそ出さなかったが「さらに成長」と福永の言うシーザリオ

スポニチ・アネックス5/19
 シーザリオは黒光りした馬体を誇示するように坂路コースを威風堂々とした脚取りで駆け上がる。中間3本の追い切りをかけて体はすでにできている。もう速い時計は必要ない。前半は折り合いに専念させて、しまいだけ脚を伸ばした。4F54秒7〜38秒8〜12秒6。時計を確認した角居師に満足そうな笑みが浮かんだ。
 「1週前追い切り(11日)の時点で仕上がっていたので、それをキープしてきた。走りたい気持ちでいっぱい…という雰囲気でも行儀よく我慢して折り合っていた」と手応えを語る。手綱を取った福永も「桜花賞の時に、この時期としては最高の出来だと思ったが、さらに成長している感じ。前回よりもっと力強い走りになった」ときっぱり。
 距離延長についても「もともとオークス向きとみていた馬。自分のペースで走れば、距離が延びても大丈夫」と同師。桜花賞前に関東に遠征して1800メートルのフラワーCを使ったのもオークスを意識すればこそだ。福永は「どんな競馬でもできるのが強み。スローなら逃げたっていいぐらいだし、速ければ追い込むことになるかもしれない」と自在性を強調した。樫の女王の座へ死角はない。
 ≪メガミ疲れなし≫アドマイヤメガミはCWコースでユーロスター(3歳未勝利)に2馬身先着。仕掛けられてからの反応の鋭さは目を引く。松田博師は「動きは良かった。賞金(本賞金1200万円)が十分足りていたので桜花賞からオークスに直行できたのが大きい。トライアルを使わずに済んだ分、疲れもない」と仕上がりに満足そうだった。 【優駿牝馬  調教タイム】
[ 2005年05月19日付 紙面記事 ]


nikkansports5/22
豪脚届いた!シーザリオV/オークス

<オークス>◇22日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳牝◇出走18頭
 断然人気のシーザリオ(栗東・角居)が直線一気の豪脚で差し切り、G1初制覇した。勝ちタイムは2分28秒8。福永祐一騎手(28)は昨年のダイワエルシエーロに続き、このレース連覇。春G1は4勝目を挙げた。
 エイシンテンダーが逃げるスローペースの展開の中、シーザリオはゆっくりしたスタートから最後方で折り合いに専念。4コーナー手前で窮屈になりながらも、直線で外に持ち出すとエンジン全開。瞬発力勝負で前にいる馬を差し切った。福永は「今日は誇れる騎乗じゃなかった。届かないかなと思った位置からすばらしい脚を使ってくれて、馬に勝たせてもらいました」と話した。2着はエアメサイア、3着はディアデラノビアが入り、1、2、3番人気決着だった。
 馬連(4)(5)は630円、馬単(4)(5)は820円、3連複(4)(5)(9)は1280円、3連単(4)(5)(9)は3330円だった。

keibabook5/22
オークスアラカルト(22日)
1着シーザリオ 福永騎手 2着エアメサイア 武豊騎手
3着ディアデラノビア デザーモ騎手
@桜花賞2着馬 断然の1番人気に支持されたシーザリオが、桜花賞2着のウップンを晴らした。桜花賞2着馬のオークス優勝は、1997年のメジロドーベル以来8年ぶり11頭目。1番人気馬の勝利は00年シルクプリマドンナ以来5年ぶり。A福永騎手 昨年のダイワエルシエーロに続いて連覇を達成した。95・96年の武豊騎手以来5人目の快挙。また、同騎手は、桜花賞をラインクラフトで制しており、異なる馬での同一年桜→オークス制覇は65年加賀武見騎手以来40年ぶり2人目。今年はフェブラリーS・桜花賞・NHKマイルCに続きG1・4勝目でこれは昨年の安藤勝騎手、93年武豊騎手と並ぶ上半期G1最多勝記録。今年のJRA重賞9勝目、通算44勝目(うち、G1は10勝目)。B角居師 昨年の菊花賞デルタブルースに続きG1レース2勝目。JRA重賞は通算で8勝目。なお、本日の東京でJRA通算100勝も達成しており、ダブル快挙達成。C人気決着 3年連続で馬連が万馬券となっていたオークスだが、今年の単勝払戻金150円は、59年オーカンに並ぶ単勝の最低払戻金タイ記録となった。また馬連の630円は96年の1480円を大幅に下回った。D青毛馬の勝利 75年テスコガビー以来、30年ぶり2頭目。

JRA競走成績
2005年3回東京2日( 5月 22日) 11R
第66回 優駿牝馬(GI)
サラ系3歳 2400m 芝・左 牝(指定) オープン 定量
本賞金: 9700、 3900、 2400、 1500、 970万円 発走 15:40
天候:晴  芝:良 
着順 枠 馬番 記号 馬名 性 齢 負担 重量 騎手 タイム 着差 馬体重 調教師 単勝 人気
1 2 4 (父) シーザリオ 牝 3 55.0kg 福永祐一 2:28.8   460Kg +6 角居勝彦 1
2 3 5 エアメサイア 牝 3 55.0kg 武豊 2:28.8 クビ 470Kg +8 伊藤雄二 2
3 5 9 ディアデラノビア 牝 3 55.0kg K.デザーモ 2:28.9 クビ 426Kg +4 角居勝彦 3
4 6 11 (父) エイシンテンダー 牝 3 55.0kg 武幸四郎 2:29.0 1/2馬身 490Kg +2 武邦彦 5
5 1 2 (父) ブリトン 牝 3 55.0kg 田中勝春 2:29.3 1 3/4馬身 450Kg 0 武邦彦 12
6 8 18 ジェダイト 牝 3 55.0kg 藤田伸二 2:29.4 3/4馬身 474Kg +8 池江泰郎 10
7 8 17 ショウナンパントル 牝 3 55.0kg 吉田豊 2:29.4 クビ 452Kg +6 大久保洋吉 9
8 3 6 アドマイヤメガミ 牝 3 55.0kg 池添謙一 2:29.5 クビ 444Kg 0 松田博資 7
9 4 7 レースパイロット 牝 3 55.0kg 蛯名正義 2:29.6 1/2馬身 462Kg 0 松田国英 4
10 2 3 (父)(市) コスモマーベラス 牝 3 55.0kg 柴山雄一 2:29.8 1 1/4馬身 424Kg +2 中村均 14
11 8 16 (父) ビッグフラワー 牝 3 55.0kg 北村宏司 2:29.8 クビ 430Kg +4 中尾正 13
12 5 10 ライラプス 牝 3 55.0kg 後藤浩輝 2:29.8 ハナ 450Kg 0 松田国英 8
13 7 14 ジョウノビクトリア 牝 3 55.0kg 横山典弘 2:30.0 1 1/4馬身 470Kg -4 森秀行 6
14 1 1 エリモファイナル 牝 3 55.0kg 内田博幸 2:30.1 クビ 442Kg -2 大久保正陽 11
15 4 8 アスピリンスノー 牝 3 55.0kg 小野次郎 2:30.2 3/4馬身 434Kg -2 森秀行 15
16 7 15 ヤマニンアリエル 牝 3 55.0kg 柴田善臣 2:30.4 1 1/2馬身 436Kg -6 浅見秀一 16
17 7 13 ランタナ 牝 3 55.0kg 江田照男 2:30.7 2馬身 420Kg +4 大江原哲 17
18 6 12 ピューマカフェ 牝 3 55.0kg 須貝尚介 2:32.0 8馬身 464Kg +12 小島太 18
--------------------------------------------------------------------------------
ハロンタイム  12.6 - 11.3 - 13.2 - 13.1 - 12.9 - 13.4 - 13.1 - 12.6 - 12.2 - 11.5 - 10.9 - 12.0
上り  4F 46.6 - 3F 34.4
1コーナー  11,18,8(2,16)17(7,12)(5,13)10(3,9,15)(4,14)(1,6)
2コーナー  11(8,18)-16,2(7,17)-5,12(10,13)(3,9)(15,14)4(1,6)
3コーナー  11(8,18)(16,13)2(7,17,5,12)(10,9)(3,1,4,14)(6,15)
4コーナー  11,18(8,13)16(2,5,12)(7,9)17(3,10,4,14)(1,6)15
<払戻金>
単勝 04 150円 1番人気
複勝 04 110円 1番人気
   05 180円 2番人気
  09 200円 3番人気
枠連 2-3 520円 1番人気
馬連 04-05 630円 1番人気
ワイド 04-05 250円 1番人気
    04-09 350円 2番人気
   05-09 770円 6番人気
馬単 04-05 820円 1番人気
3連複 04-05-09 1,280円 1番人気
3連単 04-05-09 3,330円 1番人気


SANSPO.COM05/22
【オークス】絶望的位置から豪快差し!シーザリオ樫女王

 第66回オークス(22日、東京11R、G I 、3歳牝馬オープン、定量、芝2400メートル、1着本賞金9700万円=出走18頭)桜花賞組強し−。福永祐一騎乗の1番人気シーザリオが、道中苦しい位置取りからも直線で鋭い伸び脚を見せ、上がり3ハロン33秒3の破壊力で牝馬クラシック2冠目を制した。2分28秒8(良)。福永は昨年のダイワエルシエーロに続く連覇。今年の桜花賞組はレベルが高く、優勝馬のラインクラフトと3着デアリングハートがNHKマイルCで1、2着になったのに続いて、オークスも2着シーザリオと、4着エアメサイアがワン・ツーを決めた。〔写真左:オークス連覇を決めた福永祐一騎手は異なる牝馬で2冠達成。今年早くも中央G I 4勝と手綱が冴える。同下:今年のオークスのプレゼンター、工藤静香さん(左)と笑顔で握手を交わす福永祐一騎手=ともに撮影・佐藤雄彦〕
◇ 苦しかった。厳しかった−。絶対的な存在の福永祐一騎手とシーザリオに、何度も絶体絶命のシーンが訪れる。スタート〜ゴールの2分28秒8のうち、2分は苦難と我慢の連続。だからこそ終わってみれば抜けた強さが際立つ。上がり3ハロン33秒3。極限の末脚を繰り出して、史上最強レベルのオークス馬が誕生した。
 「逃げてもいい」というユーイチの心構えとは裏腹に、ゆっくりしたスタートから自然と後方へ。2コーナーでは最後方から数えて3番手。直線勝負の馬たちが格好の獲物を逃すはずがなく、大本命馬は後方に完全に閉じ込められて、行き場のない状態でスローの競馬が続いていく。「もうどうしようもない。ここから上がってはいけない」。開き直ったユーイチはシーザリオをなだめながら直線の入り口で前が開く瞬間を待ちわびたが、開いたところも他馬に先に入られてスパートのタイミングがつかめない。万事休す…。
 長い直線。残り2ハロンを過ぎてから「もう届かないか…」と思った瞬間だった。ようやく開けた“道”にシーザリオがグッと重心を沈めて飛び込んだ。たまっていた末脚が爆発。1ハロン10秒台とも思われるほどのトップスピードで前に襲いかかり、一気にユーイチをVゴールまで導いたのだ。
 「馬に勝たせてもらいました。きょうはスムーズな競馬ができず、必要以上に頑張らせてしまった。いい仕事をしたとはいえません…。本当に(馬に)頭が下がる思いです」。ダイワエルシエーロを完璧な逃げでVに導いた昨年とは違い、パートナーに脱帽。「今まで上手に競馬できずG I を勝ったことはなかった」という自負もあり、自分を誇る気持ちにはなれない。JRA・G I は10度目(その他海外3勝、地方1勝)、今年早くも4勝目だが「もっと腕を磨いて、この馬にふさわしい騎手になりたい」と向上心に火がつく、思い出深い1勝となった。
 桜花賞馬不在の物足りなさを吹き飛ばしたシーザリオには米国遠征プランも持ち上がった。昨年ダンスインザムードが参戦し2着になったG I アメリカンオークス(7月3日、ハリウッドパーク、3歳牝、芝2000メートル)への挑戦だ。「海外でも十分に通用する素質を持っているし、チャンスがあれば行くべき馬」と、エイシンプレストンで香港・国際G I 3勝のユーイチも夢を見る。そして秋華賞では桜花賞馬ラインクラフトとの再対決も注目され、ユーイチはどちらの手綱を取るのか…。苦難の末、女王の座を勝ち取ったユーイチとシーザリオには、まだまだ数多くのドラマが待ち受けている。
(越智 健一)
★シーザリオ
 父スペシャルウィーク、母キロフプリミエール、母の父サドラーズウェルズ。青毛の牝3歳。栗東・角居勝彦厩舎所属。北海道・早来町ノーザンファームの生産馬で、馬主は(有)キャロットファーム。戦績5戦4勝。獲得賞金は2億2829万6000円。重賞は平成17年GIII フラワーCに次ぐ2勝目。角居勝彦調教師はオークス初優勝、福永祐一騎手は昨年のダイワエルシエーロに続き2勝目。

【オークス】
「勝った馬が強すぎる」メサイア2着  
桜花賞4着の雪辱を期して決戦に挑んだエアメサイアは、最後の最後にシーザリオに差されて、クビ差涙を呑んだ。オークスは母エアデジャヴー(平成10年)と同じ2着だった。
 「勝った馬が強すぎる…」。武豊騎手のひと言がすべてを物語っていた。課題とされたゲートでのイレ込みも「メンコを着けて落ち着いていたし、馬体も良かった」と、ほぼ完璧といえる内容でレースを運んだが…。「うまくいったし勝ったと思ったけどね」と悔しそうに振り返った。
 伊藤雄調教師は「メサイアもよく走っているが、(シーザリオは)あれだけスムーズさを欠いていたのに勝つんだから強いな」と、現時点では完敗を認めた。「この次はオーナーと相談して考えます」と次走は未定だが、母が成し遂げられなかったG I 制覇、そしてシーザリオへのリベンジ−。すべては秋への課題となった。
(高尾 幸司

【オークス】
武幸「悔いなし」エイシンテンダー4着
 スタート直後から押し出されるように先頭に立った5番人気のエイシンテンダーは、1000メートル通過が63秒1という超スローペースの逃げを展開。余力を十分に残して直線に向くと、二の脚を使ってもうひと伸びし、もう少しで逃げ切りのシーンまで演出した。最後は決め手の差で4着に敗退したが、100%の力は出し切った。「特に行くつもりはなく、ゲートを出たなりにと思っていた。道中も凄く楽だったが、まだ腰が甘い分、直線坂下から走りがバラバラになった」と振り返る武幸四郎騎手。それでも「最高に仕上げてもらったし力は出し切れた。悔いはありません」と爽やかな表情を見せていた。
★ジェダイト健闘6着
 果敢に2番手を追走したジェダイトは10番人気を上回る6着。藤田伸二騎手は「幸四郎の馬(エイシンテンダー)が行きそうだったから2番手。完璧に折り合っていたわけじゃないけど、6着に頑張った」と健闘を称えた。「気性的にまだまだ、来年になったら良くなるはず」と付け加え、今後さらに伸びる可能性を秘めているようだ。
★2歳女王パントルは7着
 2歳女王の名にかけて汚名返上に燃えた9番人気のショウナンパントルは、中団で折り合いスムーズな競馬で流れに乗る。道中で十分に脚をためていたが、4コーナーで揉まれ込む予想外の展開。直線は脚を伸ばしてきたが7着に終わった。それでも少しずつ復調の兆しは見せてきた。「道中はうまく折り合って、いい感じで運んでいた。終いも伸びているし、距離も問題ないですね。ただ、4コーナーがもったいなかった」と吉田豊騎手は残念そうに振り返っていた。
★「ゆくゆくは…」レースパイロット9着
 キングカメハメハの妹で4番人気に支持されたレースパイロットは、好位から伸びずに9着。蛯名正義騎手は「流れには乗れたが、現時点では素質だけで走っている感じ。フットワークはいいものがあるし、奥手の馬だと思うからゆくゆくは良くなるね」と素質の高さは感じ取った様子だ。
★柴山はホロ苦G I デビュー10着
 今春JRAに移籍した柴山雄一騎手は、コスモマーベラスとのコンビでG I 初参戦。後方待機から直線ジリジリと脚を伸ばして10着。「1コーナーで他馬と接触してリズムが悪くなり、直線も前が壁になったりした。スムーズならもう少し違ったと思いますが…」と、ホロ苦いGIデビューとなった。
★距離が…ライラプス12着
 スイートピーS快勝のライラプスは、2戦2勝の東京でGI制覇を狙ったが12着。後藤浩輝騎手は開口一番に「距離がキツイな」。続けて「ペースが遅くて前半は行きたがったけど、周りの馬もハミのかかりが悪くて苦労していたからね」とスローペースも影響したようだ。母フサイチエアデールは1マイルから中距離で活躍したように、この馬の適距離もその辺りのようだ。
★戦い終わって一言
 ◆田中勝春騎手(ブリトン5着) 「うまく折り合いがついたので、直線はナンボか伸びるだろうなと思っていた。上手にレースをする馬だね」
 ◆池添謙一騎手(アドマイヤメガミ8着) 「タメて直線勝負に賭けた。勝ち馬と同じ所にいたが、スッと離されてしまった」
 ◆北村宏司騎手(ビッグフラワー11着) 「レース前は少しイレ込んでいたが、実戦ではスムーズに競馬できた。自己条件に戻れば勝てますよ」
 ◆横山典弘騎手(ジョウノビクトリア13着) 「勝った馬は強いよ」
 ◆内田博幸騎手(エリモファイナル14着) 「ペースが遅すぎて、前半折り合いを欠いた。その分、終い伸び切れなかった」
 ◆小野次郎騎手(アスピリンスノー15着) 「出負けして引っ掛かった」
 ◆柴田善臣騎手(ヤマニンアリエル16着) 「まだ完成しきっていない」
 ◆江田照男騎手(ランタナ17着) 「折り合って競馬できたし芝も問題なかった。力をつけてくれば」
 ◆須貝尚介騎手(ピューマカフェ18着) 「力が付き切っていないね」
★売り上げ、入場ともにアップ!
 今年のオークスの売り上げは214億2260万100円で前年比104.8%、入場人員も9万5006人で同109.8%といずれもアップ。盛況のうちに幕を閉じた。オークスはシーザリオが断然人気となったが、3連単なら好配当が期待できるため、売り上げが伸びたようだ。今年のG I で前年の売り上げを上回ったのはフェブラリーS、皐月賞に続いて3度目。今週のダービーでは、無敗の2冠確実なディープインパクトが東京初登場。週末の府中はさらに熱くなりそうだ。
★角居師G I 2勝目
 1番人気シーザリオ、3番人気ディアデラノビアの2頭を送り込み、人気通りの結果に角居勝彦調教師(41)は、「2頭とも厳しい競馬でよく頑張ってくれました」と満面の笑みを見せた。昨年の菊花賞(デルタブルース)に次ぐG I 2勝目だが、8番人気の伏兵だった菊花賞とは立場が違う。「デルタのときは呆気に取られたけど、今回は責任を感じていました」と、大役を果たした喜びはひとしおだろう。  ただ、新進気鋭のトレーナーはこれで手綱を緩めない。シーザリオ、ディアデラノビアの2頭を、米G I アメリカンオークスに遠征させるプランを打ち出した。昨年、桜花賞馬ダンスインザムードが挑戦し、1番人気で2着惜敗したレースだ。「状態を見ながらですが、使ってみたいですね。2頭でお互いをパートナーにしていければ…」と野望に燃えている。
 この日、東京3Rでファイナルレザルトが1着となり、JRA通算100勝。平成13年3月の開業以来893戦目の達成だ。重賞もシーザリオのオークスで8勝。開業以来、実績を積み重ね、確かな技術で信頼を得てきた角居師なら、さらなる大仕事を期待してもいいだろう。
★キャロットクラブ悲願の初クラシック
 会員、牧場関係者らの笑顔が並んだ口取りだった。クラブ法人キャロットクラブにとって、シーザリオのオークスが初のクラシック。高橋二次矢氏(62)はクラブがリニューアルした平成13年秋に社長に就任。重責を担っていただけに、安堵の笑みがもれた。
 「もう少し前で競馬をすると思っていたので、ゴールするまでハラハラ、ドキドキ。あわよくば、ディアデラノビアと1着同着かワンツーと思っていましたが、欲をかいちゃいけませんね。2頭ともよく頑張ってくれました。これからも会員さんに喜ばれる馬を提供してきたい」とシーザリオ(募集価格は1400万円=1口3万5000円×400口)に負けない逸材の発掘を約束した。
 生産者のノーザンファーム(北海道・早来町)は、高松宮記念、桜花賞、皐月賞、NHKマイルCに続き、今年G I 5勝。さらに昨年のダービーから菊花賞、今年の桜花賞、皐月賞、オークスと史上初のクラシックV5だ。吉田勝己代表(56)は「冷や汗が出た。ほんと、ギリギリだったものね。きょうはサカラートも(東海Sを)勝っちゃうし…」。ディープのダービー制覇へ最高の弾みがついた。
★デザーモ「また乗りたい」ディアデラノビア3着
 女王に輝いたシーザリオの僚馬で、ケント・デザーモ騎手と初コンビを組んだ3番人気ディアデラノビアがクビ+クビ差の3着。ペースが遅かった分、前半こそ行きたがる素振りを見せたが、直線では勝ち馬に次ぐ上がり3ハロン33秒7の末脚を発揮。2着エアメサイアを僅かに捕らえ切れなかったものの、G I 級の能力は十分に示した。引き揚げて来たデザーモは開口一番、「楽しかった」と満足げな表情。「3コーナー過ぎまでは力んでいたが、そこから何とか落ち着いてくれたし、直線でも手応えは残っていた。最後は脚が一杯になったけど、自ら手前を替えて食い下がっていたからね。あのファイトは特筆すべき。また乗りたいね」と再会を願っていた。

◆オークス(5月22日、東京11R、G I 、3歳牝馬OP、芝2400m)
1着 (4) シーザリオ
2着 (5) エアメサイア
3着 (9) ディアデラノビア
単勝 4 150円
複勝 4 110円
5 180円
9 200円
枠連 2-3 520円
馬連 4-5 630円
ワイド 4-5 250円
4-9 350円
5-9 770円
馬単 4-5 820円
3連複 4-5-9 1,280円
3連単 4-5-9 3,330円
(レース結果はJRA発行のものと照合し確認して下さい)


sanspo/com5/24
オークスから一夜…シーザリオ疲れ見せず元気一杯
 第66回オークスを制したシーザリオ(栗・角居、牝3)は、23日午前零時過ぎ、僚馬で同レース3着のディアデラノビアを従えて、栗東トレセンの自厩舎に帰還した。同日朝もカイバをペロリと平らげて元気一杯。激走の疲れなど微塵も感じさせない姿だった。
 「あれだけキツい競馬だったのに、何事もなかったみたいにケロッとしていますよ。脚元も大丈夫だし、クタッときた感じはまったくないです」と米田調教助手はニッコリ。「ホント、シビれましたよ。届かないかなと思う位置から差し切りましたしね。強かったです」と賛辞の言葉を続けた。
 夏にはアメリカンオークス(7月3日、米・ハリウッドパーク、GI、芝2000メートル)を視野に入れている樫の女王の今後の動向にも注目だ。


<2005/7/3アメリカンオークスへの記事情報>

sanspo/com5/26
シーザリオ&ディア、アメリカンオークス参戦決定!

 オークス馬シーザリオ(栗・角居、牝3)と、僚馬で同3着のディアデラノビア(牝3)は、米GIのアメリカンオークス(7月3日、ハリウッドパーク競馬場、芝2000メートル)へ挑戦することが決まった。25日、角居調教師が明らかにした。
 オークスのレース後、角居師は同レースへ挑戦する意向を表明。その後主催者から、2頭とも招待するとの連絡が入った。
 「今はまだ2頭とも厩舎にいます。体調は戻ってきていますね。金曜日(27日)に一度、(栗東トレセン近くの)グリーンウッドにミニ放牧に出して、10日ほどで栗東に戻して、調整を再開したい。まだオーナーサイドとの調整などがありますが、前向きに考えています」と、新たな挑戦に、角居師は表情を引き締めた。
 鞍上は引き続きシーザリオに福永騎手、ディアデラノビアにデザーモ騎手が騎乗する。

2005.6.21
「競馬ブック」
7月3日に米ハリウッドパーク競馬場で行われるG1アメリカンオークス(左・芝2000m、日本時間:4日7時49分発走予定)に出走するシーザリオ(牝3歳、栗東・角居厩舎)は6月20日の関西空港15時00分発KZ304便で出国する。同馬はオークスのあと一旦、グリーンウッドに放牧に出され、今月8日に栗東トレセンに帰厩。現在は検疫中。帰国は7月7日のKZ153便(成田9時00分着)。なお、シーザリオとともに遠征予定だった同厩舎のディアデラノビア(牝3歳)は左第3手根骨々折を発症していることが判明したため、出走を断念せざるを得なくなった。ノーザンファームで立て直しを図る。

「サンスポ.com」
ミニニュース
★アメリカンオークス招待馬決まる
 【ロサンゼルス19日=国際電話】アメリカン・オークスの招待馬が19日(日本時間20日)、明らかになった。外国馬ではシーザリオ以外に英GIコロネーションS2着のカレンズケーパー(英=J・ゴスデン)、GII伊1000ギニー馬シルヴァーカップ(伊=G・ボッティ)、GI愛1000ギニー3着のルアスライン(愛=D・ワクマン)、仏1000ギニー4着のシルクアンドスカーレット(愛=A・オブライエン)。地元・米国では有力前哨戦のGIIハネムーンBCH優勝のスリーディグリーズ(P・ギャラハー)、ダートGIハリウッドスターレットSの覇者スプレンディドブレンディド(N・ドライスデール)、前走のGIIIサンズポイントSを含み4戦全勝で、惜しくも骨折で断念したディアデラノビアの従姉妹にあたるデロールアインダ(R・フランケル)など。ダンスインザムードが2着に敗れた昨年よりも強豪揃いだ。
★シーザリオ出発−アメリカンオークス

「日刊スポーツ。com」
 GIアメリカンオークス(7月3日、米・ハリウッドパーク、芝2000メートル)に出走するシーザリオ(栗・角居、牝3)は、20日午後3時2分に関西国際空港発のKZ304便で米国に向けて出発した。レースは現地時間の3日午後3時49分(日本時間4日午前7時49分)に発走予定。帰国は7日午前に成田着のKZ153便の予定。
シーザリオが米到着「すべてが順調」
 7月3日(日本時間=4日)に行われる米G1・アメリカンオークス(芝約2000メートル)で日米オークス制覇を目指すシーザリオ(牝3、栗東・角居)が現地時間の20日、レースが行われるハリウッドパーク競馬場に到着した。岸本助手は「飛行機への積み込み、機内、到着後とすべて順調だった。馬は飼い食いもよく、とてもいい状態」と話した。検疫から解放される22日には角居師が現地入りする予定になっている。
[2005/6/21/15:50]


sanspo.com 2005/6/26 ユーイチ700勝!!7・3にシーザリオで米GI挑戦
 今季G I 4勝と絶好調の福永祐一騎手(28)=栗東・北橋、写真=が、阪神5Rでエイシンアモーレに騎乗して快勝し、現役12人目のJRA通算700勝(史上36人目)を達成した。平成8年3月のデビュー以来6244戦目での記録。JRA重賞は44勝で、G I は今年のフェブラリーS(メイショウボーラー)、桜花賞、NHKマイルC(ともにラインクラフト)、オークス(シーザリオ)の4勝を含む10勝を挙げている。「多くの人に支えられながら、ここまでこれました。たくさんいい馬に乗せてもらっているので、もっと勝ち星を伸ばさないといけませんね。年々、少しずつ勝ち鞍が増えてきていますが、ますます飛躍したいと思います」とユーイチは気を引き締めていた。またユーイチは香港G I 3勝(13年香港マイル、14・15年クイーンエリザベス II 世C=全てエイシンプレストン)と海外でも活躍。来週はオークス馬シーザリオとのコンビで、米G I アメリカンオークス(7月3日、ハリウッドパーク、芝2000メートル)に挑戦する。
★シーザリオ情報
 7月3日の米G I アメリカンオークス(芝2000メートル)に出走するシーザリオ(栗・角居、牝3)は24日午前、舞台となるハリウッドパークで調整。ダートコースを1ハロン20秒台で1周半した。騎乗した岸本調教助手は「カイ食いも良く、いい状態を保っています」と話した。

【アメリカンオークス】
世界を駆ける!7月4日はシーザリオ
 国内では宝塚記念で上半期のGIが終了したが、7月4日(現地時間3日午後)、米国で注目のGIが行われる。オークス馬シーザリオ(栗・角居、牝3)が挑むアメリカンオークス(ハリウッドパーク、芝2000メートル)だ。昨年は桜花賞馬ダンスインザムードが出走し、1番人気で2着に惜敗したレースだ。シーザリオが勝てば、日本馬による史上初の米GI制覇、さらに日米のオークスVの偉業達成だ。〔写真右:日本馬初の米GI獲りに挑むシーザリオ。主戦・福永祐一騎手は香港でGI3勝と海外でも経験があり、初の米国も心配無用だ。同下:昨年はダンスインザムード(右から2頭目)が出走し、1番人気で2着に敗退。シーザリオには、快挙と同時に雪辱もかかる。〕
◇ 快挙に挑むシーザリオは20日に米国に到着。環境にもだいぶ慣れ、順調な調整が続いている。25日はハリウッドパークのダートコース(1周1800メートル)をキャンターで1周半した後、最後の1ハロンだけ15秒くらいで流した。26日も連日の馬場入りの疲れを見せず、前日より少し速めのキャンターでダートコースを1周半。その後ゲート確認のためゲートに入ったが、特にうるさい面も見せなかった。
 当初は僚馬でオークス3着のディアデラノビアと2頭での遠征を予定していたが、僚馬の骨折リタイアで1頭での挑戦となった。管理する角居勝彦調教師は「精神的にしっかりした馬ですから。輸送もうまくいきましたし、ここまでは万全の状態です」と期待もふくらむ。
 開業5年目の角居師は、昨年の菊花賞(デルタブルース)でGI初制覇。今年はシーザリオでのオークス優勝など、単独トップの重賞6勝を挙げている。海外遠征は初めてだが、開業前に森秀行調教師の下で修業を積み、アグネスワールドやエアシャカールの海外遠征に同行。「今回は大きなチャンスだから、失敗を恐れずにチャレンジするべきだと思いました。期待して挑みたいです」と臆するところはない。
 コンビを組む福永祐一騎手はエイシンプレストンで香港GIを3勝するなど海外での騎乗経験も豊富。25日にはJRA通算700勝を挙げ、今年は中央GIを4勝と乗りに乗っている。アメリカンオークスについては「昨年のダンスインザムードのレースをテレビで見て、日本の馬でもやれるという印象を受けました」と手応えはつかんでいるようだ。初の米国での騎乗には、「シーザリオは乗り慣れている馬ですし、どこで乗っても2000メートルは2000メートル」と、構えた様子はない。
 先日、SSの孫が米国で初勝利というニュースが流れた。シーザリオも父スペシャルウィークでSSの孫。SSが競走馬時代に初勝利を挙げたハリウッドパークで新たな歴史を−。そんな感動的なシーンを日本のファンは待望している。

★レース展望
 アメリカンオークスは2002年に創設され、昨年からGIに格付けされた。今年は各国の好調馬が集結し、レベルの高い1戦となりそうだ。
 シーザリオのライバルと目されるのは、欧州勢では伊1000ギニー馬シルヴァーカップ。勝負強さには定評がある。愛1000ギニー3着のルアスライン、英オークス5着のシルクアンドスカーレットなども上位争いの一角に加わる可能性は大きい。また、英GIコロネーションSで2着に惜敗したカレンズケーパーは回避する公算が大きい。
 地元の米国勢では、同じハリウッドパークで行われた芝1800メートルのGIIハネムーンBCH1着のスリーディグリーズ、同2着のザッツホワットアイミーン、同6着のルーヴァン、ベルモントパークの芝1800メートルで行われたGIIIサンズポイントS1着のメロールアリンダ、さらに昨年の優勝ジョッキー、ケント・デザーモが騎乗予定のメモレッテなどが出走を予定。

■中継予定
 シーザリオが出走予定のアメリカンオークスは、グリーンチャンネルが7月4日午前7時30分から同8時30分で衛星生中継。発走予定は日本時間の午前7時49分(放送予定は変更される可能性もある)。
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nikkannsports.com 2005/6/28
シーザリオ軽快5F61秒6/米オークス
 7月3日のアメリカンオークス(米G1、芝約2000メートル)に参戦するシーザリオ(牝3、栗東・角居)が27日、舞台となるハリウッドパーク競馬場のダートコースで追い切られた。
 同競馬場のホームページによると、5ハロンから61秒60をマークした。
 岸本助手は「クッションが利いた馬場のせいか思ったよりも時計が出ていた。調教後の様子は変わりなく、引き続き順調」と話していた。30日に福永騎手が騎乗して芝コースで最終追い切りをする予定。


2005/6/30 sanspo.com

【アメリカンオークス】ユーイチうれ試走!本番前米初ライド  【ロサンゼルス29日(日本時間30日)=下村静史】7月3日午後(日本時間4日早朝)に行われる米GIアメリカンオークス(芝2000メートル)にシーザリオ(栗・角居、牝3)と挑む福永祐一騎手(28)=栗・北橋、顔写真=が、30日午後(日本時間7月1日早朝)のハリウッドパークのレースに騎乗が決定。米国で初騎乗を果たす。本番前に実戦を経験できることに、「1度でも知っているのと知らないのでは全然、違うから」と笑顔のユーイチ。史上初の日本馬の米GI制覇へ、追い風が吹いてきた。なお、出走馬と枠順は30日に確定する。〔写真左:シーザリオはダートコースを軽やかにキャンター。本番に向け、順調な調整が続いている=米・ハリウッドパーク〕
◇ ハリウッドパークを訪れた福永騎手がシーザリオと対面中に、朗報が舞い込んできた。アメリカンオークスまでは無理ではないかと言われていた実戦での騎乗が実現。「ほんと、ラッキー」と、表情が緩んだ。30日7Rのクレーミング競走(3歳上牝馬、カリフォルニア州産馬限定、ダ1700メートル、5頭)で、カフェケーティ(N・ハインズ厩舎、3歳)の手綱を取る。滞在中の角居厩舎サイドから、ハリウッドパークの関係者に『機会があれば…』と依頼していたが、その希望が叶ったのだ。
 「勝手が分からないところがあるからね。だから、1回、知っているのと知らないのでは、やっぱり、全然、違いますよ。レース以外にも、装鞍、パドック、返し馬などの流れが分かるのはよかった」と、ユーイチ。同馬の斤量が116ポンド(52・5キロ)と軽く、体重の調整を心配していたが、午後に下見を兼ねて検量室で計ったところ「今でだいたい50キロくらい。問題ないですね」と、安堵の表情を見せた。「今のところは、緊張してないですね」と、初の土地にも日本と変わらず落ち着き払った様子だが、本番前にレースに乗れることで、ひとつの不安が払拭されるのは間違いない。
 ユーイチは前日午後にロサンゼルス入りしたばかりだが、シーザリオの調教を見届けた後に、約40分間をかけて芝コースを1周歩き、その足で感触を確かめるなど精力的。「どこででも寝られるので、少しずつ睡眠が取れるから、時差ボケはないですね。それほど睡眠が必要な方でもないですし」と、体調は万全だ。
 アメリカンオークスでは現在、保護されている内側の仮柵(約3メートル)が外される。「4、5頭くらいは入れそうだから、(仮柵を外す)影響はあまりないと思う。競馬が上手な馬だしね。芝は短いことは短いけれど、密度が濃いので日本より速い時計が出ることはないでしょう。2分(昨年の勝ちタイムは2分1秒54)を切るようなことはないですね」と、分析はほぼ終了。「コーナーの角度はかなりキツいけれど、それは明日の追い切りで感覚が分かるから大丈夫」。決戦を4日後に控え、Vロードへの態勢は確実に整ってきている。

★キャンターで軽め
 シーザリオは27日に強めの追い切りを消化し、翌28日はスクーリングのみで馬場入りしなかった。29日は2日ぶりにコース調教。ダートをキャンターで軽く1周。軽快な脚捌きを披露した。
 「オークスの前と同じような感じで、いい状態ですね。おとといの追い切りが終わってから、戦闘モードに入ってきました。走る気が出ていますね。それでも、コースで乗っても落ち着いているのは、遠征前に坂路ではなく、(栗東)Bコース(ダート)で調整をしていた効果だと思います。ちょうどいい感じで来ていると思います」と、稽古に跨っている岸本調教助手は万全の調整にニッコリ。
 30日に芝コースで行われる最終追い切りにはユーイチが騎乗するが、「乗った感じで、まだ足りないと思ったら明日の追い切りも強めに、と思っていましたが、きょうも本当にいいキャンター。これならば、もうサラッと流すだけでいいでしょうね」と、岸本助手。この日の朝、ユーイチと綿密な打ち合わせを行い、30日はあまり速い時計は出さない方針となった。すでに臨戦態勢が整っている証拠だ。


スポニチアネックス2005/6/30
シーザリオ 戦闘モードに
 米G1・アメリカンオークス(3日、ハリウッドパーク競馬場芝2000メートル)に挑むオークス馬シーザリオ(牝3=角居)は29日(日本時間30日)、同競馬場ダートコースをキャンターで1周半した。騎乗した岸本助手は「27日に追った後、馬が明らかに戦闘モードに切り替わり、オークスの時と同じような仕上がり。もう強めの調教は必要ない」とキッパリ。28日に現地入りした主戦・福永は「コースを実際に歩いてみたが、ヨーロッパと比べると芝が短く整備されていて、シーザリオの力を十分発揮できそうだ」とこちらも手応え。
 なお、福永は30日に同競馬場の7R・条件クレーミング戦(ダート1700メートル、5頭立て)でカフェケーティ(牝3=ハインズ)に騎乗予定。同騎手は「ラッキーやわ。名門(厩舎)やしね。ダートだけど、本番前にレースの流れを経験できるのは大きい」と米国初騎乗に笑顔をみせた。(古川 文夫特派員)


キャロットクラブ近況6/29・7/1
6/29
27日(現地時間)はハリウッドパーク競馬場ダートコース(良馬場)で馬なり終い強めの追い切り(5F61秒6)。
「終いは気合をつけました。おそらく終いの時計は3ハロン37秒台、1ハロン12秒くらいだと思います。非常に走りやすい馬場ということもあり、思っていた以上の時計が出た感じです。調子がいいということもあるのでしょう。今後はパドックでのスクーリングや福永騎手を背に芝コースで最終追い切りを行う予定です」(岸本助手)。
ハリウッドパーク競馬場のダートコースはダートにファイバー(繊維)が混ざっており、非常に脚のかかりが良く、見た目は深く見えても好タイムが出る(この日の1番時計は5F57秒8)。レースが行われる芝コースは芝丈5センチ。6〜8月の降水量が平均2mmという気候もあり、馬場は硬く、ある意味日本よりスピードの出る馬場かもしれない。
現在は本ラチから4.5mのところに仮柵がついており、その外側は結構荒れている。レース当日は仮柵を外すことになるため、内側3頭分くらいのグリーンベルトが出現する。
「検疫の時に渡米し様子を見てきましたが、状態はすこぶる良さそうでした。落ち着きもあるし、環境の変化に全く動じません。これまで見たことがない、とても頭のいい馬です。
厩舎周りの曳き運動の際もコーナーでは確実に減速しますし、扱っている人のことまで気にかけてくれています。例えば曳き運動を行う場所に1箇所ほど滑りやすい場所があるのですが、しっかり減速します。その上、曳き手の方を見て『滑ってない?大丈夫?』と気遣ってくれています。走りもそうですが、全ての面でスケールの大きさを感じることができます」(NF担当者)。
現地の近況写真はこちら 6/29

7/1
(父)シーザリオ 米国 30日(現地時間)は厩舎周りの乗り運動40分(岸本助手騎乗)を行った後、最終追い切りに向かった。8時50分に馬場入り。シーザリオ(福永騎手騎乗)は誘導馬ハッピー(岸本助手騎乗・レース当日もゲートまで誘導)を伴い、まずはダートコースでダクを2Fを行い、9時10分芝コース入り。5Fから終い1Fだけ強めの追い切り(64秒1・38秒6−12秒1)。
「今回は速い時計を出すというよりも人馬ともに芝の感触を確かめることに重きを置きました。跨った福永騎手は『息遣いもよく終いもいい感じだった。本当にいい状態でレースに臨めそう』といい感触を掴んでいる様子でした。飼い葉食いもよく、日本と変わらず、予定通りのものを食べてくれています。いい状態でレースに臨めそうです」(鈴木厩務員)
「昨日から愛国馬3頭が同じ厩舎に入厩してきました。和やかな雰囲気の中でも時折、国際レース前の緊張感があるような気がします。この後、英国、伊国からも出走馬が入厩する予定です。シーザリオもそんな雰囲気の中、平静を保っているのでレースでは自分の力をしっかり出してくれるでしょう」(角居厩舎・清田氏)
「馬の状態も良く、最終追い切りも福永騎手に乗ってもらいました。5F64秒1、終い12秒1秒とまずまずの追い切りが出来ました。こちらは体重計がないので今の馬体重はわかりませんが、見た感じ馬体減りもなく十分に仕上がっています。跨った福永騎手も『すごくいい感じ、まるでゴムまりのようだ』と状態の良さを感じていたようです。枠は13頭立ての13番枠でオッズは2ドル買うと5ドル戻ってくるようで、2番人気みたいです。人気はディアデラノビアのいとこ(メルヨーアインダ)に譲っていますが、レースではこちらが1着に来るでしょう」(岸本助手)
「福永騎手が道中邪魔されない大外枠を希望していたので、枠順抽選で13番(13頭立て)が出たときにはスタッフ一同でお祭り騒ぎでした。米国では13番は不吉な数字なので周りにいた人はエライコッチャで騒いでいるように見えたでしょう(笑)。まぁ、それは置いておいて、追い切り後、馬場に対するイメージがガラリと変わりました。当初は芝が短く、硬いイメージしかなかったのですが、実際は芝が密集しており、緑の絨毯のいった感じですごくクッションがいいです。時計の速いトラックがと思いましたが、これなら2分を切るような極端な時計は出ないでしょう。また頻繁に水を撒いているようで思ったより土が軟らかい感じです。やや外目の馬場もよさそうですし、前々の競馬ができればいい勝負になると思います。勝手の違うゲートも福永騎手が実戦(5頭立ての4着)で経験できたので不安要素がまた一つ消えました。馬の調子の方も非常に良く、追い切り後どうだったと声をかけたら、福永騎手は開口一番『エクセレント!』と発してくれました。本当にレース当日が楽しみです」(NF粂川氏)
「昨日も結構な量の水を撒きました。金曜日の夜にも散水する予定です。雨は降っていませんが、レース当日は適度にクッションの効いたグッドコンディションになるでしょう」(競馬場関係者)
7月3日のハリウッドパーク競馬場(アメリカンオークス・芝2000m)に福永騎手で出走。(現地時間3日午後15時49分・日本時間4日午前7時49分発走)


シーザリオ号 海外遠征情報8 〜アメリカンオークス(G1)に挑戦!〜
JRA2005/6/30
○6月29日 ハリウッドパーク競馬場
  ダートコース 8:55〜9:10 岸本助手騎乗
・シーザリオ号(牝3 栗東・角居 勝彦きゅう舎) →競走成績一覧
関係者のコメント(岸本 教彦助手)
 今日はダートコースをキャンターで1周半しました。  月曜日強めに追われたことで、馬が明らかに戦闘モードに切り替わっており、オークスの時と同じような仕上がりになっています。  これならもう強めの調教は必要ないので、明日、福永騎手に芝コースを軽く流してもらえれば、万全の状態でレースを迎えることができると思います。
関係者のコメント(福永 祐一騎手)(昨日現地入り)
 調教を見たところ、ここまで非常に順調に調整できているようですね。  特に張りつめた感じもないし、ちょうどいい具合に仕上がっているのではないでしょうか。  馬場については、実際に芝コースを歩いて確認しましたが、ヨーロッパの競馬場に比べると芝もずいぶん短いようですし、コースも整備されているので、シーザリオの力を十分発揮できると思います。  コーナーが思ったよりもきついようなので、その点は明日の調教で確認しておきたいですね。  明日はダートレースですが1鞍騎乗できることになりました。  本番前にレースの流れを一度経験しておけるのは大きいですね。  これで本番では余裕を持ってレースに臨めると思います。
※日付・時間は全て現地時間
※出走馬および枠順は、現地時間30日(木)に確定します。


JRA 2005/7/1
アメリカンオークス(G1)の出馬表について
  7月3日(日)にアメリカ合衆国カリフォルニア州のハリウッドパーク競馬場で行われるアメリカンオークス(G1)の出馬表が確定しましたのでお知らせします。
●第4回アメリカンオークス(G1)
7月3日(日) ハリウッドパーク競馬場 1 1/4マイル(約2,000m) (芝・左) 3歳 牝 13頭立て
現地時間15:51(日本時間7月4日 7:51)発走予定
賞金総額:$750,000
馬番(枠順) 馬  名 (アルファベット) 性齢 重量 調教師 騎 手 ML
1 メモレッテ Memorette 牝 3 121 W.カリン K.デザーモ 31.0
2 ハロウドドリーム Hallowed Dream 牝 3 121 B.セシル P.ヴァレンズエラ 31.0
3 ザッツホワットアイミーン Thatswhatimean 牝 3 121 W.ステュート D.フローレス 31.0
4 イスラコジーン Isla Cozzene 牝 3 121 M.ポランコ C.ナカタニ 31.0
5 メリョールアリンダ Melhor Ainda 牝 3 121 R.フランケル J.ヴェラスケス 3.0
6 ルアスライン Luas Line 牝 3 121 D.ワックマン R.ダグラス 13.0
7 シルヴァーカップ Silver Cup 牝 3 121 A.ボッティ G.スティーヴンス 9.0
8 シルクアンドスカーレット Silk And Scarlet 牝 3 121 A.オブライエン V.エスピノーザ 21.0
9 スウィートファイアバード Sweet Firebird 牝 3 121 D.ウェルド A.ソリス 21.0
10 ルーヴァン Louvain 牝 3 121 R.フランケル T.ベイズ 21.0
11 スリーディグリーズ Three Degrees 牝 3 121 P.ギャラハー J.ベイリー 4.5
12 シンハリーズ Singhalese 牝 3 121 J.キャシディ G.ゴメス 31.0
13 シーザリオ Cesario 牝 3 121 角居 勝彦 福永 祐一 3.5
※ML=モーニングライン(主催者発表の単勝予想オッズ)。表記は日本の競馬に合わせてあります。
本日の調教状況

○6月30日 ハリウッドパーク競馬場
  芝コース 8:55〜9:10 福永騎手騎乗
・シーザリオ号(牝3 栗東・角居 勝彦きゅう舎) →競走成績一覧
関係者のコメント(岸本 教彦助手)
 今日は、芝コースで5F64秒くらいの調教をしましたが、非常にいい動きだったと思います。芝の上を気持ち良さそうに走っていましたね。  明日は引き運動だけにして、レースに向け調整したいと思います。
関係者のコメント(福永 祐一騎手)
 久しぶりに跨りましたが、馬の方は本当にいい調子ですね。  日本にいる時と同じくらいの状態にあると思います。  芝コースは見た目は固そうでしたが、芝が非常に密集して生えているのでクッションが効いていて、日本よりも柔らかい感じを受けました。  馬場の方は全く問題ないのレースが楽しみですね。


sanspo.com 2005.7.2
【アメリカンオークス】米を食え!シーザリオ
 【ロサンゼルス6月30日(日本時間1日)=下村静史】3日午後(日本時間4日朝)に行われる米GIアメリカンオークスに向けハリウッドパークで調整中のシーザリオ(栗・角居、牝3)は、主戦の福永祐一騎手を背に芝コースで最終追い切り。絶好のフットワークで順調ぶりを見せつけた。同日午後には枠順抽選が行なわれ、シーザリオは大外の(13)番枠に決まった。主催者発表の予想オッズでは2番人気ながら3・5倍の高い評価。現地での注目度も上昇してきた。また、ユーイチは米国で初騎乗を果たし、4着だった。〔写真:福永祐一騎手が手綱を取って、終い重点に追われたシーザリオ。午後には枠順抽選が行なわれ、陣営が希望した外枠をゲットした〕
◇  前日の晴天とは打って変わって霧に包まれたハリウッドパークのターフを、黒い弾丸が力強い脚取りで駆け抜けた。「体はできているから、あとは雰囲気をつかんで、ラスト1ハロンだけ伸ばす程度」という打ち合わせどおり、シーザリオの手綱を取ったユーイチは、直線で少し肩ムチを入れただけだったが、筋肉質の馬体から繰り出される末脚には威圧感が漂う。5ハロン64秒1、3ハロン38秒6−12秒1の時計以上に迫力ある動きだ。
 「いいよ。言うことないですね。日本にいた時と何も変わらない」。パートナーの好調を肌で感じ取ったユーイチに、笑みがこぼれる。「回転が速いし、体の使い方が上手だからきっと速く見えるんでしょうね」と、満足そうな表情だ。
 「ほんとうに、落ち着きがありますね。馬は全然、大丈夫、力を出せそうだから」。海外遠征の難しい調整をクリアできたことが何よりの自信だ。「コーナーの角度は確かにキツかったけれど、対応はできると思う。水を撒いていることもあって、日本よりも芝は柔らかい感じだけど、それも問題はないから」。不安を探す方が難しい状況だ。
 午後に行われた枠順抽選では13頭立て(13)番の最外枠を引いた。パートナーの体調が万全とあって、「どこでもいいと思っていたけれど、外ならば包まれる心配もないし、内の馬を見ながらレースに対応していけばいいから」と、プラスに受け止めている。
 抽選と同時に発表されたモーニングライン(主催者発表の予想オッズ)では、今回のレースに挑む予定だった僚馬ディアデラノビアのいとこにあたる4戦4勝の米国馬メローエインダ(オッズ3倍)に1番人気を譲ったが、3・5倍と差のない2番人気。昨年、モーニングラインで1番人気だったダンスインザムードのオッズが5・5倍(最終的には2・4倍)だったことを考えれば、現地でかなり力を認められていることは間違いなく、3番人気の米国馬スリーディグリーズ(4・5倍)と“3強”ムード。「今年は相手が強そうだけど、通用する能力はある馬だから」とユーイチ。淡々とした口調ながら、決戦への相当な意欲が満ち溢れている。
★ユーイチ米国初騎乗…課題も見えた
 ユーイチは30日、ハリウッドパーク7R(クレーミングレース、3歳上牝馬、カリフォルニア州産馬限定、ダ1700メートル、5頭立て)で米国初騎乗を果たし、4着に終わった。
 レースは単勝オッズ7・7倍の4番人気カフェケーティ(N・ハインズ厩舎、3歳)に騎乗。道中は4番手で、3コーナーでいったんは上昇する構えを見せたものの、「ペースが速く、先行馬の脚色が悪くなったかな、と思っていたら自分の馬も止まってしまった」と振り返った。

 それでも表情は明るく、「1度、レースに乗ることができて本当によかった。(装鞍、パドックなどの)一連の流れが経験できたしから。あとは、返し馬をどうするかかな」と、この日の経験を踏まえ、本番の構想を早くも練っていた。ほろ苦い米国デビューに終わったが、GI制覇への大きな糧となったことは間違いなさそうだ。 〔写真:米国初騎乗は4着だったユーイチ。本番前にレースを経験でき、敗戦にも収穫は大きかった


JRA 2005.7.2
本日の調教状況
○7月1日 ハリウッドパーク競馬場   6:30〜7:40
・シーザリオ号(牝3 栗東・角居 勝彦きゅう舎) →競走成績一覧
関係者のコメント(岸本 教彦助手)
 今日は引き運動のみ行いました。  引き続き、いい状態を保っていると思います。  明日はダートコースで軽めに調教する予定です。
関係者のコメント(角居 勝彦調教師)(本日現地入り)
 約1週間振りに馬を見ましたが、環境にもすっかり慣れて、非常にリラックスしているようですね。  飼い葉もたくさん食べているようですし、いい状態でレースに臨めると思います。  枠順については、内枠を引いてマークされると厳しい競馬になると思っていたので、外枠でよかったと思います。  大外枠になりますが、スピードのある馬なので問題ないでしょう。  日本の代表として、いい競馬を見せたいですね。
※日付・時間は全て現地時間


2005/7/3sanspo com
【アメリカンオークス】日本馬悲願!シーザリオ米GI制覇へ
 【ロサンゼルス1日(日本時間2日)=下村静史】日本馬悲願の米G I 制覇が、現実となる瞬間が近づいてきた。6月30日に福永祐一騎手が騎乗して最終追い切りを行ったシーザリオ(栗・角居、牝3)は肉体面、精神面ともに万全の状態。3日午後(日本時間4日早朝)のアメリカンオークスに向け不安は何ひとつない。1日午後には角居勝彦調教師がハリウッドパークに到着。愛馬の体調の良さを感じ取り、「日本馬の代表という意識はあります。だから負けられないというくらいの気持ち」と意欲を語った。日米オークス制覇へ、ボルテージは最高潮に達している。
 シーザリオの到着後の状況を見届けた後いったん日本へ帰国し、再びハリウッドパークに戻った角居勝彦調教師は馬房へ直行。愛馬の落ち着いた様子を確認して、笑顔を見せた。
 「のんびりとしていましたね。到着した時は検疫と輸送でギリギリの体。馬房でも半日、暴れていたほどでした。でも、次の日からカイバもしっかりと食べるようになり、(きょう)実際に見てもリラックスしているように思いました。それに、人間が緊張していたら馬にも伝わってしまいますが、スタッフも馴染んでくれましたね。この経験が日本に帰ってからも大きな財産になると思います」
 大外(13)番枠にも不安はない。「スタートしてからコーナーまでが長いし、マークされると(前を)開けてくれない。混み合う内より外がいい」と前向きに構えている。「ほんと、夢ですよね」と語る一方で、「日本の馬や調教は世界に負けないと思っています。世界で通用する人と馬を育てたい。日本の代表という意識もあるし、正直、負けたくない気持ちです」ときっぱり言い放った。
 モーニングライン(主催者発表の予想オッズ)では単勝3・5倍の2番人気だが、昨年2着のダンスインザムード(予想オッズ5・5倍→当日2・4倍)の例もあり、当日になって1番人気に推される可能性は十分だ。日本の威信をかけて臨むシーザリオ。「世界に負けない、負けたくない」という角居師の思いが結実しそうだ。
〔写真:“よし、大丈夫だ”。シーザリオが万全のデキにあることを確認した角居調教師から自然と笑みがこぼれた〕
★1日のシーザリオ
 前日に福永騎乗で追いきられたため、1日朝はコースには入らず厩舎周りのひき運動のみ。約1時間半近く、入念に体をほぐした。まったく動じるような素振りを見せず堂々とした雰囲気で、「追い切り後も特に変わったところはないですね。落ち着きもありまから」と岸本調教助手は笑顔を見せた。またディープインパクトも担当する西内装蹄師は、角居調教師とともに到着。「体のバランスがいいね。どのようにするかはこれからの状態を見てから」と話した。なお2日はダートコース(1周1800メートル)でキャンターを消化する予定。
★米専門紙で高評価
 1日発行の米国の有力競馬専門紙「デイリーレーシングフォーム」は、「Japanese filly is the goods(日本の牝馬は本物だ)」と題してシーザリオを特集。「厳しい大外枠を引いたが、それでもいい勝負ができそう。追い切りは半マイル52秒(ハリウッドパークの公式発表)も、そのタイムは疑わしい。彼女は明らかに速く見えた。少し小さいが、賞賛に値する馬体だ」と高い評価を与えている。また「今年は日本でGIを4勝」と、ユーイチにも注目していた。
 同紙のスティーブ・アンダーセン記者はシーザリオについて、「追い切りは始めはゆっくりだったが最後が素晴らしい動きでびっくり。明らかに良くなっているし、3番人気以内にはなる。昨年のダンスインザムードは敗れたが、いちばんいい内容だった。日本の馬は強い。今年の海外馬ではトップだよ」と絶賛。ライバルについては「1番手はメローエインダ。フランケル調教師が管理して、4戦4勝と素晴らしい。できれば、いとこのディアデラノビアとの戦いを見たかったね。2番手は前哨戦を勝ったスリーディグリーズ。イタリアの1000ギニー馬シルヴァーカップが気になる。そしてとても馬がよく見えたのがルーアズラインだ」と分析していた。


2005.7.3suponitianex
シーザリオのスタッフが勢ぞろい
 米G1アメリカンオークス(3日、ハリウッドパーク競馬場、芝2000メートル)に向けて「シーザリオ・チーム」のスタッフが勢ぞろいした。
 いったん帰国していた角居師が1日(日本時間2日)に再び米に到着。「今、馬房を見てきたが、馬は気持ち良さそうに寝ていた。検疫、輸送後は体がギリギリになって(検疫)解放後の半日は暴れていたからね」と苦しい時期を振り返る角居師。それでもカイバ食いは回復、調教の動きも日を追うごとに良化。27、30日の追い切りで理想の仕上げに持ってきた。「頭が本当にいい」とトレーナーが認めるほどシーザリオは抜群の順応性を見せている。
 あとは本番を待つのみ。大外13番の枠順に関して「内より外の方がいい。最初のコーナーが緩い左回りのカーブなので内でゴチャつくよりいい」。多少距離をロスしてもスピード能力の高さでカバーできる。そしてこう続けた。「これが次につながっていくと思うし、藤沢さんや森さんの厩舎だけじゃなく初めてのチームでもここまでやれるぞ、というところを見せたい」。決戦の時が刻一刻と迫ってきた。(古川 文夫)
[ 2005年07月03日付 紙面記事 ]


JRA2005.7.3
本日の調教状況
○7月2日 ハリウッドパーク競馬場   9:00〜9:15 ダートコース キャンター1周
・シーザリオ号(牝3 栗東・角居 勝彦きゅう舎) →競走成績一覧
関係者のコメント(角居 勝彦調教師)
 カリフォルニアの気候は非常に過ごしやすいので、ここまで順調に調整することができました。  アメリカの芝馬場は日本の馬に合っていると思うので、明日は実力を発揮してくれると思います。  レースでの位置取りについては、全て福永騎手に任せています。  日本の代表として、何とか勝って帰りたいですね。
関係者のコメント(福永 祐一騎手)
 緊張はなく、今は明日のレースが楽しみです。  馬の調子も良いので、普段どおりの競馬ができれば十分勝ち負けできると思います。  たくさんの人が日本で応援してくれていると思うので、皆さんの期待に応えられるよう頑張ります。
※日付・時間は全て現地時間


2005/7/4sponiticom
シーザリオ 日米オークス制覇なるか
 【ロサンゼルス2日(日本時間3日)古川文夫】G1アメリカンオークスは4日、午前7時51分に発走する。日本調教馬による初の米G1制覇を目指すシーザリオ(牝3=角居)はダートコースで躍動感あふれるキャンターを披露。夢の日米オークス制覇はなるか。  これで十分。レースを翌日に控えたシーザリオの直前調整は厩舎周りの運動後にダートコースでキャンター。ゴムまりのように躍動感あふれるフットワーク。向正面のテラスでは角居師、福永ら多くの関係者が見守る中で1周以上、抜群の気合乗りで駆け抜けた。普段から稽古をつけている岸本助手は笑顔で戻ってきた。「万全ですね。ほら(福永)祐一の顔を見てくださいよ。笑っているでしょ?あの表情が物語っていますよ。仕上がりに関しては問題はないです。あとはジョッキーに任せるだけです」
 米国到着後は、思い描いていた以上の乗り込みをこなしてきた。今週も2本時計を出すなど、日本にいる時よりもむしろ意欲的に調整されてきた。カラッと乾燥、過ごしやすい気候が見事にマッチ。馬はオークスV以上の雰囲気にある。
 角居師の口調も滑らかだ。「久々に見たが、まだ成長しているのか胴が伸びている感じ。厩舎できっちり休めているし時差ボケも全くない」。初めて海外遠征に挑むチームとは思えないほど順調そのもの。これは事前に昨年2着馬のダンスインザムード陣営などから情報を収集した成果だ。
 現地の専門紙デイリー・レーシング・フォームは「シーザリオが直線入り口で4、5番手ならば、他馬は(シーザリオを)負かすのは厳しいだろう」と日本のオークス馬に敬意を払う。しかし「外枠がどうか」と不安材料も報じている。それは今年G14勝の“ユーイチ”がうまくリードしていけば大丈夫。快挙達成の期待が膨らむ。
[ 2005年07月04日付 紙面記事 ]


2005/7/4sponiticom
シーザリオ、アメリカンオークス制す

 米国競馬のアメリカンオークス(約2000メートル芝、GI)が3日、米カリフォルニア州のハリウッドパーク競馬場で行われ、日本のオークス馬シーザリオ(福永祐一騎乗)=角居勝彦厩舎(きゅうしゃ)=が優勝、日米オークス制覇を飾った。米国GIレースでの日本馬の優勝は初めて。福永騎手は海外GIレース4勝目となった。  好スタートを切ったシーザリオは3コーナーでトップに立つと、後続をぐいぐい引き離して快勝した。2着はメリョールアインダ、3着はシンハリーズだった。
 ▼福永騎手の話 馬の能力に対して自信はあった。馬を信じて強気に騎乗した。負ける気はしなかった。違った環境に適応してくれたし、こういう馬に乗れることが幸せ。
 ▼角居調教師の話 (騎手の福永)祐一君よりどきどきしていた。前夜、想定していた位置で走ってくれた。一番いい結果を出してくれて、うれしく思う。 (共同) 【関連記事】
[ 2005年07月04日 08:17 速報記事 ]


2005.7.4競馬ブックcom  シーザリオがアメリカンオークス圧勝 7月3日(日本時間4日朝)に米国カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場で行われたG1アメリカンオークス(芝10F)に出走したシーザリオ(牝3歳、栗東・角居厩舎)は、福永騎手が引込み線の大外13番枠から好スタートを切ると、周回コース合流地点で早々と3番手につけ、3コーナーで先頭を奪うと直線は独走、追い込んだ1番人気のメロールアインダに4馬身差をつけて圧勝した。勝ち時計1分59秒03はステークスレコード。日本馬による米国G1制覇は史上初の快挙。 2005/7/4日刊スポーツ.com
シーザリオ圧勝!快挙達成/米オークス
<アメリカンオークス>◇3日=ハリウッドパーク◇米G1◇芝約2000メートル◇3歳牝
 日本から参戦したシーザリオ(牝3、栗東・角居)が日米オークス制覇を達成した。
 大外13番枠から出走したシーザリオは好スタートを切り、道中は3番手。抜群の手応えで3コーナー前で先頭に立つと、独走態勢。直線では後続を引き離し、4馬身差で圧勝した。勝ちタイムはレースレコードの1分59秒03。この勝利は日本調教馬として初の米国G1制覇という快挙となった。2着にメリョールアインダ、3着にシンハリーズが入った。
 騎乗した福永祐一騎手(28=栗東・北橋)は「強かった。馬の力を出し切れれば勝てると思っていた。テンションは高かったが、日本にいるときと同じような感じだったので大丈夫だと思った」と話した。レースについては「いい形で最初のコーナーを回ることができた。3コーナー前で先頭に立ったが、この馬のペースだったし、手応えも十分だったので問題なかった。馬を信じて乗ったし、『この馬で勝てなければ、日本馬はしばらく海外のG1を勝てないんじゃないか』という思いだった。いつもどおりの仕上げをしてくれたスタッフに感謝している。シーザリオで海外G1制覇を達成することができて本当にうれしい」と語った。
 管理する角居勝彦師(41)は「ドキドキして見ていた。作戦通りの騎乗をしてくれた福永騎手に感謝したい。最高の結果を出せてうれしい。日本から応援してくれたファンにも『ありがとう』と言いたい」と話した。今後のレース選択について聞かれると「今後は世界を狙うのも選択肢の1つだと思う」と話し、世界最高峰のブリーダーズC参戦については「オーナーと相談するが、輸送などの条件をクリアすることができれば前向きに出走を考えたい」と語った。
 シーザリオは父スペシャルウィーク、母キロフプリミエールという血統。この勝利で6戦5勝、オークスに続く2度目のG1制覇。福永騎手は海外G1レース4勝目。管理する角居師も海外G1初挑戦初勝利という快挙を達成した。
[2005/7/4/11:23]
写真=アメリカンオークスで優勝した福永祐一騎手騎乗のシーザリオ(AP=共同)


2005/7/4sponichiannex
シーザリオ、アメリカンオークス制す

米国競馬の第4回アメリカンオークスで優勝した福永祐一騎手騎乗のシーザリオ
Photo By AP=共同

 米国競馬の第4回アメリカンオークス(約2000メートル芝12頭、GI)は3日、米カリフォルニア州のハリウッドパーク競馬場で行われ、福永祐一騎手が騎乗したオークス馬のシーザリオ(3歳牝、栗東・角居勝彦厩舎(きゅうしゃ))が優勝し、日米オークス制覇を飾った。  
日本馬の米GIレース制覇は初の快挙。米重賞制覇は1959年にハクチカラがワシントン・バースデーハンディを制して以来46年ぶり。  
日本馬の海外GI勝利は、2003年4月に香港で行われたクイーンエリザベス2世カップのエイシンプレストン(福永騎乗)以来11度目。福永騎手の海外GI優勝は4度目となった。
 好スタートを切ったシーザリオは3番手につけると3コーナーでトップに立った。最後の直線では末脚を伸ばして後続馬を一気に突き放し、1分59秒3で快勝した。  
このレースは昨年、桜花賞馬ダンスインザムード(武豊騎乗)が挑戦し、2着に敗れている。  
▼福永騎手の話 馬の能力に対して自信はあった。馬を信じて強気に騎乗した。負ける気はしなかった。違った環境に適応してくれたし、こういう馬に乗れることが幸せ。  
▼角居調教師の話 (騎手の福永)祐一君よりどきどきしていた。前夜、想定していた位置で走ってくれた。一番いい結果を出してくれて、うれしく思う。 (共同) 【関連記事】


JRAおしらせ2005/7/4
シーザリオ号 海外遠征情報12 〜アメリカンオークス(G1)みごと制覇!!〜
 7月3日(日)にアメリカ合衆国カリフォルニア州のハリウッドパーク競馬場で行われたアメリカンオークス(G1)の結果が分かりましたのでお知らせいたします。
 ※レースの模様はこちら。 --------------------------------------------------------------------------------
●第4回アメリカンオークス(G1)
7月3日(日) ハリウッドパーク競馬場 1 1/4マイル(約2,000m) (芝・左) 3歳 牝 12頭立て
現地時間15:58(日本時間7月4日 7:58)発走
賞金総額:$750,000(1着賞金 $450,000)
着順 馬番(枠順) 馬  名 (アルファベット) 勝負服 性齢 重量 調教師 騎 手 タイム・着差
1 13 シーザリオ Cesario 牝 3 121 角居 勝彦 福永 祐一 1:59.03
2 5 メリョールアインダ Melhor Ainda 牝 3 121 R.フランケル J.ヴェラスケス 4
3 12 シンハリーズ Singhalese 牝 3 121 J.キャシディ G.ゴメス 1 1/2
4 6 ルアスライン Luas Line 牝 3 121 D.ワックマン R.ダグラス 1
5 11 スリーディグリーズ Three Degrees 牝 3 121 P.ギャラハー J.ベイリー  ハナ
6 1 メモレッテ Memorette 牝 3 121 W.カリン K.デザーモ 1
7 7 シルヴァーカップ Silver Cup 牝 3 121 A.ボッティ G.スティーヴンス 2
8 9 スウィートファイアバード Sweet Firebird 牝 3 121 D.ウェルド A.ソリス 1 1/2 9 4 イスラコジーン Isla Cozzene 牝 3 121 M.ポランコ C.ナカタニ 1
10 3 ザッツホワットアイミーン Thatswhatimean 牝 3 121 W.ステュート D.フローレス 3
11 8 シルクアンドスカーレット Silk And Scarlet 牝 3 121 A.オブライエン V.エスピノーザ 4
12 2 ハロウドドリーム Hallowed Dream 牝 3 121 B.セシル P.ヴァレンズエラ 2 1/2
取消 10 ルーヴァン Louvain 牝 3 121 R.フランケル T.ベイズ  
協力 ハリウッドパーク競馬場
※表記は日本の競馬に合わせてあります。
【レース後の関係者コメント】
角居 勝彦調教師
「1コーナーで良い位置が取れていたので、これならといけると思った。福永騎手も落ち着いていたし、思い描いていたとおりのレースができた。 アメリカでも芝のレースなら日本の馬も十分通用するし、自分の馬作りが世界に通用することが証明できたので、これからも挑戦していきたい。」
  福永 祐一騎手
「自分の馬が一番強いことを証明でき、非常に嬉しい。これで負けたら仕方がないというくらい良いレースだった。
最後の直線ではターフビジョンが近くになかったので、後続の馬を確認できなかったが、とにかく馬を思い切り走らせることだけを考えた。
実力のあるこの馬に新しいタイトルを獲らせてあげることができ本当に良かった。
海外遠征は苦労が多いが、日本にいる時と同じように馬を仕上げてくれたスタッフに感謝したい。」


2005年07月04日(月)
圧巻でした、シーザリオ!! [レース後]
いやー、本当にビックリしました。日本を離れる前から、会社の人には「欠点が見当たらないシーザリオですから、好勝負は間違いないですよ」と勝手に、個人的な想像を語っていました。実際、本当にそう信じていましたが、ここまで圧倒的に力が抜けていたとは……。シーザリオ恐るべし、実際には4馬身しか無い着差、しかし実況していた僕には7馬身、いやもっと大きなものに見えてしまったし、最後の直線、ゴール前、あまりの凄さに言葉が出なくなってしまったほどでした。
今回はグリーンチャンネルの放送、それも番組進行から実況まで、全てを担当しなければならないこともあって、レース後の取材に降りられない、馬の近くに行けない状況でした。ですから、このブログにも、当日の、シーザリオのことをお見せできないかもしれない可能性があったのですが、レース後、JRA職員の方のおかげで、福永騎手に特設スタジオにかけつけてもらうことができました。意外にも冷静だった福永騎手、「この馬の力を考えれば、この馬で負けたら……」ということを話してくれたのが印象的でした。
続いて角居調教師まで放送席に駆けつけてくださいましたが、こちらは福永騎手とは対照的に、興奮を隠し切れない表情。海外のメディアからの相当に取材を受けたようでしたが(この放送席にも、海外のプレスが詰め掛けたほど)、「ドキドキしました」と語る表情は、本当に嬉しそうでした。この後も「ゆっくり休ませて、秋華賞、ないしアメリカのBC」ということ。「まさかこんなに早く、自分の管理馬で海外に来ることが出来るなんて…」と語ってくれたのが昨日のこと、一日たって、角居調教師をめぐる環境は大きく変わりました。
中継を終えて、徐々に「凄いものを見た」実感が沸いてきました。さっきも書きましたが、レースの終盤は本当に夢を見ているようで、言葉が出なくなってしまうくらいの状況でしたが、今は心地よい疲れと共に、今まで感じたことの無い、幸せな気持ちが込み上げています。岸本助手は、引き揚げてきたシーザリオを見たとき、号泣していたと聞きました。ここ数年、しばらく見られなかった、日本馬が海外GIを勝つ光景を初めて目の当たりに、それもあの圧勝。本当に素晴らしい経験をさせてもらいました。今夜は美味しいお酒が飲めそうです、明日朝、飛行機に乗って日本に帰ります。
Posted by 中野雷太 at 09時57分(日本時間) TrackBack ( 4 ) Comment ( 3 )


キャロットクラブ近況報告
7/43日のハリウッドパーク競馬場(アメリカンオークス・芝2000m)では好スタートから道中3番手を追走。3コーナーから馬なりで外目を進出し、4コーナーで先頭に立つと直線は後続を突き放す一方で1着。「調子も良かったですし、この春のGTは不完全燃焼の競馬が続いていたのでしっかり力を出せれば今回のような走りは十分可能だと思っていました。流れが遅くなりそうな感じがあったのでハナに行くことも考えましたが、内の馬が行ったので3番手外目をキープしました。逃げた馬のペースは速かったですが、シーザリオの位置取り丁度よく、マイペースの走りができ、流れに乗れました。道中はかぶされない様にやや外目を走りました。3コーナーで早め先頭に立ちましたが、自分のペースだったので早いとは思いませんでした。4コーナーでも後ろの脚音が聞こえなかったので勝利を確信しました。先頭に立ってからはややソラを使う感じもありましたが、手ごたえには十分余裕がありました。この馬で負けたら日本の馬は海外で勝てないと思えるくらい馬の能力には自信があったので結果を出せてよかったです。ここまで仕上げてくれた厩舎スタッフに感謝、感謝です」(福永騎手)
「仕上げに自信はありましたが大舞台なのでドキドキして見ていました。3〜4コーナーで先頭もしくは2番手の競馬を予定していましたが、ジョッキーはその通りに運んでくれました。春GT2戦では不利もありましたが、不利さえなければこれくらいの競馬はできる馬なんです。今回は初の長距離輸送、検疫を難なくこなしてくれました。レースも含めて100点満点だったと思います。今後は国内戦も勿論、再度の海外遠征についても検討することになると思います」(角居師)


2005/7/4アメリカの「サラブレッドタイムズニュース」です。
http://www.thoroughbredtimes.com/todaysnews/newsview.asp?recno=55755&subsec=2
Japanese filly Cesario silences field in winning American Oaks Budding Japanese star filly Cesario (Jpn) dispatched a field of 11 classy rivals in the American Oaks Invitational Stakes (G1) with a powerful burst out of the far turn to win by a dominant four lengths on Sunday at Hollywood Park, finishing in the stakes record time of 1:59.03. The three-year-old daughter of Special Week, who is by Sunday Silence, charged to the lead with a scintillating move on the turn and steamed down the stretch like a runaway locomotive, her powerful, long stride steadily gobbling up ground through the wire. "She is the very first Japanese horse to win an American Grade 1 race, and hopefully she won稚 be the last," winning jockey Yuichi Fukunaga said. "I hope she sets a trend, and others follow." Isla Cozzene raced quickly to the front to take the lead, while Cesario appeared more than willing to seize command but was held under tight restraint by Fukunaga. Isla Cozzene began to fade approaching the turn for home as Cesario and Thatswhatimean charged past the pacesetter. The Katsuhiko Sumii-trained Cesario quickly found her best stride, assumed control of the race and ran away from the field under little urging. "Each of her winning styles are different, so this time I am very nervous," Sumii said. "I致e had a dream of winning in American racing, so this is the first step. I am very happy about this." Undefeated American filly Melhor Ainda, the 6-to-5 favorite, closed with a rush from second last to get up for second, but was no match for the imposing victor. Singhalese held on for third, another 1 1/2 lengths back. Cesario won the Yushin Himba (Japanese Oaks) by a neck on May 22 in her most recent start after getting nipped by a head in The Oka Sho (Japanese One Thousand Guineas) on April 10. She has five wins and one second in six career efforts and has earned $2,578,568. Bred by Northern Farm in Japan, Cesario is out of the Sadler痴 Wells mare Kirov Premiere (GB). Please see chart courtesy of Equibase at http://www.equibase.com.


2005/7/5suponichicom
シーザリオ 日本調教馬初の米G1制覇

直線で後続を一気に突き放しレースレコードで日本調教馬初の米G1制覇を果たしたシーザリオ(右) Photo By AP
 日本馬の悲願達成だ。第4回アメリカンオークス(G1、芝約2000メートル、12頭=1頭取り消し)が、3日(日本時間4日)ハリウッドパーク競馬場で行われ、単勝5・4倍の2番人気に支持されたシーザリオ(牝3=角居)が3角先頭から押し切ってレコード勝ち。日本調教馬として史上初の米G1制覇を果たした。鞍上の福永祐一(28)は4度目の海外G1優勝を飾った。
 とてつもない競馬だ。初の米G1騎乗。極度の緊張に襲われてもおかしくない大舞台で、福永は大胆にもタブーを冒した。道中外の3番手を進んだシーザリオが3コーナーで早々と先頭に立った。「早すぎる!」。角居師がスタンドで表情を凍らせても、福永には手綱を抑える様子がない。「まだゴーサインは出していなかったが、馬が自分から先頭に立った。これがシーザリオのペースなんだ」。福永は馬の気持ちに任せて4コーナーを迎えた。さらに加速する。手綱を持ったままで、後方がどんどん離れていく。独走だ。単勝1番人気、地元米国で4戦無敗のメリョールアインダが、ようやく追い込んできたがゴール前では4馬身差をつけていた。1分59秒03のレースレコード。地元馬を子供扱いするような圧勝だ。
 「ヨッシャー!!」。日本人ファンが掲げる日の丸の小旗に向かって、福永がガッツポーズで応える。かつての米国の英雄サンデーサイレンスの孫娘が、祖父の初勝利の地で日本馬による米G1初制覇を達成した瞬間だった。「馬を信じて強気に騎乗した。負ける気はしなかった。直線でも後ろは全く見ていなかったし、これで負けたら仕方ないというくらい素晴らしいレースだった」。海外G14勝目の味は格別。カリフォルニアの乾いた風を心地よさそうに浴び、福永は喜びを語った。
 開業5年目で大仕事をやってのけた角居勝彦師(41)もシーザリオの強さには興奮を隠せない。「完勝だ。向正面では心臓バクバクで、3コーナーでハナに立った時は最後まで我慢が利くかと思ったが…」とオークス馬の強さを称賛した。
 米遠征の日本馬は完全隔離を義務付けられるなど、検疫の厳しさから、戦う前に体調を崩すケースが多い。ことごとくはね返されてきた米G1の高い壁を10度目の挑戦でついに突き破った。今後は7日に帰国し、検疫を経て北海道早来のノーザンファームで放牧。秋は秋華賞を目標にする計画だったが「今後は世界も選択肢のひとつに入ってきた」(角居師)と米最大のG1ブリーダーズカップ(10月29日、ベルモントパーク競馬場)出走にも前向きだ。いつか同世代の2冠牡馬ディープインパクトも海外の土を踏む日が来るだろう。もはや、世界に乗り越えられない壁は存在しない。米G1を楽勝したオークス馬の強さが日本競馬のレベルを世界に伝えた。
 ▼シーザリオ 父スペシャルウィーク 母キロフプリミエール(母の父サドラーズウェルズ)牝3歳 栗東・角居厩舎所属 馬主・(有)キャロットファーム 生産者・北海道早来町ノーザンファーム 戦績6戦5勝 総収得賞金約2億7852万5000円 主な勝ち鞍はアメリカンオークス、オークス、フラワーC。
[ 2005年07月05日付 紙面記事 ]

角居師「自分の馬づくり世界に通用証明できた」
 角居師は開業前から海外に目を向け続けた。技術調教師時代の00年、アグネスワールドの海外遠征に帯同し、英G1(ジュライC)を勝つシーンを目の前で見た。その時、いつか自厩舎の馬で海外の舞台を踏もうと決意した。「米国でも芝なら日本の馬も十分に通用する。自分の馬づくりが世界に通用することを証明できた」と喜びをかみしめていた。
 ≪調教助手は号泣≫シーザリオの圧勝に調教担当の岸本調教助手は感極まって号泣した。「ほんと出来は良かったですからね。日本のオークスも不利がなければもっと離して勝っていたと思う。みんなで協力して勝てたので最高の形で日本に帰れますね」と語り、福永とガッチリ握手を交わしていた。
[ 2005年07月05日付 紙面記事 ]


2005/7/5 sanspocom
世界の祐一4馬身差の圧勝!シーザリオ日米オークス制覇
 【ロサンゼルス3日(日本時間4日)=下村静史】世界のユーイチだ!! ハリウッドパークで行われた米GI、アメリカンオークス(芝2000メートル、優勝賞金約4950万円)は、シーザリオ(栗・角居、牝3歳)がレースレコードの1分59秒03(良)で4馬身差の圧勝。日米オークスVと同時に日本馬初の米GI制覇だ。福永祐一騎手(28)=栗東・北橋厩舎所属=は、日本の騎手として初の米GI獲得。天才・武豊騎手ですら達成していない快挙だ。〔写真右:欧米の強豪を寄せ付けず、史上初の米国GI制覇の偉業を達成したシーザリオと福永祐一騎手。日本馬の強さを存分にアピールした。同左下:3コーナー過ぎで馬なりのまま先頭に立ち、直線でもその差を広げ、栄光のゴールに向かって疾走するシーザリオ(右)。まさにパーフェクトなレースだ=ともにAP〕
◇  大リーグで活躍するイチロー、ヒデキだけじゃない。ユーイチが、シーザリオが、米国でJAPANの実力を存分に証明した。
 大外13番枠から絶好のスタートを決めたシーザリオ。漆黒の馬体が陽光に輝く。好位3番手から3コーナーで先頭に立つと後続を引き離す。直線ですでにセーフティーリードだ。地元の期待を背負った単勝1番人気メローエインダが猛追してきたが、4馬身差の圧勝。勝ちタイム1分59秒03は、ダンスインザムードが2着だった昨年(2分1秒54)を大幅に上回るレースレコード。ゴールの瞬間、ユーイチはガッツポーズで場内の歓声に応えた。
 「実力的には、この馬が一番強いと思っていた。それを証明できたことが嬉しい。日本のオークスはベストのレースとは言えないけれど、今回は力を出し切ることができました。(周囲は)少し早いと思ったかもしれないけど、この馬のペースで行っただけ。折り合いもつきましたから」
 パートナーを称えたユーイチは、自身も納得の騎乗ができたことに満足そうだ。レース3日前に米国で初騎乗を果たし、「1度経験したので、人間がだいぶ楽になったから」と話したが、世界のトップジョッキーを相手に米国初勝利がGI。あの天才・武豊、名手・岡部幸雄騎手さえ掴んでいない栄光を手に入れた。
 海外では人気馬は徹底的にマークされる。ユーイチもエイシンプレストンで香港GI3連勝を狙った02年の香港カップで他馬に包まれて勝負どころで外に出せず、5着に敗れた。だからこそ、「内に包まれないことを一番気をつけた」。他馬が動く前に早めに先頭に立てばその心配もない。直線では「気を抜く面がある馬なので、僕が後ろを振り返ってはダメだと思った。これで負けたら仕方ないという気持ちで追いました」。シーザリオは直線を独走した。今季中央GI4勝と成長著しいユーイチの自信に満ちた騎乗だった。
 シーザリオの祖父は、大種牡馬サンデーサイレンス。舞台となったハリウッドパークは、SSが競走馬時代に初勝利を挙げた競馬場。現地でも“SSの孫が挑戦してきた”と話題に。実力も当然認められていたが、2番人気だった。
 「僕は最後にバトンをもらうだけ。海外での難しい調整をクリアしたスタッフの勝利です」。バトンを受け取ったユーイチは、見事なアンカーを務めた。「アメリカのGIを勝つことができて、これからの日本馬の道しるべになると思います」。シーザリオとユーイチ、角居厩舎は、日本馬のさらなるワールドワイドな活躍へ向けて、大きな勝利を手にした。
レースVTR
  大外の(13)番枠に入ったシーザリオは好スタートを決め、先頭に立つ勢いで上がっていく。内のアイラコジーンとザッツホワットアイミーンの2頭が行く姿勢を見せると、福永騎手は無理せず3番手で折り合う。800メートル通過は46秒38と、米国の芝2000メートル戦ではやや速いペースとなったが、ユーイチの手綱はまるで動かない。3コーナー手前でアイラコジーンが脱落、ザッツホワットアイミーンが先頭に立とうとするところを、シーザリオは馬なりでかわしていく。3〜4コーナー中間で先頭に立つと、その後は独壇場。脚を伸ばしてきた1番人気のメローエインダに4馬身差をつける圧勝を飾った。


★昨年ダンスで2着惜敗、藤沢和師は…
 「それはもう“おめでとう!”ですよ」。シーザリオの圧勝には美浦の藤沢和雄調教師も賛辞の言葉を贈った。昨年のアメリカンオークスには桜花賞馬のダンスインザムードで挑戦したが、2着に惜敗。世界の壁が高いことは誰よりも分かっている。それだけに、日本のトップトレーナーにも衝撃的なニュースだった。「素晴らしい結果だったと思う。日本でもあれだけの活躍をして、なおかつアメリカに行ってもGIという大きなレースを勝ったんだから。角居クンも福永クンもよかったよね」。
 藤沢和師は、約1カ月後にゼンノロブロイのイギリス遠征(8月16日、ヨーク、GI、インターナショナルS、芝2080メートル)を控えているが、「私も負けてはいられないからね。頑張りますよ」と決意を新たにしていた。

★シーザリオ --------------------------------------------------------------------------------
 父スペシャルウィーク、母キロフプリミエール、母の父サドラーズウェルズ。青毛の牝3歳。栗東・角居勝彦厩舎所属。北海道・早来町ノーザンファームの生産馬で、馬主は(有)キャロットファーム。戦績6戦5勝。獲得賞金は2億7779万6000円。重賞は平成17年GIIIフラワーC、GIオークスに次ぐ3勝目。

★福永祐一(ふくなが・ゆういち) --------------------------------------------------------------------------------
 昭和51年12月9日、滋賀県生まれ、28歳。父は天才の名を欲しいままにした往年の名ジョッキー福永洋一さん。平成8年3月デビューで、3月2日中京2Rマルブツブレベストで初騎乗、初勝利を挙げる。同年は53勝を挙げJRA賞(最多勝利新人騎手)を受賞した。その後も着実に勝ち星を積み重ね、4日現在JRA通算702勝。GIは11年桜花賞(プリモディーネ)で初優勝を飾り、これまでに海外も含め14勝。


角居師「これが始まり」シーザリオ次はブリーダーズカップか
 【ロサンゼルス3日(日本時間4日)=下村静史】シーザリオのアメリカンオークス優勝で、角居勝彦調教師(41)は、海外初挑戦でGI獲得の快挙を達成した。シーザリオの今後に俄然注目が集まるが、角居師はオーナーの意向を尊重したいと断った上で、「自分としては(再度米国に)来たい気持ちがある」と、ブリーダーズカップ挑戦の可能性も示唆した。〔写真:記念撮影に臨むシーザリオの関係者。角居勝彦調教師(前列左から3人目)は、今秋のBC挑戦の可能性にも触れた=撮影・下村静史。同下:アメリカンオークスを圧勝したシーザリオに、現地の取材陣からは「世界で最強の3歳牝馬だろう」と賞賛の声が相次いだ=AP〕
◇  角居調教師は平成13年3月に厩舎を開業して以来、僅か4年4カ月、海外初挑戦でGI制覇の偉業達成だ。
 「本当に夢のようです。(福永)祐一君が1コーナーでうまく内の3番手に入れて、あの位置で我慢できたことが大きかった。直線では周囲の人が、ゴールする前に握手を求めてくるので大丈夫かな、と逆に心配になって…。いい馬を預かることができて、スタッフに恵まれたおかげで、ここまでくることができたと思います」と、喜びに声を震わせた。今回の勝利には、開業前から世界に目を向けていた意欲が結び付いたことは間違いない。
 技術調教師時代だった平成12年夏に、森秀行厩舎のスタッフとともに、ジュライCに勝ったアグネスワールド、“キングジョージ”に挑んだエアシャカール(5着)、ドージマムテキに帯同。約2カ月近く英国のニューマーケットに滞在、海外遠征のノウハウを学んでいる。そういったことも含め、これまでに培ってきた経験から弾き出された結論が、アメリカンオークスの出走だった。

★戦前から確信!!
 「欧州のタフなコースでは、成長途上の3歳牝馬には厳しい。この時期のロサンゼルスはそれほど気温も高くなく、馬にとってはいい環境。いきなりブリーダーズCではなく、3歳牝馬の限定戦でアメリカの芝ならば通用するはずですから」と、戦前から手応えは十分な様子だった。「(僚馬の)ディアデラノビア(骨折で回避)が来れたら、ワンツーも十分あったでしょう」と語り、「これが始まりですからね。またいい機会があれば挑戦したい」と、早くもさらなるステップアップに目を向けていた。

 ◆北橋修二調教師(福永騎手の師匠) 「衛星放送で生でレースを見たが、外枠が幸いしてうまくいったようだ。レース後、ユーイチから電話があったので、仕掛けるのが早かったのでは、と言ったら、『直線が短いのであれでちょうどよかったんです』と言っていた。いずれにしろ勝って本当によかった」

◆ブリーダーズカップ参戦の可能性十分
 シーザリオが日本馬として初めて米国の芝GIを勝ったことで、当然、浮上してくるのがブリーダーズC(10月29日、ベルモント競馬場)のメア&ターフ(芝2000メートル)などへの参戦だ。
 現在のところ、今後は北海道・早来のノーザンファームに放牧に出され、秋は秋華賞(10月16日、京都、GI、芝2000メートル)に向かう予定ではあるものの、角居師はレース後、米国の報道陣から「ベルモントへは来ないのか」と何度も聞かれた。
 「自分自身としては、来たい気持ちは十分にありますけれど、オーナーサイドの意向もありますので、分からないですね」と、角居師は参戦したい気持ちがあることを示した。
 米国の報道陣は「世界の3歳牝馬で最強と言ってもいい馬だろう。我々はスターを歓迎しているし、来るべき立場にある馬だ」と、強烈にプッシュ。機運が高まってくれば、再び遠征の可能性は十分ありそうだ。

★角居勝彦(すみい・かつひこ) --------------------------------------------------------------------------------
 昭和39年3月28日、石川県生まれ、41歳。61年10月に中尾謙太郎厩舎の調教助手となり、平成8年12月の同調教師引退に伴い、松田国英厩舎に移る。12年3月に調教師免許を取得し翌年栗東で開業。初出走は13年3月11日阪神6Rのセトノマックイーンで5着。初勝利は同年3月24日阪神9Rのスカイアンドリュウ。重賞初勝利は14年GIII東スポ杯2歳Sのブルーイレヴン。16年にはデルタブルースで菊花賞を制しGI初制覇を挙げるなど飛躍の年となる。今年はシーザリオでのGIオークスを含む重賞6勝は全国トップ、20勝は全国リーディング9位(4日現在、いずれもJRAのみ)と躍進を続けている。

★“米初勝利”は58年のハクチカラ
 日本馬の海外遠征の先駆けは、ハクチカラだった。1956年の日本ダービー、57年の天皇賞(秋)、有馬記念と今でいうGIを3勝したハクチカラは、58年夏から約1年間、南カリフォルニアを拠点に米国で17戦1勝。その1勝は11戦目となった58年2月23日、サンタアニタ競馬場で行われたワシントンバースデーハンデ(芝2400メートル)だった。グレード制導入(73年)前で、現在のGIIサンルイオビスポハンデの前身となるレースだが、当時の優勝賞金は3万7300ドル。1ドル360円の時代で約1343万円。同年の日本最高賞金レースのダービーの1着が付加賞など込みで約400万円だから、3倍以上の額だった。軽ハンデに恵まれたとはいえ、歴史的名馬ラウンドテーブルなどを破っての快挙。それを思うと、シーザリオの日本馬初の米GI制覇は遅すぎたといえなくもない。

★米国の賞金事情
 シーザリオが勝ったアメリカンオークスの1着本賞金は45万ドル(約4950万円)。“GIなのにそんなに安いの?”と思うファンも多いだろう。日本の平地GIは21レースあり、ジャパンCの2億5000万円が最高で、2歳GIでも6000万円ある。アメリカンオークスとほぼ同距離の3歳牝馬のレースに秋華賞があるが、8900万円と大きく上回っている。対して、米国のGIは年間で100レース施行されている。最高はBCクラシックの208万ドル(約2億2880万円)だが、これは例外中の例外。1着本賞金12万ドル(1320万円)というレースもある。その点では、今年4回目を迎えたアメリカンオークスの45万ドルという賞金は米国では高い部類だ。

 ◆アメリカンオークス 米国競馬はダート戦が主流で、3歳牝馬ではケンタッキーオークス(1800メートル、今年で131回)が最高峰のレースとして知られる。だが、芝のレースも年々価値が高まり、現在3歳牝馬の芝GIは4レースある。その中で芝2000メートルのアメリカンオークスは2002年に創設され、昨年グレードがついてGIに認定と、最も歴史が浅いが、賞金は最高額。


2005/7/5nikkansports.com
偉業!祐一シーザリオ米制覇/米オークス
<アメリカンオークス>◇3日=ハリウッドパーク◇米G1◇芝2000メートル◇3歳牝

 祐一&シーザリオが、ついにアメリカ競馬に日の丸を掲げた。日本馬初の米G1制覇を目指してアメリカンオークス(G1、芝2000メートル、ハリウッドパーク競馬場)に出走したシーザリオ(牝3、栗東・角居)は、3角先頭の積極策から2着メリョールアインダに4馬身差の圧勝。福永祐一騎手(28)は、岡部幸雄、武豊もなし得なかった偉業を達成した。
 3コーナーを馬なりのままで先頭に立つと、あとは独走で史上初の扉を開けるだけだった。後続に詰め寄られるどころか、逆に引き離した。影さえ踏ませない4馬身差の圧勝。高々と掲げた祐一のステッキが、カリフォルニアの真っ青な空を何度も震かんさせた。
 レースレコードの1分59秒03。アメリカにも敵はいなかった。欧米3歳牝馬の強豪が集う舞台で、シェークスピアの戯曲に出てくる男装の麗人の名を持つ牝馬が、日本競馬の歴史に大きな1ページをしるした。
 「とにかく全力を出せれば勝てると信じていた。パドックのテンション、返し馬で首を振るしぐさ、すべてがいつも通り。この馬で負けたら、しばらく日本の馬は勝てないと思った」。
 祐一が歓喜に浸った。勝因は馬のリズムに合わせた3番手キープ。大外枠からハナを奪うかの好発を決めると、シナリオ通りの好位追走。理想的なポジションで最初のコーナーを回った。「あそこで動いては勝てるはずないが…」。現地記者が主戦を質問攻めにした3角先頭にも「あの馬のペースで走らせたら自然に先頭に立っていた」と涼しい顔で答えた。直線半ばでは早くも、角居師が握手攻めに。快挙を達成したシーザリオは、米ハリウッドパークの常識をも覆した。
 「米G1初制覇? これからどんどん出てくる(海外挑戦の)道しるべになればうれしい」。翌日にインデペンデンス・デー(独立記念日)を控え、街中に星条旗がひるがえる中、日本馬が初めて掲げた日の丸。あまりの強さに、場内は割れんばかりの拍手と、響き渡る口笛に包まれた。「オメデトウと言うが、また来るのか? 勝たれるからもう来なくていいよ」。アメリカきっての名調教師ボブ・バファートまでが、騎手ルームを祝福に訪れた。
 今年に入ってG1・4勝+自身4度目の海外G1制覇。祐一の勢いはとどまることを知らない。デビューから積み重ねてきた点が、ようやく線になったきた。今後、さらに大きく太くする。究極の目標「武豊騎手を抜く」ために、だ。
 「今回は最後のバトンをもらっただけで、仕上げてくれたスタッフと馬のおかげ。豊さんはたまたま勝っていなかっただけ。少しは近づいた? どうかな。これからも目標であり続けますから」。
 この後、シーザリオは7日の便で帰国。千葉・白井の競馬学校で着地検疫後、生まれ故郷の北海道・早来ノーザンファームに放牧に出る。「今後? いちおう、秋華賞ですね。でも、強い勝ち方をして世界も選択肢の1つに入った。関係者からBC(ブリーダーズカップ)は来ないのかと聞かれたけど、馬主やファンの理解が得られるなら」。開業5年目で海外初挑戦G1制覇を達成した角居師は前向きに話した。シーザリオの挑戦はまだ始まったばかりだ。【中村基也】
[2005/7/5/08:00 紙面から]

生産者ら「信じられない」/米オークス
<アメリカンオークス>◇3日=ハリウッドパーク◇米G1◇芝2000メートル◇3歳牝

 シーザリオの独走劇に生産者代表として応援に駆け付けた吉田俊介ノーザンファーム空港場長(31)の声も震えた。
 同場長はアメリカの牧場で働いた経験があり、米競馬の厳しさを人一倍痛感している。それだけに、第2の故郷での勝利には感慨深げだ。「福永騎手の乗り方も完ぺきだったし、こんなに強い勝ち方をしてくれて信じられない。父(吉田勝己ノーザンファーム代表)に電話したら、大喜びしていました。条件の合ういいレースがあれば、これからもどんどん(海外に)行くべきですね」。
 同牧場は桜花賞、NHKマイルC勝ちのラインクラフト、無敗の2冠馬ディープインパクトなど、今春の国内G1・10戦中6勝。まさに独り勝ちの状態だが、生産馬のアメリカ遠征は今回が初めて。今春の勢いを持ち込むかのように、米初挑戦が同牧場初の海外G1制覇となった。
[2005/7/5/07:46 紙面から]

観戦の一口馬主ら「感謝」/米オークス
<アメリカンオークス>◇3日=ハリウッドパーク◇米G1◇芝2000メートル◇3歳牝
 シーザリオの一口馬主である(株)キャロットクラブからは、ツアーを含めて約30人の会員が現地で声援を送った。「本当にうれしいです。ジョッキーもうまく乗って、若いスタッフが一丸となってやってくれたおかげ。感謝したいですね」と同クラブの松本健児執行役員(40)。募集価格1400万円の同馬は、すでに賞金2億円を超えた。「1歳時に初めて見ましたが、馬っぷりが良かった。会員さんにとっても、安くいい買いものになったと思います」。オークス以後、毎日20人程度会員が増える“シーザリオ効果”で現在4500人。笑顔で会員たちと握手を繰り返した。
[2005/7/5/08:04 紙面から]

1番人気メリョールは完敗/米オークス
<アメリカンオークス>◇3日=ハリウッドパーク◇米G1◇芝2000メートル◇3歳牝
 4戦無敗で単勝2・2倍の1番人気に支持されたメリョールアインダは2着に入るのがやっとだった。スタートでつまずく不利があったとはいえ、内容的には完敗。「直線は飛んでるようだったが、位置取りが後ろすぎた。勝ち馬は離れてて、差を詰められなかった」とヴェラスケス騎手。「絶対勝てる」と意気込んでいたフランケル師も、初黒星にガックリと肩を落とした。
[2005/7/5/07:45 紙面から]


岸本助手快挙に男泣き/米オークス
<アメリカンオークス>◇3日=ハリウッドパーク◇米G1◇芝2000メートル◇3歳牝
 ゴールの瞬間、シーザリオの調教担当である岸本教彦助手はボロボロと泣き崩れた。「アメリカは初めてだったし、競馬を見るのも怖かった。みんなが協力してレースを迎える楽しい仕事だけど、逆に1、2分で決まる残酷さもある。それが最高の形になった。馬と祐一のおかげ。その仕事を手伝えてうれしい」。シーザリオのほかに、菊花賞馬デルタブルース、京都金杯を制したハットトリックの調教も担当。究極の仕上げ人は、目を真っ赤にして歓喜の輪に飛び込んだ。
[2005/7/5/07:12 紙面から]