【夕焼けの丘の上で】
●●(さてと、帰ろうかな……。)
氷室「●●。
今から少し時間をとれるか?
●●「あの……はい、
大丈夫ですけど……。
氷室「よろしい。
私の車に乗りなさい。
●●「え?
氷室「急ぎなさい!
時間が無い。
●●「は、はい!
氷室「……よし。
なんとか間に合いそうだ……。
●●「あの……
どこに向かっているんですか?
氷室「……秘密だ。
●●(なんだろ……
でも氷室先生、
なんだかうれしそうだな……。)
氷室「……見なさい。
●●「わぁ!
●●「きれいですね……。
あたり一面不思議な色で……。
氷室「今の時期だけ日没の一瞬、
この場所では、
太陽光線のいたずらが起こる。
●●「きれいですね……
でも、どうして急にわたしを?
氷室「どうということもない……。
単なる思い付きだ。
●●「そうですか……。
氷室「……●●、
どうだ?
少しは息抜きになったか?
●●(そうか……。
氷室先生わたしに
息抜きさせようと思って……。)
【オバケ?!】
氷室「入場する。
氷室「お化け屋敷に行く。
●●「え!?
ちょ、ちょっと待ってください!
氷室「入場するぞ。
●●「わぁ……。
なんかヒンヤリして暗くて……
やっぱりちょっと怖いですね……。
氷室「………………。
●●「きゃっ!!
今、目の前を白いものが……。
氷室先生、見ましたか?
氷室「………………。
●●「あ、あれ?
……氷室先生?
どこですか!?
氷室「………………。
●●「氷室先生!!
氷室「ここだ……。
●●「ぎゃあーーー!!
氷室「……落ち着きなさい。
私だ。
・
・
・
●●「ひどいじゃないですか!!
脅かすなんて!!
氷室「脅かしたわけではない。
君があまり怖がるので、お化けを
克服できるよう手伝ったまでだ。
●●「……どういうことですか?
氷室「……小学二年の夏だった……。
いたずら好きの友人が私を町内の
肝試し大会に連れ出した。
氷室「おそらく私の泣きっ面でも
見てやろうと思ったのだろう。
途中、彼は私を置き去りにした。
氷室「しかし私は負けなかった。
なみいるお化けに、たった独り
敢然と立ち向かった。
氷室「やがて出口にたどり着いた時、
私は口元に微笑さえ浮かべていた。
氷室「そしてそのとき、私はお化けの恐怖を
完全に克服したのだ。
●●(カワイクない子
だったんだろうなぁ……。)
氷室「●●。
どうだ、
君もお化けを克服できそうか?
●●「……いえ、ちっとも。
●●「すっごく楽しかったです!
今日は、誘ってくださって
ありがとうございます。
氷室「いや……
私も有意義な時間を過ごした。
礼を言うのは私のほうだ。
氷室「●●。
またいずれ……
君を誘うかも知れない。
●●「ぜひまたお願いします!
氷室「●●。
家まで送ろう。
●●「はい。
ありがとうございます!
氷室「問題ない。
君の家は、私の家の近所だ。
【行きつけの店】
●●「どうもありがとうございます。
わざわざ家まで……。
●●「……アレ?
今の、何の音ですか?
氷室「……私としたことが……。
●●「氷室先生?
氷室「エンジンに故障が発生した。
停止する。
・
・
・
●●「修理の人、来ませんね……。
氷室「渋滞しているらしい。
●●「……少し、冷えますね。
氷室「秋の夜だからな。
●●「………………。
氷室「……車を降りなさい。
近くに知り合いの店がある
しばらくそこに避難する。
店主「よう、零一!
……あれ?
珍しいな、デートか?
氷室「くだらないことを言うな。
私の生徒だ。
店主「へぇー、生徒ねぇ……。
オーダーは?
いつものでいいか?
氷室「生徒の前でアルコールを
飲むわけがないだろう。
レモネードだ。
店主「じゃあ、生徒さんは?
氷室「レモネードを2つだ。
店主「はいはい……。
店主「それにしても、零一がこの店に
カノジョを連れてくるとはね……。
雪でも降るかな?
氷室「……何度も言わせるな。
私のクラスの生徒だ。
店主「ハハハ!
……ねぇ、生徒さん。
こいつ、教室でもこの調子?
●●「えーと、大体そうです。
店主「やっぱりそうか!
子供の頃から
先生みたいだったもんな、零一は。
●●「マスターさんは、
氷室先生の幼馴染なんですか?
店主「そうだよ、
小学校の頃から一緒だ。
こいつの秘密は何でも知ってる。
氷室「余計なことを言うな……。
店主「じゃあね。
またおいで。
次は零一の子供の頃の話をしよう。
●●「はい!
氷室「コラ、調子に乗るな。
帰るぞ。
【スピード注意】
●●「……今日は
道が空いてるみたいですね。
氷室「非常に快適なドライブと言える。
私は常々思っているが、
都市の交通事情というものは……。
●●「わっ!!
危ないなぁ……。
氷室「全くだ……。
大丈夫か?
●●「はい。
ひどい運転でしたね、
今のクルマ。
氷室「……●●、
シートベルトは締めているな?
●●「はい。
氷室「それでは両足を突っ張って、
体をシートに固定しなさい。
●●「……はい?
氷室「一言注意しなければならない……
追跡する!
●●「は、はい!?
●●「氷室先生〜〜!!
氷室「話は後だ!
●●「わあーーー!!
【保健室で看護】
●●(あ〜あ、
はりきり過ぎて
ヒザ、擦りむいちゃった。)
●●「えーと、消毒液は……。
氷室「左から二番目の棚だ。
●●「あ、ホントだ、
あったあった……えっ?
●●「氷室先生!
どうしたんですか、
先生も怪我を?
氷室「私は怪我などしない。
●●「そ、そうですか……。
氷室「……早く傷の手当てをしなさい。
●●「はい……。
・
・
・
氷室「……待て。
氷室「そんないい加減な消毒で
包帯をしては、
かえって傷口が化膿するだろう。
●●「は、はぁ……え〜と……。
氷室「……もういい。
見せなさい。
●●「は、はい?
氷室「保健室を利用するなら、
誰かに付き添いを頼むべきだ。
氷室「ましてや今日は、体育祭だ。
怪我をする不注意者が多い。
氷室「保健教員が席を外している確率が
高いとは思わなかったのか?
●●「はぁ……すみません。
氷室「以後、気をつけるように。
氷室「……ふむ、これでよろしい。
氷室「それでは、
私は持ち場に戻る。
●●「あの、氷室先生。
氷室「なんだ?
●●「なにか保健室に
ご用があったんじゃ……。
氷室「私の用は済んだ。
君も早く戻りなさい。
●●(もしかして、
私が転んだのを見て、
付いてきてくれたのかな?)
【ナイスキャッチ】
藤井「……でさあ、
そのリップがまた
かわいいんだってば!
●●「ふぅん……。
●●「……ほら、藤井さん!
教室に戻らないと、
氷室先生、来ちゃうよ!
藤井「え?
うん、まあ……
いいから、いいから!
●●(……?)
藤井「……あ、来た。
藤井「よし、いけ!
藤井「くぅ〜、惜しい!
氷室「………………。
誰がやったかは敢えて問わない。
しかし言っておく……。
氷室「無駄だ。
私には通用しない。
氷室「……以上。
藤井「やるな、ヒムロッチ……。
●●(……藤井さん?)
氷室「●●、
早く席につきなさい。
ホームルームを開始する。
●●「は、はいっ!!
【ピアノを弾く氷室先生】
●●(すっかり遅くなっちゃった。)
●●(あれ?
ピアノの音がする……。
まだ誰か残ってるのかな?)
●●(……すごく優しい演奏、
どんな人が弾いてるんだろ……
邪魔しないようにしなきゃ。)
●●(……!!
氷室先生!?)
・
・
・
●●(いけない!!)
氷室「●●……。
●●「すみません!
お邪魔するつもりは
なかったんですけど……。
氷室「……なんだ?
●●「はい……あの、
音楽室の戸締りを……。
氷室「……もう、
そんな時間か……。
●●「……あの……。
氷室「どうした?
●●「すごくきれいな演奏でした。
氷室「……そうか、ありがとう。
●●「あの……。
氷室「戸締りは私がしておく。
早く帰りなさい。
……もう遅い。
●●「はい……失礼します。
●●(氷室先生って、
あんなに優しく
演奏するんだな……。)
【先生の寝顔】
●●(ふぅ……
やっとできたぁ……。)
●●「氷室先生、終わりました!
●●「……氷室先生?
……あ!
●●(眠っちゃったんだ……。)
●●(わぁ、氷室先生の
寝顔をじっくり見られるなんて、
貴重かも……。)
●●(……あ、氷室先生、
意外と睫毛長い。
発見、発見……。)
●●(……不思議だな、
こうして見てると、そんなに怖い
先生には見えないんだけどな……。)
●●(……よく眠ってるな、
疲れてるのかな……。
そうだよね……。)
●●(……テストを作って、採点して、
点が悪かった生徒の
補習にまで付き合って……。)
●●(氷室先生、
ごめんなさい……。)
●●(………………。
なんだかわたしも
眠くなってきちゃった……。)
・
・
・
氷室「……そろそろ起きなさい。
風邪をひくぞ。
●●「……氷室先生。
氷室「よく眠っていたな。
●●「すみません、つい……。
あ、でも氷室先生だって
よく寝てましたよ?
氷室「私がか?
気のせいじゃないのか?
●●「絶対眠ってました!
氷室「そうか……。
氷室「さぁ、家まで送って行こう。
お互い今日はぐっすり眠るんだ。
●●「はい!
【学園演劇】
●●「今日は文化祭。
わたしが参加するのは、
学園演劇。
●●「急いで準備をしなくっちゃ!
●●(けっこう、人が入っているみたい。
緊張するなぁ……。)
氷室「●●。
●●「あ、氷室先生!
氷室「●●。
顔色が悪いようだが?
●●「なんだか緊張しちゃって……
あ、もう開演みたいですね。
???「これより、
はばたき学園、学園演劇を
開演いたします。
氷室「なにも緊張することはない。
リラックスしなさい、
●●。
●●「おねがい、行かないで。
やっと気が付いた……
わたしはあなたを愛しているの!!
●●「だから……。
氷室「いや、
私は君の人生から去ることにする。
●●「待って、あなた……!!
●●(それにしても……
氷室先生って、
どうしてこんなにクールなんだろ。)
●●(こんなふうに
女の人に追いかけられても、
平気な顔して去っていくのかなぁ?)
氷室「さらばだ。
●●「いいえ、わたしは諦めないわ。
たとえ今日、別れても……
明日は明日の風が吹くのよ!
●●(こうして、
高校生活最後の文化祭は
終了した。)
●●(最後に演劇で主役だったし、
いい思い出になったよ……。)
【ジャズのメロディに乗せて】
●●「あっ! 氷室先生!
氷室「●●。
気をつけて帰りなさい。
今夜はもう遅い。
●●「はい……あれ?
氷室先生、
今日はクルマじゃないんですか?
氷室「私はこれから、
酒を飲みに行く。
●●「もしかして……
いつかのお店ですか?
氷室「そうだ。
●●「わたしも行きたいです。
氷室「ダメだ。
●●「お願いします!
おとなしくしてますから!
氷室「絶対にダメだ。
こんな時間に高校生が
出入りするところではない。
店主「よう、いらっしゃい。
おふたりさん。
●●「こんばんは!
氷室「……念のために言っておくが、
私達は……。
店主「わかってる。デートじゃないんだろ?
オーダーはレモネード2つ。
……それでいいか?
氷室「結構。
・
・
・
店主「……さて、じゃあそろそろ
零一に一曲弾いてもらおうか。
氷室「……俺は客だ。
この店じゃ、
客に演奏させるのか?
店主「そっか……しょうがない。
じゃあ、おまえの学生時代の
話でもしよう……。
氷室「……何故そうなる。
店主「何故って、そりゃ退屈だからだよ。
生徒さんだって聞きたいよね?
●●「はい!!
聞きたいです!
氷室「……一曲だけだ。
●●「……でも、
氷室先生の学生時代って、
どんな風だったんですか?
店主「そうだなぁ……
昔からあんな調子だったよ。
●●「なぁんだ!
やっぱり。
店主「……見てごらん。
あの顔。
店主「アイツが素直になれるのは、
ピアノの前にいるときだけなんだ。
店主「……間違ったことが大嫌いで、
いつも人とぶつかってばかりで……。
店主「すごく不器用なんだ。
不器用で……とってもイイ奴だ。
そうだね?
●●「はい。
店主「この曲は、
きっと零一なりの
クリスマスプレゼントなのさ。
●●「氷室先生。
今日はありがとうございました。
氷室「……やはり、私からご両親に
一言挨拶をしておくべきだろう。
●●「大丈夫です。
今日は先生と一緒だって、
言ってありますから。
氷室「先生と……
そうだな、わかった。
……●●。
●●「はい?
氷室「コホン……
メリークリスマス。
●●(こうして、
2004年のクリスマスイブは
終わった……。)
【アルバイト先に来る(普通以下のとき)】 ※全アルバイト共通
氷室「●●。
●●「あっ、氷室先生!
氷室「よく似た店員がいると思ったら、
やはり君か……。
氷室「アルバイトも結構だが、
学業がおろそかにならないように。
【喫茶店に来る(友好のとき)】
氷室「●●。
●●「氷室先生!
どうしたんですか?
氷室「……“いらっしゃいませ”。
●●「あ、いらっしゃいませ!
あの……今日は……。
氷室「安心しなさい。
ただの客だ。
ホットコーヒーを一杯もらう。
【ガソリンスタンドに来る(友好のとき)】
氷室「●●。
●●「氷室先生!
どうしたんですか?
氷室「どうしたも何も……
ガソリンを入れに来たに
決まっているだろう。
●●「あ、そうか!
氷室「……ハイオク満タン。
エンジンルームには触るな。
洗車は手洗いだ。以上。
●●「はい、かしこまりました!
【雑貨屋・ブティックに来る(友好のとき)】
氷室「●●。
●●「氷室先生!
どうしたんですか?
氷室「……“いらっしゃいませ”。
●●「あ、いらっしゃいませ!
あの……今日は……。
氷室「安心しなさい。
単なる冷やかしだ。
●●「はい……
どうぞ、ごゆっくり。
【花屋に来る(友好のとき)】
氷室「●●。
●●「氷室先生!
どうしたんですか?
氷室「……“いらっしゃいませ”。
●●「あ、いらっしゃいませ!
あの……今日は……。
氷室「ただの客だ。
花を見ている。
●●「はい……。
氷室「……どうした?
私が花を見ていると、
何か問題があるのか?
●●「いえ!
【ファーストフード店に来る(友好のとき)】
氷室「●●。
●●「いらっしゃいませ!!
あ、氷室先生!!
どうしたんですか?
氷室「気にするな。
単なる客だ。
●●「はい……。
あの、ご注文は?
氷室「ハンバーガーだ。
●●「はい、あの……
ハンバーガーにも、
色々ありますけど……。
氷室「……なんでもよろしい。
ハンバーガーだ。
早くしなさい!
●●「はいっ!!
【喫茶店に来る(好き以上のとき)】
氷室「●●。
●●「氷室先生!
いらっしゃいませ!
氷室「……よろしい。
●●「あの……今日は……。
氷室「ホットコーヒーを一杯もらう。
●●「かしこまりました!
氷室「待ちなさい。
君が淹れるんだろうな?
●●「はい、任せてください!
氷室「結構。
【ガソリンスタンドに来る(好き以上のとき)】
氷室「●●。
●●「あ、氷室先生!
いらっしゃいませ!
今日はどういたしますか?
氷室「ハイオク満タン。
洗車は手洗いだ。
エンジンルームには触るな。
●●「はい、かしこまりました!
氷室「君がやるんだぞ?
私はここで、君の働き振りを
見学させてもらう。
●●「え!?
氷室「どうした、何か問題か?
●●「が、がんばりまーす……。
氷室「よろしい。
【雑貨屋に来る(好き以上のとき)】
氷室「●●。
●●「氷室先生!
いらっしゃいませ!
氷室「よろしい。
●●「あの……今日は……。
氷室「私のことは気にするな。
ただの買い物客だ。
●●「はい……。
●●(氷室先生、
こんなお店で何買うんだろ……。)
氷室「……私がこの店で買い物では、
やはり無理があるか?
●●「いえ……
どうぞ、ごゆっくり。
【ブティックに来る(好き以上のとき)】
氷室「●●。
●●「氷室先生!
いらっしゃいませ!
氷室「よろしい。
●●「あの……今日は……。
氷室「私のことは気にするな。
ただの買い物客だ。
●●「でも、
ここはレディースですけど……。
氷室「……わかっている!
その、プレゼントだ。
●●(氷室先生が
女の人にプレゼント……
相手は誰だろ……。)
氷室「……誰でもよろしい。
●●「え!?
氷室「●●……。
もう少し、私が入りやすい店で
働くわけには行かないのか?
●●(氷室先生、
わたしの様子を
見に来てくれたのかな……。)
【花屋に来る(好き以上のとき)】
氷室「●●。
●●「氷室先生!
いらっしゃいませ!
氷室「よろしい。
●●「あの……今日は……。
氷室「花を見に来た。
●●「はい。
氷室先生は、
お花がお好きなんですね?
氷室「私が? 何故だ?
●●「だって、花を見に来たって?
氷室「……そのとおりだ。
私は花が大好きだ。
氷室「私が花好きでは、
何か問題があるのか?
●●「いえ!
どうぞごゆっくり……。
●●(氷室先生、
もしかしてわたしの様子を
見に来てくれたのかな……。)
【ファーストフード店に来る(好き以上のとき)】
氷室「●●。
●●「氷室先生!
いらっしゃいませ!
●●「ご注文は何になさいますか?
氷室「“スマイル”を一つ頼む。
●●「……は?
氷室「……どうした?
“スマイル”だ。
品切れか?
●●「いえ、あの……
“スマイル”はサービスです。
氷室「そうか、それは結構。
●●「……あの、もしかして
誰かに聞いてきたんですか?
“スマイル”って……。
氷室「君と同学年の、姫条に教わった。
●●(氷室先生……。)