今日は一人の女性が人生相談にいらしてくれました。 ――今度結婚することになったんですが、なにか心がけておくことありますでしょうか? ふうむ、もちろん色々あります。お互いの実家にお歳暮、お中元をちゃんと送るとか、 家事分担をきちんと決めておくとか。でも、今のうちにやっておくべき最も大切なことは青春にケリを つけておくことでしょう。 ――はあ?私は頭が弱いので、よく分かりません。青春にケリをつけるとかどういうことでしょう? 青春にケリをつけるとは、『羊をめぐる冒険』という村上春樹さんの小説でテーマになっていることです。 ――へえ?ますます分かりません。あなたの頭の方がおかしいのでしょうか? いいえ、そんなはずはないはずです。 ふうむ。。。 例えば、、そう小学生あたりから高校時代、あるいは大学時代とか思い出してみて下さい。 あなたには、今でも後悔していることはありませんか? 昔、あんなに好き合ったあの人とあんなに悲しい別れをしてしまった。今でも私のことを思ってくれてるんじゃないかしら?あんなにいい友達なのに、その場の雰囲気で気が大きくなってその人を傷つける言葉を 言ってしまった。あのときもっとちゃんと勉強していれば、あの学校にも入れて今ごろは。。。 こんな風に思っていることはありませんか? ――あります。でも、そんなのは誰にでもあるんじゃないんですか? 確かに。しかし、肝心なことは、後悔とは過去のことを振り返ることだということです。 そしてあなたは、好きな人に嫌われて、いい友達を傷つけて、勉強もろくにしなかったあなたは、 その時その程度の人間だったということです。「こうすればよかった」は間違いです。あなたには 「こうすればよかった」と今になれば分かることが、その時点で理解し、判断し、実行するという 能力に欠けていたのです。 ですから、その時あなたはその人と別れて必然だったし、その友達ともうまくいかなくなっていたでしょう。勉強なんかできたはずがありません。でも、あなたにとって、それはそのときそのときに最善の 判断、最善の努力だったのです。その程度だったとしても。 あなたにできることは、過去をそれはそれとして消化し次回に生かす、 今度はもっといい状況判断と決断と実行ができるよう自分を磨くことだけです。 中には取り戻すことができることもあるでしょう。 しかし、取り戻したところでなにかが違っているのです。 昔の彼と今のもうおやじ化しつつある彼とは違うのです。 そしてあなたのお肌もすでに曲がり角を曲がって久しいのです。 あなたに残されているのは今、目前の敵を全力で倒すことだけなのです。 ――なるほど。よく分かりました。 03.02.06 |