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健康オタクが不健康であるカラクリ

「おもいっきりテレビ」とか「発掘!あるある大辞典」とかの番組が嫌いです。 みのもんたのあの、おば様方の心を掌握する技術には関心がありますが、 どちらの番組も見ているとたいていイライラします。

なぜ、そんなにイライラするのかと鑑みてみると、そこで披露されている健康に対する 知識はいちいち正しくて、それはそれでいい。ただ総じてみると それは必ず不健康になる道であることを僕は知っていて、でも、そのことを示す術がない。 正常なバランス感覚を持っている人ならば多分僕と同じように感じていて、 その番組がただの健康娯楽番組で「誰もそれで健康になろうなんて思ってないだろう」 と思っているのに、実は、その番組を真に受けている人が結構いるという現状。 それが自分にとって大切な人であったりする事実。

でも、今日はここで、その「ウソ」を示してみようと思います。

例えば、ある栄養素が体によい、という健康マメ知識があったとしよう。 アミノ酸とか。健康オタクな人は、馬鹿の一つ覚えのようにアミノ酸を取り続けるのだが、 その人は以前はビタミンCを狂ったように摂っていて、今は見向きもしない。

食べ物がどのように、体に影響を与えているかというのは、今でも新説がどんどん 発表されて、あの栄養素が実はこれにいいらしい、などとニュースになる。 こんなにどんどん発表されているということは、実際はまだまだ何も分かっていないという ことを意味していて、まだ我々の科学のレベルでは計れていない栄養素があるし、 その作用の全容も分かっていない。

さらに、栄養素というのは、それが直接、一対一で、体に影響するのではなくて、 栄養素と栄養素の組み合わせで影響する。だから、組み合わせで思わぬよい影響を 与えたり、よい栄養を打ち消しあうこともある。栄養素は大変な種類があるから、 その組み合わせとなるとこれはもう膨大な種類で、それを個人レベルで全て把握するのは 不可能である。

さらに、その組み合わせで体に影響する栄養たちは、どの程度摂取するのが適当か、 どんなタイミングで摂取すると適当か、その個人の生活様式とも関わっていて、 プロレスラーの食生活にいいものが、サラリーマンにもいいとは限らない。 もちろん、遺伝、民族、環境による個人差もある。

そんな、要素が複雑に絡まっていて、なにがなにに影響してどんな結果となったか、 一律に計れないにも関わらず、 しかも、その結果はその人の栄養状態だけではなくてストレスとかの外的要因が それこそ膨大にあるにも関わらず、原因と結果を一対一で考えて、 「これがこれにいい」とやってしまうから性質が悪い。 そんな一対一で世の中を全て捉えようとして間違っている人に限って、 「世の中は数字じゃあない」とか言って僕ら理系をバカにする文系の皆様方だったり。

ちなみに栄養剤みたいなものも体に大して効かないことを僕は知っていて、 人間の体の構造を科学はまだ全然解明できていないし、ましてや、その成長の仕組みも もちろん解明できていない。

科学は、モノをどんどん細分化していって分子、原子、陽子、中性子、光子と細かく割っていったのに、 結局本質が見えなくて、実は本質は細かく割ることでなくてその組み合わせだ、と いうことがやっと分かった段階。 それなのに、1に1を足したら2になるだろう、ってなるわけがない。 科学はまだ、結果の一極小部分が分かったに過ぎないし、分かったことと言えば 当たり前のことが当たり前であったという事実で、当たり前のことはたいてい退屈。

だから、もし、あなたが営業マンだったら、長所を強調して、短所を目立たないようにするように、 さっきのテレビ番組は分かっていることを殊更に強調して、あらゆる可能性を 検証するわけではない。当たり前だよね、そんなことしようとしたら、その証明に すごく時間がかかってしまうし、それじゃあ誰も見なくなってしまう。

じゃあなにを信用するかっていうと、それは原理原則であって、 当たり前のことを当たり前にするっていう、論理には弱いけど感覚は鋭い日本人の 習慣を普通に大切にしてみるといい、と思うわけで。 科学を信じるなら信じるで、中途半端な小学生レベルの科学でなくて、ちゃんと勉強して ほしいよねー、ムリだろうけど、と思うわけで。

うそじゃないけど、結局は言ってることおかしい、っていうのを詭弁(きべん)といって、 それは最近アメリカ人が好きなことで、エアロビに狂ったり、 戦争してみたり、でももっと他に気持ちいいことが世の中にあるんだけどな、 健康に凝るのは不健康にならない程度に、たしなむ程度に、 ってまあそういうことです。

03.09.15


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