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感想文 デブラ・ウィンガーを探して

個人的には、それほど面白くありませんでした。正確には、目新しいことはなかったということです。

この映画は、働く女のための、働く女による、働く女のドキュメント映画です。 監督は、ハリウッドの女優さん。出演者はその同僚、つまりハリウッドの女優さんたち。 デブラ・ウィンガーという人は、 『愛と青春の旅立ち』 『愛と追憶の日々』 など、「聞いたことはあるし有名だけど、 微妙に見たことがない映画」に出ている名女優で、今は女優業から身を引いています。

監督で、女優、母でもあるロザンナ・アークエットは次々と同僚の女優さんたちにインタビューを していきます。完全な男社会であるハリウッドで働く女としての今の考え、気持ちを聞くために。 そして、なぜデブラ・ウィンガーが女優業から身を引いたのか、という疑問を解く為に。

残念ながら、この映画はそれほどの展開を見せません。そして、特別目新しい提言を してもいません。しかし、あちこちのメディアで、特に女性誌で、この映画が取り沙汰された のは、やはりこの映画が、今の世界で働く女の過酷な現状を訴えかけているところにあるのでしょう。

実際問題として、ハリウッド、アメリカの例を出すまでもなく、この日本でも働く女の生きる余地は ますます狭くなっています。かつて、女の自立ということがもてはやされて、女も男に負けずに 社会的に自立するんだ!と息巻いた女たちは今、大きな最終選択を迫られています。

そう、あれから何年経っても結局、女が社会で働く環境は整備されませんでした。 そして、その動きは今、逆に尻すぼみであると言っても間違いではないでしょう。 いまさら男の家政婦と成り下がるのか?あるいは、 誰も「お帰り」を言ってくれない高級マンションにコンビニ弁当をぶら下げて帰るのか?

こんな時代に、息子(ナルオ(仮名))がもうすぐ生まれるなんて言ったら、あなたには、 「なんて無分別な!」とか「なんて計画性のない!」などと軽蔑されるかもしれません。

事実、少子化問題云々言われているのにも関わらず、今の日本で子供を生み育てるのは 益々困難になっています。それは、景気が悪いという経済の動きだけでなく、法律も 扶養控除が減る、消費税が上がるなどといったように、僕のような貧乏人は子供は 作るな!と言わんばかりです。なるほど、確かにこんな時代に、極薄給の僕が 子供を作るなんて、よほどおバカさんとしか言いようがないのかもしれません。

さて、ここまで一見、女性擁護者のようなことを言いながらも、実は僕も女性差別者です。 なぜなら、女性は、働くという極めて狭い機能において、男性に劣っているからです。 しかしそれは、子供を産むという男性にはない重要な機能を持っていることとの引き換えなのです。

そんな女性が外に出て働こうというのです。 そこへ男性が女性に、自由だ、平等だ、競争原理だ、といって男と同じルールを押し付けているのが現状で、 そんなのは間違っているのです。 身体障害者から車椅子を取り上げて、「さあ走れ!」と言う方がどうかしています。 身体障害者には、身体障害者のスポーツのルールがあるのです。 女性の権利だ、セクハラだ!とうるさいって?そんなの言わせておけばいいのです。

さあ、相変わらず脈絡のないこの文章で、 僕は男性を味方につけたのでしょうか?それとも女性を味方に つけたのでしょうか?どちらからも反感を買っている気がします。 でも、現状はこうなのです。僕はどこまで妻を援護できるでしょうか? はっきり言って未知です。

03.08.07


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