平成16年7月30日(金) 吹奏楽コンクール北地区大会 |
本日、私の母校の高校吹奏楽部が森之宮青少年会館(大阪市)で行われた第43回吹奏楽コンクール北地区予選に出場した。私も高校時代に同会館でコンクール予選に出場した事がある。結果は銀賞止まりだったが。個人的には、予選とはいえ各校の演奏をいろいろ聴くのは、音楽経験者としては面白い。曲名がさっぱりではあるが、非常に興味をそそってくれる曲と対面できたりするからだ。コンクールでは金銀銅三段階表彰の方式をとっている。我が母校は銀賞で次大会進出は決まらなかったが、個人的には毎年実力が上ってきているようで、いずれは金賞奪取してくれると予想を立てている。ちなみに本日の出演校の結果は別頁に記載してあるのでそちらを御覧いただきたい。次回の大阪府大会も聴衆として参列したいところだ。同時に音楽を聴けば聴くほど、楽器が恋しくなる自分がいる。これも経験者の性だろうか。 |
平成16年7月29日(木) 洪水ハザードマップ |
題目のモノは何かわかるだろうか。水害の発生時に予想される浸水の範囲や避難所などを一覧にして、市町村が住民に配布する地図のことだ。紙面の大阪府内の地域ニュースの項目にあったので採り上げてみたまでだ。以下は大阪府内の話である。縁も所縁もない方は理解し難いかもしれない。大きな川が多い大阪府内では、国が2年前から20市町にマップを作るように促しているのだが、作製を終えたのはわずかに4市町のみなのだ。新潟、福井が相次いで豪雨に見舞われ、水害の備えが問われているだけに、作業が急がれる。 2001年の水防法改正で、大洪水時の浸水想定区域の基礎データを国が公表。それに基づいて、市町村は住民に避難情報を提供することが義務付けられたが、ハザードマップは最も効果的な提供資料とされているのだ。国土交通省は02年3月、大和川流域の浸水想定区域図を公表、同6月には淀川・猪名川についても公表した。浸水想定区域内にある自治体は、大和川流域8市、淀川・猪名川流域14市町(大阪市と東大阪市は重複)となった。同省の想定によれば、大和川流域の場合、柏原市の上流付近で2日間に280ミリの雨が降り堤防が決壊すると、大阪市南部や堺市北部で2m以上浸水被害が出るという。しかし、対象自治体の中で、ハザードマップを作製したところはまだない。 一方、淀川では、枚方市以北で2日間に約500ミリの豪雨となり堤防が決壊すると、被害は最大で流域約2万ヘクタールの59万戸が床上・床下浸水し、高槻市付近では水深5m以上にもなる。JR大阪駅周辺でも3m以上の浸水となるのだ。淀川流域では、枚方、高槻、寝屋川、島本4市町がハザードマップを作製した。枚方市はホームページでも公開し、地域別の浸水範囲や深さ、学校など避難場所も掲載している。 両河川の浸水想定区域で水害による都市機能への影響が懸念される大阪市は、05年度のハザードマップ公表を目指している。大雨の際は堤防の決壊よりも市街地での下水道の逆流による被害が大きいと予測されることからシミュレーションに時間がかかったという。東南海・南海地震の津波による洪水の危険性もあり、同市はどの水害にも対応できるハザードマップにしたいと説明している。また、茨木市は淀川支流の安威川も含めたハザードマップ作製を検討しており、05年4月には全戸配布したいという。一方で、市域の大半が浸水想定区域に入る摂津市では、マップは将来的に必要と思うが、具体的に進んでいない、と言う。 いつ起こるかが想定できないのが災害である。万一の際、速やかな避難ができるよう、早く各自治体が完成してもらいたいと思う。 【浸水想定区域内の市町】 大阪市、堺市、八尾市、松原市、柏原市、羽曳野市、藤井寺市、東大阪市=8市 大阪市、豊中市、池田市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、茨木市、寝屋川市、大東市、摂津市、東大阪市、島本町、門真市=14市町 ※大阪市と東大阪市は重複。太字は、ハザードマップ作製済みの自治体。 |
平成16年7月28日(水) エルニーニョもどき |
「雷の多い年は豊作」――とのことわざがある。雷光を稲妻や稲光というのも、稲の穂がその光によって実りを豊かにするという信仰があったからだ。かつては稲田に落雷があると青竹を立てて注連縄(しめなわ)を張るしきたりもあったそうだ。 科学的には、空気中の放電により植物の肥料となる窒素化合物ができるという。しかし、古人がそのようなことを知るはずがないし、雷で作柄が左右されたとも思えない。ただ、雷の青白い一瞬の光の中に稲穂の実りの秘密が隠れていると見た宗教的感覚はすごい。雷の恵みといえば、落ちてきた雷神が人に恩恵をもたらす説話も多いそうだ。「今昔物語集」には、塔を壊した雷神をお坊さんが経を唱えて捕まえるという話がある。泣いて許しを求めた雷神はこの地に清水を湧き出させて天に戻る。この雷神は童子の姿だったという。なかなか面白い話だ。 ところで、この夏は各地で相次ぐ落雷、集中豪雨、そして全国的な記録的猛暑と、何とも荒々しい。それをもたらした太平洋高気圧の異常な強さの原因として、太平洋中央部の「エルニーニョもどき」ともいえる暖水塊の影響を指摘する見方があるという。ちなみに、ペルー沖の暖水塊を指す本来のエルニーニョも、もとは神の子供という意味だそうだ。 この現象を分析した研究者によれば、「エルニーニョもどき現象」は同じく猛暑だった10年前とよく似ているそうである。また太平洋中央部の暖水の状態は今後も長期にわたって続き、場合によってはこの先エルニーニョに発達する可能性があるという。さすがに笑い話で済ませない事態だ。 この激しい夏の天気も、大規模な“いたずら坊主”の仕業とあっては、捕まえて仕置きすることもできない。寧ろ、お仕置きが必要なのは、地球温暖化をもたらす人々の営みの方かもしれない。童子姿の神々の意見を謙虚に聞きたいところだ。 |
平成16年7月27日(火) アレルギー過敏症 |
京都大病院などの調査によると、現代の子供は約15年前に比べて小麦やピーナツなどのアレルギーの原因食物に過敏になっているそうだ。小麦などを多く使う菓子の食べ過ぎなどが背景にあるらしい。原因食物への過敏さの経年変化をデータ化した研究は実は珍しいのだ。 この研究は、1985〜91年に気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎などで同病院を含む3病院を受診した85人(1〜19歳、平均7歳)と、2002年に受診した90人(同、平均8歳)の血清を分析した。代表的なアレルギー原因食物6種(小麦、ピーナツ、ごま、さば、卵、キウイ)に対し、体内で作られる抗体の量を計測、比較した。その結果、抗体が一定量以上あり、アレルギー発症のリスクがある「陽性」の子供の割合は、小麦で22%が42%、ピーナツで20%が34%、ごまで33%が46%と増加。陽性に移行する可能性がある「弱陽性」の子供を含めると、キウイも15%から35%になった。特に6歳以下の子供の増加率が高かった。さばと卵は明確な大差は出なかった。ところで、学者によれば抗体量の変化は世相を映しているという。例えば、ごまの「抗酸化作用」がブームになった時は、多くの赤ん坊にごまの抗体が出たのだ。小麦もパンやパスタなど親の食生活が母乳を介して影響する可能性もある。要は、両親の食生活次第で子供の健康度が上下するという事なのか。ある意味えらい問題である。研究者によれば、小麦やナッツ類を多く含むスナック菓子や、一緒に食べるとアレルギーを促進する肉類(動物性脂肪)の取り過ぎなどが原因の一つではないか、と指摘している。食卓の西洋化が進んでいる現今、健康面に関して諸問題が起きているだけに、容易には解決できまい。各自が食事と健康について教養を持っていることが必要だと思われる。 |
平成16年7月26日(月) ポリ乳酸 |
環境対策に貢献が期待される製品が登場した旨が紙面に紹介されていたのでここで特筆させていただく。 トウモロコシを原料にしたポリ乳酸というプラスチック材料が、肉や野菜などの食品包装材として今秋にも実用化される見通しとなった。普及している石油原料のプラスチックに比べて原料が豊富で、使用後も土に埋めておけば微生物によって水と二酸化炭素に分解されるのである。ポリ乳酸は、トウモロコシから取り出したでんぷんを糖質に分解し、発酵させて作る樹脂である。主に米国のカーギル・ダウ社が製造している。この素材を使ったプラスチックは、欧米では食品包装材に幅広く利用されているが、日本ではビニールハウスに使う農業用シート等の食品以外の用途に限られている。 そこで、ダウ社と提携している三井化学が、日本で食品包装に活用する準備を3年前から進めてきた。食品衛生法の基準は満たしたが、幅広く利用してもらうためには、加工、食品など関係企業が加盟する業界団体「ポリオレフィン等衛生協議会」(東京都)からの安全性などに関する「お墨付き」が必要だった。同協議会はプラスチック材料の食品包装利用に関し、衛生、安全面の基準を自主的に設けており、包装材を使う食品メーカーもそれを重視しているためだ。ダウ社と三井化学は今年初め、同協議会にポリ乳酸の利用登録を申請し、6月に承認を受けた。今後は、三井化学や三菱樹脂などがダウ社からポリ乳酸の供給を受け、弁当容器や食品用フィルムなどに加工し、秋にも店頭に出す計画である。 ポリ乳酸から作ったプラスチックは、利用後の処理が簡単。利用が増え、石油原料のプラスチックの代替にすれば、石油資源の節約にも繋がるのだ。原油枯渇まであと約四十数年と言われる現今、原油に限らず少しでも自然の資源を保守していく手段を見出していく必要がある。そんな中でのポリ乳酸の登場は、環境エコロジー対策に最良の製品となってくれるだろう。 |
平成16年7月25日(日) 天神祭 |
今日は大阪天満宮で天神祭があった。実際には、昨日から始まっている。また、前夜祭として、女性だけで神輿を担ぐ「ギャル神輿」も一昨日行われていた。いつもは、毎年25日夕方に天満橋から祭を楽しんでいた。陸渡御はもう終っているので、川を往復する船渡御を見るのだ。そして、夜には花火が数千発打ちあがる。この花火の祭を現在、「水都祭」と呼んでいるのだ。かつては、「水都祭」といえば、生誕地の守口市と大阪市旭区あたりで打ちあがる花火の祭のことだったのだが。家の近くに淀川の堤防があり、幼少時からそこへ上ってよく花火を見ていたのである。数年前にいきなり無くなり、天満の天神祭の一部となってしまったらしい。非常に残念である。 あまり公言していないが、私は密かに祭好きである。…のだが、今年はうっかり行くのを忘れてしまっていたのだ。前日から今日と、2日続けてやってた、フジテレビの27時間TVを徹夜漬けで見ていたせいもある。楽しくなければテレビじゃないじゃん〜とのテーマの如く、ほぼ「お笑い祭」の状態だったので、この2日は「お笑い祭」に釘付けで「天神祭」のことを忘れていたのだ。しかし、終ったものを悔やんでも仕方ないので、次に到来する花火シーズンに期待をかける。 |
平成16年7月24日(土) 熱中症 |
昨年(であってたか?)の冷夏とはうってかわって、今年はとにかく暑い日々が続く。これだけ暑いと気をつけなければならないのが、噂の熱中症である。 新聞によれば、連日の猛暑のため熱中症で救急車に運ばれる人が急増し、大阪市内では今月に入って、23日までに例年の約3倍の80人が運ばれ、市消防局が統計を取り始めた95年以降最悪のペースだという。神戸市も22日までに51人に上り、同時期の昨年(9人)、一昨年(16人)と比べて突出している。京都市でも、20日までに57人が救急車で運ばれた。夏休みは遊びやクラブ活動で子供の外出が多くなるため、専門家は、異常に気付いたら水分補給やぬれタオルなどで体を冷やすなどの応急処置を、と注意を呼びかけている。 大阪市消防局によると、運ばれた人は中高生や高齢者が目立つ。買い物の道中で気分が悪くなった人や、学校の水泳大会で泳いだ後に倒れた生徒など、屋外でのスポーツや仕事中に熱中症になることが多い。しかし、自宅や体育館などから運ばれた人も多数いたため、屋内だからといって安心は禁物である。 大阪管区気象台によると、今月上中旬の大阪市の日照時間は平年比約7割増の180.5時間で、最高気温の平均も33.6度で平年より3.1度高い。今後2週間も晴れの日が多く、気温は平年並みか高いという。熱中症は暑さによって起こる体調不良であり、軽度だと手足のけいれんや数秒間の失神程度で済むが、熱射病になり体温調節できずに死亡することもある。特に、炎天下のグラウンドやアスファルトの上は、気象台の観測より気温が4〜5度高いそうだ。外出する時や屋外でスポーツをするなどの際は、十分に注意するように心掛けよう。 |
平成16年7月23日(金) 和mail |
オムロンの子会社、オムロンソフトウェア(京都市)は22日、海外の携帯電話でも日本語メールの送受信ができるソフトウェア「和mail(わめーる)」を国内で初めて開発したと発表した。海外の携帯電話は日本語に対応しておらず、日本語のメールを送受信することはできないのだ。外務省の調査では、2003年度の海外渡航者1800万人のうち、携帯電話をレンタルしたのは約360万人。うち約290万人から渡航先で日本語メールを送受信したいという要望が上ったという。同社はこの需要に目を付けたわけだ。「和mail」は、送信ではひらがなしか入力できないが、受信の際は漢字やカタカナの表示も可能。メーカーは海外版携帯電話に簡単に組み込む事ができ、どの国の携帯電話にも日本語メールの送受信機能を追加できる。携帯電話に組み込めるだけに、メーカーはコンパクトな大きさなのだろう。緻密作業の得意な日本人ならではの発想である。日本の携帯電話ででも海外でメールの送受信が可能になる日がそのうち来るかもしれない。 |
平成16年7月22日(木) 郵政3事業持ち株会社論 |
珍しく、政治分野のネタを掲げる。小泉内閣が「改革の本丸」と位置づけした、郵政民営化に関するものだ。 日本郵政公社の生田正治総裁は、21日の定例会見で、郵政民営化後の組織形態に触れ、持ち株会社の傘下に郵便、郵便貯金、簡易保険の3事業ごとの新会社を置く案について、「民営化案の一つとして考えられる」と述べ、「持ち株会社論」容認とも取れる考えを示した。具体的な組織形態については、政府の経済財政諮問会議で議論し、9月上旬をめどに結論を出す方針である。会見で同総裁は、公社や総務省で根強い「3事業一体論」について「今のままでなければいけないのか、例えば持ち株会社を作って間接的に相乗効果を狙うのかで意味が変わってくる」と指摘した。明言は避けたものの、3事業を完全分離して相互の資本関係を断つのではなく、持ち株会社が統括する形態ならば容認できるとの考えを示唆した。 一方で、郵便局の窓口ネットワーク機能を分離して別会社化する案については、事業の機能、規律を低下させるとして、成立し難いとの見解を示した。また、民営化を挟んだ郵貯・簡保の新旧勘定の運用については、一体的にやるのはビジネスの実態として当然。諸外国の民営化例でも一本でやっている、と述べた。 政府が最終法案を取りまとめるのは9月。反対勢力も多い小泉内閣は今、正念場を迎えているところなのだろうか。 |
平成16年7月21日(水) 伝説の夏王朝 |
伝説上の話、とされてきた古代中国史に一石を投じる新たな発見があった。久々に外国史のネタである。 20日の中国、新華社電によると、中国社会科学院考古研究所は河南省偃師の二里頭遺跡で、少なくとも3600年前のものとみられる夏王朝の大型古代都市を確認したと発表した。二里頭遺跡は、紀元前1600年頃から同11世紀まで続いた殷王朝の都城遺跡として知られる偃師商城遺跡近くに位置し、同研究所は1998年に「夏王朝の都城」と指摘して、発掘作業を進めていた。殷に先立つ王朝として「史記」に記述がある夏王朝については、中国以外ではその存在を疑問視する声も多く、議論を呼ぶ可能性もある。同研究所によると、都市跡は南北約360〜370m、東西役300mの約10万uで、土を突き固めた幅約2mの壁で覆われていた。都市跡内は、道路を含めた中心軸を基準に、整然と計画的に配置されているといい、幅約10〜20mの道路に四方を囲まれた宮殿や、中心軸の両側に対称的に配列された建築群も発見された。中国古代都市が二里頭遺跡までさかのぼることを示すもので、建築群の区画や道路網の建設、土木技術など注目すべき点は多々ある、と発掘に当たった同研究所の博士は述べている。 |
平成16年7月20日(火) 福井豪雨 |
福井県福井市周辺で18日に猛烈な豪雨が市民を襲った。本日付の新聞によれば、わずか4時間で1ヶ月分の雨量を超す勢いだったことが判明した。福井地方気象台などによると、18日の1日雨量は、福井県美山町で283_、福井市で197.5_を記録。時間別の雨量は、同日午前5〜9時が激しく、美山町で平均56.6_(最高87.5_)、福井市でも同43.6_(同75.0_)に達した。福井市の7月の月間雨量は、平均値が213.8_、昨年は270.5_だった。今月前半は降雨が少なかったが、18日の1日だけで同市周辺で平年並みか、それ以上の雨量が集中したことになる。 豪雨から一夜あけた19日は、被害の報告が急増した。堤防の決壊が5河川12ヶ所、がけ崩れや土石流などの土砂災害が27ヶ所、住宅全壊48、半壊130、床上・床下浸水11,000世帯など。JR越美北線は足羽(あすわ)川に架かる鉄橋6橋の流失で復旧のめどは立たないという。ある気象予報士によれば、典型的な梅雨の終りの集中豪雨で、北陸側では30年に1度くらいはこの規模で起きるという。空梅雨の時は大雨が降るとされ、今後も警戒する必要があるようだ。 |
平成16年7月19日(月) 鴻池 |
尾頭つきの「鯛の浜焼き」に、ウナギを卵焼きで巻いた「う巻き」。上方落語の「鴻池の犬」に出てくる大阪の両替商・鴻池の飼い犬のエサである。むろん作り話であるが、江戸時代の庶民にとって鴻池は巨万の富の象徴でもあった。鴻池は戦国時代、主に山陰地方を領有していた大名・尼子氏の家臣で、尼子十勇士の一人、山中鹿介幸盛を祖としている。鹿介の長男新六(幸元)が現在の伊丹市鴻池で大叔父にあたる山中信直に育てられ、やがて地元の名産であった濁酒の行商を始めたのが豪商への足がかりとなったのだ。井原西鶴の「日本永代蔵」に「江戸酒つくりはじめて一門さかゆるもあり」とあるように、鴻池は新開発の清酒を江戸に運んで財をなし、やがて元禄期には日本一の富商となっていた。貸借勘定と損益勘定を同時に行う日本最古の複式決算の記録を残すなど、合理的経営でも先端を走った。ただ、商売の拡大は全国諸侯への「大名貸し」によるところが大きかった。幕末には取引先の藩は76にのぼったが、そこを直撃したのが明治初期の廃藩置県だ。大名への貸付金は不良債権になり、新興の三菱などの財閥に後れをとってしまう。大きな時代のコーナーを曲がるのは難しいという訳だ。 四大メガバンクの一角を占めるUFJグループは、ルーツをたどれば一つは鴻池にいきつくのだ。かつての三和銀行が、鴻池財閥の中心であった鴻池銀行なのである。そのUFJが三菱東京グループとの経営統合へ踏み出すことになった。不良債権処理の遅れにより、単独での生き残りが難しくなったための選択らしい。統合が実現すれば、総資産190兆円という世界最大の金融グループが誕生する。1990年代から続いた金融界再編もこれにより一段落するものと見られている。日本の金融システムは、果たして大きな時代のコーナーを曲がりきることができたのだろうか。 鴻池が大名貸しで巨利を得ていた頃、三井総領家の三井高房は「大名貸しは賭博のようなものだ」と、これを禁じた。金融の歴史にも様々なアヤがある。それらを全て飲み込んだ3つのメガバンクは、今後どのような21世紀の富のドラマを見せてくれるのか気になるところだ。 |
平成16年7月18日(日) ブラスの響き | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今日は地元で第14回学生音楽祭「ブラスの響き」が市民会館で催された。要するに吹奏楽部に所属する各学校が舞台で演奏するというわけだ。私も高校時代に寝屋川高校吹奏楽部部員として、ここで演奏したことがあるのでおなじみのものである。ここで挙げても仕方ないが、出演団体と演奏曲目を以下に列挙してみる。知っている曲は幾つあるだろうか。
|
平成16年7月17日(土) 山鉾巡行 |
京都の夏を華やかに飾る祇園祭の山鉾巡行が本日あり、豪華な懸装品で「動く美術館」とも言われる32基の山や鉾が、「コンチキチン」の祇園囃子(ばやし)とともに約3キロの都大路をゆっくり進んだ。沿道には約20万人(正午現在、京都府警調べ)が見物に訪れ、四条河原町の交差点などで、重さ十数トンの鉾が青竹の上を滑りながら直角に向きを変える「辻回し」を披露すると、拍手や歓声が上がった。「エンヤラーヤ」の掛け声とともに、先頭の長刀(なぎなた)鉾が午前9時に京都市下京区四条烏丸を出発。四条通に渡したしめ縄を稚児(毎年違う子供が選出)が鉾の上から太刀で切って始まった。 私は今まで、「宵々山」や「宵山」は行った事があるのだが、山鉾巡行の日はどうしても都合がつかない時が多くて見た事がなかったので、今回こそは、と見に行くつもりだった…のだが、出遅れてしまって間に合わなかったのだった。ただ、その後の鉾の解体作業を目にすることができた。お気に入りの一つである菊水鉾(室町通四条上ル)の様子をじっくり見学。上の方から順に丁寧に鉾を解体していく。その様子を見ていると、大きな立体パズルをやっているような気分だ。鉾は釘一本も使用せず、全て縄でしっかりと絞めて固定しているのだ。外された幾つもの木製の部位は一つ一つ倉(倉庫か?)のような所に丁寧になおされていくのだ。そして来年の7月まで、しばらく休息の時を迎えるのだろう。京都の何百年もの伝統が町衆の手により代々伝えられている様子が目に焼き付けられた1日であった。 |
平成16年7月16日(金) 宵山 |
昨日に続いて同じネタが重複するが、決して筆者のネタ出しの調子が悪いという訳ではない。それだけ祭への情熱が強い…という事にしておいてほしい。 本日は祇園祭は宵山を迎えた。毎年、昨日の「宵々山」や今日の「宵山」は何とか都合つけて(無理矢理つける場合も有)行く事ができる。今年も懲りずに四条通に足を出向かせた。笛や太鼓の音と「コンチキチン」のお囃子が鳴り響き、多くの観光客を目の当たりにできる。余談であるが、錦小路室町の一画の場所では、毎年この宵山の時にKBS京都がリサイクル素材で作成した、記念うちわ限定1500枚(くらいだったか)を限定配布するのだ。午後2時から1時間毎に限定数配布し、無くなり次第終了である。うちわの裏には、鉾の形とその場所及びマップが掲載されており、鉾を巡る観光客にはたまらない一品である。 ところで、四条通を西進していると、芸人の「安田大サーカス」(知ってるか?)の3人と遭遇し、道中をすれ違った。生で芸能人のすぐ真横を横切ることなぞ今まで1度たりともなかっただけにちょっと気分高揚である。ちなみにその3人はその後、四条通柳馬場にあるドコモモバイルメディアラボ京都店に向ったと思われる。夕方頃に店内でテレビ番組「らくらぶ」(森脇健児メインだったか)の収録が行われていて、そのゲストだったようだ。残念にもその様子は見てなかったのだが。 午後6時、四条通が歩行者天国と化すと、一挙に観光客数が増加してきた。その後は、京都某所で勤務している友人と四条烏丸で再会し、無謀にも北山通沿いにあるラーメン屋へ徒歩で向おうとした。しかし、天候が怪しくなって来たので、今出川から地下鉄に乗込んで店へと向った。今日は昼からひたすら歩きまわっており、歩行距離数総計して10キロは凌駕したものと思われる。…というか、歩き過ぎだな。 |
平成16年7月15日(木) 宵々山 |
日本三大祭の一つである、京都祇園祭は本日宵々山を迎える(昨日は宵々々山。「々」が多いこと…)。四条通一帯は浴衣姿の人々がうちわを手に夜遅くまでそぞろ歩きを楽しんでいた。午後6時から四条通の鉾町(ほこまち)一帯は歩行者天国に変化。駒形ちょうちんのほのかな明かりに彩られ、笛や太鼓の音と「コンチキチン」のお囃子(はやし)が響く街角に浴衣姿の若者や家族連れが足を運んでいた。京都府警の調べによれば、人出は約32万人(午後11時現在)という。各町会所では、胴掛などの懸装品や屏風(びょうぶ)絵を飾る「会所飾り」に多くの観光客が訪れ、立ち並ぶ32基の山鉾(やまほこ)の周囲では、厄除けのちまきや扇子が販売されていた。また、山鉾の一つである、菊水鉾は今年から、懸装品が白色発光ダイオード(LED)1万個を使用した光で照らし出された。通常の照明とは異なり、LEDの光は熱をほとんど持たず、懸装品を傷めることがないという。古今の技術を取り入れた面白い試みである。ちなみに、後に新聞に掲載されたのだが、京都市は昨年の観光客数が過去最高の4374万人(前年比3.7%増)だったと発表した。もの凄い数の人間が京都の地に足を踏み入れていた訳だ。 |
平成16年7月14日(水) 大手行統合 |
突然だが、穴埋め問題を以下に呈じる。見ての通り、銀行名である。幾つご記憶あるだろうか。なお、空白部分は漢字もしくは平仮名、かっこ内の銀行はかっこの前の銀行の合併前の銀行である。 例―東京三菱銀行=東京銀行+三菱銀行 問1―みずほ銀行=○○○○銀行+○○○○銀行+○○銀行 問2―三井住友銀行=○○○銀行(○○○○銀行+三井銀行)+住友銀行 問3―UFJ銀行=○○銀行+○○銀行 問4―りそな銀行=○○○銀行(○○銀行+○○銀行)+○○銀行 閲覧者各方は幾つ解答できただろう。ちなみに私は半分しか覚えていなかった。さて、いきなりだが解答を以下に挙げる。 解答(問ごとに手前から順に); 問1―第一勧業、日本興業、富士 問2―さくら、太陽神戸 問3―三和、東海 問4―あさひ、協和、埼玉、大和 これらは今から約3〜4年前の事である。これらだけでなくまだ幾つかあるが、それでも銀行同士の合併が相次ぎ、今では全て完全にご記憶できてる人も少なくなっているだろう。そんな中でまた紙面1面に合併の話が出てきた。UFJが三菱東京と統合することになったのだ。UFJは大口の不良債権処理や収益力強化、資本増強などの課題を自力で行うのは困難と判断し、再編にかじを切ったのである。三菱東京も前向きに検討する方針であり、統合が実現すれば、総資産は約190兆円となり、みずほフィナンシャルグループ(FG)を抜いて、世界最大の銀行グループとなることに。かつて2000〜01年に4グループに集約された大手銀行は「ビッグ3」の時代に突入する。UFJは、信託を含めた前面統合を実現するために、住友信託銀行に対し13日に、UFJ信託銀行を売却する合意を白紙撤回することを通告。大口取引に強い三菱東京と、個人、中小などの小口融資に強みを持つUFJの組み合わせは相互補完性が高いと市場では受け止められている。今後の展開も注目すべきであろう。 |
平成16年7月13日(火) 風力発電 |
大阪の環境市民団体や大学教授らが市民出費による風力発電を始めようと、「自然エネルギー市民の会」を設立する。市民による風力発電は国内では北海道と青森、秋田に計3基が稼働しているが、西日本では計画されているものはない。設置に約2億円が必要なのだが、市民からの出資金などで実現を目指す予定である。 同会は、一般家庭800世帯の電力がまかなえる最大出力1500キロワット程度の風車を想定。平均秒速6mの風が採算に必要とされ、風の強さなどを測定する調査を鳥取市や和歌山県吉備町などで既に始めている。風力発電は環境に配慮した新エネルギーとして飛躍的に伸び、3月現在で全国に735基(発電容量67万7000キロワット)ある。大半は企業や行政主導の第三セクターによる事業で国内の総電力量の0.1%にも満たない。一方、国内総電力量の約15%を風力発電でまかなうデンマークは約8割が市民出費によるものだ。ドイツなどでも市民出費の風力発電は一般的になりつつあるという。青森の風力発電(最大出力1500キロワット)は、環境NPO(非営利組織)が運営している。事業費3億8000万円のうち政府関係団体の半額補助を除き、1口10万円の市民出費でまかなった。発電した電力は、電力会社に売却し、市民に利益を還元しているのだ。 同会代表は、市民出費の風力発電の意義について、「地球温暖化は市民の協力がないと防げない。市民が出費して風車を造ることで、持続可能な社会形成の為の啓発やきっかけになる」としている。今後の環境問題の深刻化を防止する為にも、我々市民が手を取り合って行動せねばならないだろう。是非とも真剣に考える機会を持ってほしいものである。 |
平成16年7月12日(月) キトラ古墳・続編 |
奈良県明日香村の特別史跡・キトラ古墳(7世紀末〜8世紀初)について、文化庁は12日、専門家でつくる調査研究委の会合を開き、天文図(天井)を初めて真下から撮影したものなど、石室内の詳細なデジタル写真を公表した。天文図の分析の結果、特定の星だけを大きく表現していたことが分かり、専門家は「朝鮮半島と同じ特徴」と指摘。壁画のルーツ解明は、被葬者像を探る重要な手掛かりとなる。また、出土した人骨は40代以上の可能性が高いことも判明した。 天文図には、丸い金ぱく(直径6mm)で表現された星が約350個あり、これらを朱線で結んだ68星座を確認。この中には、「織姫(ベガ)」と「彦星(アルタイル)」もあった。また、天狼(シリウス)、老人(カノープス)など4つの星が、直径約9mmと大きいことも判明。分析した教授によれば、星に大小があるのは朝鮮半島の伝統という。天文図は中国から直接伝わったのではなく、高句麗(朝鮮半島北部、紀元前1世紀〜668年)でアレンジされた可能性が高い、とした。 人骨は、発掘で頭蓋骨の破片や歯など計十数点が出土。歯の磨り減り具合から死亡年齢を40代以上と推定したが、骨の数が少なく性別は絞り込めなかった。日本書紀や続日本紀には、700年前後の約70年間に、古墳に葬られた可能性のある死亡記事が65人掲載されているそうである。学者の中で最も根強い説は、第40代天武天皇の息子や娘の墓というものだ。キトラと高松塚のある一帯は、天武・持統合葬陵や、真の文武陵とされる中尾山古墳などが集中しており、天武天皇にゆかりの深い人物たちの「陵園」との説がある。地名の「阿部山」などから703年に69歳で没した右大臣・阿部御主人(みうし)とする説や、一帯を拠点とした渡来系氏族・東漢氏(やまとのあやうじ)の有力者も想定されている。 しかし、現時点では、それ以上の詳細な分析は難しいそうだ。今後の更なる有力情報を待ちたい。 |
平成16年7月11日(日) 龍馬直筆手紙の競売 |
土佐藩が生んだ維新志士、坂本龍馬(1835〜67)が姉宛てに書いた手紙が19年ぶりに公開され、11日に東京・神田で開かれる「七夕古書大入札会」に出品される。当時の婚約者を絶賛する内容で、龍馬の人柄を知る貴重な資料として関心を集めている。 この手紙は文久3(1863)年8月に姉の乙女に宛てて書かれたもので、婚約者のおさなという女性について、「馬によくのり剣も余程手強く、長刀も出来、力はなみなみの男子よりつよく」「かほかたち(中略)よし」とつづり、音楽や絵の才能、気立ての良さなどを褒めちぎっている。おさなは龍馬が江戸に遊学中に入門した道場の娘で、動乱の世が落ち着けば夫婦になると約束していた。龍馬はその後、江戸を離れ、婚約から9年後に京都で暗殺されるが、その時はお龍と結婚していた。一方、おさなは生涯独身を貫き、父親が龍馬のために用意した小袖を形見として大切にしていたという。1985年に札幌の展覧会で初公開されたが、所有者が匿名だったこともあり、専門家の間でも所在不明とされてきた一品。入札会は東京古書会館で業者のみで行われ、最低価格450万円からスタートする。主催者は「既に問い合わせ多数に及び、落札価格は倍くらいになるかも」と話している。 この手紙、現代に当てはめれば、自分の婚約者を絶賛する文章を、実姉にメールしたという事になろうか。メールは手軽で時間がかからない反面、機会で打ち出した文字の羅列なだけに筆者の心情に欠けると思われがちだ。私も特に大事な(と思われる)用件の文章はハガキや封書にしたためるように意図している。身辺上大事な内容のものはやはり、時間を要されても自分で筆をとって郵送すべきだと思う。その方が自分の心情がよく伝わる気がするのである。あくまで筆者の信念であるが。 |
平成16年7月10日(土) 日本史雑記 |
明日は「歴史能力検定」という資格試験の日である。日本史・世界史別で実施され、難易度は小学生レベルから一般までの5階級ある。私は日本史2級を受験することになっている。個人的には日本史愛好者として、最高位の1級(第2回12月のみ実施)を極めてその能力に磨きをかけたいところだ。 折角なので、資格試験受験に引っ掛けて日本史から少々問題をここに呈じてみる。本来なら4択選択式(1・2級のみ一部記述式)なのだが、記述式で設問する。閲覧者各方は是非雑学享受として挑んでいただきたい。回答は掲示板なり何なりと答えていただいて結構である。 初級編 問 935年、関東で「新皇」を名乗って反乱を起こした武将は誰か。 中級編 問 大日本帝国憲法が公布された年の内閣総理大臣は誰か。 上級編 問 新古今和歌集の選者のうち、藤原家の出ではない人物は誰か。 超級編 問 神々の国とされる高天原から日向高千穂峰に降り立ったという、いわゆる天孫降臨を成した天皇家の先祖とされる人物は誰か。 上記設問の解答は近々公表する、という事で。 |
平成16年7月9日(金) 大陸反攻の夢潰えし |
近代の日世両史で登場した、知る人ぞ知る中国人の記事があったので紹介してみる。 台北郊外に仮安置されてきた台湾の元総統、蒋介石・蒋経国父子の遺体が来春、台湾で埋葬される見通しになったのだ。「大陸反攻」(武力による中国大陸の再奪取)を掲げ、中国全土の統一を目指した父子は、生まれ故郷の中国での埋葬を望んだとされるが、遺族がこれを断念した。根底には台湾で本土化路線が進んでいる現実も影響しているようだ。 最大野党の国民党の幹部らの説明によると、経国氏の夫人ら遺族全体がこのほど、遺体の仮安置を管轄する国防部(国防省)に台北県汐止市の五指山国立墓地での埋葬を願い出たという。内戦に敗れ、逃れた台湾で国民党独裁政権を築いた蒋介石氏は1975年、長男の経国氏は88年にそれぞれ総統在任中に死去した。2人の遺体は現在、桃園県内に仮安置され、薬物注入により死亡時そのままの状態で保存されている。 国民党政権時代にいったんは「国家統一後、大陸へ移送し正式埋葬する」と決めたが、経国氏を継いだ台湾出身の李登輝前総統が台湾独自路線を推進。さらに台湾出身の陳水扁総統もこれを継承し、台湾住民の"中国離れ"が進む現実がある。また、総統選に2回連続し敗れた国民党内も本土化意識が高まっており、遺族等は「死者の霊を慰める為に」と台湾での埋葬を決意したという。総統府は全面協力する方針で、陳総統の与党・民進党も「両元総統が台湾の大地に永眠するのは極めて深い意義がある」と評価し、政治的な効果も計算しているのだそうだ。 政治家となると、その遺体ですら政治的利用を計算されるというのか。死者は果たして落ち着いて永眠できるのだろうか。遺言が叶わなかった死者の気持ちが知りたいところだ。 |
平成16年7月8日(木) 伊能大図の全容 |
江戸時代の測量家、伊能忠敬が作成した最も詳細な大図(3万6000分の1)のうち、欠図4枚が海上保安庁で発見され、全214枚からなる伊能大図の全容が明らかになった。総計4万キロの足跡がひとつに繋がったのである。稚内、京都、広島、愛媛などを含む4枚は、16日から北海道釧路市で開幕する「伊能大図里帰りフロア展」に追加展示される。縦60m、横30m、約1000畳に、国後島南部から屋久島までの巨大な日本列島地図が姿を表すのである。 東京都中央区にある同庁の海洋情報部の書庫には海軍省から引き継いだ伊能図の模写141枚が保管されていたが、不揃いで縮尺もまちまちだった為、これまで外部の関心を引かなかった。伊能大図の正本は1821年、小図3枚、中図8枚とともに幕府に提出された。江戸城には500畳ほどの大広間しかなく、西半分が並べられただけだった。その後、東西合わせて並んだとの記録はなく、釧路での全国展示が史上初めてとなるのだ。この正本は、ウィーン万博に出品する日本全図を作成中の1873年、皇居炎上により喪失。その後、副本が伊能家から明治政府に献上された。内務省地理局、陸軍省参謀局、海軍省水路局などが模写し、近代日本の地図作成の基礎としたのはこの副本なのである。ところが、副本もまた1923年の関東大震災で焼失。山口県文書館、松浦史料博物館(長崎県平戸市)、国立歴史民俗博物館、国立国会図書館などで模写約60枚が残っていただけだった。 民間団体「伊能忠敬研究会」代表の渡辺一郎氏は10年あまり内外の伊能大図を捜索してきた。渡辺氏らは1996年頃、イタリア人外交官が幕末に持ち帰った伊能図模写を調べたのをきっかけに、他の国にもあるかもしれないと捜索を開始した。その過程で、2001年3月、米議会図書館で大図の模写207枚を発見し、残り4枚にまでこぎつけていたのだ。大図1枚は1畳ほどの大きさなのだが、今回発見された模写4枚は2分の1から3分の1ほどに縮小されていた。京都・琵琶湖南部が入ったものと稚内の2枚は、明治期に西洋から入ったケバ式とよばれる地図技術を取り入れ、濃淡によって標高差がわかる方法を使っている。大図では記号ではなく絵が使用され、模写でも集落の密集度合いや沼や城、耕作地などがわかり、200年前の風土や街の賑わいが浮かび上がってくるほどという。また、測量隊の足跡を示す朱の線のほか、宿泊場所の「○」、天測地点の「☆」なども色鮮やかなのである。 忠敬は京都に長期滞在しており、渡辺氏によると「測量日誌と大図を照らし合わせれば、さらに詳しい旅模様がわかる」と期待を膨らませている。是非とも一度伊能大図の全容を眺めてみたいものだ。 |
平成16年7月7日(水) 七夕 |
本日は七夕という事で、関連ネタを一つ呈じる。 北の空に白く輝くこと座のベガは1等星よりも明るい0等星で、夏の星座の中では最も明るい星である。洋の東西を問わず古くから伝承に語られてきたのは、この星が13,000年前には北極星だったためではないか、といわれる。わし座の首星アルタイルは1等星の中では中位の明るさである。天の川を挟んでベガが織姫、アルタイルが彦星だが、彦星が牛飼い星といわれるのは、近くにタラゼット、アルシャインという2つの星を従えているからである。 「織女(たなばた)し船乗りすらし真澄鏡(ますかがみ)/清き月夜に雲立ち渡る」――織姫が船に乗るらしい(その櫓のしずくで)晴れた月夜に雲がかかってきた。古代の歌人大伴家持の一首である。古代の万葉集には七夕の歌が約130首も集められているのだ。中国から伝来した織姫と彦星の物語は、よほど古代人の心を掴んだのだろう。家持の歌では、中国の原話と同じく織姫が川を渡るのだが、万葉集の多くの歌では、日本の習俗にあわせて彦星が織姫のところへ通う形で歌われている。日本人はこの物語を日本化し、古今集以後も2つの星の結びつきを願う人々の祈りを歌い継いだのである。 拉致被害者の曽我ひとみさんが近日インドネシアで家族との再会が実現される。この七夕の歌と同じくらい、当人も強く再会を祈願していたのだろう。 |
平成16年7月6日(火) スーパーセル |
恐らく諸君はもう覚えてないかもしれないが(私もその一人)、先月27日に佐賀県佐賀市で発生した竜巻は「スーパーセル」と呼ばれる特殊な積乱雲によって起こされたとの見方が、専門家の間で強まっているという。決してド○ゴンボールに登場した人造人間を取り込んだ完全体の生物の別称ではない(考えるやつもいないか)。佐賀市の被害住宅は344棟で、「全国でも史上5本の指に入る規模」(佐賀地方気象台)の大きな竜巻だった。実は過去にもスーパーセルは大型の竜巻を引き起こしているのだ。 竜巻は午前7時17〜24分頃に発生。九州北部では同月24日から停滞前線が活発になり、大気の状態が不安定になっていた。その影響で、午前7時頃に佐賀県内で発生した積乱雲は東北東方向に移動し、竜巻の発生時間に佐賀市付近に差しかかった。同気象台では竜巻発生時、1時間当たり164_の瞬間的な豪雨を観測、最大瞬間風速は毎秒18.1mであった。同気象台での気圧は急激に2hPa(ヘクトパスカル)下がった。その後の分析では、竜巻は時速65kmで東から北東方向に進んだと推測されている。顕著な被害の幅は平均約40m、長さは約1kmだった。 竜巻には2つのでき方がある。1つは冷たい空気と温かい空気がぶつかる前線付近で空気の渦が発生し、その上空を強い上昇気流を持つ積乱雲が通って渦を引き伸ばすタイプである。規模は小さく、数分間で収まる。もう1つは、内部に直径5〜10kmの小さな低気圧を持つ「スーパーセル」が起こすタイプである。国内最強の竜巻だった千葉県茂原市(90年)や愛知県豊橋市(89年)のケースで、スーパーセルが確認されている。スーパーセルはもう一方のタイプに比べて持続性が長く、数十分長く続くこともある。小さな低気圧の存在を示すデータと、広域に及ぶ被害は、スーパーセルが発生した可能性を示している。しかし、これに疑問視する意見もあり、最終的な結論はしばらく先になりそうである。 ところで、世界の竜巻研究に貢献した一人の日本人研究者がいた。竜巻の規模を示す国際基準を確立し、「ドクター・トルネード(竜巻博士)」と呼ばれたシカゴ大名誉教授の故藤田哲也氏である。国際基準は、「藤田スケール」と呼ばれ、レベルは「F」で示される。レベルはF0〜F5まであり、数値が高いほど危険性が増す。これを用いて表現すると、彼の活躍の舞台であった米国では、年間750個もの竜巻が発生するのだが、このうち「F4」「F5」の大規模な竜巻が年間2〜3%発生し、多くの死者を出すなど被害も大きい。一方、日本では竜巻の発生件数は少なく、茂原市や豊橋市(共に「F3」)の例を除くと、大半は規模が「F0」と「F1」である。佐賀市の竜巻では規模が「F2」とみられる。しかし、実際のところ、日本での竜巻発生は年間20例ほどで、事例が少なく、分析も十分進んでいない。信頼度の高い情報を出すのはまだ難しいというのが現状である。 |
平成16年7月5日(月) タイタン |
7月2日の土星の話の続編……という事でもないが、新たな土星関連ネタを挙げる。 米航空宇宙局(NASA)は3日、土星の周回軌道に入った米欧共同探査機「カッシーニ」が撮影した土星最大の衛星タイタンの地表写真を公開した。例(?)によって各自新聞やネットで確認されたし。氷や炭化水素らしき物質や活発な大気活動を示唆するメタンの雲なども見られるという。タイタンは窒素が主成分のスモッグのような厚い大気に覆われている。大気を透過してきた赤外線放射などで地表の様子をとらえたのだ。また、北半球にはクレーターらしきものが写っている。南極付近にはメタンの白い雲が浮かんでおり、カッシーニ科学チームによると、他の雲に比べて非常に大きな粒子で構成されており、「活発な大気活動が存在する事を示す」という。カッシーニは今後45回、最短で950kmの近距離からタイタン観測を行う。来年1月には子探査機「ホイヘンズ」も投下するそうだ。 …写真がないので、何やらわかりづらい文面になっているが、そこは各自で確認して「へえ」と唸ってほしい。 |
平成16年7月4日(日) 親潮の危機 |
地球温暖化がこのまま進行すれば、東日本沿岸まで南下している親潮が、2070年頃には日本沿岸に達しなくなる可能性があることが、気象庁起気象研究所のシミュレーションで判明した。北海道や東北の東方海上の年平均海面水温が現在より4〜5度上昇し、サケやニシンが取れなくなるなど、水産業にも大きな影響を与えそうだ。 シミュレーションでは、世界各国が二酸化炭素の排出を続けた場合を想定。気象研究所の地球全体の気候モデルを使い、2070年頃に年平均気温が2.5度上昇した場合、日本周辺の海流が受ける影響を分析した。その結果、北極周辺で低気圧が強まり、中緯度地域では高気圧が強まった。北緯50度付近で強い西風が吹き、黒潮は北太平洋南部を時計回りに循環する為、西風によって流れが強められる。反対に、時計と逆回りの親潮は弱まるという。 温暖化やオゾン層破壊などの環境破壊は今すぐ行動を起こしても、効果がでるまでに約十数年かかると聞いた事がある。万一の事態を防ぐ為にも、我々人類が早急に対策を講じて行動を起こす機会を設ける必要があると思う。 |
平成16年7月3日(土) ヘビの祖先の最古の化石 |
画期的新発見があった、生物学ネタを提起する。古代恐竜時代の事なんで、やはり歴史ネタなのかもしれないが。 石川県白峰村桑島の白山山系にある中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)の地層から、ヘビの祖先に繋がる爬虫類「ドリコサウルス」類の新種とみられる化石が発見された。2日に発表した県教委などによると、ドリコサウルス類は欧州の浅い海の地層でしか発見されておらず、ヘビは欧州の海を起源とする説が有力だったのであるが、今回はそれを約3000万年さかのぼる世界最古のもので欧州以外で初めて陸地の層から見つかったのだ。 化石は背骨の胴から尾の付け根までの約15cmで、大腿(だいたい)骨も確認された。推定全長は40〜50cmで、これまで発見されたものよりも3〜5割胴が長い。発見された層の周辺は陸地で、新種のドリコサウルス類は手足があり、川辺の湿地を体をくねらせて這い回るように歩いたとみられている。 ドリコサウルス類はこれまで、欧州で白亜紀後期(約9900万〜6500万年前)のものが6種類発見されているが、ヘビとは別の道筋で進化して絶滅した。また、化石が見つかった場所が海の地層だったことから、現在のヘビの体形は海で泳ぐ間に胴体が長く手足がない形に変化してきたとの説が2000年に発表されていた。今回の発見は、ヘビの起源がそれまで欧州の海とされた通説の議論に、アジアの川辺である可能性が出てきたという一石を投じるとても貴重な発見な訳だ。 |
平成16年7月2日(金) 土星の輪 |
誰もが知る輪を備えし遠望の惑星、土星に関するニュースが飛び込んだ。是非に新聞やネットででも御覧なされてほしい。 米航空宇宙局(NASA)は1日、土星周回軌道に入った米欧共同の土星探査機「カッシーニ」が撮影した土星の輪の写真を公開した。土星の衛星の重力などにかく乱されて、輪が波状に歪んでいる様子が鮮明に写っている。NASAによれば、カッシーニは1日に軌道周回軌道への侵入が最終的に確認された。機体に損傷はなく、順調に活動を継続中だという。土星の輪の写真では、内側から4番目の「Aリング」を構成する多数の白色の筋の間隔が、場所によって狭かったり広がったりしている様子などが捉えられている。これは過去に米探査機で撮影された写真よりも約5倍も鮮明だという。 NASAによると、土星の輪はAからGまでの7つのリングで構成されているが、実際には数百から数千の輪に分かれているらしい。輪は数cmから数mの氷や岩石からできているが、詳しい成因は現在のところ分かっていない。今回の観測結果の分析から、形成の謎が判明すると期待されている。 |
平成16年7月1日(木) 特定郵便局の統廃合 |
日本郵政公社は全国24,700ヶ所の郵便局ネットワークの効率化を目指し、配置の本格的見直しに着手することを決めた。過密気味な都市部の特定郵便局を中心に、統廃合を含めて再編、コストダウンに繋げる方針だ。組織改正で同日に発足する「郵便局ネットワーク部門」が、民営化論議の動向を睨みながら具体案をまとめる。郵便局の配置は、これまでは局舎建て替えなどの際に個別に見直していたそうで、全国的に検討を加えるのは今回初めてという。 特定郵便局とは、全国に広く設置されている小規模な郵便局のことで、18,935ヶ所存在し、郵便局全体の77%占める(今年3月末現在)。このうち、集配業務をしているのは3,530ヶ所である。局舎の大半は所有者から公社が賃借している。 郵便局数は、高度成長期に都市部で増加したが、道路事情改善などで郵便物の集配可能エリアが広がっても配置がそのままの地域が多い。このため、複数局の集配機能を統合し、集配業務をしている局を無集配局に変えるなどの案が出ている。また、局自体の統廃合も検討する。その一方、地方の郵便局については、ユニバーサル(全国一律)サービスの要請があり、大幅な見直しは困難な為、市町村合併や過疎化の状況を見ながら判断することに。ただ、基準を設けた上で外部委託型の簡易郵便局に変えるなどの対策が必要だとする意見もあり、実現までにはもう少し時間を要する現状のようだ。ご近所にある特定局の存亡については、今後の公社の動向を注視するしかなさそうだ。 |