村上春樹の本は確かに面白い。 まるでエロ漫画のように、主人公はウジウジしてて何もしないのに、 ちょっと内気な片思いの女の子といい雰囲気になっちゃたり、 その片思いの女の子のマブダチはやけに積極的で、何でか知らんけどおいしいことになってたり、 なぜか豊満なメガネの先生はみょーに面倒見が良かったり。 「あら!ワタナベ君!先生が処理してあげるワ!」みたいな。 自分がなにもしなくても勝手にまわりがおいしいことになっている男の願望を描いたストーリー。 とかなんとか言いながらも、僕は『風の歌を聴け』から『海辺のカフカ』までそのほとんどを読んできた。 しかし、村上春樹ほど語りにくい作家はいない。さらに、村上春樹は常に語られることを拒否している。 そして、そのくせ村上春樹は語らせたくなるようなものばかり書いている。上手い。エロい。いやらしい。
僕の中での村上春樹の本ベストスリーを大発表!!! ちなみに村上フリークの間では、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』が一位になるようだ。 村上さん自身も「この作品ならまた続編を書いてみたい」と言っている。 多分読んだことある人少ないと思うので、気が向いたらどうぞ。新しいものより古いもののほうが良かったりするわぞい。 さてそんなわけで、ずっと村上春樹と一緒に生きてきた僕は、『海辺のカフカ』の主人公が15才で、カフカと名乗っていると知って非常に残念に思ったのだ。村上春樹さん!一体いつまでそこにいるんだ!と。 なぜいまさら主人公が15才でなくちゃならんのだ、と。なんでカフカなんだ。そりゃあカフカは凄い小説家だけど、 なんで中学生が自分のことをカフカと周りに呼ばせて喜んでいるんだ、と。 僕は村上春樹がもっともっと世の中に足を踏み入れていって、その世の中の中で、 それでも村上春樹のままでいて欲しい、と思うのだ。 だから、村上春樹が『ねじまき鳥クロニクル』でノモンハン戦争を描いたときは、「お!村上さんついにやってくれるか」と期待したし、地下鉄サリン事件を描いた『アンダーグラウンド』を書いたとき、 お!って意外な喜びを感じた。それがなんだい。15才?カフカ?どーでもいい。もう青春は終わったのだよ。 なんてことを書いていると、もしかすると村上春樹の作品のことが全然分かってない!って叱られるのかも分からないけど、だいたい村上春樹の作品に意味なんてあるのか?全然分かんねー、って。意味があるような雰囲気だけ残しといて、意味ないんじゃないのか。 なんて悪態をついてみるがやっぱり村上春樹の本は、好むと好まざるに拘らず(この言い方ってなんかまどろっこしいね)、自分について回ると思うし、新しい作品が出たらすぐ買っちゃうんだろうな。そいですぐ読んじゃうんだろうな。もう最近は、小説も文庫本でしか読まないくせに、村上春樹の本だけはハードカバーで読んじゃうんだろうな。 嫌いじゃないっす、むしろ好きっす。 で、次回の村上作品としては、主人公がパスタを茹でるんじゃなくて、蕎麦を茹でるようなお話がいいなあ。 それで、娘じゃなくて、息子が二人いるようなシチュエーションで、特殊な仕事じゃなくてサラリーマン、 しかも係長とか中途半端な立場、あるいは工場長とか。うん、それがいいよ、村上さん。それでひとつ書いてみよう。 だって最近本がちょっと売れすぎでしょ。 『少年H』にしても、『世界の中心で愛をさけぶ』にしても、『ハリーポッター』にしても売れてる本ってみんなツマラナイじゃない。そんなに売れるようなもの買いてはいけません。新しい世界に足を踏み込んでいかなくては。小沢健二とかコーネリアスのように、なんと言われようと。 もう今となっては、昔みたいに鼠とペプシを賭けて、夜中にビリヤードをやれなくなってしまったんだから。 03.12.05 |