2001.8.1〜8.10
8月1日・ そんなのウダウダいったところで、キレイなものにはかなわないのよ。
シアターコクーンで蜷川演出の「卒塔婆小町」と「弱法師」を鑑賞。
(「そとばこまち」と「よろぼし」と読みまする。)
三島由紀夫の「近代能楽集」の中の作品。どれも美しい言葉に溢れててステキ。
言葉があるだけで完璧だ。そうなると演出も役者も何したらいいか難しい。
プラスしたことで世界が損なわれるのは悲しいです。でも演りたくなる脚本なのよね。
演劇科の学生だった頃ちょっとだけ演ったことあるけど、憧れ以上には出来なかった。
スックと立つのが怖いうちはナニかしたくなる。三島の前に立つ?まだ無理ですだ。

こうやってスッゲーウマイの見ると、正しいもののチカラってカッコイイと思う。
大きい器に素材を生かしたお料理がフッと乗せてある感じ。
んで、食べると大地の味が力強く広がるっつーかさ。
三島も蜷川も鉄人。もはや伝統美、それでいて鮮烈!

しかし、観客は圧倒的におばちゃんなのであーる。
シーンとしたシーンでも平気で喋る。たしかに大衆演劇や明治座ではOKなんだけど。
小劇場でもいいのか・・。あれれ?じゃ、いいんだ、喋っても・・。
あたしなんか集中して言葉聞いて、想像力駆使して世界についてゆくのに必死だわ。
絵画なら自分のペースで理解していけばいいけど、舞台はどんどん進むんだもの。
どーだ、どーだ・・って花や刃を突き付けられて喋る余裕なんて全然ない。

・・そんなおばちゃんを一斉に黙らせ、舞台に集中させたのは、「美」だった。
通路に登場すると、全員が後ろを向き、オペラグラスを取り出した。
藤原竜也サマ!白いスーツの盲目の美少年。不幸な生い立ちのわがままな狂人。
あ、しかもお脱ぎになる。苦悶にうち震え、絶叫し、年上の女に甘える。
許そう、おばちゃん。芝居はみんな前座、舞台は藤原竜也サマの為にあったんだネ。
「身毒丸」より格段に上手い。ウマいヘタより、とにかくもー美しすぎる!
「僕ってね・・どうしてだか、誰からも愛されるんだよ。」
この台詞を口にしていい美少年は他におりますまいて・・。うーん脱帽。

ラスト、またまた蜷川演出は舞台セットを壊し、劇場の素を見せた。(これ多いよね)
現実に還っても、カーテンコールの藤原くんはやっぱり美しかったわ。

8月2日・うたたね。
なぁ〜んにもしなかった一日。
止まってたら、夜が来てた。日記書く価値もないわ。
お風呂に入ってて、自分が今シャンプーしたんだかどうか忘れることない?
ハタと手がシャンプーとリンスの間で止まる。・・あれ?
2秒前の記憶がない。考え事してたんだろうけど、その内容も忘れてる。
で、シャンプーしたら、やたら泡立ちが良くて、あーしたした・・みたいな。
まあ、そんな一日。(笑)

だいたい普通、どれくらい行動と別に考えごとをしているものなのかしら?
仕事や勉強してたって「昼飯なににしようかなー」なんて考えてるでしょ?
ずーっと何かしら考えてんのかしら・・。考えてない時間てあるのかな・・。
江川達也先生の漫画みたいに0.5秒間にギッシリ3ページ思考・・皆、してる?

演出やってる期間は、夢の中でも、ずーっとそればっかり考えてる。
目覚めの瞬間ってのがない。画像が繋がってんの。毎日が連続する。
でも、最近みたく何の責任もなく生活してると、空白よ。
脳のシワが伸びきってゆく・・。シナプスがさびてゆく・・。前頭葉いらず。
スポーツやってる身体は一週間トレーニングしないと一ヶ月分後退するらしい。
長いこと何も考えてない私の脳、赤児を通り越して、脳死状態まで後退?
死んでるみたいに生きてるの。そこが天国なら何もない幸福を満喫いたしませう。

8月3日・すすり泣く背骨。
へんな声なんですよねー、私は。ざらざらな粘土固めた砂壁って感じ。
すべすべの陶器みたいな、しっとりとした美声にあこがれる。
オギャー!と産まれた時から、ある程度は決まっちゃってんでしょうけど。
正しい発声して磨けば、美声になりますか?・・んー、ある程度は。
でも、他にそういう人がいないからヘンて思えるわけで、それは価値でしょう。
ある程度の美声じゃ商品になんないもんなー。

ボイトレの先生に言わせると、私の発声はめちゃくちゃな自己流です(笑)
すっごい良い日と信じられないくらい悪い日があって、そのうえ自覚がない。
いいかげんに身体の状態を把握して正しくコントロールせいっ!と怒られる。
不思議だ。なーんも考えなくても男の子役と思うだけで男の子声になってたのになぁ。
正しい勉強するごとに、わかんなくなっちまう。やっぱり運動神経なのかなぁ。
腹から息・・とかって意識して筋肉使うわけじゃない?運動神経よね?

どれだけ無自覚に間違った身体の使い方をしてきたか・・。
私ね、男の子の声で叫ぶ時、ずっと背中で出してたの。
なんかこう苦しい時、背中丸めない?腹筋がなかった所為もあるかもしれない。
そしたら、背骨曲がっちゃった。ロビンJrの頃に気づいたのね。あー曲がってる。
水泳の選手がやたら肩幅広いのと同じね。毎日やるうちに変型していく身体。
間違ってると知りつつ、ウマくいかないと背中に逃げる。ラクに誤魔化す。
きょうも、やっちまった。・・あー、腰に来たよー。痛いよ〜。

レッスンが終わったら歩くのもカッタるい。・・暑いし。
吉祥寺でのヒカシューライブに行く予定も、だめじゃん状態に負ける。
ごめんよ背骨。あんたが泣いてても見ることも出来ないわ。
後ろ向いたら、クルッて隠れるシャイな背骨。身体の大黒柱。
けど、あんた私のものだから、誰もしないやり方で使ってもいいよね?
今日はまあ、これでカンベンしちゃる。限界。帰って寝る。
ヘンな声はヘンな身体が作り出す。間違いだらけの唯一無二。
魔球投げて肩壊すスポ根マンガみたいだわ。
・・いや、健康第一ッス。

8月4日・そして、夜空に消えた花。
あら、きょうは花火大会だわ!
気付いたのは、夕方。ゆかた着たいな。行きたいな。
しかし、ひとりで花火大会行くほど花火好きでもなし。
と、脳裏に浮かぶ、出会い系サイトの文字・・。
んー、誘ってみたら返事とか来るものかしらん?
「これから一緒に花火見る方いらっしゃいませんかー?私は25才OLでーす」
・・嘘はいけません。

とりあえずメールしてみた「今晩、おひま?」・・はまちゃんに。
ヒマなBFも見つかり、さささっと浴衣を着て駅へ向かう。
去年購入した朝顔柄の浴衣、濃墨色なんだけど紗っぽくて涼し気。
50才になっても着れるぞって粋系さ。蜜柑色の帯を可愛く蝶結び。
道でお婆さんに「あなた綺麗ね」って誉められちゃった。
きっと腹立てていたのでしょう。若いモンの浴衣の着こなしときたら!

花火大会ってここ数年すごい人気じゃない?
知らなかったなー、コンピュータ制御なのね、今。
何百発も一斉にズババババーン!!! 空一面に花火のシャワー〜〜!!!
うわーうわーうわー。これは大迫力だわっ!まさに大会だわ〜!
打ち上げ場所の一番近くの土手。首ふらないと全部見られない程の花火。
バリエーションも豊富で、ハートや土星、ミッキーマウスも上がる。
ぜんぜん休みなし。だから露店のビールも売れない(笑)
クライマックスは、これでもかっ三連発!拍手が湧く。観客納得の盛上がり。
終了は予定通り8時半ジャストでした。さすがはコンピュータ制御。
風情はないけど、見ごたえのあるショウになってる。これは集客するわな。

「世の中、不景気なんだなぁ」クールなはまちゃんは、分析する。
「金かかんないじゃないですか」なるほど、タダで遊べるレジャー大入り満員。
花火一発でいくらだろう?今宵14000発よ。誰にサービスされてんの、コレ。
はまちゃんと腕組みながら風情のない会話。

と、もう誰も見上げなくなった空に、まーるいお月様がこっそり顔を出していた。
びっくりしたなーもー。お月様の声が聞こえた・・。

8月5日・キミは黄色だ。
イェ〜!TOMOVSKY LIVE !うふふふー。
チケット即SOLD OUT してた。けど、3DAYS 通し券初日を譲って貰えたの!
友情に厚い、トモくん仲間の原田さんと下北沢で待ち合せ。
原田さんはク・ナウカの海外ツアーで、韓国、ロシア、モロッコ、イタリア、
フランスを回ってきたところ。砂浜に立てた3mのイントレが照明ごと倒れたとか、
海外アクシデント話は規模が違うぜ。
ク・ナウカやめて、これから映像の世界でやっていくそうだ。
うんうん、向いてる。パッと見キレイなコはいっぱいいるけど、彼女の場合、
引き込まれるキレイさだもん。芯にある強さとモロさが顔を魅力的にしてる。

原田さんと一緒にやった舞台は「肥沃な三日月地帯」てユニット。
3年前、ク・ナウカの宮城聡氏演出で「ロミオとジュリエット」をやった。
これがやっぱ普通じゃないワケよ。一役二人、場面ごとに微妙に台詞が違ってて、
ふたつの物語が同時進行してゆくの。私は乳母、もうひとりの乳母はデカイ男の子。
彼のシーンがあって、次に同じシーンを私が繰り返す・・。観客は先を知ってる。
でも、ちょーっとだけ台詞とニュアンスを変えるのね。難しかったなぁ・・。
物語は二組とも例のラストシーンなんだけどね。見え方が違うという・・。

宮城さんの演出方法が、これまた面白い。
稽古の最初に円陣を組んで、ヨガのポーズ。集中力を高める。少しトランス。
ダメ出しが「今のだと黄色なんだよなぁ、この間の七色のやつ欲しいねぇ・・」
何の話かって?・・オーラの色なんです!(笑)わっかんないって!オーラの出し方!
もう誤魔化しようもないですから、とにかく真剣に感情になりきるしかない・・。
演出家だけに見えている芝居が、もうひとつあるんだなぁ〜。
とても不思議な体験でございましたデス。

トモくんのライブは、通し券のおかげで整理ナンバーも若く、絶好の位置。
今日はひとりTOMOVSKY。メトロノームにリズム取らせて、自宅演奏風。
ひとりきりだと、マイペースっぷりがオチャメで可愛いくて・・頬もゆるむ。
バンドだとやらない昔の唄もあり、ふにゃふにゃした夜の優しさ、堪能いたしました。
原田さん、どうもありがと。がんばるんだじょ〜。

8月6日・連邦議長に泣かされた。
あらあら、おろおろ、大変だわ。
アニメーションの台本、前日に出来上がることはたまにある。
いや、あんまりあっちゃイケナイんだけど・・たまにはある。
すごーくヤバイ時は、当日スタジオで渡されるなんてこともある。
そりゃ、絶対やめて欲しいんだけど・・そんなこともあった。

明日の「コスモウォーリアー零」の台本が今日あがったのさ。
取りに行って、ついでにファミレスでランチしながら、パラパラ・・。
うおっ!なんじゃこら?冒頭からずーっと議長さん喋ってるぜ。
麗しき乙女時代の議長〜?少女らしいドレスで追いかけっこ〜?
そして数年後、そして数年後って、おいおい人生語られちゃってるよー!
こんな人だったんだぁ・・。てか、こういう展開の場合は・・たいてい・・、
あー!やっぱりだー!後半、ドラマチックな流れが、そして、議長さんは・(泣)

さて、どーなるかはオンエアで確認してもらうとして・・(笑)
こんなに芝居が入った役になるなんて思わなかったよ。
今まで押し殺してた感情が爆発してくってことよね・・。
どうするよ日比野さん、こりゃー難易度高いよー。どの台詞も気を抜けない。
台本読むだけで泣けてくる。せっかくこれだけ人間描いてもらってんだ、
ちゃんと演じなくちゃ・・。年齢ごとに芝居変えてかなくちゃ・・。
プレッシャーだけどすごく嬉しい。こんな役やれるなんて滅多にない。

セリフ、声に出してみる。涙がボロボロ。やばいよ、泣けちゃうよ。
若かった頃、泣かせの少年役をふられることが多かった。
盲導犬の物語とか、泣いてください皆さん!的なキャラ。
そういうのってアテてる自分も泣いてしまう。
絵見えないし、次のシーンに繋げられないし、本当はマズイのかも・・。
でも、何度もスタジオで泣いた記憶がある。

今回は、自分より年上の責任ある地位のオトナの女性だ。
どんな絵があがってくるんだろう・・。出来るのかな、あたし・・。
良かった、ギリギリに台本が出来て。
だって、眠れない夜は、一回で済む。
・・・は。

8月7日・お蔵入りした半生。
たしかに長いとは思っていた。台本厚いんだもん、いつもより。
「コスモウォーリアー零」9話。しかし、まさか8分も長いなんて・・。
CMやオープニング等を除けば、本編は24分位でしょ?3分の1もカットだよ。
うわー、話そのものが変わってく。昨日あんなに緊張したのはナンだったの?
地球連邦議長と、悪の女ヘルマティアが幼馴染みで、愛憎劇があったのに・・。
ヘルマティアの台詞は大幅になくなって、ただの「友人」で辻褄あわせ。
これじゃあ、後半の芝居もぜんぜん違うわ。あーあ、もったいない。
てゆーか、真剣に考え直さなくちゃ・・。

台本の直しにいつもの倍以上の時間をかけて、別紙も配られた。
それから通して絵をチェックする。ぶわー、コンテばっかりだよー。
キャラの顔が丸かいてチョンだったりするの。何だかさっぱり判別不能。
けど誰も文句は言わない。アニメの場合、これが実状だ。
昔、「ルパン三世」で先輩達は「絵がなくちゃやれない」って帰ったらしい。
そんな気骨のある声優は今はいないなぁ・・。
頼りのフキだしも名前が読み取れない。入っていないカットもある。
いったい何処で台詞を言ったらいいのか、それすら不安な絵にアテるのか。

どんな表情かヨメないと感情をはっきり入れるのは怖い。
どうしても、大きめなストライクゾーンに納めてしまう。ハズレが少ないから。
・・あたし、泣く準備してきちゃった。
すぐ取れる所にティッシュ入れて、鼻スースーさせる薬入れて、
取れてもいいようにマスカラは透明なのにしたの。馬鹿でしょ〜?
もはや、無駄になりました。(泣)・・気持ちは泣いてるんだけどね。

それでも議長さんの活躍シーンはいっぱいあります。
びっくりする程、身軽な人で、派手なアクションやっちゃってます。
深夜だけど、ぜひ、見て確認してくださいませ。

あたし以上に台詞もドラマもカットになった、ヘルマティアの白鳥由里ちゃん、
「昨日から、ずっと緊張してたんですよぉ」・・みんな同じなんだなぁ。
最後に、呼ばれことのなくなってしまった議長さんの名前を・・
彼女の名は、シヌノラでした。シヌノラ・・結末を予感させるなぁ・・(笑)

8月8日・美技!紙幣の舞い。
脱力系正統派エンターテーメントな芝居を見ました。
「絶対王様」の「謎の高橋」・・いいタイトルだ。
私もいちおう高橋さんなので見てあげることにした。

チラシの作・演出、笹木彰人さんの言葉になんか惹かれた。
「俺の本は登場人物がポジティブに成長しませんし時に理不尽です。
 みんな一生懸命だし適当です。いいんですよ、そのままで。
 しょうがないんですよ。」
安心するね。ポジティブを成長と思ってるヤツは苦手だ。

インターネットの「生涯お金に困らない方法教えます」て広告を見て、
50万も払ってセミナーに参加した、困った人々の話。
会場の船は何処へとも判らぬ地へ出航、講師の男は独裁者になり、
魚を釣ったら1高橋、面白いコント見せたら1高橋、と報酬を渡す。
1高橋はおかず1品。参加者たちは飢えや不安から人間を露呈していく。

みんな友人から「ま、悪い人じゃないんだけどねー」って言われるタイプ。
こんな生活でも生きがいを・・って豚の世話をかって出て、皆の分働いて、
高橋は分配するようないい人が、そのうち飽きちゃって、豚死んじゃって、
誰にも言わなくて、大して反省もせず、次の生きがいをまた探してる・・。
そんな、心当たりのある人物像がうまーいこと配されてる。

「もう、いいです」他国に攻撃され沈みゆく船に残ることを選択する3人。
天井に穴が開き、隠されていた大量のお金がヒラヒラと降ってくる。
喜ぶでもなく悲しむでもなく、絶望でもなかった。
しょうがないんだな。そのままでいるしかないよね。
ふぅーん・・てな感じの芝居だった。

8月9日・先生、宿題への挑戦。
先生が夏休み宣言をした。
4日間だけ自分にお休みをあげるんだそうだ。
ついでに、自分に宿題も出すから聞いてくれって・・。
なになに?読書感想文でも書くのかい?

宿題1= フットサル用にコンタクトレンズを作る。
宿題2= 携帯電話を契約する。
宿題3= TVに出ても大丈夫なオシャレな服を買う。

ふーん、全部の後ろに(笑)をつけてあげたいわ。
だってどれも去年から言ってる。今さら宣言しなくても、ねぇ。
で、夏休み初日の今日は、どの宿題を片付けるのかしら?
・・は?カラオケに行きたい・・?
どうやら宿題は最後の一週間にまとめてやってたクチらしい。

高橋先生は意外なことにカラオケ上手だ。
しかも新曲をジャンジャン仕入れては唄う。・・いつ練習してんだろ。
名前も知らないロック系バンドの有名でない唄、いっぱい知ってる。
すごいなーとは思うけど、なにせ知らない唄だから正しいのかどうか謎。
きょうは「波乗りジョニー」が披露されました。これならわかるわー。
平日昼間のランチタイムサービス。はぁ、安上がりなバカンスだこと。

本日発売のヤンジャンに「キャプテン翼」アニメ化速報が載りました。
やっと情報公開してよいのね。そうです。なります。10月からテレ東で。
しかーし!先生はお怒りモード。まだまだ問題山積み。嵐の予感・・。
ゲームも出ます。くわしい情報は、ヤングジャンプをご覧ください。

あーあ、夏休みかぁ・・。
宿題4=奥さまをレジャーにつれていく。
そういうのは念頭にないらしい。・・おーい、誰か遊んでくれー!

8月10日・見かけ倒して、俺サマの勝ち。
とてつもない才能を持つ人に、同じ道を志す人はどう映るのだろう。
毎日努力してもダメな人もいるのに、やってみたら出来ちゃう人もいる。
世田谷美術館で「福田繁雄展・福田美蘭展」を見た感想ー。
天才親子だ。父はグラフィックの巨匠。遊びにすらスキがない。
教科書みたいな作品が並んでる。ホントはグラフィックの事、よく知らない
けど、間違いなくスッゲー有名な先生だよーってこたぁわかる。

娘、福田美蘭の頭ン中には何が詰まっているんだろう・。
ありとあらゆる画風を完璧にこなす。普通の画家とは目指すものが違うんだ。
見たことある絵なら、描けて当たり前。絵は自己主張の道具なんだよね。
たとえば、著作権問題に対してディズニーの子供用プールを模写し展示する。
プーさんの顔の部分にマルCのプレートを付け、観客に取り外しさせる。
すべての作品についた長いキャプション、それが命だ。
「あたしはこう思うのよー、あんたも考えてよー!」って作品。

あと、「ねーねー、これ面白いでしょうー?」な作品もある。
靴で踏む絵、監視員のお姉さんに喋りかけないと見られない絵、冷蔵庫の中に
描いた絵、目が電動で動く絵、象牙で作ったマクドナルドのストロー、等々。
思い付いても誰もやんないし、やっても評価されないよなぁ・・。
でも、こんだけの技術力で「どーよ!」て胸張られると、恐れ入りましたと
頭下げるしかないっつーか。いや、以前から好きなんたけどね、福田美蘭。
作品に囲まれてみたら、頭の良さと自信にこっちがヘコまされちった。

二階の展示室では、展示方法による見え方の違いを実験していた。
ひと時代前は、とにかくビッシリと作品を壁一面に並べてたんだって。
たくさんある事が価値だった。自慢のコレクションてことだな。
白い部屋にポツンポツンと配置するようになったのは最近の展示方法。
「他の作品より間を広くし近寄れないように柵を設ければ傑作に見えます」
スポットライトのあたった空のガラスケースが最後に置いてある。
「ためしにあなたの持ち物を入れて鑑賞してみてください」
あははは、ウン千万の作品と肩を並べた私のスケジュール帳が光り輝く!
才能も評価も、かなり思い込みなんだろう。特に芸術の分野ではね。
当てちゃえ、当てちゃえ!自分にスポットライト!
周りが勝手に、思い込んでくれるぞー。
それもまた、才能なり。