2006年の記録

 

藤原道山 古典ライブ『壱』  於:世田谷パブリックシアター シアタートラム  12月24日

 「イヴに古典を聴くというのもなかなかいいものだよ」という言葉が聞こえたような気がしてその瞬間から私の手帳には赤丸で古典ライブという文字がくっきりと書き記されました。そうは言っても決して私が古典を理解している訳でもなく、じっくり味わえるだけの知識があるわけでもない。
 なのに、古典という言葉に惹かれてしまうのはやはりそこに父を重ねることが出来るからだと思う。

 ステージは緋毛氈を敷いた台が左右、中央に置かれもみじの葉が美しくちりばめられている。道山さんは黒の袴姿で尺八を一本もって登場し、正座で演奏しては一曲ごとに一旦退場する。一曲目の『慷月調』を聴いたときには遠い記憶が甦ったようで、懐かしいというよりもっと遠い記憶という感じで心の乱れを抑えきれなかった。不思議な感じだった。多分20年以上前の記憶。

 『乱輪舌』は2尺4寸管の低音で山登松和さんの箏との演奏だった。山登さんは「曠の会」で何度か演奏を聴かせてもらっていたが、もとても器用に楽器をこなす方で印象に強く残っていた。そして今回のステージでも『さらし幻想曲』では三本の三味線を使い分けるなどやはり素晴らしい演奏を聴かせてくれた。

 『手向』もとても静かで美しい旋律のせつない曲です。心に染み入る深い味わいがあり、いつまでも時間に身をあずけていたい感じがします。 『五段砧』は作曲者である光崎検校が幕末に新しい音楽へチャレンジするが如く作ったそうですが、それは今の道山さんの精神に通づるものがあり、ここで演奏するにふさわしい気がします。

 今回のライブはまさに道山さんの原点をみたようで、古典曲の素晴らしさを知った気がします。

 私は尺八が古くさくて、古典曲が退屈でどこがいいのか全然理解できなかったけれど、そんな中で出会った道山さんの超絶技巧な洋楽やポップスはとても新鮮で飛びついてしまったけれど、今改めて道山さんから古典の素晴らしさを教えられた気がします。

 やっぱりここが原点。すべてはここから始まっているということですから。

 

 

尺八の音楽ー古典への誘いー  於:朝日カルチャーセンター  12月9日

 道山さんの講演を聴いて来ました。今回は尺八の古典曲を中心に、今に至るまでの変遷、技法による表現の違いなどを詳しく説明してもらいました。

700年前に作られた「虚空」という曲は古伝三曲のひとつですが、楽譜による伝承がなかった時代、耳から覚え伝えられるうちに少しずつ変化し、伝えられた寺によって様々なかたちで残っているとのことです。

道山さんの都山流は明治時代に中尾都山によって生まれた流派で、歴史も浅く、本曲「峰の月」は昭和21年に作られたものです。
法器として生まれ、時代の流れに抹消されそうになった時期もあり、それを音楽として受けとめる民衆の力で楽器として甦った。

乾湿によって状態が変化し、一本一本がひとつとして同じものがない。デリケートで我が侭、プライドの高い楽器です。故に奏者はその特性を把握し、楽曲によって使い分けているそうです。
長さの違いによる高低の違いで使い分けているのかと思っていましたが、それだけではないようで、ますます奥深いものだと感心しました。

 

シルクロードの風        於:横浜みなとみらい大ホール  11月8日
    FAO TeleFood チャリティーコンサートー東洋と西洋の音楽が出会い一夜

このコンサートは世界中の8億5400万人の飢餓で苦しむ人たちを救う為の「農業への投資」キャンペーンの一環です。コンサートの収益金や募金の全てが食料が不足している人々の食料確保と自立支援のためのプロジェクトに投入されます。
日本では「飢餓」など考えられませんが、被災地や開発途上国では実に多くの子供が飢餓によって命を落しているのが現実です。美食を優とし、飽食の中で食品を捨てることにも躊躇のない日常からつい忘れてしまいそうな現実を改めて思い起こし、身の引き締まる思いがしました。

オープニング
タナーコミュニティーアンサンブルの演奏で「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」(モーツアルト)と「おコメの歌」。タナーコミュニティーアンサンブルとは横浜インターナショナルスクールの吹奏楽部その関係者で編成されていて、子供から大人まで年齢層も幅広い。そこへ100人の「おコメの歌」を歌う会のみなさんでステージはいっぱい。

前半
ピアノ、チェロ、パーカッションのアンサンブルで喜多郎の「シルクロード」と葉加瀬太郎の「情熱大陸」。パーカッションの神田佳子さんはいつも情熱的な演奏。
つぎに道山さんが登場し「花」と「アランフェス協奏曲」。アランフェス協奏曲はとっても心に沁みた。チェロの「明日」も、懐かしい温かいメロディー。最後の「リベルタンゴ」では神田さんがカホンという四角い箱のような楽器に座っておもしろいアレンジで楽しませてくれた。

後半
藤原道山の世界と題し、まずは「鶴の巣篭り」。ここでなんとみやざきみえこさんの登場。久しぶりに見るみやざきさんはシックなグレーの衣装に肩まで伸ばした髪。みやざきさんの曲「潮流」と「みつばち」。みつばちのアレンジはスピード感もあってすごい。どうしてこんなメロディーが自然に出てくるものか!
「春の海」もここで聴けるとは思わなかったが、新鮮な感じでとても良かった。

「自由の大地」や「アジアのこころ」など雄大な景色を想像させる選曲が多く、聞いていてもとても大らかな気持ちになる。「東風」もひと味違い、いつもと違うセッションにかける道山さんの心意気を感じた。

アンコール
全員で「上を向いて歩こう」

選曲も新鮮で、とても爽やかな気分になれたコンサートだった。

 

 

藤原道山コンサート       於:三の丸芸術ホール  11月5日

館林三の丸技術ホール。駅前のバス通りをまっすぐ下るとこんもりとした森の中へと誘われる。
なだらかなカーブに添って左手に文化会館、右手に三の丸芸術ホールがひっそりと佇んでいる。三の丸芸術ホールは小さな円形のホールでステージと座席がとても近い。その小さなホールさえ開演間近になっても閑散としている。そんな中で時間ぴったりにステージは始まった。

前半:道山さんは髪を後ろに流し、黒のスーツで尺八を4本抱えて登場。まずは彼の代表曲でもあるアメイジング・グレイスを演奏。素朴な響きに聴き入っていたが、よく見るとマイクがない。そうか、この広さだとマイクはいらないわけだ。ときどき試み的にマイクなしの演奏はあるが、結局このステージは最後までマイクなしだった。

ここで妹尾さんが紹介され、日焼けの残る笑顔でピアノに向かう。CD「かざうた」より「月の鏡」と「はじまりの音」。曲紹介を道山さんが間違い妹尾さんに「あがっているの?」と突っ込まれる場面あり!

次は二人の出会いの曲である「ディープリバー」。2004年にこの曲で出会ってからふたりはいつも一緒。こんなにいつも。両思い?片思い??

次は即興で「秋の多々良沼」。紅葉のはじまった多々良沼に風が吹き抜ける様子を想像しながらというのが妹尾さんの解説。ただ、ふたりの波長がちょっとしっくりこない感じがしたが・・・聴いていてハラハラする感じ。
そして前半最後はやっぱり迷いを吹き消す「琥珀の道」。今日はジャズを意識したような軽やかなアレンジ。

後半:和服に勝負笛。本曲、「峰の月」をしっとりと演奏。
最近、曲が始まる前の両手で尺八をもって、頭を少し下げてひと息おいて・・・という祈るようなポーズがないのがちょっと淋しい。あの一瞬で客席もぐっと引き締まるのに。

ここでMC。尺八の説明ですね。真竹、指穴、息・指・首の三種の技法。それから、映画「武士の一分」の宣伝。

次に「SEVEN SAMURAI」。フルバージョンで聴きたかったが長い曲なので無理なのだろうか。

館林名物?。ぺったんこ祭り・・・赤ちゃんのおでこにハンコをペタンと押して健康を祈願するお祭りがあるそうです。それから、うどん。確かに駅からの道々にうどんやさんの看板を目にした。
道山さんが「僕たちも帰りに食べていこうと思っています」と言うので、私も今夜はうどんに決まり!

ここで、マイクを妹尾さんに渡し道山さんは一旦退いて妹尾さんのソロに。「明るい曲でいきましょう」と言ってはじまったのが「男はつらいよ」。私は妹尾さんのこの曲を聴くのは初めて!他の人のレポで読んでいたが、今回聴けて感激^^)*

着替えた道山さんが再び登場。臙脂の勝負服だ〜。妹尾さんの「蒼茫」。字の説明がおもしろい。
道山さんが、「蒼は草冠に倉でしょう」と言うと、妹尾さんが「そうそう、茫は草冠にサンズイに・・・未亡人の亡だよね」。ええ〜〜、未亡人ですか===^^続けて「春告鳥」。

ここで最後のMCがあり、あっという間に残す2曲へ。曲数としては充分。いつもながら2時間のステージは夢のごとし。「空」、「東風」はとっておきの2曲でしょう!

アンコール:ソロで「リンゴ追分」とコラボで「金髪のジェニー」。

道山さんが少し疲れているように見えたのが気のせいならいいのだけれど・・・

 

 

SEASONS CONCERT 秋    於:原宿クエストホール  10月7日

 秋の気配の深まるこの頃にふさわしい、風と香りの感じるコンサート。

美しい舞台花がステージ一面に華やかで温かみのある彩りを演出している。
そして、花の香りとともに会場全体を仄かに秋の香りが漂っている。何の香りだろうか。とても自然な木の香り。少しだけフルーティーな甘さを含んだような・・・・
一瞬、右脳の斜め後ろあたりがジワジワと痺れるような感覚が走った。

後ろのスクリーンには深い蒼の空が広がり、真っ白な雲が流れ、そして留まる。時間とともに暮れなずんでいく空の色。オレンジ色の夕焼けに染められやがて紫の帳に覆われる。

一部
VIE VIEさんのしっとりとした朗読ではじまる。日本語とフランス語を織り交ぜながら語りかける詞は不思議な異空間を創造させる。あたかも異国の地の片田舎。秋の夕暮れには虫の羽ずりの音さえも賑やかに聞こえてくるような静けさ。

鈴木理恵子さんのヴァイオリン、西村正秀さんのギターで優しい音に包まれ何故か切ないような懐かしいような気分になる。

二部
雰囲気は一転し日本の秋を演出。岡田達也さんの朗読も永井荷風、高村光太郎など日本を代表する詩人のもの。情感豊かな語りかけは一服のお芝居を見ているよう。

道山さんの「道」はコンサートではなかなか聴く機会がなく、今回の演奏はとても嬉しかった。「月の鏡」は今日のコンサートにぴったり雰囲気。短調の不安定な旋律が儚さ、もの悲しさを感じさせる。


冷たい風が吹き抜ける。

音は風・・・風は詩・・・詩は光・・・

 

邦楽美術館ジャック   於:横浜美術館  9月4日

横浜美術館へ行ってきました。 
横浜美術館と能楽堂との共同企画で、美術館の中で、美術館の閉館後ライブの観客が入場するシステムになっている。

「美術」と「音楽」のコラボレーション。音楽を聴きながら美術を楽しむことができるというコンセプト。しかし、奏者は美術館内を演奏しながら歩くため、皆自分のお目当ての奏者を間近で見ようと、周りを取り囲んでいる。

道山さんの他に、シチリキの中村仁美さん、沖縄三線の仲嶺伸吾さん。どう見ても道山さんファンが多い。演奏はみな古典の曲でちょっとなじみが浅いが、異次元のノスタルティックな雰囲気が表現せれていて、厳かな気持ちにさせられる。
 
古の時、神と人類が共生していた時代を偲ばせるような音、空の音であり、地の音であり、風の音でもある。メロディーやリズムに支配されない、ただ時の流れが音になったような、いつまでも聞きつづけたい音。 人間の眠っている深い感性を呼び覚ますような音。 

美術館の中、どこから現れるかも誰から始まるのかも全く知らされないままで、音の聞こえる方向に意識を集中させるとだんだんに近づいてきて姿が現れる。或いはある一室にセットされた沖縄の一軒の佇まいの中で演奏が始まる。

そんな音を聴きながら、美術館の展示室をゆっくりと見てあるくのはまた格別。戦後の写真の展示の場所で足が止まった。昭和30年前後、子供達は着物を着て兄弟を背負い学校へ行っていた。貧しかったが心は豊かだったと思えるような温もりを感じた。

つくづく思う。私はやっぱり尺八の『音』が好きなんだと。

 

 

『東京JAZZ』    於:国際フォーラム ネオ屋台村  8月28日

国際フォーラム屋台村に道山さんを聴きに行ってきました。 
9月2・3日にフォーラムで行われる「東京JAZZ」の関連イベントでランチタイム・セッションとして行われたものです。 

有楽町で友人と待ち合わせ。会場に向かうと尺八の音が鳴り響いていました。まだリハーサル中で、和やかな雰囲気の中で音合わせが行われていました。 

リハが終わると集まったひとたちへ手を振ってくれ、楽屋へと消えていきました。既に設置してあった席を周囲のひとの流れに合わせて確保。しかも、それが一番前の席だったので何だかおかしくて友達と大笑い・・・へえ〜、こーんなこともあるんだって感じで! 

今日は涼しくて、野外でも風の気持ちいい日でした。並んだ屋台の中からスープカレーを食べ、時間になるまでゆっくりと人間ウォッチング。昼休みの時間なので会社員やOLが食事をしに屋台村へ集まってきます。この辺で働いているひとはいいなーと、自分の職場周囲の環境との違いに愕然・・・ 

時間になるとすぐに演奏が始まりました。 
先ずはアメイジング・グレイス。 
今回は「東京JAZZ」ということでどんな選曲でくるのか、とても興味があります。 

この頃には曇っていた空もすっきりと晴れ、流石は自称「晴れ男」の名をとる道山さん。 

次は「かざうた」の中から「もらい泣き」、「島唄」などのカバー曲を続けて3曲。通りがかった人たちも皆足を止めて聴いていました。 

MCでは「JAZZといえばこの曲。本人がまだ来ていないからいいかな」と言って、チック・コリアの「スペイン」を、続けて「私のお気に入り」を演奏。実はチック・コリアさんは「東京JAZZ」9月3日に来日するのです。 

ギターの小沼ようすけさんも情熱的な演奏で、特にスペインでのソロの部分はとてもステキでした〜。こんがりと小麦色に焼けた肌にスペインの情熱を感じます。 

そして最後は・・・やっぱり〜、JAZZっぽい本人の曲「東風」を、アコースティックギターとともに。この曲は本当にカッコイイ! 
あの、JAZYな揺れと尺八の射抜くようなめりはりがうまくマッチしている。 

野外の、しかもこんな小さなステージで、半分以上は通りがかりのサラリーマン。でも、このラフな雰囲気でこそ味わえる壮快感もまた格別です。今日は天気も手伝って、素晴らしいひとときでした。

 

 

 

『かざうた コンサート 2006』   於:東京芸術劇場 中ホール 8月10日

 今回のコンサートは久しぶりなこともあり、前情報によればかなり期待出来るとのことで、いつもに増して高まる炸裂の予感・・・めずらしく仕事も休みだったので、余裕たっぷりに池袋に向かった。
間違って小ホールへ・・・・何か雰囲気が違う。ちょっと若すぎるひとたちばかり。チケットを確かめて・・・オッと、予感的中。冴えてる!ジャナイ・・・! 慌てて中ホールへ移動。それでもまだまだ余裕です〜。

 真っ暗なステージを、豆電球を足元に照らしながら4人の精鋭がスタンバイ。はじまりはパーカッションのきらめく鈴のようなやさしい音から、だんだん大きくなりシンバルにかわりだんだんと激しくなっていく。そのまま黒のシルエットの中に靄がかかったようなダウンライトで『月の鏡』を演奏。そこから『はじまりの音』に繋がり、黒のシルエットを演出していた緞帳が上がると静寂から一転して爽快な動きある空気へと変わっていく。

 ここでMCが入り『とても緊張しています』と言っていたが、本当に最近では懐かしくなったあのカチカチでカミカミのしゃべりは らしくていい。
 衣装は、白のVネックのTシャツに黒のジャケット、ジーンズにブーツ。私はこういう大きなステージであまりラフな衣装は好きではない。おしゃれにラフなんじゃなくてすごく普段着っぽい。
 そこに・・・目が点になったブーツ。ジーンズの裾がへんなブーツにたくし上げられて不自然。まさか・・・本人の趣味?ヤダー〜
道山さんはちょっと内股だから、ジーンズだと目立つんだよ・・・・とダメ出しをしてみました・・・・

 オルジナルの2曲の後、大貫妙子さんの『四季』とユーミンの『水の影』を続けて。どちらもオルジナルを知らないので、道山さんの曲のように思える。
 ステージはオレンジのライトに映え『花』、『もらい泣き』、『島うた』とCDに収録されているカバー曲が次々と演奏されていく。

 10本の尺八を自在に持ち替え、流れる音の上を光がちりばめられていく。キラリとまぶしい音。それが道山さんの音。

 改めてギターの小沼ようすけさんを紹介。小沼さんって・・・やはり海好きだそうで、住まいも海辺。真っ黒に日焼けし引き締まった顔立ちに目だけがくっきり。妖艶・・・じゃないな、爽やかだけれどちょっとニヒル。近づけません。

 ジュオで『かざうた』を演奏した後、小沼さんのソロで存分な演奏に聞き惚れた。
その間に得意の早変りで和装に着替え、『鶴の巣篭り』を演奏しながら登場。やっぱり、古典は厳かな雰囲気を醸し出す。現代といにしえの交差点。現実と虚構の境界線。そんな空間のテレポート!

 ここで、妹尾さんの登場。心なしか道山さんもほっとした様子。
ピアノとのジュオは『空』と『SEVEV SAMURAI』。『SEVEV SAMURAI』が終わったところで道山さんだけ徐に退場し、妹尾さんのソロで『材木座海岸』。 妹尾さんは白のジャケットが焼けた肌に映える。

 終盤にきて全員で「蒼茫」、そこから続いてパーカッションの中北ゆう子さんの演奏になり、その後に中北さんが紹介される。中北さんは普段は鍵盤ハーモニカとの演奏をしているそうだが、そこにも何やらスゴワザがあるようで、一度聴いてみたいと思う。

 今回一番すごかったのは『東風』のジャズバージョン。もともと乗りのいい曲だが、まあ〜みんな弾けていた!尺八がサックスみたい!最高潮の盛り上がり。
これで演奏は終わり・・・またあった!ビッグサプライズ〜〜〜。川江美奈子さんと武部聡さんが客席から紹介され、三人で『かざうた』を武部さんのピアノ、川江さんの歌で。これぞ究極の「かざうた」だぁ。川江さんの歌声はナチュラルで透明。歌い方からもその人柄が伺い知れる。

 今回のコンサートは休憩なしで2時間。内容も盛りだくさんで本当に充実した中身ぎっしりの・・・ってしつこいけど・・・すばらしいコンサートだった。
 

 
  

 

『かざうた』 インストアライブ   於:石丸電気 & ミノトール 5月20日

  ライブのはしごなんて、初めてのこと。今回はまさにおっかけの骨頂と笑われても仕方ないですが・・・新宿で2ヶ所のライブへ行ってきました。

石丸電気編
秋葉原の石丸電気といえば有名ではありますが、秋葉の駅に降り立ったのは本当に久しぶり。新しいビルが立ち並び、テレビでよく見る「秋葉系」の若者が集まるちょっと寄り難い街。駅を出ると、これまたテレビでよく見るメイドさんがいっぱい立っていました。

ただ、変らないのは線路の下に軒を並べた昔ながらの電気屋さん。電気製品の細かいパーツを売っているようなお店。子供の頃何度か親と来て、一軒づつ眺めたことを覚えています。今でも時代の波にさらわれずにたくましく健在しておりました。

石丸電気は結婚してすぐの頃、初めてのビデオデッキを買いに来た店です。そのビルの7階にこんなイベントスペースがあったんですね。イベントスペースといっても、むき出しのコンクリートの梁と打ちっぱなしのコンクリート壁、そこを這うように電気の線がめぐらされ一段高いステージも金属の足が見えていて・・・。客席はパイプ椅子を人数分だけ並べるといった感じ。倉庫に近いイメージでした。

いつもは絶対的に女性客の多いライブ。しかし、今回は若い男性が多く、川江さんファンのかただと思いますが、ちょっと雰囲気が違っておりました!
道山さんと川江美奈子さんのジョイントで、まずは道山さんが「はじまりの音」、「島唄」、「東風」の三曲を演奏。尺八にいろんな可能性を追求しているので今まで出した5枚のアルバムはまったく違ったテイストで作ったという説明がありました。
次に川江さんに替わり新しくリリースされるアルバムから三曲演奏してくれました。川江さんの演奏を聴くのは初めてですが、とても自然体なかたで歌い方もナチュラル。どこか親近感を覚えるステキなかたでした。「かざうた」というタイトルにしても、詞の内容にしてもとても彼女らしいと納得。道山さんも「きれいな言葉がどんどん出てくるんですね」って感心していました。

最後にふたりで「かざうた」を演奏。ふたりのコラボレーションは滅多にお目にかかれないことでしょう!これだけでも来た価値は十分です。終了後ステージはサーっと片付けられ、握手会が行われましたが・・・CDを買った人という条件の為か並ぶひとも少なく・・・・(みんなCDは持っていますよ)。私とMさんは買わずに一番後ろに並んでおふたりと握手!!当然でしょ!
道山さんにご挨拶して「次のミノトールも一緒にいきまーす」と告げて前半終了。

ミノトール編
石丸電気を出ると真夏のような蒸し暑さ。ちょっとお茶でも飲みたかったけれど、秋葉は落ち着かず、お店も判らないので新宿へ移動。今では珍しくなった純喫茶って感じの喫茶店でちょっと腹ごしらえ。まあ、ここでも長いおしゃべりは変わらず、その間に何故か大雨が降ってきて・・・・?さっきまでのあの天気はどうなっちゃったの〜?

ミノトールはすぐに見つかった。雨を避けてみんなビルの中に整理番号順に並んでいた。そうそう、ここは新星堂購入者応募抽選イベントだったが、私は別で申し込んだシークレットライブに当選し、招待券を見るとこのイベントだったというわけ。幸運に恵まれ奇しくもMちゃんともうひとりの友達と一緒にこのイベントに参加できた。この幸運を授かったのはほんの数名。あー、神様ありがとうございます。

ここでは、「月の鏡」や「光」など秋葉とは違うセレクトで。アンコールでは「春告鳥」を。終了後サイン会があり、多分参加した全員がサインをしてもらったと思う。私もCDケースの中側にサインをお願いした。

年間120回ものライブをこなしているそうです。スケジュールを見ただけでもその忙しさは伺われますが、それ以外にも音合わせやリハーサル、テレビや雑誌など最近の活躍はすごいです。
自分の望みが次々に叶っているかのように見えます。しかし、振り返る暇もない生活はひとを孤独にし、虚無感に苛まれるものです。それを振り切る強さがあるのだろうか。自分の描いていた、夢みていた生活なんだろうか。

自分でも矛盾した気持ちなのだが、最近の活動を見ていてふっとそんなことを疑いもってしまう。

 

 

『かざうた』 インストアライブ    於:ヤマハホール  4月23日

 CD『かざうた』発売記念のインストアライブ。今回のCDは販売強化策なのか発売記念のライブが多い。私は今回初めて生音を聴いたが、今日は体調が悪いのか顔色が優れず曲数もいつもより少なかったような気がする。最近の道山さんの活躍ぶりを見れば相当の疲れもストレスも溜まっているだろうと想像できるが、泣き言をいえないところが芸能人?!の宿命。とても心配になる。

 薄紫のVネックのニットに白のジャケット、ジーンズというラフな衣装。まずは「かざうた」と「はじまりの音」を二曲続けて演奏。ピアノ共演は山本愛香さん。
6枚目のCDはJ-POPを中心にしたものだと説明していた。確かに「もらい泣き」や「島唄」、「花にしてもよく知られた曲だが、今回のCDはいまひとつ精彩な道山らしさに欠ける。道山さんの「古めかしいイメージを払拭したい」という信念を逆手に取られた感じかする。やさしすぎる、媚びすぎる。なので輪郭がはっきりしない。

 次に「島唄」を演奏、THE BOOMの代表曲。「島好き」の道山さんには思い入れのある一曲なのだと思う。コンサートやライブでこういうポピュラーな曲をやってくれるのは私も嬉しい。そこに足を運んだものだけが味わえる爽快感。でもやっぱりこれはあそびの部分じゃないかな。

 最後にオリジナルの「東風」を。私はこれを初めて聴いたときから「道山さんらしい」曲と思っていたが、道山さんは「今までのイメージとはまったく違う曲です」と言っていた。道山さんの言うように確かに今までの曲は抑えた感じのものが多かったが、どれにも通ずるのが「吹き抜ける」感じ。吹き斬ると言うのか。私は、道山さんはいろいろなジャンルに挑戦しながらも本来は「尺八を吹き斬る」ような演奏をしたいんだなーと思っていた。だからイメージ通り。

 最後にヤマハの方から花束が贈られアンコールではマシコタツロウさん作曲の「春告鳥」。
今回感じたのは、お客様にフラッっと立ち寄ったという人が少ないということ。多くの人に知ってもらういいチャンスなのにもったいない。演奏を聴きながらその後ろに映る通りから覗いている人たちに「聴いてみてくださーい」って声をかけたい気分。やはり「公園ライブ」は効果大かも。

 

音遊花見宴  於:月見ル君想う  4月6日

 やっぱりイーストカレントはいいね。わたしは、この二人のデュオが大好き。
待ちにまったイーストカレントの一日だけの復活。
初めて行ったのもイーストカレントのライブだった。
あの日の二人はまだ学生時代からの延長という感じだった。
姉御肌の宮崎みえこさんと、ちょっとハニカミながらついていく道山さん。
「みえこちゃん」、「藤原君」と呼び合う微笑ましいふたり。

 念願のCDが発売され、アメリカ公演も成功し、これからが楽しみという矢先の活動休止。
納得できないまま 裏でうごめく大きな力を感じた。

 みえこさんは生活の場をフランスに移し、確実に自分の音楽を発信している。
披露してくれたフランス語も流暢。ここで道山さんが「キンチョーの宣伝みたい」なんて・・・何を言っても許される二人ならではのジョーク!?

 道山さんもこの一年で大きな飛躍があったし、素晴らしい出会いもあった。
妹尾さんとの出会いで新しい才能と手腕が花開いた。
古典のCD「壱」で足元を固めつつ、進むべき方向に向かって確実に動き出したと思う。

 個としての自信を持ち合わせたふたりの一年振りの復活。
どうしたってボルテージが上がらないはずはない。

 はじめはカチカチに緊張していたみえこさんも、演奏がはじまると徐々に一年前のみえこさんらしさが甦ってきた。こうなればもうみえこさんのペース。

 話題を投げかけても、質問しても、全部みえこさんにさらわれていく。それがとても嬉しそうな彼。
やっぱり、こうでなくちゃね! だって、道山さんはみえこさんが大好き。
カツレツのいいみえこさんの突っ込みに、ちょっと違う間で応える道山さん。絶妙なボケ。
本当にいいコンビ。

 どの演奏もこの喜びを表現した、遊び心いっぱいでクリエイティブ。即興に近いアレンジで、お互いの呼吸を読みながら瞬間に音が生まれる。
潮流、ミツバチ、オブリビオン、カバティーナ、りんごの唄、忙中急行、タンゴの歴史・・・
イーストカレントの音だー。

道山さんは絶対フランスへ行くよ。ワインを飲みに・・・じゃなくて。


さくら(道山ソロ)
潮流
ダンキンビート
春告鳥
みつばち
オブリビオン
多摩川
カバティーナ
りんごの唄
さくら(みやざきみえこソロ)
忙中急行
アンコール
タンゴの歴史、東京ブギウギ

 

歌のない音楽会     於:シブヤらいぶ館 4月4日

  入場時間の6時半にはどうにか間に合ったが既に入場は始まっており、整理番号は64番。受付を済ませスタジオ前に案内される。長い列の最後尾につき携帯の電源をOFFに。列の前の方にさっちゃんとKEIKOさんを見かける。彼女たちは若さ溢れる笑顔でニコニコっと手を振ってくれてとってもかわいい。彼女たちのみずみずしい感性と私の中に収まりきれない好奇心の一部でも共感できることの不思議を思う。

 オープニングの音楽が流れ、司会の渡邊あゆみさんがはじまりを告げ、出演者の紹介をする。三人三様の出で立ちでにこやかにステージへ。妹尾さんは白のスーツでいつも紳士的。古川さんは大胆な赤の柄入りのシャツで奔放派に。そして、道山さんは袴姿で質実な気風が漂う。

 『朧月夜』からはじまった。この三人の音の深さは格別な華がある。景色も、色も、風も、匂いも・・・一瞬にして頭の中に世界が広がる。
道山さんのMCで三人の馴れ初めを紹介。妹尾さんとは一音を聴いた瞬間から自分の音とぴったり合っていると思い、是非一緒にやって欲しいと道山さんの方からお願いしたこと。古川さんとはあるステージのアンコールで一緒に演奏したのがきっかけで、それから一緒のステージに立つようになったことなど興味深い話も聞けた。

 三人にぴったりの曲というのは「SEVEN SAMURAI」。坂本さんのピアノもいいけれど、妹尾さんのピアノのあのマイルドタッチな儚さと、チェロの切なさ、そこに尺八の凛々しさがとってもバランス良くcross overして、新しいジャンルの「SEVEN SAMURAI」が生まれる。

 ここで妹尾さんと古川さんはいったん退場。司会の渡邊さんから尺八を始めるきっかけを質問され、リコーダーが好きだったことや、家庭的にいろいろな音楽環境があったことなどを答えていた。
次は古典の曲でおもしろい試みを。道山さんは都山流で「鶴の巣篭り」を、そして、金子朋沐枝さんが琴古流で「鹿の遠音」を吹きあわせで演奏。金子朋沐枝さんの演奏も素晴らしかった。女性ながら力強いたっぷりの音量をもちあわせている。

 二人の演奏が終わりそのまま舞台すそへはけると、入れ替わりに妹尾さんと古川さんが登場し、なんとふたりで「蒼茫」を。チェロの音色は果てしなく切ない。ピアノが水平的な広がりを現しているのに対してチェロは垂直にずーっと深く海の底まで届きそうな重厚な響がある。

 再び道山さんが、今度はあのディオールで登場。「かざうた」に収録されているユーミンの陰の名曲「水の影」を、歌うように三人で演奏。続いて「琥珀の道」。琥珀の道はいつも違うアレンジで聴いていて、それも楽しみのひとつになっているが、今回はやはり収録向けのためか原曲に忠実だった。しかし、やはりこの曲は100年保障をつけたい名曲だ。

 次も何と言ったら良いか。あのチェロの代表曲といえる、そして、古川さんの代表曲とも言える「チェロの無伴奏組曲」を尺八とチェロで。想像しがたい組み合わせ。どうなるものかと興味深々で聴いていた。チェロの旋律にあわせて、道山さんはまったく別の旋律をきれいに乗せていく。ははあー。

 最後は妹尾さんが三人の友情を曲にしたという「ベストフレンド」。お互いの音楽を通して、多分生き方までも尊敬しあえるすばらしき仲間なのだ。

ことろで、三人のユニット名・・・『古武道』(仮)・・・を考えているとのこと。これには一票を投じたい。三人のイメージにぴったりの名前を・・・

今回はNHKの収録ということなので、はじまりから最後までとても完成度たかく、そうそうと流れるように進められた。淀みなく正確に、格調高く。

 

アディエマス/カール・ジェンキンス コンサート  於:オーチャードホール 3月21日

  今日、このコンサートに来られるとは、つい最近まで思っていませんでした。この大きな舞台に似つかわしい高価なチケット。イベントめじろ押しのこの時期、何となく躊躇しちゃいます。ところがやっぱり、というか成るべくしてというか、間際に得チケが出ました。情報はmiwaちゃんからいただき、迷わず予約。行く運命だったのかも・・・・

  アディエマス・シンガーズは9人の女性コーラスですが、その歌声は繊細な楽器のような美しい旋律。ものすごい存在感で迫ってきます。臙脂色のドレスを着て、一列に並んだ彼女達にライトが注がれ、カール・ジェンキンスさんの指揮するオーケストラに、ゴスペルのような神聖なハーモニーで歌い上げます。

  曲の名前は全然判らなかったのですが、どれも全身を突き動かすような迫力で心地よい感動に包まれました。前半は道山さんも例のディオールの臙脂のスーツで、舞台にぴったりマッチしていました。オーケストラではリコーダーが主旋律を吹いていて、かなり存在感のあるものでしたが、尺八は少しかすれた鍛練された音がまたひと味違う趣を出していました。

  後半はアジアンティックなメロディーとテンポで。道山さんも和服で登場です。尺八がどんな楽器にも引けを取らないことは分かっていたけれど、あの雰囲気の中に・・・和服と尺八を融合させようと考えたひとは天才です。あの迫力の演奏を背に受けながら自分の出番を待っている時の気持ち・・・あ〜、ドキドキするわーってこっちが緊張してどうする!ってものですが。

  本当に度胸が据わったものだ。演奏が終わっても何時までも拍手が鳴り止まず、帰りの足を止めるひとたちで会場も最高潮に熱い雰囲気でした。

  

 

「ザ、時代劇」新春花盛り 松村エリナ  於:銀座 TACT  2月28日

  当日まで行けるかどうか分からず迷っていた。月末で忙しいこともあり、帰りが遅くなるのも翌日のことを考えれば少し気がひけた。しかも、みぞれ混じりの空模様。そして、ひとり。

『今日は早いねー』
『うん、クラブ活動!』
気が付けば地下鉄に飛び乗っていた。

開演10分前に到着。狭い店内はもうほぼ満員。「おひとりですか」と聞かれ、ひとの膝にぶつかりながら奥の席に案内された。ところが、一番前の席に座っていたKさんグループに気付き挨拶すると、そこに相席をさせていただけることになり、結局一番前のテーブルに座れることになった。

目の前に迫り出したステージは楽器だけでも目いっぱいで、やっとひとり立てるくらいのスペースが何となく確保されていた。時間を10分過ぎていざ開幕〜

                                  一 幕


「ザ、時代劇」らしく、江戸時代の設定で全員着物で登場。楽器の間を身体をひねりながらそれぞれの場所にスタンバイしたところで、松村エリナさんが若旦那役の
平田桂さんと一緒に登場。着物の胸元を広めに開けて、流し目で「ちょっと飲んじゃって」、と気だるくしゃべる姿は艶っぽい。一曲目は曲名が判らなかった。リズミカルにはじまったのは「ねこふんじゃった」変奏曲?砂の音、海の香りがしてきて沖縄民謡「ハイサイおじさん」。アレンジがすごくて、しばらく聴かないと何の曲かわからない。この楽器でこの曲を?という驚きばかり。

ここで突然道山さんが「南無阿弥陀〜ふんにゃら、ふんにゃら、ふんにゃら〜」と手を合わせながら退場。エー!何故???なに???
松村さんのおしゃべりも独特の雰囲気で、お客さんを巻き込んだり、小道具を用意したりと演出にも凝っている。

♪軽いテンポで始まって、これはなに?と思っていたら・・・♪♪山寺のおしょさんが・・・というメロディーが聞こえてきた。「春の海」も・・・のような曲で、部分的なフレーズでその曲とわかるくらいアレンジが凝っている。ここで、この曲?!と思うだろうが、うまくマッチしているから不思議。八木節は和太鼓が響き、にぎやかに盛り上がった。ここで、がらっと雰囲気が変って、キーボードの小川氏の作曲した「秋霖」という曲は言葉の通り秋の長雨を思わせるような哀愁を帯びた曲だった。

若だんなが合間に出てきてお客様にインタビュー式でマイクを向け会場はワッと湧いた。「越前屋」と悪代官。時代劇にお決まりの悪の王道をいくストーリー。道山さんはこの越前屋。袖の下を出して自分の商売仇を追い払ってもらおうという筋書き。
「お代官様、最近目の前を五月蝿いハエが・・・・」
と指し出す土産の饅頭は小判で・・・、
「隣に一席用意してございます」と悪代官に取り繕う悪っぷりも最高。

曲は「水戸黄門」、「子連れ狼」、「銭型平次」。小銭せんべいを会場に投げる。と、こんな感じで前半は終わった。

 

                                     二 幕


時代は現代に。これは昭和60年代・・・という雰囲気かな?麻薬密売人を追う刑事物語。
道山さんはかっこいい刑事・・・と思うでしょう〜。白のスーツと黒のシャツ、胸元を広げてサングラス!
ヤクの切れたチンピラ?!!ロレツの回らぬセリフもなかなかの迷演技!
エリナさんは背中を大きく開けた真っ赤なワンピース。そうそう、髪型も雰囲気もマリリンモンロー風。高知のお酒(銘柄は判らない)片手に登場。お客様に「一緒に飲みましょうよ」と話し掛けながらお酒を振舞っていく。エリナさんは高知出身だそうで、高知観光特使に任命されているそうです。鳴子を客席に配って・・・配るのもお客様・・・「よさこい鳴子おどり」。♪よさこいよさこい♪シャンシャン♪〜

ここで、お客様にもお手伝いをお願いしますと、セリフを書いた紙を出す。
「そこのネックレスをした女性」と指名され、もうひとり、男性が選ばれた。「太陽に吠えろ」の曲が流れ、
「この男を知らないか」と刑事が見せた写真は犬(わっと笑いが湧く)。
そこで紙を見せられ「ただ道を聞かれただけよ」とひとこと。
最後は道山さんが水鉄砲で刑事を撃ち、「なんじゃ〜こりゃ!!!」と血を流しながら倒れるというあの有名なシーンでおしまい。

妖しげな音がはじまり、どこからか「ゲゲゲの鬼太郎」。佐藤さんの「おい!鬼太郎!」ではくしゅ〜。最後の曲は「さくら」。
松村エリカさんの世界にはじめから最後までどっぷりと浸ったひとときでした。♪ブギウギあり、民謡あり、童謡あり、マンガあり、時代劇あり・・・この楽器で、この音楽を!

拍手の鳴り止まない中、アンコールではベンチャースを演奏しながらメンバー紹介。
松村エリナ(21絃箏)、藤原道山(尺八)、菅原久仁義(尺八)、池上眞吾(琴)、帯名久仁子(十七絃)、沼野太恒(三弦)、佐藤秀嗣(打楽器)、小川 洋(キーボート)、友情出演・平田桂(若だんな役)
若だんな役の平田桂さんのMCがとても楽しかった。どなたも芸達者でびっくり。

鳴子はお土産としてプレゼント。福猫ちりめんの小銭入れと開運小判のせんべいは出演料!?!だそうです^o^

 

 

藤原道山コンサート   於:和光市民文化センター 2月4火(土)
                         サンアゼリア 大ホール

 時間になっても半分しか埋まらない客席。このまま始まってしまうのかと少しハラハラ。招待客の多いコンサートではしばしばこんなことがある。今回は地元の方を

招待したコンサートのようで、お客様の平均年齢はぐっと高かった。

 オレンジ色のライト包まれ、道山さんの『空』の演奏が始まると、会場のざわつきがだんだん静まっていった。黒のタイトなスーツは前回と同じもの。
道山さんの紹介で妹尾さんが登場。ラフなドレススーツにピンクのネクタイをしっくり着こなすあたりは流石。気障でなく野暮でもなく、よく似合っている。短くカットした髪も爽やかでハンチングの時とはまた違ったイメージ。

二人で新しいアルバムより『月の鏡』、続いて妹尾さんの『蒼茫』、二人の出会いの曲でもある『ディープリバー』と三曲続けて演奏。『月の鏡』は何度か聞いていますが、やはり演奏者によって雰囲気が違います。今日のは妹尾チックな甘さがありました。『蒼茫』も尺八の旋律がピアノとはちがう落ち着きがあり、さらに「蒼茫たる大自然」に包まれた、という感じでした。

ここで道山さんは一旦退場し、妹尾さんのソロ、今、会いにゆきますでお馴染みの「リバー・オブ・ドリームズ」を。その間に道山さんは和服に衣装がえ。袴姿で登場し『鶴の巣篭り』を演奏しました。やはり古典曲には和服があいますが、着慣れているとはいえ、早業です。

 「偶然、会場に遊びにきてくれた友達がいますので、是非一緒にとお願いして出ていただけることになりました」と、最近よくある演出?で、なーんと古川展生さんが飛び入り出演。出来すぎですが、奇しくもここで「古武道」の結集。三人の演奏はありませんでしたが、古川さんの定番、バッハのプレリュードをソロで聴かせてくれました。

 次に、また新しいアルバムからユーミンの『水のかげ』を格調高く演奏。きれいな曲です。そして、前半最後は即興で・・・真冬の和光・・・というイメージで。これが本当に素晴らしい!その場で生み出されるメロディーの、それ故大胆で変化に富んだ旋律の面白さがあります。そして、自在に堪能したあとの、どういう終結になるのかというところまで、演奏者と客席が一緒になって、気持ちを一つにまとめていくような心の作業が、即興を聴く側のの醍醐味です。自分の心がそこに参加していたという手触りが、出来上がった作品への充足感に繋がっています。フッと力が抜けて、その後に何とも言えない満足の極みに包まれる・・・大袈裟ですか?・・・

 後半、ステージ脇のドアからポップなメロディーを吹きながら現れた道山さんはあのディオールの赤の衣装。同時に反対側のドアからパーカッションの神田佳子さんがリズムをとりながら登場。『尺八はミラクル』という神田さんの作曲した曲です。この曲を聴くのは二回目ですが、今日もまた耳を疑いたくなるようなミラクルが次々と繰り広げられました。ボイスパならぬ尺八パーカッション、息を歌で吹き込んで尺八を吹くと尺八が歌っているように聞こえるのです。これは神田さんでなければ作れない曲でしょう!

後半のゲストは押鐘貴之カルテットで、妹尾さんと神田さんも一緒にジョン・海山・ネプチューンの『カレンツ』、新しいアルバムから『春告鳥』、そして『黄金の海』。『春告鳥』はヴァイオリンの孤高な響が篳篥(しちりき)を思わせ、待ちわびた春を喜ぶきもちがよく現れたアジアンチックな曲でした。

まさにスペシャルバージョンで『黄金の海』、『道』、『seven samurai』、『琥珀の道』の豪華な演奏。感動しました。
アンコールの『アベ・マリア』もスペシャル豪華バージョンで。最後まで本当に素晴らしいステージでした。

 

 

藤原道山&近藤嘉宏     於:浜離宮朝日ホール 1月31日(火)
        新鋭2人による華やかなコラボレーション

 今日はじめて近藤嘉宏さんのピアノを聴きました。ホームページから伺い知る近藤さんは、クラシカルな正統派というイメージで、少し近寄りがたい方かと思っていましたが、実際はにこやかでとても好感のもてる親しみやすさがありました。衣装も黒のラフな立ち襟のシャツをさらりとはおり、柔らかい素材のパンツとあわせていました。

 まず、道山さんが三本の尺八を脇に抱えて登場し置き台にセットすると、そのすぐ後を近藤さんがゆっくりと登場。無言のうちに目配せで『春の海』がはじまりました。本来お筝と尺八の曲ですが、ピアノとの相性も良く、特に近藤さんのピアノは弦を爪弾くような極めて静謐な音色で、独特の寂寞とした雰囲気をみごとに表現していました。続いて『タイースの瞑想曲』。これは道山さんの尺八がフルートとは違う雰囲気で、フルートよりももっとファジーな曖昧音があり、ぐっと甘さを出していました。昨年、愛知県でふたりで演奏している曲とのことで、息もぴったりでした。

 ここで、道山さんがマイクを手取り、ご挨拶。めずらしくノーネクタイのスーツ姿でした。いつもは話上手なゲストにうまく助けられて盛り上げてもらっている感じの道山さんですが、今日はちょっと違った緊張があるようでした。緊張すると左手で胃のあたりを抑えながら喋るのが道山さんの癖。近藤さんも話下手というか、ふたりでの会話はぎこちなくあの堂々とした演奏との対比はおもしろいです。

 続いて道山さんのソロで『アメイジング・グレイス』、『シランクス』、『光』が演奏されました。シランクスは東洋的な響をもった曲で、とても静的で神秘的な感じがしました。道山さんは「空気が止まるような、一枚の絵をみているような・・・」と表現していますが、私は「神秘的な異次元から招かれているような・・・」という印象でした。道山さんの方が美しいですねぇ。

 近藤さんのソロは『別れの曲』、『幻想即興曲』、『月光』の3曲でした。別れの曲はとにかく曲の美しさにひかれ、子供の頃から大好き・・・無謀にも子供の頃弾いてみたと練習してすぐに諦めた曲・・・でした。今回、生で聴けたことに感激です。
 音楽を聴くと必ず思い出す番組とか、コマーシャルとかがありますが、『幻想即興曲』を聴いた瞬間「あっ、赤い激流」と思いました。中学生の頃よく見ていた「赤いシリーズ」で、確か水谷豊が弾いていたのです。ショパンの代表作ともいえます。

 最後に『ルーマニア民族舞曲』をふたりで演奏しましたが、これも素晴らしかったです。短い6つの曲の編成になっていて、リズムもテンポも雰囲気も全く違うのですが、曲目を見るとどれも楽しく、自然に身体が揺れ動きます。十七弦の原曲に近いと書いてありますが、掛け合いの微妙な間の取りかたなど、本当に技巧的で「安心とワクワクとハラハラ感」が言葉にならない感じです。

 今回のコラボは近藤さんのカラーできっちりとしたクラッシックを極めたという感じでした。

 

 

 

 名曲リサイタル      於:NHK509スタジオ 1月26日(木)

 5時50分集合は仕事帰りのOLにはちょっと忙しいです。原宿駅から国立競技場をぐるりとまわってNHKホールを通り過ぎ、スタジオパークの前をうろうろし、警備員さんに二度も場所を聞きながらやっと指定された集合場所へ行き着きました。
 スタジオには集音マイクが何箇所も設置されていて、130席のパイプ椅子が設けられていました。ラジオの収録なので、特別な舞台も、ライトもそういった演出は一切ありませんでしたが、その分演奏者と客席が近く、生音が足元から振動としてビンビン伝わってきて、まさにプライベート生ライブといった感じでしょうか。

 収録観覧では雑音を入れないことに殊更気を遣います。最近風邪のせいか、乾燥しているせいか空咳が出はじめると止まらなくなってしまいます。収録がはじまってすぐ、のど飴を忘れたことに気が付き不安になりました。演奏中に雑音が混じったら大変です。ハンカチでマスクがわりに口を押え、咳が出ないことを祈りました。

 前半は泊真美子さんのピアノでした。泊さんは黒の華やかなドレスで長い髪を後ろにまとめ、にこやかで親しみを覚えるかたでした。しかし、演奏は超絶で人を寄せ付けないような迫力があります。ピアノ一台から奏でられる音とは思えないような、複雑で重厚な演奏が繰り広げられそれはもう『神業』のようです。全身に情感を込めながら弾いている姿は、芸術的でもあります。 特にファンタジーという曲は楽譜が四段もあり、オーケストラをひとりでやっているよういなものだとおっしゃっていましたが、聴衆も真剣に対峙したみごとな演奏でした。

 後半は藤原道山さんの尺八と山本愛香さんのピアノでした。愛香さんは若さのある、めりはりのいい演奏をする方で、独特の雰囲気をもっています。ピアノが変ると曲のイメージまでもがこれほど変るものか実感しました。今日の道山さんは、ジーンズと黒のラメ入りシャツ、ジャケットという出で立ちで、普段着の感じでした。

 演奏前の、尺八を胸の前で両手で持って目を閉じ精神統一する瞬間が私は好きで、ざわついていた会場も一瞬にしてシーンと静まります。新しいCDに収録されている道山さん作曲の『月の鏡』は、始まりがアメイジング・グレイスに似ていて、道山さんらしい色気を感じる曲です。いまや名曲として百年は残るであろう『琥珀の道』も、妹尾さんとのアレンジとはまた違った味を出していました。途中で尺八を持ち替える時に、尺八の継ぎ目を確かめる仕種も、筒の中を確かめる癖も、演奏の最後に音が消えて一秒後に前を向くときの横目使いも、道山さんはいつもと変らないのに、曲のイメージが全然違うおもしろさ。

 「鶴の巣篭り」、「空」の独奏も、やっぱりこれは道山さんのものって感じで良かったです。最後にイーストカレントで宮崎さんと演奏していた「ルーマニア民族舞曲」を、ピアノとセッション。初めのうちは違和感がありましたが、久しぶりに聴いた「ルーマニア民族舞曲」はそれが新鮮でもありました。

 さいごに司会者でもあるピアニストの加羽沢美濃さんと演奏するコーナーがあり、尺八の曲は初めてという加羽沢さん作曲の曲の演奏がありました。これが、すばらしい曲で大自然をイメージできる悠々たる曲でした。この曲に題名をお客様に決めてもらうということで、「木の葉は流れて・・・そして海へ」と「風・・・春へ」のふたつの題名が出されました。拍手の結果近差で『風・・・春へ』に決定。道山さんが厳しい冬からやがて訪れる春への柔らかな移り変わりをイメージしてつけた曲名です。

 加羽沢美濃さんは、
「今まで作曲した曲は、アーティストによって個性が磨かれ、技巧によってよりよいものになってきたが、今回ほどその変貌に感激したことはない」
とおっしゃり、道山さんも
「誉めすぎです」と照れていました。

でも、本当にそのとおりで、こんなすばらしい曲を作曲した加羽沢美濃さんにも、それをここまで昇華させた道山さんにも大喝采を送りたい気分です。