二瓶組・路地裏喧嘩試合
茶水の委員長情宣の興奮も冷め遣らぬまま、一路新宿へ。まだまだ今日は終わらない。今日の
メインイベントは何と言ってもこれ、2002年11月の興行以来沈黙を守り続けてはや4年、奇跡の
復活を遂げた二瓶組の興行である。
思えば長い道のりだった。前回大会の直後から不穏な空気は充分に流れていた。大会前から
存在していた2ちゃんねるのスレは、興行終了直後の深夜に不穏当な書き込みがあったために
スレごと削除。興行に送られた花輪及び二瓶組長のマイクアピール、会場に神奈川西部に本部を置く
某右翼団体の会長が来場していたことなどから導きだされる「組長がホンモノになった」という噂。
それと前後して思い起こされる、2002年5月WEW川崎大会における「河西克彦」Tシャツの意味するところ等々。
限りなくクロに近い灰色という存在に、二瓶組長は立たされてしまった。
復活への道はまだ遂げられない。2003年某月発売の「実話ナックルズ系」な雑誌に、上述右翼団体
会長のインタビューが載る。そこに小さく書かれていた文字に、一体何人の人が気に止めただろう。
そう、そこには「取材協力・二瓶一将」と書かれていた。さらに追い討ちをかけるかのごとく、
当時二瓶組構成員として名を連ねていた片岡幻亮が、同じくナックルズ系の雑誌で「スポーツライター」の
肩書きで寄稿していたという事実まで暴かれた。こうした状況証拠が揃いつつある中、一本の凶報がもたらされることとなる。
「二瓶組は二瓶組長が交通事故で大怪我を負ったため、長期の間興行の予定はありません」
週プロに載ったその情報に落胆したファンはどれくらいいただろうか。結果「喧嘩プロレス二瓶組」は伝説に なってしまったと、誰もが思ったに違いない。
二瓶組の存在など忘れてしまいかけた2007年冒頭、信じられない方角から吉報がもたらされることとなる。
「大仁田が復活する」
「興行は自主興行ではなく二瓶組らしい」
最初その情報を目にしたときは我が目を疑った。慌ててネットを調べてみると、確かに「大仁田復活! 二瓶組で」 の順番で載っている。しかしいくら調べてもチケットの詳細は書いておらず、会場の新宿クラブハイツを調べても 老舗のキャバレーということ以外何ら情報は得られない。
そこで前回もお世話になったチケットぴあで検索をかけたところ、めでたく該当ありで、速攻でチケットを入手。そこで 初めて、二瓶組復活が現実味を帯びた。
以上のような紆余曲折を経て、皇紀2667年紀元節、二瓶組は奇跡の復活を遂げたのである。
新宿で連れと合流した後、開場の17時半よりも少し早めに開場に到着。すると既に列が出来始めており、道路を隔てた
向かい側まで延びている。慌てて最後尾に並び、待つこと30分。この時間は短いようでとても長く感じられた。
何せ聞こえてくる会話が下界とはまるで違う。「名簿が」だの「運動が」だの「オヤジが恥かく」だの。しまいには遂に 聞こえてしまった「組長」の2文字が! 疑う余地もなく、これが二瓶組なのだと実感した。
開場予定時刻のほぼ定刻通り、直通エレベーターが作動し始める。続々と吸い込まれていく観客たち。後ろを見ると、コマ劇の 正面あたりまで列は延びている。客層は半々といったところだろうか。皆何を期待して来ているのか。義理なのか大仁田なのか、 はたまた私らと同じなのか。
エレベーターに揺られて8階に到着。入り口でチケットをもぎられ、物販を横目にまずは会場入り。今回は全席自由のため、
とにかく席を確保しなければならない。
さすがキャバレーだけあって、座席は全てボックス席。現在の埋まりようと後続の列を考えて、相席になることは必須。ならば
数少ない2人用を押さえたかったが、欲が出てリングサイドを見に行った為に確保することができず。ちなみにリングサイドの
殆どは「関係者席」と書かれているか、6〜8人用ボックスシートだった。
やむなく通路そばの4人がけを確保。直後に相席を申し込まれはしたものの、無事座席をゲット。
というわけで物販を物色。今回の新作は二瓶組長のブロマイドの新カットのみ。残念ながらジャージは 売り出されていなかったのでTシャツを購入。また、前回までは単品200円で売られていたライターが、 カラー色紙と抱き合わせで1000円に値上げされていた。正直幻滅した。このあたりがギミックから(ry
ビールとつまみを買って着席。試合を観ながら堂々とタバコを吸えるというのは喫煙者にとっては頗る幸せなこと。
クラブアトム時代のDDTを思い出す。
待てど暮らせど試合は始まらない。何でも会場下にまだ100人以上の客が待っている、とのこと。後のmixi日記によると、
エレベーターが1機しかないうえにその筋の方が横から入ってくる(恐らく予め居た人のところへ)ために全然列が捌けなかったようだ。
間を持たせるためリングアナのこーへーさんが喋り、二瓶組長もリング上へ。曰く、
「クラブハイツは800人入れられると聞いたのですが、私詐欺まがいのことをやったためにチケットを売りすぎました。
ホントすいません。」
だそうだ。そういえば前回も入場が間に合わず20分以上待ったなぁ。今回もリングサイドのギリギリまで(場外のブルーマット1枚分を
残し)全て「立ち見スペース」として開放した。
予定より30分ほど遅れ、ようやく興行開始。冒頭は昔と変わらず、PV〜全選手入場(ゲストや敵対勢力は入場せず)。
PVはDDT勢が参加していた頃と殆ど変わらず、最後の人事の部分だけが新しく作り帰られていた。入場は杯の関係からか、
「?」と思う紹介もあったものの、滞りなく終了。二瓶組長が挨拶をして、全選手退場。いよいよ試合開始。
第一試合:懲役太郎 vs 富豪2夢路
そりゃあフライングメイヤーの受身も取れないような奴とじゃ満足に試合運びもできないよな。
入場時の手フリもノってくれず、折角書いた「二瓶組復活」の巻物もスルーで、あれで場内を
暖めることが出来るのならそれは神だと思うばかりで。あなたの姿勢は間違ってなかたっと思います。
試合にならず富豪の勝ち。
第二試合:小笠原、●戸田(バックドロップ)○松崎、宮沢
第三試合:大刀光(ラリアット)スチールフェイス
第四試合:○菅原、一宮(しょぼいキック)谷口、●笠原
第五試合:藤原喜明、竹村豪氏(ノーコンテスト)村上和成、長井満也
まとめて2ちゃんからコピペ。
スチールフェイスは誰かと思ったけど、レザーフェイスのオマージュなのね。チェーンソー持ってきてた。
でも中の人は懲役と同じなのかな。ロクに試合も出来なかったけど、場外に行ったときのスクリーン映像で、
二瓶組長がラウンドガールとファ○クしてたのが映ったのが面白かった。会場がもっと暖まってればもっとウケたんだろうなぁ。
笠原のコルパタは綺麗だったけどそれだけ。
一宮は電撃ネットワークの偽造で、入場テーマは電撃のアレンジ版。クラッカーを口で受ける、爆竹入りボードを使う、
果てはロケット花火を口に咥えて発射、などをやるも、やはりいまいち盛り上がらず。
そういえば菅原の入場テーマがダンバインで相方が喜んでたなぁ。
藤原対村上は、相手の目に指を入れるなどのセメント(っぽい?)試合をしてはいたものの、会場にその殺気は
全く伝わらず。やべーな、と思っていたら案の定ノーコンテストで、ブーイングもそれほど受けていなかった。冷めてるなぁ。
第五試合が終わったところで有刺鉄線を張るため、少し休憩。この間の取り方が非常に下手だった。DJが音楽をかけたり ラップをしたりはまだ良いとして、後ろに歌手(これも二瓶組には必ず出てくる子飼いのやつ)が控えてるなら何故 そっちを優先しないのか。有刺鉄線を張り終えるのに15分強かかってるのだから、その間に歌わせれば良いものを、 鉄線の準備も整っているのに「最後の1曲」とか言われると、(少なくとも)純粋なプロレスファンはそりゃあ怒るだろう。
メインイベント:ノーロープ有刺鉄線8人タッグ喧嘩試合
○二瓶、大仁田、戸井、佐野(10分経過の直後、二瓶がボディープレス)矢口、中牧、死神、●森谷
入場前に煽りV有り。死神さんは相変わらず良い表情をしている。やられ役側は矢口さんのテーマで入場。久しぶりに聞くけど やっぱいいなぁ。流石に今までの選手と違い、入場に華がある。
矢口の入場中、やけに通路奥が騒がしい。
「いよいよ最後だお前ら、いっちょキメてやるからな!」
「ウォォォォ!!」
みたいなやり取り。何事かと思ったら、二瓶さんがそこから出てきた。さっきのは気合い入れだったのだろう。
二瓶さんたちもリングに揃い、いよいよ役者の登場。大仁田の出番である。
やっぱこの人だけはカリスマ性が違うわ。「信者」も相変わらず健在で、少なくとも50人は熱狂していた。
その熱狂が会場にも伝わり、正直ロクな試合もしていなかったにも関わらず、メインはどの試合よりも、下手すれば
他団体のメインよりも盛り上がっていた。
地味な火炎攻撃、持ち上がらないサンダーファイアー、そして止めはボディプレス。ラリアット一つであそこまで盛り上がれる
なんて。打ったのは長州でも健介でも小島でもハンセンでもなく、二瓶組長なのに。
よく「具財が上手いから美味しいんじゃない。みんなで食べるから美味しいんだ」という言葉を聞くように、プロレスも
ある程度は「技が上手いから盛り上がるんじゃない。会場が暖められているから盛り上がるんだ」という図式が当てはまるようだ。
そして碌な動きもしないのに、入場の勢いだけで客を虜にする大仁田に、往年の馬場さんを見た気がした。
嵐のような10分が過ぎ去り、いの一番で大仁田がマイクを持つ。
「オイ(オイ)、オイ(オイ)、オイ(オイ)、オイ(オイ)、オイ(オイ)! 二瓶さんよぉ、お互い体を作って、プロレス出来るようにしようぜ!」
そして定番の聖水タイム。客が誰であろうと我を貫き通すのが大仁田スタイル。そしてまたマイクを持つ。
「オイ、オイ、オイ、オイ、オイ(今度は速く)! 今度は、夕張に行くぞ!!」
相変わらず口が先に出ますね大仁田さん。他にも何か喋ってた気がするが覚えてない。代わって二瓶組長がマイクを持つ。
「オイ、オイ、オイ! ヤクザと国会議員がタッグを組むだとか、風俗店を経営してるとか、色々と週刊誌(文春)に 書かれたけれども、それの何処がいけねぇって言うんだ!」
「何々組でもナントカ組でもねぇ! 俺は、俺は、二瓶組の組長だ!」
時刻が22時をまわっていたせいか、巻き巻きでマイクアピールは続く。
「じゃあいつもの通り、コレをやって〆たいと思います。8、9、3な。分かる人だけ分かればいいんだよ。
それじゃいくぞー!
8、9、3、ダーー!!」
エンディングテーマも前回と変わらず、二瓶組興行は無事、何事もなく終了した。
帰りはエレベーターの近くだったこともあり、すぐに下界に降りられた。聞くところによると、天上ではエスパー伊藤が 泥酔して大変だったらしい。観たかったのが半分と、経過を聞くと怖すぎたので早く帰ってよかったってのが半分。
下界に降りた後は連れと軽く呑んで現世感を取り戻し、帰宅。
さて、総括。
試合には全く期待してなかったのでまぁ不満はない。とはいえ「非道すぎる」試合はいくつかあったけれども(殆ど?)
でもやっぱり歌舞伎町より横浜の方が好きだなー。なんていうか、歌舞伎町は会場を出た瞬間に現世に戻されてしまう。一方で
横浜は周りに何もなく会場を出たところでもたむろが出来たために、長く余韻に浸ってられた。ベンツの大群を見られたってのも
大きいけどね。
キャバレーが会場ってのは新しくていいな。円形の会場がとても居心地がよかった。
総じて考えると、言うまでもなく大満足なんだけどね。あの空間は他ではなかなか味わえず、会場の比率を
考えたときにふと群青忌のことが思い出された。
久しぶりに、「姐さん」と呼ばれる女性がつける香水をかげた一日だった。