7777HITキリ番小説
しゃれこうべの辻

後編




夜の宴は、幼なじみたちが羨ましがったように、近隣の珍味をかきあつめたような、贅沢なものであった。
しまりやの長兄にしてはめずらしいな、と思ってその顔をみると、あきらかに憮然としている。その隣では、第一夫人が上機嫌でいるところを見ると、押し切られて、贅沢な出費をしたのだろう。
一室に閉じこもりの父も、穴倉から担ぎ出されるようにして、年若い妾とともに姿をあらわした。
普段はそれぞれ別棟で、まったく別の家族のように過ごしている兄弟たちも、それぞれの母親をともなって、母屋にあつまってきた。
普段は顔をあわせると、それこそ母親同士で、どろどろの修羅場が展開されるのであるが、今日はさすがに、洛陽から遠路をたどって帰って来た息子への気遣いがあるため、みな大人しい。
雲の母親も、いつになくほがらかだ。
おそらく第一夫人の機嫌がよいからだろう。
ほかの母親たちと比べると、若くて美しいというだけで、身分が低く、実家の後押しもない雲の母親は、この屋敷で暮らしていくのが精一杯なのだ。
第一夫人の子分のように振る舞わなければ、明日にでも追い出されてしまうかもしれない、という恐怖がある。
なにせ、肝心要の夫、つまり雲の父は、頼りになるどころか、雲と二つしかちがわない妾に頼って、なんとか息をしているような有り様なのだ。
その緊張感ゆえに、雲の母親を、いつもきりきりした、乾いた女人にしてしまっているのである。
女というのは哀れだな、と、齢十四にして雲は思っていた。

雲は母親が好きだった。
いやな部分も含めて、同情もしていた。
好きだからこそ、母親が険しい顔をしているのが辛かったし、女人というものに、恐ろしさを覚えるようにもなっていた。
不幸な女人は雪山の天気のように、ころころと気持ちをかえるので、不器用な雲は、どうしたらよいのか、わからないのである。
だから、ほがらかな母はありがたい。母親がほっとしていると、雲も同時にほっとする。

ふと、宴の中心にいる次兄と目が合った。
次兄はなにやら意味ありげに、にやりと笑った。なんとも奇妙な男である。
ふと、次兄が、雲の肩越しに、なにかを見つけた。
杯を口から離し、明るい声で呼びかける。
「これはおどろいた。まさか、袁家のあるじにまで、足をお運びいただけるとは」

常山真定の袁家は、皇帝とも深いつながりをもつ、かの名家の末の一族である。
このあたりでは趙家ともならぶ権勢家であり、財産家でもあった。
その袁家のあるじは趙家の長兄と付き合いがあり、幼なじみでもあった。
両家は足繁く、たがいの屋敷を訪問しあう仲なのだ。

袁家のあるじは、敬を見るなり、言った。
「おや、しばらく見ないうちに痩せたではないか。道楽息子め、洛陽での生活は、よほどきつかったと見える」
そういいながら、立ち上がった敬と、袁家のあるじは、親しげに手を取り合う。
「そちらはたいしたご威勢ではないか。金満家め、そんなにぷくぷくと太って、別人かと思うたぞ」
「あいかわらずな奴だ。ニ度と常山真定には戻らぬと思っておったのに、また会えてうれしいぞ。どうだ、故郷はよいものだろう」
「よくもあり、悪くもある。ほとんど家出同然にわが家を飛び出したそれがしであるが、こたびは今上の別れを告げん、と思うてな」
意味ありげなことばに、その場の全員が、次兄のほうを向いた。
次兄は、全員の視線を浴びながら、ゆっくりと言った。
「このたび、義勇軍に参加することと相成った。それがしは、そこで大いに軍功をたてて名を成し、二度と故郷には戻らぬつもりだ」
「なんだと、おまえのような優男に、義勇兵なんぞできるものか」
袁家のあるじの言葉に、次兄はにやり、と不敵な笑みを浮かべた。
「それがしが、だれの子か忘れてもらっては困る。お国をあらす不届きな賊を退治するためでございます、父上、常山真定一の豪傑といわれたあなたさまは、反対はなさいますまい?」
次兄が水を向けると、父は、座についたまま、うめき声のような返事をかえした。
「よきように」
それだけが聞き取れた。
「父上のお許しをいただいた。というわけで、わたしは戦場へ行く。
おっと、ちゃんと『常山真定の趙』だと喧伝はしておくから、それがしの後に続きたい、と考える弟どもは、安心するように」

とたん、それまで和やかであった食卓に、動揺がひろがった。
その思惑はさまざまで、第一夫人は純粋に母親として悲嘆に暮れるし、長兄は、勝手に話を決めたと怒るし、第一夫人に取り入ろうとする母親たちは、ここぞとばかりに同情し、次兄がいなくなることで、財産の配分が上がると目論むほかの兄弟たちは、勇気あることだと褒め称えながらも、どこかでしてやったり、の笑みを浮かべている。
騒ぎの収拾にかかったのは、袁家のあるじであった。
「ご一同、静まりなされ。お父上が驚かれておりますぞ」
ものは言いようだな、と思いつつ、雲は父親のほうを見た。
本来、騒ぎの収拾をつけるべき父親は、何も興味がなさそうなうつろな眼で、息子と妻たちの起こす騒ぎを、ぼんやりながめているだけだ。

それでもまだざわめき続ける一族に、袁家の主は、ぱん、と手を打って、みなの注目をあつめた。
そうして、なにごとか、と集まった視線を見回し、それから雲の父親を見る。
雲の父親は、何かをうめくようにつぶやいた。
すると、雲の父親よりは、長兄のほうに年が近い袁家のあるじは、真剣な顔をして、大きく肯く。
ただならぬ雰囲気に、しん、と静まりかえった一同に、袁家の主は言った。
「じつは、もっと先にするべきかと思うておりましたが、事情が事情ゆえ、この機にご一堂にお伝えしたく存ずる。
わたしどもには、跡取り娘とでもいうべき、十六になる娘が一人ございます。袁家では、この娘に対し、趙家のご子息のひとり婿をむかえたいと、つねづね申し入れておりました。
かくて喜ばしいことに、趙大人のお許しをいただいたことを、この場にてお礼を申し上げたい」
ざわめきで興奮していた一堂は、今度は生々しい身近な話に、それぞれ身を凍らせた。
それというのも、袁家の婿になる、ということは、長兄がすでにがっちりと実権をにぎっている趙家にのこって、肩身の狭い思いをして、冷や飯食いをつづけるよりは、ずっとよい話であったからだ。
婿になる、ということにいささか抵抗はあるものの、それでも袁家の名のきらびやかさ、所有する財産を思えば、お釣りがくる、というものであった。

「して、その婿に行く者というものは、決まっておりましょうや?」
兄の一人が、緊張した口調で問いかける。すると、若いながらも、世渡りの上手な袁家のあるじは、ほがらかに笑いつつ、
「これはあくまで、ご承認をいただいた、というだけでございまして、具体的なところまでは、まだなにも。
なにせこちらのご子息は、みなさま優秀でおられるから、わたくしどもとしても、どなたを息子として迎えてよいものか、決めかねているのですよ」
だが、そういいながらも、袁家の主の目線は、ちらちらと、末っ子である雲のほうを何度か見るのであった。
兄たちと、兄たちの母の憎悪に満ちた視線が、徐々に、雲にあつまっていく。
そのなかで、次兄だけが、癪にさわるほどにやにやと、意味ありげな笑みを浮かべつづけていた



宴のあと、雲は次兄に呼び出され、夜中に自室を抜け出して、屋敷を一望できる、土塁のうえに来ていた。
厚い雲に覆われて、星空は見えない。
ひゅう、と寂しげな風が、土塁のうえの草をさわさわと揺らした。
家は目の前にあるというのに、なぜか、この世に自分だけ取り残されてしまったような、さびしい気持ちになり、雲はおのれの体を抱えるようにして、寒風をやりすごした。
もともとは、趙家を守るために築かれた砦であったのが、だれも手入れをしないので、風化して、崩れかけた土塁に雑草が繁っている、という有り様になっている。
父がまだ若くて、天下無双の槍の名手として鳴らしていたころは、襲ってくる賊を、ほとんどひとりで蹴散らした、という。
ほかにもさまざまな武勇伝が、いまもって村に残っているのだが、その勇壮な光景をしのばせるものは、もうどこにもない。
賊と戦って、守り抜いた土地には、いま、英雄の抜け殻を中心に、いかにちっぽけな土地で生き残るか、岩の裏のだんごむしのようにうごめいている、趙家の子弟たちがいるばかり。
おのれの隣に、お気に入りの髑髏も、ともにならべて、家の様子をみつめると、まるでおのれが闇と同化して、すべてを見通しているような錯覚さえおぼえた。

これがおのれの世界なのだ。
闇から俯瞰するおのれを取り巻くすべてを見たとき、雲は、叫びだしたくなる気持ちをおぼえる。
ずっとここにいなければならないのか。
うぬぼれでもなんでもなく、袁家の婿養子の件は、まちがいなく自分にまわってくるだろう。
そうなれば、もう逃げられない。
さまざまなしがらみが、四方から手を伸ばしてきて、自分をがんじがらめにしてしまうだろう。

ふと、宴の前の、幼なじみたちの顔が浮かんだ。
彼らが、雲との隔たりを、現実のものとして受け入れつつあるように、自分もまた、責任ある身であることを、受け入れなければならないのか。
あきらめることが、成長する、ということなのだろうか。

「律儀だな、末っ子。ちゃんと来るとは感心だ」

酒で上気した頬を夜風になぶらせて、次兄は明るい声を夜闇にひびかせやってきた。
酔っぱらってはいない様子で、足取りはしっかりしているし、酔っぱらい特有の、どんよりした眼差しではない。
すらりと背の高い次兄は、風にゆれる草を蹴散らすような足取りで、雲のところへやってきた。
「どうした、せっかく幸運が舞い降りてきたのに、浮かぬ顔だな。お母上も喜んでおられたであろう」
気にさわるほどに明るい声に、雲は無言で抗議のまなざしを向ける。
そんな嫌味を言いにきたのであれば、いますぐ部屋にかえってしまおう、と思った。
「おやおや、兄弟たちが咽喉から手が出るほどに欲しがっている、袁家への養子の話だというのに、幸運にめぐまれた末っ子は、まるで大岩を担がされたロバのような顔をしている。
まあ、たしかに袁家の跡取り娘は、あまり見栄えがよくないからな。
ただし、性格はたいへんに良い。えてして、名家の娘というものは、おっとりしているものだが、あの娘はまさに、そのお手本といっても過言ではない。
最初はしっくり来ないであろうが、年数が経てば、妻にしてよかったと思わせてくれる、よい娘だ」

次兄は、十六のときに洛陽に遊学に行って、それきり一度も常山真定に戻ってこなかったという。
それなのに、よく知っているものだ、と感心していると、次兄は、傲然と胸を張った。
「おどろいたか、わたしはなんでも知っているのだ。袁家の主は、おまえが常日頃から、もくもくとおのれを鍛え、兄上の言いつけをよく聞いていたのを知っていた。だからこそ、自家をさらに大きくしてくれるであろう器量の少年と見込んで、おまえを養子に、と父上に頭を下げた。
もしおまえがこの話を蹴ったら、ほかの弟どもに話が向く、ということはなかろう。見る人は見ている、ということだ」

袁家のあるじは、嫌いではない。
跡取り娘のほうは、顔を見たことはないが、夫人のほうはよく知っている。
美人というわけではないが、陽だまりのような、ほっとする雰囲気のある、品のよい女性であった。
袁家のあるじは、雲の父親とちがって、妾をもたずに、この妻にのみ、尽くしているという。
長兄のお使いで屋敷に行ったことがあるが、感じの良い、明るい空気につつまれた家だった。

「天下は乱れに乱れまくっておるぞ。常山真定に閉じこもっている分は、まださほど感じないでいるだろうが、やがて、戦火は全土に飛び火しよう
。下手をすれば劉氏は斃れるやもしれぬ。そうなれば、もっとも皇位に近いのは、袁一族のだれかであろうな。
いまのうちに、袁一族と縁を結んでおくことは、けして損ではない。
父上も兄上も、あれでなかなか世渡りが上手だな。あちらは、おまえを気に入っている。このまま進めば、春にでも祝言となろう」
春。
あと数ヶ月しかないのであるが、まだ雪すら迎えていない季節にあって、雲は近い未来の自分の姿を想像することができなかった。
「雲よ、わたしは明日には発つだろう」
さりげなく、次兄がつぶやいた。
「母上が、戦場になどいくなと、うるさいからな。いまも、まだ泣いておる」
あまり好きな女人ではないが、さすがに泣いている、と聞けば憐憫の情もわく。
雲が眉をしかめると、次兄は雲と同様に膝をかかえて、眼下にある趙家をながめた。
「おまえの気性はだれに似たのかな。嫌いなはずの我が母上にまで、同情できるのだから、たいしたものだよ。
おまえならば、袁姓を名乗ることになっても、この家を見捨てずに、守っていけるだろうな」
そんなの、ちっともうれしくない、と雲は思ったが、孝行の観点からすれば、口に出してはならないことであったので、我慢した。
「うれしくないという、その気持ちもわかるが」
と、次兄は、雲の心を見透かしたように、そう言った。
雲はあらためて、この次兄のことを不思議に思った。
なぜ、ほかの兄弟たちを差し置いて、末っ子である自分を、これほど気にかけてくれるのか。
「なぜに、わたしがお前にお節介を焼くのか、ふしぎに思っている顔だな。単にわたしはお節介が好きなのだ。それで納得できるか?」
納得できない、と首を振ると、次兄は肩をすくめた。
「気むずかしいな。まあ、単なるお節介、というのは、半分は嘘だ。
うむ、そんな顔をするな。わたしの嘘、というのは、要するに、法螺、ということだ。悪意があってのことではないのだぞ。
説明をうまくするのはむずかしい。まあ、お前のことが気になるからだ、ということにしておくか」

それでも、いくら兄弟とはいえ、初対面なのである。
それなのに、やたらと自分を贔屓してくれる次兄に、違和感をおぼえてしまうのも仕方のないことである。
そんな雲に、次兄は頭をくしゃくしゃと撫でて、言った。
「では、こうしよう。お前は、兄弟の中でいちばん、わたしによく似ているからだ。わたしの顔をよく眺めておけ。将来はこういう顔になる」
冗談はともかくとして、たしかに、次兄の言うとおりにはなるだろう、と雲は思った。
次兄は、趙家の人間とは思われぬほどに、明るい気性の持ち主なので、雰囲気はちがうだろうが、目と鼻のかたち、唇の厚さなど、つくりは実によく似ている。
自分も、似たような年になったなら、面差しは、こんなふうになるだろう。

「さて、ついでに、なぜ夜中に呼び出したかを教えてやろうか。もちろん、おまえの縁談に関しての祝辞を述べるためさ。おまえが祝言を挙げるころ、わたしは戦場にいるだろうからな。
おめでとう、末っ子。おまえの未来は約束されたようなものだ。大手を振って、幸運に向かって歩いていくことができる。わたしのように、遊学を理由に、この家から逃げなくて済むのだ」
逃げる、の言葉に雲はどきりとした。
この次兄は侮れない。
「わたしは逃げたのさ。父上がああなる以前から、この家は埃っぽい、退屈な家だった」
突然に話が切り替わり、雲は兄のほうを見ると、さきほどまでの笑みは消え、まじめな顔をしていた。
そうして、体をかかえるような姿勢で、雲と、髑髏のとなりにならび、闇のなかの故郷を、真面目な顔をして見つめていた。
「とはいえ、母上が許さなかったので、わたしはこの村からでたことがなかった。村から出ようと考えもしなかった。
だが、あるとき、旅の一座が、この村をおとずれたことがあった。いまのおまえと同じ、十四だった。
ほんの数日だったが、村しか知らなかったわたしには、彼らが、とても力のある、まぶしい光のような存在に見えたのだ。
彼らが村を出て行く日、わたしは彼らを見送って、村はずれの辻まで行った。
おまえも知っているだろう、あの辻は、村と外界を隔てる、ちょうど境界線になっている。
それまでなんとも思わないできたのに、そこに立ったとたん、可能性というものにきがついた。
わたしだって、彼らのように、この二本の足で、どこまでも行くことができるのだ。地の果て、海の彼方にだっていける。村に留まっていなければならない理由はなんだ? 
祖霊を祀るためか? 父のため? 母のため? 答えはでなかった。ただ、外へ出ようと思ったのだ。
そうして洛陽まで行ったのだよ」

真面目に聞いていた雲であるが、最後のことばでガッカリきた。
常山真定から洛陽まで、あっさりいけるような距離ではない。
からかわれたのだ。


「おや、むくれるところではないのだがな。だが、気持ちはわかる。
たしかに洛陽、などと聞いても、いまのおまえには千里の彼方に思えるだろうな。だが、行こうと思って、行けない土地はないぞ。
おまえは生まれていなかったから知らないだろうが、わたしがいなくなったときは、村中大騒ぎになったものだよ。
父は、村の若い者を雇って、わたしを捜させて、ようやく洛陽で見つけた。だが、わたしは村に帰るつもりがなかったので、そのまま洛陽にとどまり、父はわたしに金を送ってよこして、世間的には遊学、という体裁をととのえたのだ。
兄上がいたから、次男坊は、醜聞さえおこさねばよい、と思ったのだろう」
と、次兄は笑うのであるが、その笑いには、どこか虚しさも含まれていた。
「だが、奇妙なもので、年を経るごとに、この家から逃げたのだ、という負い目は、どんどん大きくなっていった。
離れた瞬間は、翼でも生えたような心地がして、二度と戻りたくない、とさえ思った故郷なのに、それでも、一日たりとも忘れることができなかったのだよ。
だから、最期にどうしても戻ってきたかったのさ。だが、もう十分だ」

次兄はそう言って、目を伏せる。
表面に仮面のようについている笑顔が消えると、その生真面目で憂愁をおびたその表情は、気味が悪くなるくらいに、自分の未来の姿のように見えた。

「さて、わたしの話を辛抱強く聞いたおまえに、褒美として、おもしろいものを見せてやろう。静かにしているのだぞ。ごらん!」
次兄が指さす先には、趙家のそれぞれの夫人の住まう家屋が並んでいる。
冬枯れした木々のあいだに見える土壁の建物は、どれも、どこかうら寂しい。
それぞれの棟には、おおきな窓があり、明かりがともると、中の様子が、手に取るように見えた。
覗き見をしているのだ、という背徳感がうすいのは、浮かび上がる光景から、遠いところにいるために、音声がいっさいないからだろうか。

最初に、闇にぽっかりと浮かび上がる光景には、息子の義勇軍参加を嘆く、老いた母親の姿があった。
それを、第一夫人の侍女と、取り巻きの夫人たちが、けんめいに宥めている。
なかには、雲の母親の姿もあった。競り合うようにして、第一夫人の寵をあらそう。母の戦場がそこに展開していた。
母はここで、一生を過ごす覚悟を決めているのだなと、その姿を見て、雲は思った。
母の幸福がなんなのか、それはよくわからない。ただ、母の幸福に、あまり自分が関わっていないだろうことはわかった。
母の視野のほとんどは、第一夫人が占めいている。ほかの夫人たちを向こうにまわし、夫の寵をあらそう日々のなかで、母は母なりに、第一夫人と、奇妙な友情を育んでいったのだ。

「そのとなり」
言われるまま、雲が視線を移すと、そこでは義姉が、自分の姪にあたる赤子を、やさしくあやしている姿があった。
昼間は姑にいびられているが、夜は、こうして娘たちと、おだやかな時間をすごすことができる。
そんなささやかな幸福を、喜んでいるような姿であった。
義姉は義姉なりに、幸福を、娘たちに見つけているのだろう。

「さらにそのとなり」
父のいる母屋のすぐ隣の棟である。
ひときわ明かりを抑えた部屋に、だれかがいる。
雲は、もっとよく見ようと、引き込まれるようにして、その部屋に目を凝らした。
部屋にいるのは、長兄であった。
長兄がだれかと話をしている。
声までは聞こえないが、その醸し出す穏やかな雰囲気は、雲が長兄から、いままでに感じたことのない種類のものであった。
すると、窓に滑り込むようにして、女の背中があらわれた。
雲がおどろいたことには、その女は一糸もまとっていなかった。美しくもなまめかしい体の線を、薄明かりににじませて、長兄に正面を向いている。すべてを晒しているのだ。
父の妾だ。
裸女の正体がわかったとき、頭をいきなりぶん殴られたような錯覚をおぼえた。
妾は、帳の向こうに待つ長兄に、しなだれかかるようにする。
こちら側に背を向けているために、その表情はわからないが、二人がたがいに、心待ちにしていた逢瀬を楽しんでいることは、遠目からもあきらかであった。

不意に、目の前が真っ暗闇になった。
「はい、ここまでだ。十五歳未満は見てはならぬ。つづきは、自分のときの、お楽しみにしておけ」
次兄が雲に、手のひらで目隠しをしたのだ。
その腕を振りほどいて、ふたたび窓に目を遣ったときには、もう部屋の明かりは消え、二人の姿は夢幻のように闇に溶けていた。
雲は立ち上がった。許せなかった。
勘気をこうむるのが嫌だと、義姉を母親からのいびりから庇うこともなく、自分は、あろうことか父親の妾と通じているのだ。
「こらこら、待て。あの二人の関係を知ったのは、おそらく村では、おまえがいちばん、最後だ。いま踏み込むと、えらいことになっているぞ」
村中が知っている、という事実にも、雲は衝撃をおぼえた。
知っていながら、なぜ糾弾しないのか。
兄の情事は、雲の道徳観から真っ向に反するものであり、義姉も気の毒だ、と思った。
「兄上を軽蔑するか?」
次兄の問いに、雲は、大きくうなずいた。当然ではないか。
次兄はそれを見ると、嘆かわしい、というふうに首を振った。
「世間的な道徳に照らし合わせれば、兄上は、父の妾をぬすみ、情を通わせているのだ。これほど不忠はない。
だが、長兄の人生は、未来のおまえの姿かもしれぬぞ。この息苦しい家で、まるでちくちくと、針で突き刺されつづけているかのような、毎日を送らねばならぬ。
そして、わたしのように、逃げ出すこともかなわぬ人生だ。それでもおまえは、兄上を処断するのか」

未来の。

そういわれて、雲は、明かりの消えた、長兄のいた部屋を振り返った。
長兄と妾の関係が、たんなる遊戯なのか、それとも本気なのか、それはわからない。
ただ、長兄の立場をおもったとき、怒りは徐々に鎮まっていった。
「どんな立派な一族にも、ひとつやふたつは、秘密を抱えている。それでも不思議と家というものは続いていくのさ。さまざまな秘密をかかえたまま、な。
家長になるということは、家という荷車の、車輪になる、ということだ。車輪が腐れば車は回らなくなる。突っ走ったら、荷が崩れ落ちてしまう。みなと共に、地道にゆっくりと歩をすすめていく。
これはこれで大変な作業だ。兄上を尊敬するよ」
次兄は、長兄をゆるしているのだな、と思うと、雲のなかにあった、戸惑いも消えた。
不義はゆるされぬ罪だが、糾弾するのは、弟の自分ではなく、ほかの人間がすればいい。
「末っ子、もうひとつ、言っておかねばならぬことがある」
雲が怪訝そうな顔をすると、次兄は親しげに、雲の頭を軽く叩いた。
「おまえだけには話しておこう。じつは、わたしは今日、戻ってきたのではないのだ。
もっと以前に常山真定に戻ってきていたのだよ。決まりがわるくて姿を出せなくてね。おかげですっきりした。顔を出そうと思ったのは、おまえが昔の自分に見えて仕方がなかったからさ。
ついでに、おもしろいことをしてやろう。わたしは洛陽で、いささか占術をかじってきてね、おまえの未来を占ってやろう」
占いなんて、ぞっとしない。
断ろうと思ったが、次兄は雲の意思をまったく無視して、その顎をぐい、と掴むと、じっくりと、その顔をながめはじめた。
雲が次兄に、未来のおのれの風貌を見ているように、次兄も、雲に、かつての自分の姿を重ねているのだろうか。

「おまえはいま、岐路に立っている。一歩、どちらかに進んでしまえば、二度と戻ることはできないから、よく聞け。
おまえの目の前には、いま二つの道がある。
片方の行き先は、あそこだ」
と、次兄は、土塁の前にひろがる、趙家を指した。
「袁家の婿となって、幸福で平坦な道を行くこと。この道を進めば、おまえはこの土地から離れることなく、一生を家族に囲まれて、退屈だが穏やかに過ごすことができる。
なに、不安がることはない。おまえが兄上のようになるとはかぎらぬ。これはこれで、よい運勢だ」
次兄の指す、生まれ育った家を見て、雲はがっかりした。
やはり、一生ここなのか。
「まあ、待て。結論を出すのは早い。道は二つあるのだと言っただろう。
ただ、もう一方は、恐怖と、危険に満ちた道だ。報われることも少なく、涙を噛み殺して、前に進むような苦難の連続となるだろう。
だが、この道の行く手は、まばゆい光に包まれている。おまえのすべての労苦は、この光によって救われるだろう」
光、などと言われても、ぴんとこない。なにを意味するものなのだろうか。
「どちらへ向かおうとも、寿命は同じ。ただ、到達する幸福の種類がちがう。日々のささやかな生活に幸福を見出すか、光によってもたらされる、魂の充足を願うか、どちらを選ぶかだ。
まあ、熟慮するのだな。おまえは、わたしと違って、長命の相だし」
似たような面差しをしている人間から、観相の結果、運命がちがう、と言われるのも奇妙だと雲は思った。とはいえ、次兄がからかっている、というふうでもない。
どちらも寿命が同じというのならば、ささやかな幸福に支えられる道と、苦難の連続の果てに、光が待つ道では、辛い思いをしなくてすむぶん、前者のほうがいいに決まっている。
だが…

「雲よ、おまえの出した答えを、わたしは聞かないでおく。だが、これだけは覚えておくがいい。お前がどちらかを選べば、選ばれなかったほうとは、決別することになるだろう。そういう宿命なのだ。
おまえの持てる勇気、すべてを使って選べ。そして、捨てられた者の怨嗟に耳を傾けてはならぬ。おまえの選んだ道の途中に、わたしがいるかどうかはわからぬから、二度と会えないかもしれないな」
それはさびしいな、と雲は思った。
はじめて、なんでも相談できそうな大人に出会えたのに、それが兄だというのに、もうお別れというのか。
次兄は急に、雲に手を伸ばし、包み込むように、雲をぎゅっと抱きしめた。
旅慣れた兄の体からは、大地の土煙と、陽射しの匂いがした。

立ち去りぎわ、次兄は言った。
「それと蛇足であるが、お前がもし、苦難の道を進む決心をしたのならば、僭越ではあるが、わたしがおまえに字を授けよう。戦場に出たならば、『子龍』と名乗るといい。
なぜか、だと? 格好いいではないか。わたしの字は叔斉などというつまらない字だが、『子龍』はよい。雲と龍とでうまく意味もつながるし、おまえが鳥よりも高く飛ぶことのできる龍となって、はやく光にたどり着けるように、という願いもこめてある。これはいま、思いついたのだが」
そう言って、次兄は、わたしは、こじつけの天才なのだ、と声をたてて笑った。
自分によく似た面差しに浮かぶ表情はひどく温かく、そしてどこか懐かしさを思わせるものであった。
「わたしの贈り物は、以上だ。さらばだ、末っ子、達者でな」
そう言って、次兄は来たときと同じように、飄々と去っていった。

雲は動くことができず、しばらく、闇に溶けていく、次兄のうしろ姿を見送っていた。おそらく、これが、次兄の姿を見ることができる、最後の機会だろう、という予感がした。
ふと、頬に冷たいものが触れて、見あげると、黒い雲のうねる空から、ちらほらと雪が舞い降りてきた。
冬がやってきたのだ。


翌朝には、もう次兄の姿はなかった。
湿っぽいのを嫌って出て行ったのだ、と誰かが言ったが、それに反対するものはいなかった。
おそらくそうなのだろう。

袁家の婿行きの話しは、やはり雲に白羽の矢が立って、長兄の後押しもあり、話は戸惑うくらいにとんとん拍子に進んだ。
一度も顔をあわせたことのない花嫁のための贈り物がそろえられ、袁家からは、身を飾る、腕輪や指輪、婚約を祝う衣などが送られた。
兄弟たちは、雲の幸運をねたんで、あれこれと嫌がらせをしてきた。
が、話がどんどん具体的になるにつれ、未来の袁家の若旦那を怒らせたらまずい、と判断したのだろう。
次第にみな、大人しくなっていった。
力を得る、ということの意味を、雲は、このことにより、はじめて理解した。

次兄のことで心を痛めたためか、第一夫人は寝込むことが多くなり、それからすっかり毒気が抜けたようになった。
この夫人のよき話し相手になったのが、雲の母であった。
義理堅く、情に厚い母は、第一夫人に、生涯、友として、妹として、連れそうつもりなのだ。
そのおかげか、雪が融けて、春をむかえるかのように、屋敷にはりつめていた空気はだいぶ和らぎ、家族のなかに諍いが減った。
雲は、あいかわらず、日々を鍛錬と修練で過ごし、それを見守るのは、拾ってきた髑髏だけであった。
次兄のことは、だれも、なにも口にしなくなった。まるで最初から、存在しなかったかのように。

春になり、祝言の正式な返答をするときがやってきた。
ここで諾、とこたえたなら、雲の将来は決まる。次兄の占いがほんとうならば、ささやかな幸福に支えられる日々が、待っているのだ。
袁家の娘とは、あいかわらず顔をあわせることがなかったが、細やかな心遣いのみえる手紙のやりとりはしていた。不器量だ、という噂は聞いたが、手紙から察するに、人柄の良い娘らしい。妻にするには好ましい、慎ましい性質の娘であった。

「さあ、その気味の悪いものを置いていけ」
と、人夫たちが掘った穴を指して、長兄が言った。
だが、雲は意固地に、その命令を聞かなかった。
雲と一緒にいつも外気にさらされて、すっかり茶色に変色している髑髏は、ぽっかり開いた眼窩を周囲に向け、沈黙をつづけている。
「いいかげんにせよ、ほら、早く! みながおまえを待っているのがわからぬのか。おまえはまだ、おのれの立場を自覚できていないようだな。
おまえはこの村を代表する名家に婿として入るのだ。いつまでも子供のように、そんなもので遊んでいてはならぬ」
兄がせかすのもそのはず、雲も兄も、従者たちも礼装を身にまとい、豪奢な車に乗って、袁家に向かう途中なのだ。
長兄は、雲がいつまでも髑髏を手放さないのに業を煮やし、人夫たちに、穴を掘らせて、髑髏を葬らせようとしたのだ。

行き倒れの者の遺体を辻に葬るのは、古来の風習であり、葬られた者は、村を外界から守る霊になる、と信じられてきた。
聞けば、雲がひろってきた、この行き倒れの、髑髏以外の躯は、この辻に埋められた、という。
髑髏の主が何者だったのかは、いまもってわかっていない。帯飾りが立派だったので、ただの旅人ではなかっただろう、と村人は言った。
その帯飾りも、だれかが取ってしまったらしく、いつのまにかなくなっていたそうだ。
頭部も、もともとの主にかえしてやるのが妥当だろう、というのが長兄の言い分である。

がみがみと急かす長兄の言葉を、右から左にやりすごし、雲は、ここ半年、片時もそばから離さなかった髑髏を見つめた。
髑髏も自分を見ているような気がした。
そうして、もう別れのときが来たのだと、逆に雲を説得しているように思えた。
想像したその声は、不思議と次兄の声になった。
雲は髑髏を手放すと、穴に置いた。
そうして、すかさず人夫たちが土をかけていくのを、その頭骨がすっかり見えなくなるまで、だまって見つめていた。

梅がほころぶ美しい道を、しずしずと、雲を載せた車は移動する。
やわらかい風に、芽吹いたばかりの木々が揺れている。
耕されたばかりの畑からは、土の香りが立ちのぼっていた。
あらたな道へ入っていく、というのに、心はすこしもときめかず、未来への夢も希望も、なにも思い浮かぶことはなかった。行く手に待ち受けるものの、たいがいの予想がついているからであろう。
雲はちらりと、長兄の横顔を盗み見た。
次兄と一緒に闇から覗いた光景が、脳裏をかすめる。
あれからも、父の妾との関係はつづいているのだろうか。その秘密をかかえたまま、こうして何事もないかのように振る舞って、過ごしていくのだろうか。
軽蔑はしなかったけれど、理不尽な思いはあった。義姉が気の毒だった。
長兄には長兄の言い分があり、次兄が言ったとおり、息の詰まる生活からのひとときの解放をもとめているのかもしれない。
その身勝手な逃避に、犠牲になっているのは、義姉はもちろん、父の妾も同様だ。
結局のところ、兄も父と同じことをしているのではないか。
となれば、同じ血を引く自分も、やがて女人にわがままを押し付けるような男になるのか。
それだけは、絶対にすまい。

車が、袁家がそろそろ見えてくる、というころになったとき、おおい、おおいと、声をかけてくるものがある。
見ると、奇妙にちぐはぐな武具を身にまとった、幼なじみたちであった。
かれらは駆けてくると、ゆっくりと進む車に近づいて、乗り込んでいる雲に顔を見せた。
「よかった、追いついた。おまえに」
と、言うと、長兄がぎろり、と睨んだので、幼なじみたちは恐縮して、言い直した。
「若旦那にはいろいろお世話になったので、最後に別れをせねばと、みなで相談してやってきたのだ。俺たちは、義勇軍に参加する」
雲はおどろいた。彼らこそ、自分以上に、この土地に縛られている人間だろうと思っていたのである。
ところが、彼らは顔をきらきらと輝かせ、言うのだ。
「義勇軍で武功をたてれば、報酬は思いのままという。せっかく男子に生まれてきたのだ。若旦那に稽古をつけてもらったおかげで、腕にだって自信がある。村に帰ってくるときは、将軍様にだってなっているかもしれぬ」
そういって、幼なじみたちは顔をあわせて笑った。
「いま、村の屯所で義勇兵の受けつけをしているのだ。道はちがってしまうが、達者でな、若旦那。たまに俺たちのことを思い出したら、無事を祈ってくれよ」
じゃあな、といって明るく手を振るかれらのひとりに、雲は目を奪われた。
その腰に、風采に似合わぬ帯飾りがついている。
波飛沫に跳ねる、向き合う二対の魚の意匠の帯飾りだ。
「ああ、これか? うちの親父が、このあいだ辻に埋めたやつの持っていたものをひろったのさ。死人の持ち物だが、戦場で困ったときに、役立つかもしれぬと、親父がくれたのだ」
そう言って、いいだろう、でもやらぬぞ、などと、幼なじみは歯を見せて、無邪気に笑う。

お前がどちらかを選べば、選ばれなかったほうとは、決別することになるだろう。

かまわぬ。
雲は車から飛び降りると、村の屯所へ目指して駆け出した。
長兄の声が聞こえたが、もう振り返るつもりはなかった。
村の屯所につくと、息を切らせてやってきた、場違いなほどに身なりのよい少年に、役人だけではなく、その場に集まった村の男たちも、目を白黒させている。
視線を一身にあつめながらも、かまわず、雲は役人に、義勇軍に参加したい、と告げた。
その迫力に気圧されつつ、世慣れたふうの、あごひげの立派な役人は言った。
「それはよい心がけだが、しかし、たしか、おまえさんは袁家の婿に行く身じゃなかったかね?」
かまわない、と答える代わりに、雲は首を振った。
あの道は選ばない。
役人は、ふむ、と言いながら、おのれの黒いあごひげを撫ぜつつ、片方で起用に筆をうごかしながら、雲にたずねた。
「なにもここに名を載せたところで、かならず参加せねばならぬ、というものでもなし。おまえさん、たしかこんど、袁家の旦那から字をもらうはずだったな。もう貰ったか?」
それは、正式に婚約した、その場でもらうはずの字であった。その直前にここに来てしまったので、当然、字はない。

だが。

「子龍だ。俺の名は趙子龍」
「趙、子龍、と。ほう、字面もいいし、響きもわるくない。よい字をもらったな」
「兄にもらったのだ」
役人は、関心なさそうに、そうか、とだけ言った。

その後、趙雲は戦場へおもむき、先に義勇軍に参加したはずの次兄の姿を捜したが、見つけることはおろか、噂を聞くこともできなかった。
あの髑髏の主が、次兄だったのか、それとも、髑髏の主が、次兄とおなじ嗜好の持ち主だったのか、もはや確かめようがない。
わかっていることは、趙敬という人物が存在したということと、その人物に字をもらったこと、そして、未来に、希望を与えてもらったことだけである。
もし次兄がどこかで生きているならば、自分の名づけた弟の活躍を、きっと満足して聞いているにちがいない。
兄の言った、まばゆい光をめざし、趙雲は歩きつづける。

※あとがき※
このお話は、7777HITのリクエストとして希楼さまにいただいた「趙雲の少年時代」のお話です。
趙雲は没年はわかっても生年がわからない人物なのですが、柴錬三国志での美少年ぶりがとても気に入っているので、年齢をあわせてみました。
ただし、あちらがさわやかな美少年だったのに対し、こちらは髑髏が友だちという不思議少年。
闇の中から明かりのついた屋内を俯瞰する、というシーンを最初に思いついたのですが、お兄さんの正体にナゾをつけるつもりはありませんでした。
趙雲が、ラストにならないと喋らないのも、物語全体に静かな印象を与えたかったからです。うまく表現できたかは…(-_-;)
趙雲はわりと書きやすいので、とても楽しめて書くことができました。リクエストどうもありがとうございました!(^^ゞ
そして長いお話を読んでくださったみなさま、どうもありがとうございましたm(__)m、

前編へ
更新履歴にもどる
MAPにもどる