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アメリカは結局なにがしたかったのか?(続)

前回の続きです。共産主義が失敗した理由を説明しました。

2.超右派と言われるネオコンがなんで共産主義に近いのか?

ここまで読んでも、超右派と言われるネオコンがなんで共産主義やねん、なんで 関西弁やねん!ということになると思うのですが、右も左も大きく偏れば一周して 近づいていくものです。

アメリカは、テロという痛い目に遭ったので、これをなくして平和になる為に みんなが仲良くなればいいと思いました。でも、アメリカは民衆が、つまり世界中の 人間が論理的でなくて、結構バカだということを知っていました。 そこで思いついたのです。 アメリカがリーダーということにして、武力でバカを押さえつければ平和になる、と。

この発想は、ソ連との冷戦時代が意外に平和だったことと無関係ではないでしょう。 確かに、いつ核戦争が起こるか分からないという状況だったにも関わらず 結局起きませんでした。それは、お互いが丸腰であるよりも、お互いが銃を向け合って いた方が案外平和、という一見矛盾しているかにみえる事実でした。 ただやっぱり自分が銃を突きつけられるのは嫌だ。

この一方的に銃を突きつけるという発想が、 前回指摘した共産主義のエリートと同じであることは察しがつくでしょう。 アメリカは他の国は間違えるが自分だけは犯罪者と善良な市民を間違えない、 と思い込んでいるのです。 正確には、「自分以上に正確に犯罪者を撃ち殺す国はないから、自分が間違えたら それは仕方ないことだ」と、そしてそれは他の国も理解していて仕方ないと納得するだろう、 と思い込んでいるのです。

3.で、結局アメリカはなにを勘違いしたのか?

僕は、アメリカ人の行動を見ていて「アメリカ人ってほんとバカだね」 といったセリフをよく吐きますが、そうは言っても、アメリカは今、世界で最も優秀な国家であると 思っています。そして彼らアメリカ人もそれを自覚しているだろうと思います。 さらに僕は、世界の平和のために最も心を砕いているのがアメリカであることを知っています。 アメリカには余計な責任感と無駄な良心があります。

アメリカは自分の利益だけで行動している、と思う人もいると思いますが、 僕は利益と良心は必ずしも相反さないことを知っています。だから、つまりアメリカに 利益になるからといってそれが悪いことだとは限らないということです。

ただ、「アメリカ楽しいよ、ほら、みんなアメリカみたいになろうよ、 自由ってほんと素晴らしいんだから」とアメリカ人が思うのはムリもないことですが、 その押し付けは悪になり得ることを彼らは知らないようです。 カースト制というよくできた階級システムで有名なインドは、 アメリカから輸入された自由によって大変な混乱をしています。 アメリカは、安心を売っているのに不安を掻き立てる保険の勧誘オバサンのように、 強引で迷惑です。

彼らは保険を買う以外にも幸せがあるってことを知らないのです。 アメリカは、自分の知っている以外にも価値があるということを知り、 自分程度のエリートレベルでは、その多様な世界は束ねられない、ということを 知るべきなのです。さらに正確に言うと、世界を束ねるなどという高慢な考えは、 ひとつの国家がひとつの国家である限り不可能であることを知るべきなのです。

アメリカ人はそれくらいのことは理解できる連中であると僕は信じています。 ただ、個人が尊重されるアメリカであるのに、価値基準が画一的で一本木なアメリカに それが理解できるにはかなりな困難が必要かも分かりません。

アメリカの責任感は痛いほど分かります。でも、1人のエリート主義は上手くいかない、 ということはアメリカが十分理解しているはずです。 アメリカがその能天気な頭でほんのちょっとでも思い出してくれたらいい、と思います。 正義を掲げる右翼的な発言、行動は見ていて気持ちのいいものですが、 ほとんどの人はついていけないのです。

03.10.03


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