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感想文 「武術の視点」甲野善紀(著)

学生のとき、ボートというスポーツをしていた。
知らない方に説明をすると、まあ大体、他と同じ心技体の全てが必要なスポーツである。 (それでも知りたい人は、JARAのページでも。。)

学生最後の全日本大学選手権の最後の試合、2年間だましだまし付き合ってきた腰痛が その日に限ってひどく痛んで、最後の最後勝つことができなかった。

勝つことでしか学べないことを後輩に教える為に、世界の乱雑さに立ち向かう為に、 そして何より自らの為にクラブに最後まで残ったが、結果としては何も遺してやることが できなかった。

最もあるべきボートのフォームというのは、

  • 力を最大限に水に伝達できる。
  • 体の余計な箇所にリキみがなく、艇の進行の抵抗にならない。
  • 不必要な疲れ、怪我がない。
    であると信じ、
  • ボートの練習は体の細胞のひとつひとつと対話をして、動きを納得させていく作業である。
  • ボートは足でもない、腕でもない、丹田で漕ぐのである。
    というちょっと考えただけでは理解できない境地を体現することができた、のにである。

    最終的に怪我をしたことにより、自分の考える所まで到達できなかった。 今後に大きな課題が残った。そして、その灯火となってくれるかもしれない、 と期待しているのがこの人である。

    甲野(こうの)さんという人は武術家である。最近話題になったといえば、昨年巨人の桑田投手が この人の教えを得て復活した、という人である。

    この人に興味をもってくれるなら、ここをチェックしてみて欲しい。

  • ほぼ日刊イトイ新聞の あなたも「超人」になれる・・・糸井重里さんとの対談。
  • 武術の新・人間学・・・導入としてはこちらの方が読みやすい。
  • 武術稽古研究会 松聲館 ・・・甲野さんの道場のサイト。甲野さんの随感録などがある。

    例えば、昔の日本の飛脚は右手と右足、左手と左足が交互に前に出て走っていて、 しかも今のマラソン選手なんかよりずっと速く長く走っていた、とかいう話などがのっている。

    あるいは、もっと端的に言えば、1足す1が10になったり、−3になったりする。 武術のみに限らず、基本的な考えは他のスポーツでもあるいは、世界観にまで及ぶ。

    このような話は中途半端に信じると、新興宗教のようなものになるので気をつけねば ならないが、日本もグローバル・スタンダードという名のファースト・フードばかりを食べるのではなく、 おたくな江戸人が追求してきた和食の深さを追ってみるとよいと思う、といったこと。

    甲野さんは僕よりかなり先を走っているようだ。自分の体で甲野さんの体験を追体験すること できたら、またお知らせしたいと思う。

    03.04.22


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