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「あんただよ」
と、あっさりとバルエフスキーは言った。
公園には休息する市民や、公園が保護しているどうぶつなどが遊んでいるのであるが、その中央でハトにたかられている彫像は、たしかに格好は孔明であった。
が、その彫像の顔をみたとき、孔明はおおいに不満をおぼえた。
「わたしは、あんなに気むずかしい顔はしておらぬぞ」
彫像の顔は、彼方をにらみつけているのであるが、それは『睥睨している』と表現するよりも、『気に入らないことがあってむずがっている』という表現がぴったりな、すこしばかり迫力に欠ける表情をしていた。
だからあんなにハトにたかられているのだろうと、孔明は判断した。
彫像の下では、『ハトのえさ』を売っている者までいるが、あまり人気はないようだ。
ちなみに市民の風俗はじつにシンプルで、孔明たちのように、男性で髪を結っているものは見当たらず、みなほとんど短髪にそろえていた。
まとう服は、砂と風から身を守るためか、肌を露出させるものではなく、ゆったりとしたデザインのものが主流で、色も自然の風合いを生かしたものが多く、派手な色は好まれていない様子である。
男女の服装に大差はなく、髪型や装飾品、体型によって、男女を区別する、というふうだ。
孔明の不満そうな声に、それまで、じっとプロマイドを見ていた趙雲は、顔をあげて彫像をみやると、これまた孔明がむっとするほどにあっさりと言った。
「そうか? たまにあんな顔をしているぞ」
「子龍、聞いた話によれば、さいきんは感心にも、夜も油代も惜しまず読書にはげんでいるそうだな」
「なんだ、唐突に。たしかにそうだが」
孔明は、その答えを聞くと、不満げに唇をゆがめたまま、さもありなん、とうなずいた。
「だから目を悪くしたのだろう。わたしがあんな顔をしているように見えるとは」
「あの彫像は、俺らの先輩が、あんたの時代に行ったとき、物陰からこっそりとあんたを観察して撮った写真をもとに作られたもののはずだぜ」
来哲のことばに、趙雲は笑いかけて、孔明と目が合い、とりやめた。
「わたしの具合のわるいときだ。盗み撮りとは不届きな」
「そういうなよ。それだけ人気があるってことだ。
あの公園でぼーっとしている市民全員に、いま、本物のあんたがここにいると聞いたら、きっとあのハトみたいに熱烈歓迎してくれると思うぜ」
「ハトのようになら、うれしくない」
「ところで趙子龍、あんたはそのプロマイドがずいぶん気に入ったようだが」
来哲に問われると、趙雲は、たしかに、というふうにうなずいたが、来哲を見る趙雲の目線には、まだすこしばかり警戒心が残されている。
「なぜか気になるのだ」
みじかくこたえる趙雲に、来哲は答えた。
「それはそうだろう。その男こそ、現国王の劉玄徳十六世だ」
※昨日はぎりぎりのアップとなりまして、申し訳ありませんでしたー(>_<) 今日は最終回+おまけのアップとなります。なるべく早めにアップしたいと思っています(^_^;) 今日は雨ですね。あとすこしだ、がんばって行こうっと。
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