2005年の記録

 

東京クリスマス2005            in キリスト品川教会 グローリア・チャペル  12月22日

妹尾武さんのアコースチックピアノのクリスマスコンサート。今年で2度目になります。
トレードマークのハンチングをかぶり、ピアニストとしての風格よりも、個性を強調した自身のスタイルを貫くような美意識に拘りを感じます。曲作りにもそのセンスが伺われ、高音で繊細な部分が強調されたメロディーの美しさは妹尾氏ならではの世界を感じます。

まずは鈴木雅之さんの「君の未来、僕の想い」を。この曲は浅草でもんじゃ焼を食べているときに思いついたメロディーだそうです。生活の中で不意に思いつき、これだという直感で曲が出来るところは、流石一流音楽家。もんじゃもただでは食べないといったところでしょうか(^^;)

「材木座海岸」はSeasons.というCDに収録されている曲ですが、滑らかなメロディーでリクエストも多い曲。海好きな妹尾さんのお気に入りの一曲。「ribbon in the sky」はスティイビーワンダーの曲で、関取のように大きなひととのこと。

ここで、道山さんが紹介されいつものように3本の尺八を抱えて登場。ふたりの会話は息が合ってとても心地よく、漫才コンビなどと自ら言ってしまうほど楽しいものです。ここに’いやらしいチェリスト’の古川さんが加わると最高だとか・・・男子三楽坊とかなんとか・・・

先ずは「空」からディープリバーを。ふたりの出会いの曲(って妖しいですが)。初めの一音でお互いに相性が合うと感じたそうです。次に坂本龍一さんの作曲「seven samurai」。妹尾さんが「いい曲があるんだけれど・・・」と持ちかけたところ、「あっ、それ僕の!」と道山さん。坂本龍一さんのがクールな強さとすると、妹尾さんのはソフトで少し儚い「seven samurai」という感じでしょうか。前半最後は「ホワイトクリスマス」で雰囲気を盛り上げました。

後半では先ずはゴスペラーズの「冬物語」を。誰もが耳にしたこがあるとてもきれいな曲です。次にユーミンの「ひこうき雲」を弾き語りで。甘く柔らかいうたい方で、ささやくように歌ってくれました。

それから即興のコーナーで、お客さんからもらったいくつかの音を元にして、リクエストされたイメージで曲を作っていくのですが、もちろん見事に美しい曲が奏でられなんとその曲はCDになってプレゼントされるそうです。選ばれたひとは一生のプレゼントですよね〜〜〜。羨ましい〜。

後半ゲストの杉田せつ子ストリングスカルテットとの共演で「蒼茫」、「サンタクロースの空」、「Have Yourself A Merry Little Christmas」、「River of Dreams」とクリスマスメロディーを演奏。チェロとヴァイオリンが加わりうっとりするような素敵な演奏でした。そして、最後に今、会いにゆきますから「初恋」と「今、会いにゆきます」を。

終わればあっと言う間の出来事に感じますが、このコンサートは約3時間とかなり長かったです。妹尾さんのサービス精神と、この「東京クリスマス」に賭け情熱を感じました。

アンコール:「永遠に」・・・みんなで歌いました。「星霜」。

 

 

『音遊自在忘年会』            in 月見ル君想フ     12月21日

今回は忘年会ということで、トークの多いリラックスした雰囲気のライブでした。
大きな楽器を収納するバックを持って登場、中には8本の尺八が納められていました。
衣装も私服のままで、ジーンズと茶のシャツに黒のジャケットというラフな格好でとっても親近感を覚えました。

今年一年で一番多く演奏した曲は「アメイジング・グレイス」ということで、まずは一曲。一年間の演奏会の思い出話がつづき、私もいろんな演奏会のことを思い出しながら聞いていました。
大切な人たちとのお別れもあったそうで、特に本田美奈子さんとは本田さんのCDに参加したこともあり本当にショックだったそうです。

別れを悼んで「たむけ」が演奏されました。これはとても深い祈りを感じ、自分もいろいろな別れがあり、思い出し目頭が熱くなりました。

趣味の話では、まあ私の知っている限りでは「旅・海・島・青・紅茶・ワイン・料理」くらいですが「食器を集めることが好きで、特にティーカップやティーポットなど集めている」と言っていました。まあー、結構趣味が近い!

「ペルシャ組曲」は初めて聴きましたが、4曲に分かれていて変化に富んだ構成で、尺八を掌で下から叩くと空気が上に抜けていき、風が吹き抜けるような不思議な音でした。

3月22日に新しいCD『風うた』がリリースされます。今回はそのCDタイトルにもなった「風うた」を一足先に聴かせていただきました。うっとりするような、とてもきれいな曲でCDが楽しみです。

スペシャルゲスト、やっぱりというか、ここのところお約束ですが、妹尾武さん登場。
「きよしこの夜」と「初恋」を妹尾バージョンで。この二人が組むと音楽は自在です。とにかく即興でアレンジ、目配せでタイミングを計って、ソロになったり、メロディーラインも何時の間にかバトンタッチしていて、芸術的です。

「月見ル君想フ」というお題でキーだけ打ち合わせしてその場で曲が生まれる。もう、何がなんだか・・・スゴスギ、格好良すぎです。ため息、ため息。。。

最後の「ディープリバー」もアレンジで違います。何度聴いても新鮮な驚きと感動があって、たまらない!
ピアノと尺八の音ってとても相性がよくて、奏者も相性がよくて、最高ですね。

今回は内容が知らされていなかったせいか、お客さんが少なかったです。ライブがはねた後、私たち熱烈応援クラブの3人でご挨拶。あー、折角のチャンスだったのに記念撮影を忘れた!残念。・・・でも、大丈夫です。私たち、心のアルバムにしっかりと今夜のことは焼き付けました。

 

山本邦山尺八合奏団演奏会       in 紀尾井小ホール   12月16日

粛々とした、素晴らしい演奏会でした。邦山先生の弟子、孫弟子の有志によって結成された『山本邦山尺八合奏団』の第一回めの演奏会でした。
弟子、孫弟子といっても誰もが独自の幅広い音楽活動を行い、技術の研鑚をし、高度な技術をもった先鋭ばかりです。

邦山先生の曲にはいろいろな挑戦が伺えます。それは、尺八の可能性が無限であることを証明します。
それは、古典の曲調も感じられつつ、いつからか西洋的なリズムやメロディーが包み込んできて、一つの曲の中にいろいろな変化が盛り込まれています。やはりこれは、尺八でジャズなどという異名を成し遂げた邦山先生ならではの音楽のありかたなのだと思います。

合奏も何重奏にもなって、一糸乱さぬ息の合った演奏にはもう鳥肌がたつほどの それはそれは美しい音で感動を覚えます。ソロからデュオに、多重奏にと別々のパートの演奏をしていると思えないほど、とにかく綺麗にぴったりと合って、その静謐な空気の中に響きました。

最後の「尺八協奏曲U」は総勢20人の大合奏で、舞台に19人の奏者が孤を描いて立ち、中心に邦山先生が居を構えました。尺八の演奏では今までにないことですが、指揮者がタクトを振り、オーケストラさながらの迫力です。ただ、指揮者の楽譜も五線譜ではなく都山流のもので、ロツレチのメリ・カリを指揮しているのが興味深い発見でした。この曲は山本真山氏の作曲です。第2回「曠の會」で真山氏の「橅」という曲を聴いた時からすごいセンスのある方だと思っていましたが、今回の「尺八協奏曲U」も素晴らしかったです。

邦山先生の貫禄、存在感は悠々たるもので、会場にも多くの「明日の邦山」を目指す?若者が多く来ていました。

 

題名のない音楽会21          in オペラシティ コンサートホール  12月15日

公開録画の抽選にハズレ、すっかり諦めていたときにネット友だちのmiwaさんから
「一緒に行きませんか?」という嬉しいメールが届き、いけることになりました。

この日は二回分の収録があり、前半は2月12日放送予定の「音楽センター試験」というクイズ形式の音楽学力テストでした。クラシックのイントロ早押しや、エア・オーケストラという音なしで、指揮者の動きだけでクラシック曲を当てるクイズなど、とても高度で専門家でなければなかなか分からないようなものでしたが、流石は音楽家、耳の良さにはびっくりでした。

この番組には今までなかった試みで、クイズ仕立ての番組が多い昨今、おもしろい放送になるのではないかと思います。実際の収録は1時間以上かかり、これが30分番組のなかでどう編集されるのかも興味深いところです。

後半は「スラヴァのクリスマス・ソング・ベスト」で、12月25日というジャスト放送のものでした。
スラヴァの甘いカウンターティナーの歌声は、本当に優しく包み込まれるような繊細な優しさ持っていて、心の深いところに響き沁み込みます。そして、パイプオリガンが一層その歌声に広がりをもたせてくれます。

シューベルトのアヴェ・マリア、カッチーニのアヴェ・マリア、どちらもしっとりと響きました。
特にカッチーニのアヴェ・マリアを聴いているときには、胸が締めるけられるような切ない気持ちになり、涙が溢れそうでした。

クリスマス・スペシャル・メドレーでは、司会の羽田健太郎さんのピアノ、道山さんの尺八、クラシック娘のコーラスが加わりよく知っているクリスマスソングがたっぷりと盛り込まれました。スラヴァと道山さんのセッションはほとんど私には考えられない共演でしたので、とっても感動しました。

オペラシティの美しいクリスマスツリーに彩られ、心豊かな一夜でした。

 

 

第五回 曠の會                 in  紀尾井小ホール   11月19日

  「曠の會」が発足して5年目の今年は、平成17年度文化庁芸術祭協賛公演となりました。
受付のところに和服姿の女性が5,6人いて、お客様を迎えてくれていました。
今までには無かったことで、文化庁芸術祭協賛公演ならでは華やかさなのでしょうか。

  今回のテーマは『祝』。毎回、テーマに沿った選曲をされています。
「曠の會」は格調高く、緊張感が漲った、とても高尚な演奏会です。ライトが落とされることで
始まりが知らされ、司会も曲の説明もまったくありません。ステージをライトがパッと照らし、
幕がゆっくりとあがると、金屏風、えんじの絨毯に正座した袴姿の奏者が、深々とお辞儀をしながら登場します。

  客席は配られたパンフレットをみて、何の曲を演奏するのかがわかるだけです。
演奏が終わると大きな拍手が起こり、奏者は幕が下りるまで、深いお辞儀をします。
一瞬の隙もない緊張感。男性ならではの毅然とした潔さを感じます。
 聴き終わった後の清々しさは、他のステージでは味わえないような余韻があります。

  道山さんは二曲目の『都の春』を演奏しました。この会ではいつも活躍されている田中奈央一さん
の唄もすばらしいものでした。筝や三弦のかたは唄いながら演奏しますが、あれほどぴったりと唄と
演奏をあわせることは、ほんとうに難しいことだと思います。気持ちが合うなんて甘いものじゃなく、
技と技のせめぎ合い。

  「曠の會」は、回を重ねる毎に深まっていきます。

 

 

高田和子・三味線プラスvol.2 <新鋭たちの挑戦>      in アサヒアートスクエア   11月16日

  月がとても綺麗な夜でした。暗闇にくっきりとはりついたような二次元の空。
川面は小さく揺れ、つきのひかりを鱗のように映し出していました。
屋形船はのんびりと川岸にからだを寄せ、ひとびとの流れを見上げていました。

  真っ赤な吾妻橋は都会の明かりに照らされて宙に浮かび、その向こう側には闇夜に透けたアサヒアートスクエア。
都会的なセンスの洒落たビル。ライトアップされたガラスの階段を数段のぼり、エレベータで4階へ。
小さな躍り場から直接ホールの入り口へとつづく。

  会場は奥行きが浅く、横への広がりが深い。
正面に設えられた舞台は40pほどの高さで、組み立て式で俄かにセットされたとう感じ。
その舞台を囲うようにスチールの椅子が並べられている。

  6時過ぎに会場へ案内されたが、すでに最前列にはおばさまたちが席をとっていた。
今日は一番前で、という気合いで行ったがその場所を確保するのはやはり難しい。
それでも、2列目の真ん中というのは最高。暗くなったステージからも視界に入る距離!
いつも目の前で申し訳ないという気持ちもあるが、大丈夫さ、彼はいつも目を閉じて演奏しているから!

  高田和子さんの三味線プラスというのは、三味線に新しいジャンルを超えた協働をプラス、若い感性をプラス
新しい楽器をプラスという新しい試みだそうです。ゲストは藤原道山さん、琴の遠藤千晶さん、市川慎さんの3名でした。
前半、後半で6曲の演奏でしたが、「さらし幻想曲」を除いてはどれも新しい曲ばかりで、作曲されたご本人が
会場にいらしてました。

  ここも、小さな会場ですが、マイクを通さず生音が聴けてとても良かったです。
どの楽器にしても、生音はそんなに澄んで響いた音ではなく、少し枯れたかすれた音です。プライドは
高くて、決してでしゃばらないし媚びない。本来の音。音量やスピードやリズムに支配されない、
あるべき姿にまっすぐに向き合う、そういう音です。

  高田和子さんは、羽衣を想わせるような透き通った振袖のようなものをふわっと羽織っていて、
それに合わせるように市川慎さんも和服をアレンジしたような黒の衣装でした。市川さんは、ちょっと長めの髪
を目の前に垂らし、華奢な体つきはまだ少年のようでした。
「電車でギターを抱えて乗っている学生のようだ」というのが、第一印象でした。しかし、演奏がはじまると、繊細な
やさしい音を奏でます。今までに会ったことのないタイプでした。

  道山さんはあの黒いマントのよう(と私は呼んでいます)な服。何度かお目にかかっていますが、このステージの
雰囲気にはぴったりでした。ながーい尺八(三尺)を、手をめいっぱい広げ、押えにくそうに見えましたが、
その音は効果音のような雰囲気を作る音で、夏目漱石 「夢十夜」のなかの第一夜を高田さんの
「死ぬんですもの 仕方がないわ〜」
といううたに合わせて幻想的に吹いていました。

  「さらし幻想曲」が一番古い曲でしたが、プログラムの年代を見るまで気がつかないほど現代的な、
爽やかな歌声が聴こえてきそうな曲でした。市川さんが作曲したという「瞬」という曲はやはり少しロックの感じを
残し、すごく速い演奏から、突然スローへとテンポが変わったり、玄をこするような音を出したり、彼の
センスが光っていました。

  今回のコンサートは高田さんのテイストを引き出すという意味では、本当にいつもと違う、そして、不思議な
緊張感をもった演奏会でした。若い奏者を発掘し、次世代を担う若者を大事にそだててくださるような
穏やかな、高田さんの大きさを感じました。

  アンコールもサイン会もありませんでしたが、終了後客席にみなさんが出てきてくれて、それぞれの
関係者やファンのかたと挨拶を交わしてくれました。miwaさんと一緒に何気なく接近し、前の人たちが
終わるのをまって(みんなこの時とばかりになかなか話がおわりませーん)!ご挨拶をかわしました。

  どうしても、この時とばかりに脈絡のない話になってしまうのですが、少し時間があったので、最近の
私たちの盛り上がりぶりは報告しておきました。「たまに覗いてみてください」とお願いしておきましたが、
いつか自分の掲示板に書き込みをしていただくことが、今の最大の課題であります。

  今日はお話ができて、握手までしていただいて、夢のよう・・・なんて、いい年をしてはしゃぎ過ぎですが、
それは分かっていますが、私にとっては☆のような遠い存在でもあり、父と重なる懐かしく確かな存在でもあり、
はらはらと見守っている身内のような存在でもあり・・・あ〜、そんなこと言ったら、新しい熱狂的なファンの
皆様に怒られてしまいますが・・・・この出会いは人生を変えました〜、いろいろな意味で。

 

 

 

尺八の音楽 −楽譜と表−                    in 朝日カルチャーセンター  10月16日

  今日の講演会は−楽譜と表現−ということで、五線譜の西洋音楽とは全く異なる尺八の楽譜について詳しく教えていただきました。西洋音楽は、楽譜によって継承されてきたためとても細かく正確に記されています。それに比べ、日本の音楽は楽譜のないころから前人からの伝承で受け継がれてきたそうです。明治時代になって洋楽の影響もあり楽譜ができましたが、それもとても簡単なもので、テンポや技法など楽譜では現せないものも多く、やはり楽譜に頼るというよりは習うことで自分の感性を書き足して曲にしていったそうです。

 楽譜も流派によって違い、今日は「アメイジング・グレース」の楽譜を琴古流と都山流、五線譜の比較で説明していただきました。ロ・ツ・レ・チ・ハの5音が基本の音となり、メリ(沈り)カリ(浮り)などの技法で全ての音を出すそうです。貴重な自信の楽譜も見せていただき、楽譜の裏に書いてある本名と1983・7〜9というメモに、子供の頃から道山さんはこうやってきたんだなーと、何だか追いつけない時の流れを感じたりしました。 楽譜を追いながら「アメイジング・グレース」を聴くという初体験も貴重なものとなりました。

 講義の内容も然ることながら、道山さんの尺八に対する熱い思い入れが伝わってきて、1時間半は充実したものでした。ステージでのちょっとハニカンダようなトークとは違い、話し出したら止まらないといった感じで、リラックスして自信に漲った公演でした。心から邦楽を愛している真摯な様子が伺われ、高感度アップ間違いなしです。服装もスーツにネクタイと緊張感があり、いつも通りのカッコイ〜イ道山さんでした。

 練習用の尺八を手にして、実際にロ・ツ・レ・チ・ハと指を置いてみましたが、間隔が広くて子供や女性にはちょっと難しいかもしれないと思いました。昔、父の尺八で挑戦したこともあったのですが、やっぱり穴が押えきれず音も出ず、すぐに諦めたことを思い出しました。

 

上妻宏光 『生一丁!』 トークライブ        in 紀尾井小ホール  10月10日

  今回は上妻さんがやっている「生一丁」ライブの一環で、夜の公演の前座みたいなものかなあ?トークライブということで、いつもとは違いおしゃべりいっぱいの楽しいライブでした。ステージの真ん中に真っ白なソファーがふたつ。テーブルにはミネラルウォーター。まるで「徹子の部屋」みたい。

  まずは上妻さんのソロで一曲。調弦をしながら自然に曲に入っていく。上妻さんの演奏を聴くのは初めて。津軽三味線の生音もすばらしい。『生一丁』とは楽器の生音を聴くというコンセプトだが、この小ホールなら充分に音が響きわたり官能できる。この後道山さんが紹介された。いつもの白のシャツと黒のズボンで颯爽と・・・・。会場は上妻さんファンでいっぱいだったわけで、初めて見る道山さんに「ホー、かっこいいね」というため息が聞こえたが、私としては、ちょっと見慣れ過ぎた・・・・。そろそろ衣替えをして!

  上妻さんは話慣れていて、道山さんから話をどんどん引き出してくれる。カツレツ良く笑いを取りながら道山さんを盛り上げてくれる。道山さんはいつものややスローテンションで・・・いい感じです。尺八は流れるような演奏が得意な楽器で、リズムをとるとか、ビートを刻むのが苦手。もともとそういう楽器ではないんですね。そういう苦労話から、最近の趣味の話まで。二人とも南の島好きだそうで、奄美の話で盛り上がりました。道山さんは土地の調味料に凝っていて、石垣島のペンギン食堂のラー油とか、ハテウマ島の黒糖で料理をするそうです。イタリアンが好きで、バルサミコスやビネガー、オリーブオイルなど量り売りで買っているあたりはかなりの通と思われ、でも、食材のこういう拘り方って男だからなんですよね。主婦的にはこういう拘りはあまり持ちませんもの。

  都山流だからなのか、ただの自分の嗜好的なものなのかわかりませんが、民謡は吹かないそうです。初体験で「秋田孫うた」を道山アレンジで演奏。上妻さんのうたも素晴らしかったです。唄と尺八のハモリがとても美しく、とても品のいい民謡という感じでした。最後に上妻さんの「秋田にかた節」をふたりのデュオで。掛け合いで、技の競演。拍手が起る度に演奏はさらに白熱し、最後は上妻さんの合図できれいにおわりました。

  短い時間でしたが、とても貴重な経験が出来たと思います。生音なんて、本当に聴けるチャンスは少ないですからね。それと、上妻さんも魅力的な方で、とてもひとを引き付ける力を持っています。また、ふたりの演奏をじっくりと聴いてみたいです。

 

 

『壱』発売記念 ミニコンサート              in 山野楽器  9月30日

  『壱』のCDを買ったとき付いてきたご招待券。ご招待だからって侮れない。今回もサプライズがあった。
一曲目は『壱』から鶴の巣篭りを、フルコーラスといきたいところだがやはり一部抜粋で。掛け合いがないとちょっとあっさりしていて淋しい感じがする。一方をテープで流しておいて、それに合わせる(CDでとったように)のが聴いてみたかった〜。今度お願いしてみよう!

 二曲目からピアノとのデュオ。大学の先輩というピアニスト(名前を忘れました)の方と、ディープリバー。ピアノも弾くひとによって、音が全然違う。今日のピアノは音が歯切れ良くはっきりしていて、性格がでるのかなあ?なんて思ったりした。この曲は本当に心に沁みる、尺八の音にピッタリの曲だといつも思う。続けて「金髪のジェニー」を。これはとてもかわいい曲で、聴いていて幸福感でいっぱいになる。日記のBGMにも使わせてもらっているが、アメリカでは殆ど知られていないらしい。アメリカ公演のとき演奏しようとしたら「誰も知らないよ」と言われたそうだ。

  ここで、道山さんから「次はー、偶然遊びに来てくれたひとがいますので、ちょっと・・・そのかたに出てきてもらおうかなー。えーっと、どこにいるかなー」と客席を見渡し、一番後ろの席に座っていた男性を見つける。客席も一緒にそちらを向く。いつものハンチング帽をかぶった妹尾さんがスッと立ち上がり、ステージへ向かう。ワーっと会場はざわめき拍手が起きる。「エッ?ウッソー。出来すぎじゃない」とmiwaちゃんと目を合わす。偶然って、先日の「月見る・・・」の時もあったし〜。

  妹尾さんが「じゃあ元気なやつをやりましょう」と言いながら、わざとらしく楽譜をジャケットの胸ポケットから取り出す。ワーと笑いが起る。妹尾さんのソロから入り「何の曲だろう、初めて聴く曲だなー」と、しばらく聴いていると聞き覚えのあるメロディーへ繋がっていった。「琥珀の道」。この曲のアレンジはいつも圧倒される。聴くたびに全くちがうので、いつも途中で迷子になる。今回は最初から迷いっぱなし。すっばらしい!!妹尾さんのピアノにもメロメロ。

  最後は「リンゴ追分」をソロで。ちょっと前にMXテレビに出たときに吹いていたが、やっぱり生で聴くと味わい深い曲だ。今にも歌が聞こえてきそうな、とても情緒豊かな吹き方。

 ミニコンサートは30分で終了。『壱』の発売記念という割には一曲しかなかったのがちょっと不思議。どれも長いから、こういう場では難しいのかもしれないが、是非最後までじっくり聴いてみたい。

 

 

 『音遊挑戦観月会 其の壱』               in AOYAMA 月見ル君想フ  9月28日

  今回で3回目になる「月見ル君想フ」での道山ライブ。しかし、今回の挑戦(チャレンジ)という企画に、期待は高まる。いつも、このライブでは普段とはひと味違う楽しい試みに驚かされるが、今回はライブハウスに入った瞬間から南国の匂いが立ちこめていた。いい席を確保するために少しでも早く行きたいところだが、仕事が終わって駆けつけるとギリギリ。「仕事より大事な用事がありまーす」と言って、定時に会社を飛び出した。それでも、ライブまでは1時間あるので、みんなお酒や食事で賑わう。

  時間になりライトが落とされると会場はスッと静まり、ゆっくりと出てきた道山さんはニ尺くらいある長い尺八で『海』を演奏。私は初めて聴いた曲。ゆったりとした穏やかな曲。ゲストが紹介され、奄美出身の歌手リッキさんが三線(サンシン)を片手に登場。気分はもう奄美の海辺。道山さんの雰囲気もいつもとちょっと違う。とってもリラックスして、楽しんでいる。まさに、自由にやりたいことに挑戦しているという意気込みがヒシヒシと伝わってきて楽しい。衣装も、青のシャツとジーンズ。ハイビスカスの柄が入っていて南国気分。髪の毛が・・・立っていた・・・・

 黒糖焼酎がリッキさんのお勧め。有名なのは「曙・レント・機械島」。これを聞いて、焼酎と判るひとはかなりの奄美通かも。ここのライブハウスには全部揃っているそうです。ここで、リッキさんが『よいすら』を。高い声も、裏声も声量があってとてもやさしいうたい方。言葉はわからないけれど、節回しや高く張りつめたうたい方など日本の民謡と似ていて、そこに沖縄のリズムがミックスした感じ。次に「あさばな」をディオで。これは、おはよう!とか、調子はどう?とか、お天気がいいわねというような、毎日のあいさつがわりのうただそうです。一日は「あさばな」ではじまる、というほど生活に根付いたうただなんて、奄美の人々のゆったりとした暮らしが想像できます。

 「ながくも節」というのは、情熱的な歌なのですが、子供から大人まで誰でも知っている一番ポピュラーなうただそうです。山の反対側にいる女性のことを想うと、険しい坂道も何でもないという恋愛のうただそうです。ここでリッキさんかドッキリする質問が・・・「そういう経験はありませんか?」。「あー、や〜、そう遠距離恋愛とかですかねえ。ああ、はい、ありますね・・・・・。今はそんな気力もありませんが・・・・」と、ミョーに照れながら言っておりました。それにしても、小学生の教科書にまで載っているとは、恐れ入りました。

 はじめに配られた「いきゅんにゃ加那」という唄をその場で教えていただいて、みんなで歌った。道山さんの歌をきくのはもちろんはじめて!。ソプラノのよく通る声でびっくり!。低い話し声もいいけれど、歌声もなかなかステキ。何度も繰り返して、とにかく今回の道山さんははじけていた!行ってしまうの 愛しいひとよ〜っていう意味なんだけれどね。

 挑戦そのニ、笙の登場。日記の写真で拝見したあの「笙」だあ〜。ホッカロンで温められた笙が取り出され、リッキさんの曲『ウティキサマ(お月様)』を。笙の尖鋭な音色は光りの音。リッキさんの月を燦々と照らしておりました。とてもデリケートな楽器で、温めておかないと良い音が出ないそうです。愛しそーうに扱っていたのが印象的です。

 そして、最後は『祭メドレー』でした。偶然見に来ていたマリンバ奏者のシンスケさんにその場でお願いして、太鼓を叩いてもらったのですが、呼ばれたシンスケさんも驚いたようで、チジンという小さい太鼓は持つのも初めてだとか。たたき方も判らない。しかも、どんな曲かもわからない。それでも、道山さんは彼の実力を知っているようで「とにかく、あわせてついて来てください。お任せします」と余裕の笑み。もちろん、演奏は大成功。本当にプロってスゴイ。

 という訳で、トークに盛り上がり、歌って踊って、ハプニングあり。チャレンジいっぱいのライブでした。奄美の暮らしの中にはいつも歌があるそうです。挨拶のうた、仕事歌、恋愛の歌、子守り歌など、いつでも歌い、踊り、感謝する。そんな心豊かな生活があるのでしょう。 リッキさんはとても愛らしく、魅力的なひとでした。何やら道山さんとはメル友らしい・・・う〜、いいなあー。

  

 

 サタデーホットリクエスト NHK-FM            in NHKスタジオ505          9月17日

  パーソナリティーは杏子、ヒロシ、AKINA。杏子さんはロック歌手、ヒロシはあの「ヒロシです」のヒロシ。AKINAちゃんは何をしているひとなんだろう?沖縄出身のかわいい女の子。三人でトークをしながらリクエスト曲をかけていくんだけれど、曲が流れている間は三人でなごやかにおしゃべりして、とてもいい感じ。客席もリラックスしていて、やっぱりテレビとは全然違う。

  タイムキーパーのひとがとってもスゴイひと。テーブルには4人いて、実際は3人でおしゃべりしているようにしか聞こえないんだけれど、タイムキーパーのひとが、相槌をうったり、身振り手振りで話を進行させていく。その表情がとっても豊で、場の雰囲気を作り出す。聞き上手というか、話し手が気持ちよく話せるように盛り上げていく。あんな風に聞いてもらえたら調子に乗って何でも喋ってしまいそう。

  道山さんは最初のゲストでした。白のシャツとジーンズ。髪をさりげなく後ろにかきあげてすっきりさわやか。真ん中に尺八台が置かれていて、大きなマイクが設えてある。そうして、どうしたって目に入るのがグランドピアノ。ピアノ?エッ?ピアノ?・・・ということは〜。うーん、期待しちゃう。先ずは「鶴の巣篭り」を演奏。ざわめいていたスタジオ内がシーンと静まり、初めて聴いたひともきっとその迫力に圧倒されたことでしょう。ここで道山さんから妹尾さんが紹介されました(やっぱり)。、いつものハンチング帽とサングラス、秋もののジャケットで登場するあたりは流石ファッショナブルな妹尾さん。ラジオでも気を抜きません。ふたりの共通点、「島」、「海」の話からあおく広々としたという意味の「蒼茫」を。杏子さんから「海のイメージが無いですが、海で何をするんですか?」との質問に「泳いだり、潜ったりします」と答えると、すかさずヒロシが「クロールすると溺れそうですよね」なんて失敬な発言が。次にふたりの出会いの曲「ディープリバー」を。会った瞬間からとても息が合い気持ちよく演奏できた、といつもの誉め合いが少しあり、好きな色も「青」で同じというと「あやしい二人」と言われスタジオ内に笑いが起きました。最後は「琥珀の道」を、本来は打ち込み(PC)と5つぐらいの楽器を使う曲だそうですが、今回はふたりで全てを担ってCDとはちょっと違ったおもしろい演奏でした。だって、尺八以外のパーツもぜーんぶ尺八で吹いちゃうんですよー。メロディーがぜーんぶ尺八。面白いでしょう!

  今回はトークも多く、40分ほど独占でしたので、ゲストでも充分満足できました(番組を乗っ取っちゃっても良かったかも〜)。確か道山さんは昨日まで「敦ー山月記ー名人伝」をやっていたはず。それなのに疲れも見せず、いつでも全身全霊の演奏に感動を覚えます。プロなんだって、最近は生き方まで尊敬です。ご招待では申し訳ないほど充実した時間でした。

  

 

 

敦ー山月記ー名人伝                       in 世田谷パブリックシアター  9月3日

  中島敦というひと。パンフレットの中に中島敦さんのことが載っている。度の強い丸いメガネをかけ子供を抱き寄せている写真は、とてもあたたかく微笑ましい。敦をあらわす言葉のどこからも、明るく、思いやりのある、そして、文学に対するひた向きな姿勢が感じ取れる。

  狂言をこんなに楽しめるとは思っていなかった。一枚の紙面に残された敦の作品は、朗読(語り)によって立体的になり、舞い(と言うのか?)によって立ち上がる。難しい、読みにくいと思っていた漢語もリズミカルに朗々と読まれると、忽ち自分の感覚的な細胞へすっと入ってくる。太鼓と尺八で色合いは尖鋭になり、合わせ鏡のような4人の敦が語る。朗読は原作に忠実で、誇張も虚飾もないが、萬斎さんの演出ひとつでシリアスにもコミカルにもなる。

  山月記は、終始厳かに演じられたが、李徴が虎になった朝、気が付くと兎を食い散らかし、兎の毛が舞い、血がしたたる場面がスローモーションで軽やかなボレロの曲とともに懐古的に演出され、笑いが起きた。一番残酷でショッキングな場面をこんな表現で乗り越えるとは・・・すばらしい。

  名人伝は終始コミカルタッチで、スクリーンをうまく使った演出効果で笑いが絶えなかった。虱を見つづけて3年。虱が馬のように見るようになった時、人は高塔であり、馬は山であり(ヒヒ〜)、豚は丘のよう(ブー)。鶏は城楼と見えた(コケコッコー)。うまい!効果音。

  会場は3階席まであるがこじんまりしていて、どこからも良く見える。舞台は御影石で出来ているような輝きがあり、鏡のように姿が舞台に映る。重厚な落ち着きのある舞台だったが、前半で飛ばした兎の毛がきれいに掃除されていなくて、後半の舞台中足元にフワフワとしているのが気になった。今日は初日なので、明日から改善されるといいのだが。

  ここは道山レポートなので、ちょっと視点を変えて。舞台の右裾に尺八、左裾に太鼓。羽織袴で、全く違和感はありません。髪型も今日は良かった(ときどき無理してるーって思うときがありませんか?)。4本の尺八を吹き分け、やっぱり音楽あっての舞台です。後半の初めに太鼓と尺八の演奏がありました。舞台の真ん中で正座して、迫力がありました。曲ひとつで雰囲気も全然違いますから、緊張するでしょうね。皆さんそうですが、休みなしに毎日ですから、頑張っていただきたいものです。

 

 

 

インストアイベント 藤原道山                    in  ヤマハ銀座店  8月13日

  アルバム『壱』の発売イベント。銀座ヤマハ本店一階のホール。何故か迷った!早めに新橋に着いていてよかった〜。とっても分かり易い場所なのに、駅の周りをうろうろと20分。方向音痴じゃないし、地図さえあればどこでも行けるという、ちょっとした自信もある。それなのに・・・結局着いた時はジャスト5時((大汗))

  まずは、千住明さんの恋風。このメロディーの優しさと切なさは言葉にし難い。詩をつけて歌いたくなる。お客様にはたまたまそこに居合わせたひとも多い筈。でも、最初にこれを聞いたらやっぱり帰れないでしょう。次に『壱』から鶴の巣篭。もちろん、全部ではない。何せ20分ぐらいあるからね、ほんの一部で・・・5分くらいだったかな(これ以上やると居合わせた客が帰っちゃうし!)  仕切り直して「黄金の海」。これを聴くのは久しぶり、あまりコンサートでもやらない。深くて大らかな曲。

  尺八は生の竹をそのまま使うので、どれも微妙に音が違う。それは、太さにもあるし、つくり手にもよるようです。5孔だけで音をつくり、一音に重きをおく楽器です。首を縦に振るだけで音程が変るし、横に振ればビブラートがつきます。息と指と首を巧みに使って、道山さんならどんな曲でも吹いてしまいます。

  後半・・・もう〜?イベントですから・・・「空」と「琥珀の道」。どちらも道山さん作曲の曲。お客さんたちもかなり真剣に聴き入っていました。ここでおしまいですが、ヤマハからのアンコールでアメイジング・グレイスを。26日のエレガントコンサートの最初に吹く予定ということで・・・ヤマハ繋がりと仰って居られました。

  恒例のサイン会があって、CDを持っていけば良かったーとちょっぴり後悔。その後のくじ引きで当たったひとに『壱』のサイン入りポスターがプレゼントされて。友人が当てましたー。

  今日はリラックスしていて、いい顔していたー。

 

 

 

川口国際交流フェスティバル 藤原道山コンサート       in LILIA  7月30日

  川口の駅に降り立ったのは初めてかも知れない。いつも電車の通過駅で、今日の会場のLILIAも車窓から見える。この辺りは急速な都市化で、高層マンションやビルなど駅から見渡すだけでも何十もの建築中の建物がニョキニョキと空をめがけて競い合っている。その街の大きさには不釣合いになってしまった小さな駅。

  西口を出て、すぐのところにLILIAはあり、迷うことなくホールへ着いた。実は少し遅れてしまい(時間を勘違い)一曲目のアメイジング・グレイスが聞こえていた。係りのひとから曲が終わったら案内するといわれ、もう一曲「空」までモニターで見ることになった。

  前半、道山さんは黒のスーツ、妹尾武さんはストライプの白のシャツと白のパンツにハンチング帽という涼しそうな格好。千住明さんの紹介で知り合ったとか。二人で妹尾さんの「蒼茫」を。広々とした海と空、二人の好きな風景をイメージした曲。その後、妹尾さんのソロで2曲。やはりあの「今、会いにゆきます」のテーマ曲を。ドラマのためにつくった曲ではなく、もともとあった曲をドラマで使いたいとう話があり、提供したそうです。もう一曲は「赤とんぼ」。童謡や唱歌もアレンジひとつでこんなにふくよかで多彩な音楽へと高められる。  The Momentはやはりケニー・Gさんとの共演がきっかけだろうか。尺八の持つ少し擦れた音色が哀愁を一層深める。

  後半は白のシルクのシャツで登場。CD『壱』から「鶴の巣篭」を。この曲は二人で掛け合いで吹く曲で、CDでは相手も本人。一度録音したものに、掛け合いを入れたそうだが、とてもやりぬくく「このひととは二度と一緒にやりたくないと思いました」と言って、笑わせたり。ここで、伊藤芳輝さんの登場。黒のシャツをあっさりとキメ、かっこいいでしょうーと道山さんも拍手。ここからステージの熱気も一気に上昇。トリオでやっぱり・・・「甘い水」を。伊藤さんのギターも超絶技巧!!。ピアノと尺八とギターなんて、普通ありえない。道山さんだって、こーんな吹き方しちゃうのってもう驚き。伊藤さんのソロはスペイン組曲「アストリアス」。ギターが踊るって感じかな。とにかく情熱的で熱い。スペインの風にさらされている気分。ため息。

  最後にチックコリアの名曲「スペイン」をトリオで。もちろん伊藤さんのギターで雰囲気は充分スペインだが、尺八がスペインになってしまうなんて・・・考えられないかもしれない・・・が、こんなに情熱的は楽器だったなんて・・・。とにかく、身体全体でリズムをとりながら、踊りながら吹くといえばいいのだろうか。たとえば、フラメンコだって吹けるよね。アンコールはぐっと静かに『光』を。ほっとして、体温を元にもどして終わった。

  今回感じたのは、道山さんがすごくステージ慣れしたってこと。こんな大勢のひとを前に、流暢にお話する姿はもうプロそのもの。冗談も言えちゃうし、だいいち、私が見ていてはらはらが無くなった。(えらそーう)・・・いやいや、本当はもっともっと高尚な方なんですよね。ごーめんなさい。

 

プログラム

第一部
アメイジング・グレイス
空-ku-
蒼茫
この道
今、会いにゆきます
赤トンボ
The Moment
ディープリバー
金髪のジェニー

第二部
鶴の巣篭
甘い水
スペイン組曲「アストリアス」
アランフェス協奏曲
スペイン


藤原道山ライブ          in  都筑公会堂                7月2日

  都筑公会堂は遠かった。横浜と聞いてそれ程遠い場所とは思っていなかったが、横浜から地下鉄に乗り継ぎさらに28分。センター南で降りてからパンフレットの地図をたよりに歩いたが間違えて遠回りしてやっと着いた。家から2時間。早めに出てよかったと胸を撫で下ろした。

  整理券をもらい待ち合わせした友を探す。手がかりは「白のジャケット、白い花柄のワンピース・・・」。全然見つからない。当たり前、初めて会うんだもの、この季節、同じような容姿の人で溢れている。

  席に着くと隣の男性から声をかけられた。「この尺八というのを聴いたことがありますか?。尺八は素晴らしい音ですか?わたしは初めてなのですが・・・」。勿論、素晴らしさを熱く語らせていただきました。ライブはアメイジング・グレイスで始まった。これは道山さんの定番の曲。この曲は5つの音から出来ていて、5孔しかないシンプルな尺八とぴったり合うとのこと。初めて道山さんのライブに行った時から自分の曲として機会あるごとに演奏されている。しかし、何度聴いても新しい気持ちとの出会いがある。空-ku-は道山さんの作曲。空は空っぽ、無という意味。無は無限、無限なる大いなる空間を表現したと聴いたことがある。

  ここで、ピアノの妹尾武さんが紹介された。妹尾さんはとてもハイセンスなひと。ピンクのシャツと白のスーツを焼けた肌にさらりと着こなしてしまう。トークもしなやかに何気なく道山さんをリードしてくれる。その頼もしさはもちろん演奏にも通じていて、道山さんも言っていたが、道山さんを自由に遊ばせてくれる、どんな演奏をしてもきっちりと受け止めてくれる、そんな安心感がある。早春賦、この道もピアノが加わると音の広がりがもうステキで、流線型のピアノの流れに尺八が溶け込んでいく。この道では途中で九寸管に(たぶん)持ち替え最後は少しトーンダウンさせて曲を引き締めていた。

  妹尾さんのソロでは本邦初公開、「今、会いにゆきます」の音楽を披露。テレビ放送前に聴けるなんて幸せ。映画の侘しく儚い雨の日のシーンが甦ってきた。赤とんぼも妹尾さんの手にかかると魔法にかかったよう、クラッシクにかわる。

  ケニー・Gさんのサックスと共演された「The Moment」 もピアノになると雰囲気が一変する。「Deep River」のゆったりとした流れ、「金髪のジェニー」の軽快なテンポ、どれもピアノの彩られて胸に迫る。今の音楽はスピード感やテンポばかりが優先し、電子音に慣れてしまい『本物の生の音』を聴くことがない。本物の良さを知るためには生の音を聴くことですと二人からのメッセージを心に受け止めた。それはよく理解できる。ライブを見つづけているとCDさえつまらないものに思えてくる。

  後半は足元からのブルーライトで幻想的に古典の曲「峰の月」。この曲は思い入れの深い曲のようで、いつも新しいアルバム『壱』の紹介をするときは演奏する。本来の姿にリセットするための曲ということで、古典を大切にしていることが伺われる。

  ここからチェロの古川展生さんが加わりアンサンブルに。オレンジ色のアロハシャツで登場し、舞台は一転オレンジのライトで情熱的に変貌。チェロが加わると曲はますます華やぐ。星に願いをでは流星群が確かにキラキラと輝きながら飛び交っていたし、ニューシネマパラダイスはお互いのソロを交えながら、なんて、なんて素晴らしいのだろうか。胸がいっぱいになり、溢れ出し涙になるという感じ。

  古川さんのバッハのソロも、スピード感あり、情熱あり気迫せまる演奏。楽器との真剣勝負という感じでもう少し聴いていたい。「Seven Samurai」、「琥珀の道」。琥珀の道を聴いているとき何時の間にか私は目を閉じ夢の中を彷徨っていた。眠っていたのか、陶酔していたのか、自分でも分からないのだけれど、魂が音の中に引き込まれていたような不思議な感じだった。アンコールは・・・やはり!アベマリア。

  いつも思うことだけれど、今回も一番良かったという満足感に浸っている。毎回違う味わいの演奏を楽しませていただいて、この感動は尽きることがない。ときどき魂いっぱいの満足感を味わうことで、心の中庸を保てるのならば、こんな贅沢な人生はない。

追記:都筑オリジナルにごりワインのプレゼントがあった。抽選で5名。当たるはずもないが、ワイン好きな道山さんにもプレゼントされた。当選した方、おめでとうございまーす。

 

  

 

『音遊自在観月会』 其ノ弐              in AOYAMA  月見ル君想フ       5月31日

  今回、2回目の道山ライブ。もう何度も大きなステージを踏んでいる道山さんだが、自分がメインのステージとなると、ゲストから舞台構成まですべて道山テイストで固められ、ファンとしてはなんとも嬉しいライブだった。

  一曲目は「ジュピタ」。昨年平原綾香さんが歌って流行した曲だ。ホルストの「木星」の中の一部だが、道山さんも高校時代ブラバンでフルートで初めて吹いた曲だったそうだ。ピアノの田村リオさんが加わり映画音楽「ムーンリバー」を。テーマは「月」。弦楽カルテット(バイオリン、第二バイオリン、ビオラ、チェロ)との合奏で「おぼろ月夜」、「早春譜」、「星に願いを」。

 弦楽カルテットとの共演は滅多に出来ないことで、道山さんも本当に楽しみにしていたそうだ。尺八の少しかすれたしなやかな音と、弦楽の少し尖ったきりりとした透明な旋律が相まって、音の広がりにしろ、厚みにしろ何倍にも膨らんでいく。

 ソロで「峰の月」「光」もあったな。「黄金の海」「ディープリバー」もおもしろいアレンジでCDとはひと味ちがう。道山さんは自分で指揮をとりながら、そして、ワン、ツー、スリーとリズムを刻みながら5人の息を合わせていた。指揮をとる姿もしなやかでなかなか様になる。またひとつ新たな発見。

 ケニージーさんとの収録の話では「独り占めした至福の時」とか。自慢の笑みを満面に湛えて・・・。最後は「琥珀の道」と「りんご追分」。今回のライブはCD収録曲のアレンジが多かった。アレンジによって曲はまったく違う表情になる。なんと言っても演奏者が楽しそうで、その気持ちがそのまま伝わってきて楽しさも倍増。

 音楽は何にも支配されないもの。いつも自由で、時代にも、思想にも、人種にも身分にも、全てに等しく降り注ぐもの。奏者と聴き手の感性が合致したとき、極上の音楽へと昇華していくもの。

アンコールはいつもの「アメイジング グレイス」と「アベマリア」。

追記:CD「空」に収録されている『黄金の月』は千住明さんの作曲です。夕日が海面をあかく染めて輝いている様を表現したそうです。お兄様の千住博さんは画家でが、お兄様の描かれたものの中にもそんな海を描いたものがあるそうです。

その話を聞きながら、軽井沢の画廊で見かけた千住博さんの滝の絵を思い出していました。それは、力強く飛沫で白く煙る壮観なものでした。

ひとつの場面を兄は絵画で、弟は音楽で表現している。素晴らしいことですね。

 

 

文化のアトリエ 『藤原道山尺八コンサート』       in  さいたま文化センター 小ホール 5月17日

  今日のコンサートでは妹尾武さんの演奏を楽しみにしていた。「空」のCDで初めて知ったのだが、実はとても幅広い音楽活動をしていて、若手からベテランまで多くのアーティストの曲を作っている。センスのいいアレンジも楽しみで、どんな風に色付けしてくれるのかと、とても興味があった。

  チケットはとらず、直接会場へ行った。小ホールなので席数も少ない。空席がマーカーで色付けされていたが、横1列にずっと空いているところが何箇所があった。前から8列目と9列目の間が通路になっていて、通路のすぐ後ろの9列目は1列空席だった。「一番いい場所なのに、何で?」と思っが係員が一番真ん中にしますか?と聞くので「はい、一枚ください」と言った。

 ブザーが鳴り会場は真っ暗になり、道山さんの立ち位置だけにスポットライトが灯された。「空」の演奏が始まると同時にホール脇の入り口から道山さんが現れた。演奏しながらゆっくり入ってきて通路を横切り反対側から舞台へと進んだ。なんと、私の目の前を、音を響かせながらゆっくりと通り過ぎたのだ。そうか!、それで、ここ一列は予約のとき空けておいたんだ!当日券のひとが計らずもこの席に座ることになったのか。なんてラッキー、得した気分。でも絶対見られた!また来てるのかって思われたな、恥ずかしい。追っかけって言わないでね。

ここのホールは小さいので音がよく響き、マイク無しで演奏できる。移動しながら演奏すると、音の響き方も変っておもしろい。空気の振動が直に伝わってくる。妹尾さんのピアノはサラサラと流れるような、とてもスマートな感じ(表現が難しい)。どの楽器も同じだと思うが、ピアノも弾き手によって音が全然違う。酸いも甘いも大人の感じで、上手に騙されそう(悪い意味じゃない)。

ハプニング。妹尾さんのソロで2曲。「材木座海岸」と「赤とんぼ」。都会的に甘くささやくんだ〜。と、その後ふたりの演奏になるはずだったが、なんと「すみません、楽器を忘れました。取りに言ってきまーす」と舞台袖へ。するとその僅かの時間に即興で「港の見える丘」を妹尾さんが演奏。道山さんの言い訳は「聞き惚れていたから」で、妹尾さんに言わせれば「道山さんらしい」だそうです。気を取り戻して「金髪のジェニー」、「ダニーボーイ」、「アベマリア」。

  後半ではグレーの光沢のあるシャツに黒の麻のジャケット。しわ感があってちょっとラフな感じ。妹尾さんの『蒼茫』(そうほう)はとてもゆったりとした感じでステキ。7月にリリースされるCDの中から「峰の月」を。これは月が昇りはじけてから、山を煌々と照らすまでの様子を曲にしたものだそうで、目を閉じて風景を思い浮かべながら聴いた。

アメイジング・グレイスはもう何回聴いたことか。「Seven Samurai」もアレンジされていて、妹尾ワールドなのか。最後の『琥珀の道』が最高!!ジャズっぽいアレンジで、途中でどこかへ迷い込んだ。未知の世界をしばらく楽しんだ後、何時の間にか琥珀の道に戻っている。そんな感じ。

アンコールは美空ひばりさんの「りんご追分」と二人の出会いの曲だという「ディープリバー」を。ディープリバーって切ないような、懐かしいような、泣きたいような胸キュンの曲。

いつも、コンサートのあとCDの販売とサイン会がある。私は参加したことはないが、あの「サイン会をおこないまーす。CDを買った人だけこちらへお並びくださーい」っていうの、止めて欲しい。サインまでCDとセットの商品みたいで嫌い。違うよね、ファンのひとへお礼の意味で、宜しくお願いしますという気持ちで書くんだよね。そういうことにして欲しい。

追記
お二人の共通の趣味は『島』だそうです。道山さんも今年の沖縄ツアーの時は一週間くらい休暇をとって、沖縄の島々を巡ったそうです。日本には、なんと6852の島があるそうです。

う〜ん、『島』かア。わたしもこれから「島好き」になろーっと(笑)

 

 

尺八の音楽ー歴史と可能性ー   in 朝日カルチャーセンター                          4月23日

  会場が新宿だったせいか、迷う心配もないとギリギリに家を出たらなんと数分の遅刻。講演は始まっていた。係りの方に案内されて後ろのドアからそーっと入る。一番後ろの席に着いた。講演のまえに『空』の演奏。

以下、講演内容
笛にはたて笛とよこ笛があります。
たて笛はケーナ、ネイ、リコーダなど、よこ笛は龍笛、能管、篠笛などです。これらのたて笛はエアーリードといいリードが無く、息を楽器の角に当てて空気の振動で音を出しています。これに対してシチリキなどはリードがあり、そこで音を出しています。

笛は歴史的にはエジプトの壁画や、中国でも1500年位まえの文献にもあるそうです。日本では埴輪にお琴や太鼓をもっているものがあるそうです。文献では日本書記や古事記にあるものが一番古くて(700年位前)その前は口承といって言葉で伝えていたそうです。

今の琴や尺八は400年前百済からはいってきたというのが一番古く、遣唐使によって雅楽とともに伝えられました。その時の尺八は6孔あったのですが、日本人的な音に合わせてだんだんと5孔に変ってきたそうです。

平安時代の雅楽では、笙・ひちりき・龍笛・お琴・琵琶・太鼓・カッコなどで、尺八は音が小さくて聞こえない(?)という理由でリストラされたそうです。

室町時代頃までは「ひとよぎり(一節切)」という一尺一寸(約33p)のもので、細くて短く、高音が出るものだったそうです。一休和尚も使っていたとか。
室町時代の後半になって今の形(根のついている七節のもの)になり、武器を持たない虚無僧が武器の変わりに持っていたという伝えもあります。

江戸時代になり、豊臣家が滅ばされると虚無僧が一気に増え、お寺も檀家も持っていなかったので実入りがなく、托鉢をして食い扶持を得たそうです。普化宗(ふけしゅう)という宗派で、月3回の托鉢、武道修練など細かい決まりがあり、托鉢の時に吹く曲も「かどつけ」、「はつがえし」など決められていたそうです。
また、虚無僧同士が会った時には「呼びたけ」、「受けたけ」を吹きあい、これが吹けないと偽者ということで重罪に課せられたようです。関所を自由に通れるとか、芝居がただで見られるなどの特権もあったそうです。

江戸時代は法器とされ一般の人は吹いてはいけないという建前があったようですが、実際には吹き合わせ場で教えたり、三曲合奏(琴・三味線)して楽しむことなど暗黙のうちに許されたいたそうです。

幕末になると、特権の悪用が増え普化宗の権威は失われ、明治になって解散させられました。その時、尺八を吹くことを禁止されたそうです。ここでもしかしたら尺八は途絶えていたのかもしれませんよー。しかし、吉田いっちょう、荒木五郎の二人が幕府に弁明して、また曲として吹けるようになったということです。

江戸時代の中ごろに琴古流はできました。黒澤琴古という方が36曲を本曲としてまとめたそうです。都山流は明治29年に中尾都山が創設しました。地歌や箏曲を譜面におこし、大正時代になって宮城道雄と演奏してまわり、急激にひろまったそうです。古典本曲ではメリ、ユリ、フリという技法を大切にし、息の長さと抑揚で作っていく音のグラデーションを大切にしていました。今の音楽は音の高さ、強さ、ハーモニーなど直接的で鮮明なものに支配されているのに対して、聴くごとに深まる味わいがあるということなのでしょうか。

現代ではジャンルを問わず、いろいろな楽器と演奏しています。この形は山本邦山が先駆けとなっているのではないでしょうか。尺八協奏曲「竹の群像」など、新しい分野の曲として発展してきました。しかし、それらの多様な音の原点は古典にあるということです。

1時間半はあっという間に過ぎました。あまりにも古い歴史の中で、文献も数少なく内容も文献によって違うなど、歴史を紐解くのは困難が多いということも判りました。しかし、確かにひとの暮らしの中には様々な形での音楽はあって、それは宗教的でもあり、神事でもあり、娯楽でもありました。美しい音という感性は時代によって変ってきたけれど、その原点は人類のはじまりとともにあるのではないかと思いました。

まだまだ深い歴史はあるのですが、ほんの少し知っただけでもこれから聴き方が変ってくる気がします。「音のグラデーション」とはいい言葉です。これからはもっともっと鮮やかにきめ細かに聴き続けたいと思います。

最後は「アメージンググレイス」で締めくくられました。

 

 

『音遊自在観月会』 其の壱            in  AOYAMA 月見ル君想フ   3月25日

  チケットの予約をとったのひと月ほど前。その後間もなくチケットは売り切れになり、立ち見が出るほどの売れ行き。このところの道山さんの知名度は急高騰。何より、嬉しいことだ。
道山さんのHPに、そこだけ色付きで紹介されていた「月見ル君想フ」。ライブハウスにつけられたこの素的な名前からも、いつもとちょっと違う気合いが感じられ期待は高まるばかり。

  HPから印刷したすっごくアバウトな地図を片手にまずまず順調に到着。到着のはずだが入り口が見つからない。友人ときょろきょろしながらそれらしき入り口を発見。「ここでいいの?看板は?」何にもない。しかし、上を見上げれば三日月の飾りがひとつ。「ほら、ここだ!」
チケットを替えて外に出ると同じよううろうろと探している風な女性が。「ライブハウスですか?そこですよ」

  さすがに時間になるとライトもついて、看板も出され、もう迷うこともなく席についた。いやー、もう少し広い場所を想像していたのだが・・・ これならどこに座ってもよく見える!ジントニックを片手に席へ着く。始まるまで約一時間。この待ち時間もまた楽しい。『空』のCDが流れている。

  竹澤悦子さんの十七弦と坂本さんのキーボード。ソロあり、コンビネーションありで、曲数もとても多かった。『音遊び自在空間』というテーマにふさわしく、遊び心いっぱい。「私のお気に入り」」・・・そうだ、京都に行こう・・・。ピアソラのオブリビオンの中に隠れていたのは冬ソナ。古畑仁三郎もあったな。
  即興の暴走にはびっくり!尺八を叩いたり、十七弦を弾いた(?)り、踊ったり・・・傍若無人な音との戯れに陶酔しているよう。それはいつか『ゴジラ』のテーマ曲へと繋がっていく。あー、あれは闘暴している音楽だったんだと気付く。『ラストサムライ』が聴けたのも本当に幸運。最近ネットの友人みかんちゃんから薦められ坂本龍一さんのCD「/04」を聴いていた。「泣けるほどいい」と言われたほどで、私もみかんちゃんも大好きな一曲。
  昨年、NHKの癌撲滅の番組のためにつくったという『ひかり』。ひかりは希望。少しでも希望をもって生きていってほしいという願いが込められている。『空』や『鶴の巣ごもり』など、じっくり聴かせてくれる曲も多い。

  満月に1日早いという月の夜、青山の片隅で行われたはじめての『藤原道山ライブ』。白の細身のシャツに黒のパンツ。クロム・ハーツ風のシルバー十字のネックレス。緊張していたという道山さんのあいさつではこみ上げるものがあったみたい。

  アンコールではアメリカ公演で一番うけたという ミッションインポッシブルを。ボイスパーカッション(違うのかな?私はそう思っているのだけれど)で始まったときは・・・これからどうなるのか〜・・・と思ったけれど。やってくれますねエ。すごい!楽しい。躍動感あふれるステージはまさに瞬間の芸術。

  最後の最後、手を振って見せた笑顔は緊張から解かれたとてもいい表情をしていた。

 

一ノ瀬響 コンサート   in apple store銀座  2月17日

  アップルストアは銀座三丁目、地下鉄を出ると松屋の向かい側にある。全ガラス張りの正面から真っ白な壁と整然とディスプレイされた商品の間を奥へ入ると突き当りには全面ガラスで出来たエレベーターがあった。白のイメージが強いのは建物のせいばかりではない。そこに並んでいるのは『i-pod』。小さな白いスティック状の音楽プレーヤー。それを買い求める人が途切れることなく、入れ替わり立ち代わり入ってきてとても混雑していた。私はアップルコンピュータは全然知らないが、ユーザーの多いことに驚いた。

  入り口には『一ノ瀬響コンサート』のポスターが貼られていた。ガラスのエレベーターで3階へいくと直接ホールに入れる。一時間前に着いたので、まだリハーサル前だった。関係者が会場の準備をしていた。その中に道山氏の姿もあった。Tシャツとジーンズの私服の道山氏が一番いいと私は思う。ドアの外の順番の列に並んだが、リハの音がよく聞こえ、それを聴いているだけでも楽しかった。列の一番前に道山ファンの高校生の女の子二人がソワソワと騒がしくしゃべっていた。彼女らにとっては本当にーステキなかっこいい大人ーなんだろうなあ。熱い青春をおくっているんだろうなあ、と懐かしく羨ましい思いが巡った。

  『映像と音で織り成す空間』。まさに、一ノ瀬ワールド。一ノ瀬氏は左手にキーボード、右手にマウスを持って、コンピュータとスクリーンに気を配りながら、音を創っていく。スクリーンの映像は細かい小石を敷き詰めたようなものや、縦横のストライプ、無重力に浮かぶ水の塊・・・幾何学で不思議。デジタルサウンドと不思議映像はその会場だけが別次元の世界へ飛び出したような心地よさ。そして、そこに尺八の音が加わってもう一つ昇華していく。超デジタルな高性能に計算された音とあまりにもシンプルな楽器が融合した瞬間のすばらしさ。違和感はない。

  『空』はCDとはまったく別の音楽になっていた。自在に操れることの楽しさ。たとえば同じ演奏は二度と無いんじゃないかと思う。無限の中のその瞬間の音。その瞬間にしか聴けない音。その一瞬を垣間見ただけなのかの知れない。

 

2005年成人の日コンサート    in サントリーホール      1月10日

  赤坂アークヒルズの素敵な庭園を、キョロキョロと地図を片手にサントリーホールを目指した。洗練されたセレブな都会という感覚は、田舎者の私を少し戸惑いながら受け入れてくれた。お行儀よくね、というささやきが聞こえた。実は今日はチケットを買ってなかったので”運がよければ”という、半分あきらめた気持ちで出かけた。窓口に行くとわずかに当日券が残っていた。たまたま前から10列目が一席だけぽつんと空いて、私を待っていてくれたのかと思えるくらいの幸運だった。

 プログラムを見ただけで、今日のコンサートの素晴らしさが想像できた。第一部が藤原道山氏の尺八と野村万作氏の狂言。藤原氏の『空』を聴けたのは本当に幸せだった。CDでは何度も聴いているが、生演奏ははじめて。これは藤原氏の作曲で、無限に広がる天空と、雲をつむぐ風、におい、大自然の創造を藤原氏の感性で凝縮したのだと勝手に想像している。ハープと尺八の『春の海』も素晴らしかった。ハープは箏より少しソフトな響きで、上品な音色。初めは少し違和感があったが、流れるようなメロディーはハープの得意とするところで本当に美しい。後半の野村万作氏の狂言『奈須与市語』では、ひとりで源義経、後藤兵衛実基、奈須与市の三役を演じ分ける。悲しくも、私は狂言が判らない。今回で2度目だが、その知識がない。もったいない話だ。

 第二部は新日本フィルハーモニー交響楽団とイム・ドンヒョク氏のピアノで、チャイコフスキーのピアノ協奏曲。この曲は誰でも知っている名作だが、オーケストラの迫力はやはり、会場に来なければ伝わらない。クラッシックは生活の中ではBGM的に、場の雰囲気づくりや、精神を沈静させるために何となく聞き流している場合が多いが、本来はもっともっと主張をもった、激しいものなのかもしれない。イム・ドンヒョク氏のピアノはすばらしい。まさに天才と言える。美しい指の動きはピアノを自在に操り、寸分のくるいも無くメロディーを奏でる。あまりにも見事な演奏とは裏腹な、少年のぎこちなさの残る所動に、ますます今後の期待の大きさを感じてしまう。

 二部のはじめに藤原氏の司会で、野村万作氏と指揮者の下野達也氏の紹介があった。藤原氏の司会は初めてみた。いつも紹介される側で、質問に答えることが多いのに、今日は進行役。う〜ん、いつものソフトタッチで・・・・ちょっと、ううん、ヒッジョーウに緊張。藤原氏は大学時代、野村万作氏のもとで狂言を勉強していたとか。すごい興味深い。