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感想文 「メンタルタフネス―人生の危機管理」ジム・レーヤー (著)

タフ(tough)という概念が日本語にないことは残念である。gooによれば、 こんな日本語訳 になるが、どれもなんか違う。一言で言い当てる日本語を誰か作って欲しい。

例えば、強いチャンピオンである要素は以下のようである。
1.強い体力
2.強い精神力
3.強い技術力

強いには2つある。
1−A.へこたれない体力
1−B.へこたれても回復する、あるいは長期的に力を発揮する体力
2−A.いつも明るく、前向き、積極的である精神
2−B.凹んでも回復できる、立ち直れる精神
3−A.勝つための技術
3−B.負ける可能性も想定しその時の逆転方法、あるいは被害を最小に食い止める技術

強いっていうと、Aしか思いつかない方は多い。Aしかないってのは、それは人生サドンデス ってことである。負けたら終わり、片道燃料だけの特攻隊である。

去年のW杯サッカーの日本代表のメンバーには、Bの能力を持った選手が多かったように 思う。前半ダメでも後半で持ち直せる。前の試合ダメでも次の試合で持ち直せる。

これは、カズだとかラモスの世代にはなかった能力だと思う。ジーコ新監督が呼ぶ選手には Aの能力はあってもBの能力に欠ける選手が混じってる気がする。その点では、 ジーコはトルシエに劣っている。

このままでは今度の日本代表は、勝ってるときには大量得点1点勝負では得点できない、 強い相手には肝心な所で失点する、こんな試合が増えるのでは。これではまた、 外人相手にヒヨってしまう弱い日本に戻ってしまう。

サッカーの話とこの『メンタルタフネス』はあまり関係がない。このジムレーヤーという著者は アメリカのスポーツ心理学の権威で、数多くの有名なスポーツ選手を育てている。 特に、ストレス(この場合精神的な負荷のみでなく、体力的な負荷も含む)と休養のバランスにより、 体力、精神力を向上させる説明は図を用いて実に明快で素晴らしい。

この本はスポーツ心理学を極めた著者が人生というものにアレンジして書かれているが、 スポーツをしていない方も、中途半端に人生にアレンジされたものより同じ著者ジム・レーヤーの スポーツ選手に向けたもの を読み、独自に応用した方が面白いだろう。

03.02.13

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