10数年前、ある西の城下町で子育てをしながら美術館のボランティアなどしていた頃・・・
今で言う「自分探し」をしていた頃でしょうか?

ある陶芸家の窯開きの宴で、
神戸の元町で小さな木彫りのお店を営んでいらっしゃるという、素敵な女性に出会いました。

実は同じ美術館のボランティア同士だったという偶然の邂逅にお話が弾む中で、
闘病生活を潜り抜けて「現在がある。」と云うことを伺い、とても驚きました。

女性らしい豊かな美しさ、明るく優雅な物腰から、翳りなど垣間見る事もできないのですから・・・・

その日、Kさんが仰ったある言葉
「今手探りでしている事は、ばらばらで単なる点にしか思えないでしょうけど、
人生は一つの大きな川に向かって流れているの。それを実感する日が来るわ。」

長い歳月に濾過され、今ではKさんのお顔を思い出すこともできないのですが、
山麓の窯の前に無造作に並べられた夥しい器の数々の上に、
真昼の光を浴びてきらきら降りしきる桜の花びらと、甘やかなKさんの口調はずっと心に残っていました。

そして今、私の人生は「花」という川に向かって流れていたのだと実感しています。

振り返ってみると、転勤族として慌しい子育ての日々、人生の折節、大切な人に逝かれてしまった痛手・・・
花に触れる事で自分を癒し、また歩いて来た私自身がいました。

転勤生活が終わった時、「ガーデニングできる所」を条件とし、
四季の花咲く庭を夢見て移って来たこの地で、一年前ささやかなフラワーアレンジメントの教室を開きました。
少しでもたくさんの方に、「花のある暮らしの喜び」「花は、自分自身への癒し」を伝えたいと願って・・・

そして、「Studio 風」の扉を開いて下さったあなたにも、今この言葉をそっと贈ります。


                                

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