● おまけの広場 ●
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2007年6月16日(土)
流砂の絶佳 七十六

「これはたまらぬぞい!」
と、孔明の懐に入っていた垂れ耳うさぎが、さらに手でおのれの耳をかばって叫んだ。
「浄化させる! 冥き海、死せる空、もろもろの光を失いし世界より、恨む者、憎む者、生きとし生ける者の呪詛を我に集めよ。
出でよ、わが盟友・湧天剣! さまよいし魂を浄化させるのだ!」

孔明の伸ばした手のひらの先で、丸い光が生じたかとおもうと、そこから太い光の線が伸びだした。
光はそのまま、ねずみのように素早い動きを見せて、そのものがまるで生き物かのように、悲しげな声をあげて泣きつづける赤ん坊めがけて矢のように飛んでいった。
光は、さらに沼から這い上がろうとしていた泥の赤ん坊の咽喉もとめがけて炸裂し、それに弾かれるようにして、赤ん坊の姿を為していた泥は、四方八方に飛び散った。
泥の塊があちこちに跳ねる音は、まるで雨音のようにあたりに響きつづけた。

やがて、それもおさまると、沼には不気味なほどの静寂がもどってきた。
月もふたたび黒雲におおわれ、柳の木のうえにいた悪魔の姿もなくなっている。

ほっと一息ついた孔明であるが、まだ仕事は終わっていないことに気がついた。
文偉と黄忠である。
いまのやりとりから、自分たちが、この世界の孔明ではない、ということがわかってしまったはずである。
記憶消去のスプレーをかけるしかないな、と思っていた孔明であるが、趙雲に守られるかたちで木の根元にて尻餅をついていた文偉が、目が合うと、はっとなって、こちらに四つんばいになって近づいてきて、そのまま地面に平伏した。
「軍師のお姿を借りた、アイオーンの乙女さまでございますか!」
おや、そういう推理もあったかと孔明は戸惑いつつも、趙雲のほうを見た。
見れば、趙雲のとなりにいる黄忠も、平伏こそしていないが、孔明にたいして拱手をしている。

「危ないところをお助けいただき、まことにありがとうございます。
よもやこのような山ぶかい片田舎に、悪魔なるものが潜んでいるなど夢にも思わず、乙女さまにはわれらの情けない姿をさらす結果になりまして、まことに恐縮至極でございますれば、しかーし、われらの実相といいますのは、もっともっとちがうものでして、ハイ、えーと、つまりでございますね、わたくしどもはほんとうは、もっときっちりしているのでございますよ! 
そのあたりをご考慮いただきまして、なにとぞわれらの名誉挽回の機会をお与えいただきますよう、ひらに、ひらーに申し上げる所存でございますれば、色よいご返事をお聞かせいただけましたなら、この費文偉ならびに黄漢升、ますますあなたさまを崇拝することと思われますが、如何なものでございましょうか。いや、これはほんとうでございます!」
孔明のふところにいるうさぎは、文偉の長い口上を聞いて、あきれている。
「こりゃまた言いわけの長い若者だわい。さすがそなたの部下である」

文偉の一族は、蜀の滅亡時に、やはり多くの死者を出している。
その滅亡におおいにかかわりのある一族の祖である仲達にいわれる、というところで、いささか孔明もカチンとくるところがあったが、そこは呑み込んで、答えた。

「文偉は文偉、ということだな。これ、そなたの屋敷では、いま宴が催されているはず。なにゆえ宴に参加せぬのだ」
問うと、それまで平伏していた文偉は、顔を挙げると、頭をぽりぽりとかきながら、胡坐をかいて、答えた。
「たしかに宴が催されておりますが、なにせ年寄りばかりで、退屈で仕方がないのです。
きれいなお姉ちゃんがいるというのならともかく、みな堅物なものですから、ジミ~にぱちぱちと囲碁ばかり」
と、ここまで口にして、文偉ははっとすると、ふたたびがばりと平伏した。
「またまたくだらぬことを口にいたしました! お許しください、乙女よ!」
「乙女ではないのだが…しかし、本当に、文偉は文偉だな…」


※とうとうこうせいニッキのファイル数が100を超えつつあります。うーむ、これは初期のこうせいニッキを順繰りに消していくしかなさそうだ…(-_-;) そして、本日アップの日ですが、まずは先行してニッキのみアップいたします

2007年6月17日(日)
流砂の絶佳 七十七

「へっ? 乙女ではない、といいますと、あなたは本物の軍師将軍?」
「そのようなわけがあるか。軍師将軍にそっくりではあるが、あの方らしからぬ猛々しい雰囲気をそなえてらっしゃる。
きっと乙女か、その御使者が、軍師将軍のお姿に化けてらっしゃるにちがいない」
と、口を挟んだのは黄忠である。
黄忠のことばに、文偉は納得しながらも、おそるおそる、というふうに顔をあげて、孔明を見上げた。
「お名前をお聞かせいただけると、たいへんうれしいのでございますが」
「名前はすでに知っておろう。わが名は諸葛孔明。そなたらの知る、軍師将軍である。
しかし、乙女の使者かもしれぬという、黄将軍の推測は、なかばあたっておるぞ。わたしは諸葛孔明であるが、しかし、この世界の諸葛孔明ではない。
そなたにはわからぬかもしれぬが、他世界より乙女によって召喚された諸葛孔明である。そこにいる、趙子龍もおなじぞ」
それを聞いて、文偉は目を丸くした。
「なんだかよくわかりませんが、すごいらしい、ということはわかりました! 軍師将軍であって、軍師将軍ではないのですね!」
「なんとなくちがう、ということだけわかっておればよろしい。
ときに、さきほどの質問に戻るが、いま、屋敷では、そなたの友の休昭が、若者ひとりでいるのだぞ。気の毒だとは思わぬか」
「休昭は年上に受けますので、あれはあれで楽しんでおりましょう」
「困ったやつよ。そういってみなして『休昭は大丈夫』と、本人に確認もせず思い込んで、あれもまた、不平不満をなかなか口にしない忍耐強いところがあるから、我慢に我慢をかさねているのだ。
実際に目で見えている態度と、本心がちがっているかもしれぬと、友なら気づいてもよいのではないかな」
孔明の指摘に、文偉は気まずそうに顔をゆがめた。
「そうなのでしょうか。しかし、ご指摘のとおり、休昭はとても我慢強いところがございます。気が弱いので、なかなか本音を漏らすことができぬのかもしれません」
「本音を漏らしてもよいような雰囲気をつくってやるのも、友としての役割だと思うが、如何か」
「ハイ、おっしゃるとおりでございます。この費文偉、深く反省いたしました」
畏まって頭を下げる文偉は、もともとが柔軟で素直な性格なので、孔明のことばにしゅんとしている。

そんな文偉の一方で、黄忠が口を挟んできた。
「この世界に似た世界がいくつもあり、それぞれに少しずつちがうおのれがいる、という教えは、時の社で聞いたことがあり申す。
その中のひとつの世界から、軍師将軍が乙女に選ばれ、われらのもとに現われたと考えてよろしいか」
「左様。まさにそのとおりである」

この世界からすれば、外界からやってきた、という情報を、孔明は伏せた。
それを教えてしまうと、外界とこちらの世界の差、つまり孔明たちの歴史も教えなくてはならなくなり、それがこの二人に、いい影響を与えるとは思えなかったからである。
「乙女が使者を降臨された理由というのは、もしや、西域の村の異変を察知してのことでございますかな?」


※今日も暑かったわけですが、仙台は風がまだ冷たいため、家の中は微妙に冷えていたりします。本格的に梅雨に入ると、また一気に寒くなることもあり、こたつがしまえない状況です。でもお天気が一番ですね。毎日、今日みたいだといいのにな。さー、今週もがんばってまいりましょう(^^♪

2007年6月18日(月)
流砂の絶佳 七十八

西域の村の異変と聞いて、孔明と趙雲は顔を合わせる。
それを見て、黄忠は、おのれの山羊ひげをしごきながらも、怪訝そうな顔をして、つづけた。
「儂が任されております部隊には、西域の辺境の村出身の者たちが多くおります。しかし、このところ、かれらの故郷からの便りが、ぷつりと絶えてしまっているのです。
西域を往来しております商人に、なにか変事でも起こっているのかとたずねましたところ、どうも西域に人をやると、二度と戻ってこないことがたびたびあるということでございます。
その異変というのがなんとも奇妙なもので、西域の村が、あるときまるごと、村人という村人が、家畜も家財道具もすべておいて、突然なくなってしまったのだが、何日かすると、まったくもとの通りに戻っていた。
なにかあったのかと村人に話を聞いてみるも、まったく要領が得ず、村人たちは、なにも答えないと。
貴方がたは、このことを調べに、乙女から遣わされてきた方々ではないのですかな」
と、黄忠は言ってから、まじまじと孔明を上から下まで眺めた。
「いやしかし、まさしく軍師そのものでまちがいないというのに、こうしておそばで拝見すると、たしかにちがう、ということがわかりますな。いまの軍師は武人のように隙がなく、そしておそろしく目がするどい」
「おや、そうかな。あまり自分ではわからないのだけれど」

「軍師は、この世界の方ではないというのなら、どちらの世界の方なのでございますか」
と、目を好奇心できらきらとさせながら、文偉がたずねてきた。
「それは乙女に口止めされているゆえ、答えることはできぬ」
文偉は、なるほど、と、一応は納得したものの、ほほう、それはますます気になりますな、などと目を細めている。
「では、軍師がいらした世界のわたしは、どんな人間なのでしょう」
「そうきたか。それも教えられぬ。ただ、そういう人懐こいというか、図々しいというか、そういうところは一緒だよ」
「誉められたのでしょうか」
「好きにとれ。しかし文偉、なぜ黄漢升と遊んでいるのだね。どういうつながりなのだ」
「どうもこうも、むかし、一人で今日のように屋敷を抜け出しまして、遊んでおりましたら、たまたまおなじ店に黄将軍が居合わせまして、話をしてみたらすっかり意気投合。
たまにこうして一緒に遊ぶ仲になったのでございます」
見れば、孫ほどの若者といっしょに遊べる、ということが黄忠としてはうれしいらしく、そばにいる趙雲に、『うらやましかろ?』と、にこにこと自慢している。

「しかし、こうなった以上、そなたたちの記憶を消さねばならないわけであるが、そうも言ってられなくなってきたな」
孔明のぼやきに、それまで懐に隠れていたうさぎが、すぽっ、と顔を出した。
「なぜだ。アモンはいま弱っているわけだから、これを追って、退治してしまえば、この世界でのわれらの仕事はおしまい、であろう」
突然のしゃべるうさぎの登場に、文偉も黄忠もさすがに肝を抜かれたらしい。
二人して仲良く目を剥いて、孔明にたずねてくる。
「ぐ、軍師、そのうさぎは、いったい何者なのでございますか!」
「えーと、これはだな」
孔明は、こほん、と咳払いをすると、答えた。
「これは、腹話術の人形だ」
「腹話術!」
「こちらの軍師は、芸達者だのう」
文偉や黄忠がおどろくが、それは、孔明に抱えられているうさぎもおなじであった。
うろたえているうさぎの、ふわふわの毛につつまれた手を軽くつかむと、孔明は文偉のほうに差し出した。
「さー、ごあいさつ」
「えーと、うさぎのくっきーです。以後よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
うろたえながらも、くっきーと握手する文偉。
とりあえずその場はしのげたと、ほっとする孔明であるが、一方で、趙雲はすっかりあきれて、このやりとりを見つめていた。


※今日も暑かった仙台です。さて、昨日アップした燭龍、ラスト近くの孔明と趙雲のやりとり、いくぶん舌足らずの箇所がありましたので、すこし訂正を加えてあります。ほんのすこーしです。アップしたあと、WEB上で見たときのほうが、文章のマズさを見つけられるふしぎ(^_^;) さー、水曜日のアップに向けて、準備、準備。こんどは訂正がないようにしないと!

2007年6月19日(火)
流砂の絶佳 七十九

「アモンのやつめが言った、『こちらは数を増やせる』ということばと、西域の村の異変とあわせて考えると、まずまちがいなく、やつはわれらの目の届かぬところで悪巧みを進めていると見てよかろう。
そして、こちらの数が少ない、ということを不利だとぬかしておったのは、西域と成都とで、われらが二手にわかれざるをえなくなり、力が分散されるだろうことを見越しての発言だったのだ。
実際問題として、西域に行ってみなくてはなるまいな。行くとしたら、いまがよかろう。アモンは、まずおのれの霊力回復に集中しなくてはならず、われらにかまっている場合ではなかろうからな」
「それでしたら、軍師、某にその役目をお任せくだされ。いますぐにでも馬を走らせまして、様子を見に行ってまいります。五日もあれば、西域に到着することでしょう」
黄忠が進み出たのを、孔明はやんわりと制した。
「気持ちはありがたいが、しかしそれは不要ぞ」
人差し指を立てると、短く呪文をとなえる。
すると、その伸ばした指先を中心に、七色に光るガラス細工のようにうつくしい蜻蛉があらわれた。
「じつは、あやつと対戦したときに、ひそかに蜻蛉の仲間を尾行につけていたのだよ」
「ああ、それで無駄に長くしゃべっていたわけか」
と、それまで沈黙していた趙雲が口をひらいた。
「隙をついだのだ。上級悪魔となれば、隠れるのも巧妙なわけだが、気配はかくせても、臭いは隠せぬ。この蜻蛉はわたしが改良した使い魔で、悪魔の発する臭いを追跡する。ちなみに嗅覚は人間の六万倍」
「悪魔の臭いとは、よくいわれる硫黄の臭いというやつか」
「ま、それに足して、アモンの場合は金の臭いだな。アモンはわたしが追ってきたことを知り、もうこの土地にはおるまい。
となれば、己の巣であろうが、それは西域にあると見てよいのではないか。
とりあえず、アモンさえ叩いてしまえば、この世界での仕事は終わり、あとは『流砂の絶佳』のマモンのみとなる。好機を逃す手はない。
さっそく行ってこようと思うが、子龍、このあたりは、わたしたちの世界と様子がちがうところはあるか」
「ああ、さっき確認してみたが、おおまかなところでは一緒だが、細かいところではだいぶちがうな」
「うむ、おそらく、アモンの命令を受けて、狩りをしている者は、まだこのあたりに残っているだろう。
あなたは、文偉やじいやとともに長星橋に残り、残りの悪魔たちを狩ってほしい」
と、孔明は、いつも衣にしのばせている、手の凝った趣味のよい刺繍が縫いこまれている、手のひらほどのうつくしい錦の袋をとりだし、趙雲に差し出した。
「供給所の悪魔対策グッズコーナーに置いてあった『悪魔よく見える~ぺ』だ。名前は頼りないが、かの水晶ドラゴンの鱗を、腕利きのドワーフ職人がカッティングして、百年かけて磨きぬいたという逸品。
まずまちがいなく悪魔と只人を見分けることができる。うまくすれば一晩ですべてが解決できる。頼まれてくれるな」
「わかった。俺のほうはまかせておけ」
趙雲の返事に、孔明は満足そうにうなずくと、それからすぐに意識を集中させると、その場から、音も無く、風に溶け込んで、姿を消した。

※明日はアップの日です。でもって、お休みなので社会保険事務所へ行ってこようかと思います。一日かかるというウワサ。覚悟していこう…そのまえにお腹を治さないとね。

2007年6月20日(水)
流砂の絶佳 八十

さて、ここに悪魔が一匹いる。
アモンの部下で、人間にいじめられた錦鯉が、報復を誓って化けたものが、その前身である。
元が錦鯉というだけあって、たいへん派手な姿をしているが、それは人間に化けてもそうで、ほとんどの人々が寝静まった成都の夜の街のなかでも、きらびやかな姿は星が落ちてきたかのように、たいそう目立った。
派手で人目を引きやすいということで、よくアモンの使い走りにされる低級悪魔である。

いま、かれはとても不機嫌であった。
なぜかといえば、上司であるアモンが、ろくろく給料(この場合、霊力であるが)をくれないというのに、矢継ぎ早といっていいほどに指示を出してくるからである。

アモンの軍隊は、いま三手に分かれている。
馬超と劉備のそれぞれをあおって敵対させるべく、人間に化けたり、あるいは有望な人間と取引をして仲間にしたりする部隊がひとつ。
この部隊が潜入者によってダメージを受けたため、その補填のために霊力を稼ぎにいった部隊がひとつ。
そして、これとは別に、目の届きにくい山間部の村に行って人間を村ごと狩って、仲間をふやし、アモンに霊力を上納している部隊、この三つである。

もともと二手であったのだが、潜入者の攻撃によって、手勢を分けなくてはならなくなった。
さらに、厄介な攻撃型アトラ・ハシースがあらわれた、ということで、さらに部隊は、総戦闘員状態。
もともと戦うことには不向きな悪魔も現場に借り出され、アトラ・ハシースの出現をびくびく恐れながらの活動である。

低級悪魔たちの不満だ。
この状況下、すこしでも攻撃にそなえておきたいから、霊力は多ければ多いほうがいいというのに、アモンはケチなので、支給される霊力は、通常の八割といった状況が不満なのである。
アトラ・ハシースの出現をおそれなくてよい状況であったとしても、ふつうに活動するのにぎりぎりの量である。
要領のいいものは、なんやかやと理由をつけて、この世界から去った。
アトラ・ハシースの威力、おそるべし。

アトラ・ハシースとひとくちに言っても、さまざまなタイプが存在するのであるが、悪魔がもっとも恐れるのは『霊的攻撃型』のアトラ・ハシースである。
なぜかというと、このタイプは自身の直接攻撃力は低いものの、それを補填すべく、攻撃力の高いアストラルを連れていることが多く、霊的攻撃も得意なうえに、たいがいが、高名な霊具を所持しており、低級悪魔が敵う相手ではないのだ。
だから、『霊的攻撃型アトラ・ハシースがやってきた』と聞いただけで、悪魔たちはふるえあがって逃げ出したのだ。

これではたまったものではない、労働組合をつくるべきだ、という声もあがるなか、要領のわるい化け錦鯉は、アモンの命令に従うしかない。
聞けば、友だちだった化けなまずは、さっそくアトラ・ハシースに遭遇し、吹き飛ばされてしまったとか。
『線香のひとつもあげてやれないなんて、なんて職場だ』
怒りうちに抱えたまま、馬超の屋敷へとむかう、化け錦鯉。
かれの任務は、引きつづき、異民族蜂起の頭領として、馬超を奮い立たせることである。
『待てよ。アモンさまのお話では、潜入者はもう元の世界へ戻ったということだが、ほんとうだろうか。
また戻ってきたら、ほかの連中のように、俺も身体を溶かされてしまうかもしれない。
そんなのはいやだ。そうだ、アモンさまは、人間の屋敷へ行け、といったが、道草をするな、とは言っていない。
俺が、俺のために狩りをしたところで、アモンさまの霊力が減るわけじゃなし。文句を言わないだろう』

化け錦鯉は、アモンが怒り狂ったさまを想像し、しばしためらったが、結局、あとで叱られる恐怖よりも、いまの己の中にある怒りが勝った。
化け錦鯉は、それまでの道をかえて、人間の姿をもとめ、狭い路地へと入っていった。

この悪魔の再登場は、しばしあとになる。

※ひさしぶりの二本アップ。倍の時間がかかるかな、と思っていましたら、きちんと時間をはかったら、案外、そうでもないことが判明。これなら頑張れるかも。いま時間のあるうちに、たくさん貯金を作っておこうと思います(^^ゞ

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