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「やや、魔法使いさまは、お疲れの様子かな。顔色がよろしくない。そちらのお方は、魔法使いの従者の趙子龍さまでございましょう」
従者、といわれて、趙雲は複雑そうな表情をうかべた。
しかしまたもそれに頓着することなく、国王はいう。
「さっそく東の離宮にてお休みいただこう。ほれ、我輩の飛行船で移動いたしましょうぞ」
と、孔明の腕をとる国王であるが、その前に、来哲が進み出てきた。
「お待ちを、陛下。お二人は、まだクロノス機関の監視下にございます。委員会の許可がないかぎりは、お二人の身柄はこちらでお預かりいたします」
「む、庶民出の成り上がり者めが、おまえの才能に目をつけて、奨学金をあたえて大学院まで出させてやった、この我輩の恩を忘れたか」
「忘れてはおりません。しかし、規則は規則。クロノス機関の決定事項は、ありとあらゆる国家の決定事項よりも優先する。この原則をお忘れか」
国王は、来哲をにらみつけ、来哲のほうも、一歩も引かぬかまえで、国王の目線を受け止めた。
ぴんとはりつめた緊張のなか、折れたのは、国王のほうであった。
「クロノス機関なんぞ、ただの乙女の使い走りであろう」
「だが、この世界は、そのものが、乙女の意志でできたものですよ」
来哲のことばに、国王はおおきく鼻を鳴らした。
「乙女がなんだというのだ。地球のこれほどの荒廃にも、なんら手を打たず、人口の激減にも助言すらしない、それで女神なのか!
みな口にしておらぬだけで、ほんとうはそう思っているはずだぞ」
「乙女の意志がどこにあるかなんてのは、それこそ昔から議論の的だった。
それよりも陛下、たしかにお二人の顔色は悪い。委員会に顔を出して、それからすぐに休ませてさしあげたいのですが、よろしいでしょうか。
なにせ委員会は、さっきからずうっとお待ちかねで、そろそろ痺れを切らす頃合なのでね」
急になれなれしい口調になった来哲に、国王は屈辱をおぼえたらしく顔をあからめるのであるが、反論はできないらしく、歯をぎりぎりと噛みしめながら、答えた。
「委員会に、お二人のおもてなしそのほかのお世話に関しては、ぜひ宮廷にて執り行いたいと国王が言っていたと、伝えてくれ」
「わかりました。それでは、失礼いたします」
と、踵を向けながら、来哲は、孔明と趙雲の両方に、ついてくるようにと、顎で合図をしてくる。
それに従いながら、ふと上を見れば、赤い絨毯のうえを、国王によく似た、やはり巨体の二人の若い男が、ころがるようにしてやってくる。
かれらは口々に、
「バルエフスキー、不遜であるぞ! お二人をおいていけ!」
と騒いでいるのであるが、来哲はそれをまったく無視して、二人を先導し、街の中央にある、大きな建物のなかに入っていった。
※五十回目を越えても主要人物そろってないって、どんだけー(とたまには流行をとりいれつつ)。たぶん塔よりも長くなりそうなこの連載、みなさま、お付き合いいただけたら幸いであります(^^♪
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