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感想文 「竹中プランのすべて―金融再生プログラムの真実」木村 剛 (著)

日本の経済が悪いと言われていまして、それが政治のせいだとか、銀行のせいだとか、 官僚のせいだとか、他にも、不良債権だとか、自己資本比率だとか、ただの中小企業の ぶらさがりサラリーマンの僕には、 なにが起こっているのかさっぱり分からないんですが、その辺りを突付いてみようと思いまして、 ためしに読んでみました。

とりあえず、この本を手に取った理由としては、まわりの評論家や野党が言うことは、 知ったかぶりの外野が、訳の分からない民衆のウケがいいように言うことなので、 質の悪いジョークとしか受け止められない。(だいたい竹中さんが学者だからダメ、とかいう無意味な 批判はご自分が無能だと披露しているようなもの。) エコノミストとか言われる銀行のサラリーマンの言うことは、立場のある人間なので、 銀行よりのコメントをするに決まっている。 官僚は自己保身しか興味がないので、論外。 結局、責任のある立場で、竹中チームのブレーンとか言われている著者の本を読んでみよう、と。

で、もちろんこの本に書かれていることの、どこが本当でどこが嘘なのか、僕にはさっぱり 分からないわけですが、その要旨を自分なりにまとめてみると、こんなん。

1.官僚は、「不作為という作為」、つまり、何をしても文句を言われるから、 開き直って、それをする必要があることを分かっていてそれをしない。 あとは、自分が職位中になにも起こらないことを神頼みしていて、 もし何か有った時には言い訳のみを考えている。

2.銀行とは、そもそもお金を貸すという行為によって、その事業主と心中する気持ちで 産業を広げていくのが仕事で、それによりお金を循環させて世の中を潤わせるのが仕事。 だがしかし、だがしかし、銀行員になる人はその職業の給料がよくて安泰だからなるのだから、 そんな覚悟を背負えるわけもなく、資本主義の中核としての役割が担えていない、と。

強硬路線(ハードランディング)とか言われる、竹中プランが何をしようとしているかというと、 これまで当たり前にやらなくてはいけなかったことをちゃんとやらせる、とそういうことのようです。

銀行には、当たり前のことを当たり前にやらせようということなんですが、今は当たり前の ことを全然してないわけで、当たり前のことをさせようとすると、「できません」とほとんどの 銀行が弱音を吐く。で、今はその竹中プランに対抗しようと、銀行が連合を組んで、 なんとか当たり前のことをしなくてもいいようにしようとする。

で、その当たり前のことをさせることが、なんで強硬路線と言われるのか?

当たり前のことをちゃんとさせることは、させる官僚も、する銀行も、 もちろん負荷がかかるわけで、 官僚、銀行という強者に負荷をかけると、その負荷は結局、銀行の取引先にいき、 しかもその取引先の大企業ではなくて、中小企業にいく。で、そうなると、小さな町工場みたいな 会社に負荷がいき、社会的弱者に負荷がいき、失業者がたくさん出る。

で、そうなっちゃまずいでしょ!って銀行という強者は宣伝して、 銀行には負荷がかからないように宣伝をする。 それは、弱者の為かのように言うが、それは自分の為である、というからくり。 社会的強者にちゃんとやらせようとすると、どうしても弱者にしわ寄せがいってしまうんですが、 じゃあそれならばと、ちゃんとやらせないと、他の国が信用してくれないし、新たな産業も 生まれなくて、いつまでも経済は良くならない、と。

で、結果的に、竹中プランは、社会的強者からも社会的弱者からも嫌われているんですが、 ちゃんとやらないと日本経済はよくならないぞ!というのがその主張なわけです。

そんなことが起こっているようなんですね。 あくまで、この本を読んだ僕の理解のレベルですが。 まあ、銀行の人も官僚の人も自分が可愛いですからね。仕方ないですが、当たり前のことを ちゃんとするほうがいいのか、いい加減にしたままのほうがいいのか、それとも それは実は、当たり前でなくてただ騙されているのか。 難しいです、僕にはさっぱり分かりません。

03.07.20


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