● こうせいニッキ●
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2007年2月7日(水)
脱力れんさい くっきき。 ごあいさつ。

わたしの朝は、一杯のモーニングコーヒーからはじまる。
時刻はちょうど5時。
窓辺に置いたカウチに座って、窓の外をながめながらすするブラックコーヒーは最高。
といっても、うさぎの身にカフェインはよろしくない、という理由から、コーヒーはコーヒーでもたんぽぽコーヒー。
ラジオ体操も終わったあとの、この朝のゆったりとしたひとときがたまらぬのう。思わず口ずさむ♪だばだーだー だばだーだばだー だばだー だばだー♪
さいごの音が高くなる『だー♪』の直前で、ぴんぽんと呼び鈴が鳴った。
ううむ、なんかすっごく消化不良で気持ち悪いのだが、わたしは人格者なので、つとめて笑顔でインターフォンに応対する。
体重が2kgにも満たないうさぎであるわたしのため、かつて使っていた電気機器のほとんどが床に下ろされている。いちいち台の上に飛び上がったりするのが大変なためだ。
おかげで、それまでじつにお洒落に片付けていたわが部屋は、すっかり、どこぞの片付きの悪い会社のようになってしまっている。
む? おまえはだれだ、とな?
うさぎとしての名は『くっきー』。
だが真の名は、晋の宣帝・司馬仲達である。
仲達ってだれだー? 
ああ、死せる孔明、生ける仲達を走らすで有名な、孔明と最後に戦ったひと、だと?
でえい、どうして諸葛亮といつまでもセットなのだよ! 
なにぃ、しかも孔明死んでから先って興味ないから、漫画も小説も読んでいなくて、宣帝ってなに、つーか、仲達って、孔明のライバルっていわれているわりには、周瑜とくらべてあんまり印象ないね、だと?
あんな派手なもんとくらべるなー! わたしはわたしである。求む、オリジナリティ! 
ところで、話の状況がさっぱりわからぬとな? 
そういう向きは別ページにある『ずんだGAME・うさぎが観察日記』シリーズを読まれるがよかろう。
簡単に言えばだ、うさぎに変化してしまう呪詛を受けた諸葛亮が、はた迷惑にも素直さのかける性格が原因でわたしと喧嘩になり、わたしにまで厄介な呪詛を移したために、わたしはうさぎ(しかも垂れ耳のロップイヤーラビット)に変化してしまったというわけだよ。
しかもこの呪詛、現段階ではだれにも解除ができないときたものだ。
こうした悲劇的状況のなかでも、前向きに生きているわたしの物語がはじまるようである。
ちなみに舞台は、下宿先。
ますますもってわからぬ? それでは簡単に説明しよう。
基本世界と、そこから派生するパラレルワールドの連なりである汎世界を守護する役目をになう『アトラ・ハシース』。
かれらはもともと『基本世界』において英雄として死んだ者のなかから、さらに特に選ばれたものが『アトラ・ハシース(最高の賢者)』になる。要するに天使や聖霊のような役目を持つ者たちだ。
このアトラ・ハシースは、下宿先と呼ばれる基本世界のコピーにおり、さらにそこにある『中央都市』の、真ん中に高々と聳える塔に集って住んでいる。
というより、アトラ・ハシースは塔以外の場所に住めないという規則がある。
なぜって? 
わからぬ。諸葛孔明にも勝ったわたしにだて、わからぬことはあるわい。
来客はどうやら、ライバルにて親友のやつであるようだ。
ふむ、なにやら大きな荷物を抱えているようだのう。
ちなみに物語の設定が煩雑なこのシリーズ、ニッキという性質もふまえ、今回はあえて物語に集中していただくために説明等は省いており、『塔』ほどではないにしろ、セリフ中心に話が進むことになる点もご了承いただきたい。

短い話ではあるが、楽しんでくれたまえ。


※本日よりはじまりました「くっきき。」。一ヶ月ほどを予定している短いお話です。ずんだのうさルートを読んでいない方には、ちんぷんかんぷんかもしれませんが、しばらくお付き合いいただけたらと思いますm(__)m
 ごあいさつは一人称ですが、次回より三人称のものがたりになります。

2007年2月8日(木)
くっきき。 1かいめ

諸葛孔明は、さっそく仲達の部屋に通されると、疲れた顔をして、手にした、ワンドアの冷蔵庫ほどの大きさのあるダンボールを床に置く。
すると、この部屋の主である司馬仲達が、だばだばと、大きな垂れ耳を揺らしてやってきた。
いま現在、諸事情により、仲達は、ロップイヤーラビットになってしまっているのだ。
立ち上がっても孔明の膝にとどかないほど小さくなった仲達は、首をめいっぱいあげて、ふしぎそうにたずねる。
「貴様のほうから、呼び出しもしておらぬのにやってくるとは、めずらしいのう。どういう風の吹き回しだ」
「どうもこうも」
言いつつ、孔明はいささか充血した目をダンボールに落とす。
それは、贈答品や売り物を、そのまま持ってきたものではないらしい。
ダンボールの蓋の部分は、何度か開閉をくりかえされたガムテープのあとが見える。
孔明が、かつてのライバルであった自分に対し、いまだ微妙なわだかまりを持っていることを知っている仲達は、わざわざ孔明が、つまらないものを届けるために、一人で自分の部屋にやってきたとは思わなかった。
「これはいったい、なんであろう。開けてもよいのか」
年甲斐もなく(アトラ・ハシースに年齢は関係ないが)ときめきをおぼえつつ、仲達がたずねると、孔明はうなずいた。
「いやはやあらゆる霊術を跳ね返す機能なんぞつけるのではなかった。軽量化もできぬし、風で運ぶこともできぬし、使い魔たちに運んでくれとたのんだら、『腰を痛めるんで、重いものは勘弁してください』とかいって労働拒否するし。
疲れた、じつに疲れた。おお、たんぽぽコーヒーではないか。わたしも一杯もらうぞ」
言いながら、慣れたふうに台所へむかって、たんぽぽコーヒーを飲む孔明。
その一方で、仲達は、なにやらどきどきしつつ、慎重にガムテープをべりべりとはがしていく。
ガムテープがおのれの毛にからまぬように注意しながら、ダンボールをひらく仲達のうしろから、孔明の声がした。
「うまいな。このコーヒーは供給所でもらったのか」
「そうではない。うさぎの身になってから、コーヒーが楽しめなくなったとぼやいていたら、おまえのアストラルである趙子龍が、自分の家のそばのたんぽぽで、このコーヒーを作ってくれたのだ。あやつはまこと、人格者よのう」
「子龍の家の周囲は、年がら年中、たんぽぽとれんげが咲きみだれているからな。ひまわりもあったっけ。このあいだ、種をローストしたものを分けてもらったけれど、うむ、このコーヒーも贅沢な味がするな」
「趙子龍は農業の才能がある」
「農業の才能『も』ある、だよ」
そんなやりとりをしながら、ようやく仲達がダンボールを開くと、中には慎重にビニールの梱包材につつまれた金属の一部が見える。
それはどうやら、あわいピンク色に塗装されているものらしい。
もしやと思いつつ、仲達は、器用に、うさぎの身でありながら備えている五本の指で、金属をつつんでいる梱包材を慎重にはずしていった。
「おおお!」
思わずおどろきつつ、仲達がふりかえると、孔明は、得意そうに、コーヒーをすすりながら、笑って見せた。
箱から出てきたのは自転車であった。


※きつねづくしの回にもかかわらず、昨日のアップ分にて拍手をいただけました。みなさまどうもありがとうございますm(__)m しかもきつね氏、さりげなく3票に増えているし…スゴイ。アンケートのほうも楽しいコメントをいただけてうれしいです♪ 本日よりのんびり連載が本格スタートしました。こちらもよしなにー(^^ゞ 次回アップは現在準備中。いつになるかはまだ未定であります。お待ちくださいませm(__)m 

2007年2月9日(金)
くっきき。 2かいめ

「うさぎの身だと移動が大変だとぼやいていただろう。風のマントだと空をとぶことができるから、それを供給所からもらってきてやることも考えたのだが、おまえは、わたしとちがって地属性だからな。地を行く乗り物とのほうが相性がよい。
自動車もかんがえたのだが、運動不足だということも嘆いていたし、そういうわけで、あえて自転車にしてみたのだよ。動力源は霊力であるが、ある程度、力をこめないと動けないように調整してある。純然たる自転車とは、少々ちがうが、そこは気にしないでくれ」

いま、仲達の前には、ぴかぴかとかがやく、まあたらしい、あわいピンク色と銀色に塗装されたちいさな自転車があった。
自転車といっても、風の抵抗を避けるためなのか、前面には透明のカバーがついており、足の短いうさぎのため、専用のシークレットブーツも備え付けられている。
さらに電動アシスト機能つきであるらしく、うつくしくデザインされたサドルとペダルをつなぐラインには、コードがついており、さらにまるで戦闘機のコクピットを思わせるちいさな液晶画面や、用途は不明ではあるが、操縦桿のようなものまでついている。
「なんたる贅沢品! これをわざわざわたしのために!」
感激で、わなわなとふるえつつ、はやくも涙目になって孔明をみる仲達であるが、孔明は、照れくさいためか、まあまあというふうに手ぶりでしめすと、ダンボールにいっしょに入っていた、ちいさな冊子を取り出した。
「これが、わが開発チームがつくりあげた傑作品、うさぎ専用自転車の説明書だ。うさぎの身であるおまえのために、さまざまに機能をつけてあるゆえ、乗る前に、かならずこれに目を通してくれたまえ。なにせ、凝りまくったからなー」
感慨深げにうんうんとうなずく孔明に、仲達は首をかしげた。
「ふうむ? 開発チームというと、貴様だけが作ったのではないのだな」
「もちろん。わたしが発案者だが、これに面白いといって参加してきたアトラ・ハシースがいてな、まずは、はじめて実用自転車を世に出したドライス伯爵が、自転車ならわたし、とばかりに名乗りをあげ、つづいて、車輪つながりということで、ダイムラーが名乗りをあげ、そうしたら、おまえもやるんなら俺もやる、というわけで、カール・ベンツもやってきた。で、この面子をおもしろがってやってきたのが好奇心のカタマリ・レオナルド・ダ・ヴィンチ。今回の自転車のデザイン担当はかれが行った」
「おお、なんと豪華なメンバーであろうか。このデザイン、道理で茶目っ気があるなかにも、神秘的な優雅さがある!」
「あー、デザインな。ダ・ヴィンチのやつやっぱり仕事が遅くてなー、やつが原案としてスケッチしたものから、わたしがよさげなのを抜粋して、わたしが塗装したのだよ。木牛と流馬でこういう工作は慣れておるし」
「どちらにしろ、天才による手作りの品! 乗るのがおしいくらいではないかー」
もはや涙をこぼしつつ、まだ塗料のにおいもあたらしい自転車を、いとおしそうに撫でる仲達。
「ありがたいのう。この自転車の名は『友情号』とする」
「あー、名前はだな、すまぬが決まっておるのだ。なにせHPでメンバーを募るときに話題をあつめようと思ってネーミング募集もしたのだよ」
「ほう。で、自転車の名は!」
「『おでかけチャリンコ・りんりんくっきー号』」
「………………………………だれのセンス?」
「そう言うな。盛り上がったんだから」
「りんりんくっきー号でもかまわぬ。あとでほかのメンバー諸氏にも礼を言わねばなるまいのう」
「そこまで感激してくれるならば作った甲斐もあるというものだ。人狼ならぬ人兎ということで、そなたはいま、注目を浴びまくっておるからな。これで外の移動が楽になるだろう」
「ありがたいことぞ。わざわざ四人ものアトラ・ハシースがわたしのために、このような贅沢なものをつくってくれるとは! ところで」
「なんだ」
「気になるのだが、このちょうど距離メーターの真下にある、なにやら気になる紫色のボタンはなんだ」
「ああ、ほんとうだ。だれが付けたのかな。わたしが設計図を見たときにはなかったのに。しばし待て、冊子をたしかめてみよう」
「ううむ、電動機の起動ボタンか? 押してみよう。ぽち。おや? おかしいのう。カウントダウンがはじまったぞ」
『6…………5……………4…………3』
「あ、仲達、わかったぞ」
「なんのボタンだ」
『2…………1』
「自爆ボタン」
「は?」
『0』

おでかけチャリンコ・りんりんくっきー号、連載二回目にして、大破。


※最近はDan Shui(以下DS)関係の拍手が増えてうれしいです(^^♪ どんな設定なんですかと問い合わせがありまして、調子にのったはさみのは、人物設定にでもDS用を載せようかと考え中。といっても、あんまりたくさん考えてなかったり。イメージの箇条書きになると思います。それとくっききにも拍手をいただきました。特に大きな事件が起こるというものではなく、(うちにしては)のほーんとした展開になる予定です。見守ってやってくださいませ(^^)/

2007年2月10日(土)
くっきき。 3かいめ

「アホかー! 自転車に自爆装置をつける馬鹿がどこにおるか! 責任者だせい!」
「いま製造担当を電話で呼び出しているから待っておれ」
言いつつ、孔明は携帯電話で、製造担当であったダイムラーを呼び出している。
「もしもし、わたしだ。ああ、そうだ。いまちょうど仲達に自転車を渡したところなのだが、ああ、もちろんとても喜んでくれたとも。例の紫色のボタンを押すまではな……………………心当たりがあるだろう、そうだろう。押しちゃったのか、って。そりゃ押すであろうが。というより、自爆装置があんな目立つところにあるのは設計のミスだぞ」
「たわけが! そもそも自爆装置自体いらぬわ!」
「は? ああ、仲達は生きておる。爆発のおかげで毛がまっ黒に焦げて、うさぎというよりは、手入れの悪いトイプードルのようになっておる。そうだよ、悲惨なのだよ。笑い事じゃない。
おい、なんだってあんなものをつけた。いまからこっちに………え? 召喚がかかったって? こら、本当だろうな! おい、もしもし? もしもーし!」
孔明は、しばし自分の携帯電話を見つめていたが、やがて、書の名人が一気に描いたような美しい孤をえがく眉をひそめて、いまだぷすぷすと、身体のそこかしこから煙の出ている焦げうさぎに言った。
「すまぬ、ダイムラーのやつ、召喚されたらしい」
それを聞き、仲達はじっとりと孔明をにらみつけた。
「……いまの爆発で、感謝の気持ちも、いっしょに吹っ飛んだぞ、諸葛亮。これぞまさしく木馬をうっかり引き入れて、あとでしまったとくやんだトロイの兵士のきもち!」
「わかるような、わからぬような」
「ともかーく! こんなまっ黒こげにされたうえに、見ろ! この部屋の惨状を! 窓は割れておるわ、台所は吹っ飛んでおるわ、ソファはでっかい綿のかたまりとなっておるし、なにより! 自転車が大破したおかげで破片があちこちにちらばって、かべにめり込んでおる! せーっかくうちの息子や孫がインテリアを選んでくれたのに、これはあんまりであろう!」

仲達が騒ぐのは当然で、部屋の状態はひどいものであった。
爆発した直後に、炎を察知して、まずスプリンクラーが発動したというのに、孔明が、自分と仲達を爆風と、それに煽られて凶器と化した自転車の金属片から身をまもるために、風の方向を変えさせるように霊力をつかったのである。
しかしそれが裏目に出た。
孔明のおこした風が、さらに部屋のなかを竜巻のように席捲して、めちゃくちゃにしてしまったのである。

仲達は、まっ黒こげの姿のまま、床に散らばった手書きの絵のほうへと、よたよたと向かった。
「ああー、この牡丹図は、うちの炎ちゃんと徽宋が共同執筆した、貴重な絵であったのに」
「ジグソーパズルとして楽しめばよかろう」
「たわけー! ジグソーパズルどころか、パーツの半分は燃えてしまっておるわい! どうしてくれよう、まったく!」
「たしかに、こんなわけのわからん機能を、こっそりと製造責任者がしのばせていたことに気づかなかったのは、総責任者たる、わたしのミスだ。ここは謝罪もふくめ、あたらしい自転車をもう一台つくろう」
「まことであるな! 今度は、わたしに優しい自転車に作れよ!」
孔明は、わかった、わかった、というふうにうなずくと、とりあえず部屋のゴミをほうきで掃き清め、燃えないゴミと燃えるゴミに分別して、出て行った。
その背中がちょっぴりとしょんぼり気味であったのは、仲達がそうであれと願ったばかりではないだろう。


※アンケートに異常事態発生? かつてない状況であります。きつねが趙雲を上回った! さすが、だてに尚書令はしていないということか…(←意味がわかりません)。どこへいく、このサイト。いやはや面白すぎて顔がにやけっぱなしであります。きつねー。そして投票してくださったお客さま、どうもありがとうございます(^^)/ アップは明日か明後日…ごめんなさい、まだ準備がまるで出来ていないのです(>_<) なるべく早めにできるよう、鋭意努力中。お待ちくださいませー。

2007年2月11日(日)
くっきき。 4かいめ

翌日。
仲達があきれたことに、孔明はさっそく、召喚されたダイムラーをのぞく、ほかの開発チームをあつめて、自爆装置のついていない『おでかけチャリンコ・りんりんくっきー号改』を作製。
塔で、すっかり爆発のために焼けてしまった毛を、霊力でつくった櫛でもって、けんめいにメンテナンスしている仲達の部屋にもってきた。

「諸葛亮よ、今度こそ、普通の自転車であろうな」
疑いのまなざしで見る仲達に、孔明は、心外だというふうに、顔をしかめつつもうなずいた。
あたらしくダンボールの中からあらわれた、ピンクとメタリックシルバーのカラーリングのまぶしい自転車を、こわごわと、慎重に見てまわる仲達。
自爆装置がついていないかをチェックしているのである。
「ダイムラーが召喚されてしまったのでなんとも言えないが、あいつが自爆装置をつけた理由は、おまえがうさぎだから、ということらしい。
どうやら、うさぎは捕食される動物である、という認識のほうが先にたって、うさぎではあるけれど、アトラ・ハシースである、ということを忘れていたらしい。よくある錯誤だ。ゆるしてやれ」
「錯誤とはまたうまい言葉を思いついたものだな。ダイムラーが戻ったら、司馬仲達が話があると言っていたと伝えてくれい」
「それはかまわぬが、話に続きがある」
まだあるのか、とかまえた仲達に、孔明は、一瞬、愛想笑いでごまかすか、あるいは一気に事情を説明して平謝りするかを迷ったようであるが、結局、笑いでごまかすのをやめて、顔を引締めると、言った。
「重ねてすまぬ。これも総責任者たるわたしの落ち度なのであるが、この自転車の素材が、いま問題になっていてな」
素材、と聞いて、仲達は、どこにも傷ひとつない、ぴかぴかの自転車を見た。
「問題とは」
先をうながす仲達に、孔明は気まずそうにうなずきつつ、答えた。
「どうもおまえがうさぎだということで、うさぎ=弱い、ちょっとの拍子ですぐ死ぬという認識がつよく、かれらはわたしの設計図に対して、『ふつうの自転車では、天敵のカラスや鷹、キツネにおそわれたらうさぎは死ぬ。それじゃかわいそうだから、うさぎの身を守る最強自転車を作ろう』とめいめいが考えたらしい」
「ありがたい気遣いではあるが、しかしわたしはアトラ・ハシース。カラスも鷹も狼も自力で追い返せるぞ」
「そのあたり、ちゃんと説明したつもりであったのだが、誤解がとけぬまま、『おでかけチャリンコ・りんりんくっきー号改』も出来上がってしまったのだよ」
「待てい。貴様が総責任者であろう。ベンツとドライス伯とダ・ヴィンチ? この三人が好き勝手にしないように現場を監督するのが貴様の仕事ではないのか!」
仲達が抗議すると、孔明は、ふふん、と鼻でわらい、答えた。
「甘いな、仲達。ベンツとドライス伯とダ・ヴィンチ。この三人ときたら完全な職人肌でな。人のいうことなんぞ、てんで聞きやしない。協調性ゼロ! この三人をおなじ現場にあつめただけでも表彰ものだ!」
「なにを威張っておるか! では貴様はなにをしていた!」
「集めただけでくたびれて、別室で茶などをごくごくと」
「使えねー! というより、それで総責任者とは!」
「まあまあ、反省しておるとも。二度と連中とは組まぬ。で、話は戻るのだが、うさぎを守るための最強自転車が出来上がったのだが、その素材に、まったくなにを考えていたのやら、ドライス伯め、よせばいいのに、桑の木の精の樹液をはがねに混ぜたようなのだ」


※票を伸ばし続けるキツネ。そして追う趙雲! はたしてキツネはどこまで逃げられるのか? というか、なんだろう、この競り合い…法正と趙雲が戦っているHPはうちだけだろうな~。楽しすぎる…(^_^;) あ、時間がない。投票してくださっている方、ほんとうにありがとうございます。楽しんでます!明日はどうなるかしらん♪

2007年2月12日(月)
くっきき。 5かいめ

「桑の木の精といえば、不老不死の力ももつといわれている神樹の精」
「左様。その樹液といえば、霊具として使われることもある、物質の強度と寿命を飛躍的にのばすエキスだ。それを混ぜることには異義はないのだが、問題があってだな」
「なんだ」
「桑の木の精が、怒っているのだよ。聞いているかもしれないが、桑の木の精と、うちのバカタレな甥っ子は、ふかーい因縁があって、とばっちりなのだが、わたしもついでに恨まれている。嫌なやつの作っている自転車なんぞに、わたしの樹液をつかうな、と」
「ふーむ」
相槌をうちつつ、仲達は思い出していた。

孔明の甥である諸葛恪は、幼い頃からその才気を愛されて、孫権の側近として、父よりも深く孫呉の内部に根をおろし、実権をふるった。
しかしその生涯は、贔屓目で見ても孔明とは対照的で、あまり誉められたものではない。
そのためアトラ・ハシースにもアストラルにもなっていないのだ。

それはともかくとして、桑の木の精と諸葛恪の因縁とは、こんな話である。
とある漁師が、大きな亀をつかまえた。
めずらしいご馳走だというので、大亀は孫権に献上され、鍋でぐつぐつと煮込んだのであるが、しかし大亀は涼しいかお。まるで温泉につかっているかのようなようすである。
三日三晩、熱湯のなかで煮込んでも、大亀は元気にぷかりと鍋のなかにいる。
ふしぎに思った孫権は、諸葛恪を召しだして、この亀をどうしたら煮ることができるかとたずねた。
すると諸葛恪は、この亀が本体にあらず、桑の木の精が化けたものであると看過し、人を遣わせて、桑の木の老樹をさがさせ、これを切り倒し、亀を煮る薪にした。
とたん、亀は鍋のなかで焼けただれて死んでしまい、その肉はみんなの胃袋のなか、という次第………

「貴様の甥っ子の血筋といい、孫権の血筋といい、その後の孫呉がガタガタになったのは、桑の木の精の祟りではないのか」
仲達のことばに、孔明もめずらしく神妙にうなずいた。
「さすがわが甥、怪異の本性をずばり見抜いたのは天晴れであるが、しかし食べてはいかんだろう、というわけで、桑の木の精はオフィシャルでは『ばっちり祟りました』と公表しておる」
「まことか!」
「公式ブログに書いてあった。ちと多すぎるよな、呉に関連する怪異譚」
「蜀にあんまりおかしな話がないのは、怪異そのものが丞相をやっていたからだと思うが」
「なんか言ったか」
「べっつにー」
「まあよいわ。それはともかくとして、桑の木の精は、なんとも粘着質なやつでな、あんまり悪口を言うとこちらも祟られそうだから省くが、昨日付けのあたらしいブログで、『挨拶がない』と怒っていたので、さっそく出向いて謝罪しにいったのだ。ところが、煮込まれた恨みがつよいらしく、『おまえの作った自転車に乗るやつにも挨拶に越させるのが筋だろう』といいはじめて」
「いやな予感」
仲達が顔をしかめると、孔明はがばりと頭を下げた。
「すまん、仲達、めずらしく素直に頭を下げるゆえ、桑の木の精に自転車を使わせてもらいますと挨拶に行ってはくれぬか」


※あっさり、じつにあっさーりと法正、趙雲に追い抜かされました(-_-;)ザンネン…。でもまだ一票差。わかりませぬぞー。あ、それと拍手ルール、なんだかうるさいことを書いておりますが、どうぞお気になさらず(^_^;)秋以降におかしな拍手が来たことはないのですが、いまのうちの予防、ということでのルール明文化でありました。さて、本日は先にニッキをアップ。あとに小説をアップする予定です。それではまた後でお会いしましょう(^^)/