● おまけの広場 ●
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2007年6月11日(月)
流砂の絶佳 七十一

「ここで公琰が出てきたら、わたしとしては、とてもショックなのだが」
「英語!」
「はいはい、とても衝撃的なのだが(棒読み)」
「いくら状況がちがうとはいえ、公琰と文偉が、いっしょに遊ぶほど仲がよくなっているとは思えぬな」
と、趙雲は言う。孔明がそうだろうかと首をかしげると、趙雲は言った。
「公琰が遊ぶといっても、派手やかなところでは遊ばないだろうし、文偉といっしょなら、そのお守りに専念しなくてはならなくなるとわかっているから、同道をいやがるであろう。
あの二人は馴れ合いをせずに、切磋琢磨するのが似合っている」
「なるほど、あなたのほうが、人を見る目というのは、わたしよりあるから、そうなのだろう。けれど、子龍、公琰の遊び方に、なぜくわしいのだ」
「俺たちの世界で、よく公琰を見かけたが、たいがい一人で、静かなところで飲んでいた」
「ふうん、そうか。あなたもたまには遊びに来ていたわけか」
「いや、飲んでいただけだぞ」
「遊んでいたとしてもかまわぬであろうが。それが普通ぞ。そなたは異常」
そういううさぎに、孔明は腕の力をつよくして、言った。
「いま穏やかならざる言葉が聞こえたのだが、異常とはなにかな?」
「ちょっとした可愛いうそ! うそだって、ちょっと! 苦しいのであるが!」
「おい、莫迦をやっているあいだに文偉が移動をはじめたぞ。追うか?」
「うむ、しばし待て」
と、孔明は連れ立って歩き始めた男と文偉をじっと見つめる。
その双眸が金色に変化し、やがてふたたびいつもの黒にもどった。
「霊査をしてみたが、どうやら人間だ」
「えー? あんなに怪しいのにか」
と、うさぎが口をとがらす。
「うむ、しかし影を見よ」

影、といわれて、うさぎと趙雲は、店の軒先にぶらさがっている提灯の明かりによって地面に投じる男の影を見る。
それは、はっきりと人のものではなく、頭巾で隠してはいるものの、その頭部には、山羊のような角がいくつも突き出ていた。
が、男の本体のほうは、ただ頭巾をかぶっているというだけで、突起はなにも見えない。

「わかりやすいのう。というか、間抜けな。影に細工できなかったのか」
「その間抜けっぷりが、悪魔ということだ」
「影に細工できるような力をもつ悪魔は、かなり高位だぞ。おまえは悪魔と対決したことがないのか」
趙雲の問いに、うさぎは答える。
「わたしはそなたたちとちがって攻撃型ではないから、あまり悪魔と接触するような機会もすくないのだよ」
「知恵のまわる悪魔なら、われらを警戒して影にも細工するのがふつうだ。だが、それは霊力を消費する作業だから、けちなアモンが嫌がったのにちがいない」
「なるほど。ケチが足元をすくったか」
「ともかく、文偉のばか、悪魔なんぞに引っかかりおって。あとを追うぞ」

※連続アップにお付き合いいただきまして、ありがとうございました(^^♪ さて、今週末に向けて、いろいろと準備中、ではありますが、いま昔に買った三国志Ⅹを再プレイ中。じつはまだクリアしていなかったりします。今度こそ、クリアするぞー。架空武将でプレイ中ですが、かなり愉快なことに。どこかでお話できたらと思います(^^♪

2007年6月12日(火)
流砂の絶佳 七十二

悪魔と文偉、その二人は、ひとまず、もっとも賑わっている大通りに出ると、とある酒店のまえで立ち止まった。
どうやら待ち合わせをしているらしい。
だれがくるのやらと孔明たちが待っていると、にこやかに雑踏のなかから手を振ってあらわれたのは。
「じいさん!」
「黄漢升? は? どういうつながりだ?」
思わず顔を見合わせる孔明と趙雲。
二人がなぜおどろいているのか、ピンと来ないために首をひねっているうさぎ。
そんな二人と一匹が見つめているとも知らず、黄忠は、年甲斐もなく、その場のだれよりも派手で流行の着物でもって、上機嫌でやってきた。
といっても、さすがは黄忠というべきか、流行に引きずられている、といった雰囲気ではなく、きちんと流行の服も、自分の着こなしとして消化しているふうだ。
そういえば、黄忠は、じつはひそかに洒落ものだったと思い出し、唖然としている趙雲に、孔明はいう。
「じいやは酒豪だったな。そのつながりで文偉と知り合いだった? 
わたしたちの世界ではどうだったのだろう。あなたは覚えていないか」
「いや、たしかにじいさんは酒豪で、文偉も遊び人だったが、ふたりで一緒だったところは見たことがない」
「なるほと、つまりあのコンビ」
「英語」
「……二人組みは、この世界ならでは、ということだな」
黄忠は、どうやら悪魔に、文偉とおなじ話をされているらしい。
見ていると、そんなうまい話があるのかと疑うこともなく、今日はなんて運がいいのだと、喜んでいる様子である。
「あんな単純だったかな」
あきれる孔明をよそに、それこそ祖父と孫ほどに歳の差のある黄忠と文偉のふたりは、スキップでもしかねない勢いで、うきうきと悪魔のあとについていく。

そうして、浮かれた二人と悪魔は、大通りを離れると、複雑な路地を何度もくぐりぬけ、やがて、長星橋から遠くはなれた、寂しい平野にやってきた。
風がなまぐさい。
「太陽が出ていたらわかるだろうに、このあたりは沼地になっていて、昔から、妓女たちが、望まぬ子をここで始末する場所だった。取り締まっても、取り締まっても、なぜかここに人があつまる場所であったよ。
それは、この世界でも変わらぬようだな」
孔明のことばに、仲達はぶるりと身をふるわせた。
「そう聞くと、なにやら不気味な場所だのう」
「夜はよほどでないかぎり、だれも近づかない場所だ。悪魔が魂を狩るに、これほどふさわしい場所はない」
そうして息をひそめていると、沼地であるはずの土地のうえに、ひとつ、ふたつとぽっかりと明かりが浮かび上がった。


※暑い日がつづいておりますね。みなさまお体の調子はいかがですか? さて、アップですが、木曜日を予定しております。動かしてないものを、どんどん動かしていきたいと思っています。今月はアップを増やす予定ですので、どうぞよろしくですー(^^ゞ

2007年6月13日(水)
流砂の絶佳 七十三

闇夜に浮かび上がる提灯は、孔明たちからすれば、鬼火そのものに見えるのであるが、浮かれまくっている(それほどに悪魔の弁舌が巧みだったこともあるが)二人には、いっそうの期待を膨らませるものであるらしく、なんとも無邪気に二人して快哉をあげている。
「このまま置いてくか」
ぼそりとつぶやいた孔明に、趙雲は無言で手を伸ばし、その頭をこづいた。
提灯を持っているのは、この世のものとは思えぬほどの美しさをたたえた、仙女のような美女ふたりで、にぎやかな二人とは対象的に、しずしずと夜道をやってくる。
期待にたがわぬ大当たりに、手を取り合って大喜びする黄忠と文偉たちであるが、美女たちは顔色ひとつ変えず、ふたりにむかってていねいに拱手すると、歓迎のあいさつを述べた。

ようこそ、いらっしゃいました、男ぶりのよい御方がお二人も、うれしゅうございます、とかなんとか妓女は語るのであるが、アトラ・ハシースたる孔明や仲達には、ふたりのまえに立っているのは、美女には見えていない。
「なまずが笑っておる」
「きつねが美女に化ける、というのは聞くが、なまずもうまいものだな」
語り合う孔明と仲達に、趙雲がたずねた。
「どうする。このまま放っておけば、あのふたりは沼地に引きずられて溺死させられてしまうぞ」
「溺死はどうだろうな。魂は悪魔たちが狩ってアモンに上納するだろうけれど、身体のほうは、あの者たちが分配する約束になっているはずだ。
おそらくは、なんやかやと言いくるめて、バラバラにしてしまうのではないかな。
特に、生き胆はかれらにはご馳走であろうし」

などとぞっとすることを孔明が口にしているその最中も、文偉たちにあいさつをしていた美女たちは、文偉たちを沼のほうへと誘い込もうとしている。
どうやらそばにいる悪魔が、霊力でもって、文偉たちでも水面を歩けるようにしているらしい。
悪魔は黄忠の武器を取り上げるつもりなのだな、と孔明は判断した。
黄忠は、たしかに洒落た衣を身に纏っていたけれど、やはり武人らしく、腰には剣を提げていた。

そうして、ふたりは闇夜の、ガマの穂が揺れる、なまぐさい風のただよう沼地のうえをゆき、やがて、そのど真ん中でぺたりと座り込んだ。
悪魔の幻術によって、ふたりは妓楼に上がりこんでいると思い込んでいるのである。
そうして、女の一人が、黄忠の武器を取り上げるべく、それをお預かりいたします、と手を伸ばしてきた。
上機嫌の黄忠は、それにあっさりと応じて、腰に提げていた剣を妓女(でもなまず)に差し出す。
とたん、もうひとりの女が、衣の裾から大きな鉈を取り出した。


※今日はとびきり暑かったですねー(>_<)  涼をもとめて洗濯しがてら、洗濯機の掃除もしてみました。ぴかぴかになりましたよー、というのはさておき、アンケートへのご協力、ありがとうございました(^o^)丿 明日はアップの予定です。平日ですが、どうぞ遊びにいらしてくださいませね(^^♪

2007年6月14日(木)
流砂の絶佳 七十四

「いかん!」
孔明が叫ぶのと、女のあやしげな挙搓にきづいた黄忠が、差し出した刀をふたたび素早く奪い取り、指ではじくようにして鞘から刀身をすこしだけあらわにすると、そのわずかな部分で、真横に胴を真っ二つにせんとした刃を防ぐのは、ほぼ同時であった。
目のまえの美女に心を奪われながらも、完全には気をゆるしていなかったのだ。
おどろく文偉を背後にかばい、黄忠は剣を鞘から完全に抜き放ち、女たちに突きつけた。
それを見て、おもわず孔明は感嘆する。
「おお、さすが!」

それまで水上を地面のように錯覚させて、魔術でもって身体が浮き上がっていた黄忠と文偉であるが、その足元を崩そうという化けなまずの策略か、ふたりの足元が崩れた。
それを見て、孔明と趙雲はすばやく飛び出すと、沼に引きずられそうになっていたふたりを空中より、腕をつかんで助け上げ、安全な地面にと運ぶ。
文偉と黄忠を飲み込もうとしていた沼には、大きくさざなみが立っているのだが、その波は、よくよく見れば、それぞれが人の腕なのであった。
「この場所で命を絶った、妓女や赤子たちか」
孔明が眉をひそめると、とたん、沼の水面が、はげしく気泡をあげはじめた。

赤茶色の不気味な色をした気泡が、つぎからつぎへと湧き出ると、やがてそれはひとつの塊になっていく。
見守っていると、やがてひとつの大きな泡は、巨大な赤ん坊の顔となり、口を大きくひらくと、水面に響き渡る声で、ほぎゃあほぎゃあと泣き声をあげはじめた。
その声をきっかけとして、つぎからつぎへと気泡が沼の奥底から浮き上がってきて、耳にさわる泣き声をくりかえす。

孔明も趙雲も、そして仲達も、一度は死というものを経験している。
それゆえに、命の尊さを痛感しているだけに、まだ目も開かないうちから命を絶たれたあわれな赤ん坊の声は、ただそれだけでも、堪えるものがあった。

何もわからぬ赤ん坊の魂を、武器のように扱ってぶつけてくる悪魔にたいし、孔明は怒りを爆発させた。
「出てこい、このしみったれた三流悪魔が! おまえの攻撃というものは、罪のない赤ん坊の魂をこのようにもてあそび、われらを怯ますだけのものか! わたしは逃げも隠れもせぬぞ!」

生臭い風が吹く。
風の気配を追って、孔明が首をめぐらせると、沼のほとりの柳の木のうえに、子どものように小さな男の影が浮かび上がっていた。
「あんたバッカじゃないの? こっちが逃げ隠れしたいからこそ、そいつらを出しているんでしょうが。
格好つけて、頭に血をのぼらせて、ほんと、ばーっかみたい」
「わたしを感情的にさせようとしても無駄だぞ。いまのおまえは聖水を浴びたダメージから回復できておらぬはず。
どうする、わたしの目的は、おまえをこの世界から追放すること。いまここで決着をつけることができるのなら、これほど楽なことはないのだがな」
「あんたって、ほんとうにイヤミ!」
ふたたび生臭い風が吹き、月を隠していた群雲が、狼のように走りさって、地上に光をもたらした。
そのおぼろな月光に浮かび上がる悪魔の顔は、聖水をあびて、半分がみにくく爛れて溶けていた。


※とうとう入梅。湿気だらけで気が滅入る~(>_<) でも負けてはおられませぬな! スケジュールをうまく調整して、いろいろと進めていかないとー。やる気はあるんです、が、時間がね(^_^;) 一日が48時間あったらなあと思うのは、わたしだけ?

2007年6月15日(金)
流砂の絶佳 七十五

「痛そうだな」
孔明がまるで友をいたわるような、真心のこもった口調で呼びかけると、悪魔もそれに応じて答えた。
「まったく、痛いなんてもんじゃないわよー! 効かないのよ、オロナインが! あ・の! オロナインが効かないのよ! まったく、どんだけー、って感じ!」
「聖水の威力とはすさまじいな」
孔明が眉をひそめると、悪魔は柳の木のてっぺんで、大きく鼻を鳴らした。
「ふん、冗談じゃないわよ。遅効性の聖水だなんて聞いてないっての。あたしの部下たちも、なめくじみたいになっちゃってさ~。
あんたたちアトラ・ハシースとか潜入者ってばさ、敵に対する配慮みたいなもんはないわけ? 
こちとら、いなごとちがって、ちゃんとは・あ・と、ってもんがあるわけよ。それをじくじくいじめてくれちゃってさー。どんだけ性格わるいってのよ」
「それはおまえが悪魔だからだ。われらも潜入者も、悪魔の泣き言にはいっさい耳を貸さぬよう、きちんと訓練されておる。
わたしの同情を買おうとしても無駄だぞ。おまえがそのように泣き言を口にするということは、おまえの動きはしばらくおとなしいと見てよいか、それとも、その情報すら、われらをかく乱するためのものなのか」
孔明のことばに、アモンは、ますます鼻を鳴らした。
「ははーん、だ。あんた、あたしが上級悪魔だってことを忘れているみたいね。
そっちはアトラ・ハシース2名とアストラル1名ぽっち。こっちはどんどん数を増やせるのよ♪」
「数を増やす?」
鸚鵡返しにした孔明を、アモンはせせら笑う。
「教えてあげないわよ。そこまでサービスよくしたら、どっちが悪魔、って話じゃない?」
「まあな」
「どっちにしろ、聖水を持っている潜入者はもういないわけだし、問題は、ちょいと風を動かせる程度のあんた。
さあて、あんたはどう料理しようかと、いま考えていたところ」
「ならば、いまから料理にとりかかってみるか」
「そうね、三分クッキング、といきたいところだけれど、いまはちょっと都合が悪いからやらないの。
でも、あらためて宣戦布告をしておいてあげる。この世界の魂まるごと、このアモンさまがいただくわ」
「世界の歴史を歪めて、か。アイオーンの乙女らが黙ってはおるまい。彼女らは時間を操作することができる。おまえたちに勝ち目はないぞ」
「あら、それはあくまで、おなじ次元に存在していれば、の話でしょ? アイオーンの乙女たちが動かせる時間は、あくまでこの次元の時間。ほかの次元に移動したら、どうでしょうね。
そして、当山孔真君、あんたは時間どころか、次元移動もできない。勝ち目はどっちにあると思う」
「それでもわたしだ」
「やけに自信満々じゃない。根拠はあるの」
「ある。わたしが天才だというのが、その根拠だ」
「天才は天才でも、思い込みの天才でしょ」

悪魔は柳の木のうえで、手を軽く動かすと、ちいさく口を動かして、なにか呪文をとなえている。
警戒した孔明であるが、気配を感じて、首だけうごかして振り返ると、背後に、沼から湧き出てきた、大きな泥の手が伸びてきた。
「風よ!」
短く呼びかけ、ちいさな竜巻でそれを打ち払う。

泥を飛散させながら、大きな手はいったんは孔明に弾かれるようにして沼に戻るのであるが、ふたたび力を取り戻して沼のほとりにやってくると、岸辺を手がかりに、外に這い出そうとする。
ずる、ずる、と不気味な音をさせながら、手が地面に力をこめて、這い出してくる。
と、同時に、腕からさらに肩にかけての部分が水面から浮かび上がり、やがて、そればかりではなく、肩からさらにうえ、頭部が沼から浮き上がってきた。
それは、巨大な泥の赤ん坊で、沼から上がってきたそれは、空気に触れたとたんに、さきほどの気泡の赤ん坊とは比にならないほどの大声で、ぎゃあぎゃあと声を限りにして泣きはじめた。


※すこし風邪気味だったのですが、ルルを飲んでひたすら寝たら、一晩で治りました。やっぱり睡眠時間はきちんと持たないと駄目ですね(^.^) さて、これから父の日のプレゼントを選びに行ってきます(^^♪