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感想文「夫婦茶碗」町田 康 (著)

これはですね、世界の大勢と当サイトの現状に鑑(かんが)みですね、この 事態に立ち至った原因、経緯を分析して、その事実に基づいてですね、 まあ、おもしろいんですよ、ははは、そうそう、やはりこれだよ、山ちゃん。

どんな小説かっていうとですねえ、イカれた男が、イカれた男のする、イカれた行動を、 イカれた表現で書いた小説なんですね。いやあ、なんかねえ、イカれてるんですよ。 ずはははは、ってもんで、面白いんですけど、好き嫌いがあるかも分かりやせん。

僕も読み終わってから、 「うん、面白いけど、好きにはなれないな」なんてぬけぬけ言ってたんですけど、 しばらく経ってからまた町田さんの小説が読みたくなっちまいまして、 「くっすん大黒」と「屈辱ポンチ」を買ってきちゃいましたもん。 なんだかね、どうなんすかね、中毒性があるみたいなんですね。

まあでも、普段は小説なんか読まなくって、 テレビと漫画とたまに話題の映画を見るくらいって人にも、 まあ身包み剥がされたと思って、読んでみて貰いたいもんです。 高校時代に、夏目漱石とか森鴎外とか頭の悪いセンセーに読まされて、 小説ってつまんねえよ、この西瓜野郎!と思っちゃってるかもしらん人、或いは唐変木。

思うに小説なんてのは、娯楽という点のみにおいて優れてまして他にはなんの取り柄も ないんですから、ためになるとかそんなのはどーでもよくってですな、 話の筋なんか読んだ端から忘れちまえばいいんですよ。 だいたい、こんなサイトを読んでいる暇があるなら、 この本を読むほうがいいんじゃないの、つーはなしなわけです。

例えば、その小説の内容はこんなんです。
主人公は、嫁のいるプータロー。嫁に生活費をセビラれて、あるとき茶碗洗い屋を思いつく。

『米屋は米屋で忙しいから、茶碗を洗う暇がなく、わたしに三千円払って、茶碗洗いを依頼する。 そしてまたわたしが儲かる。はは。社会の輪が完成するのである。ね、これだ。 つまり、今日のこの陰気な状況の根本の原因は、そういう社会の輪にわたしが 参加していなかったことによるものなのである。 社会参加、いや、一歩進んでわたしは社会進出を果たさなければならない。 よし、茶碗ウォッシャー、これだ。ウォッシャー、ってのも勢いがあるし。 わたしはウォッシャー。いいね、この語感。力があるよ。』

こんな具合です。ね、面白いでしょ、はははは、げほげほげほ、ちゃんちゃらおかしー。 さあ、みんなで買ってよもー、エイエイオー!

そこで、主人公はですね、静かな住宅街を「ちゃわおっしゃー、ちゃわおっしゃー」って 絶叫して歩き回るんですけども、誰も呼んでくれる主婦はなく、夢がこわれました。

まあ、こんな具合で、あ”ー体がだるい、今日も陽が翳る。

03.07.18


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