● こうせいニッキ●
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2007年1月24日(水)
実験連載 塔 131

「おはよう。疲れているようだから、先に起きて、付近のものたちに話を聞いてきたよ。狼がよく出るのは、酒泉に向かう手前の街道からすこしそれた谷だそうだ。それが聞いておどろけ」
「坊主たちが言った塔のある場所と、狼が出る場所とが一致する」
「そう。さすが勘がいいな。そのとおりだよ。狼と石は不思議なことであるが、まちがいなく関連がある。行く先が一致したとなると、気も強くなるというものだ。それと、面白い話も聞いてきたのだが、それは朝食を食べながらにしよう。ほら、食糧もすこし分けてもらった」
「手際がよいな。ところで、今日は曇りだよな」
「? おかしなことを。よく晴れているよ」
「そうか。晴れか」
「まだ具合がわるいのか。顔色もよくないな。場所はもう決まったし、武威の太守への薬も、きっと神威将軍たちがちゃんと届けているだろう。狼を使っている人間がいるかもしれないから、急がないといけないけれど、あなたの具合がわるいのであれば、ここから先は、わたしひとりで行く」
「だから、そんなことが出来るかというのだ。もし相手が一人じゃなくて複数だったらどうする。そのうえ狼。目も当てられぬ状況になるだろう」
「そう決まったわけでもあるまい。と、言い争いをするのは建設的ではないな。もうひとつの話なのだが、その谷というのが、入り組んだところにある谷で、昔はそこに集落があったそうなのだが、水の便がわるいし狼も出るというので、いまではだれも住んでいないし、どころか近づきもしないというのだな」
「ふむ」
「で、聞いたのだよ。どうして水の便もわるい奥まった土地に人が住んでいたのかとね。で、人々が言うには、住んでいたというよりも、仮の宿りにしていたらしい。
はるか昔には、その崖から玉が出るというので、多くの人夫たちが仕事をしていたのだが、戦乱がきっかけで一時は絶えた。おそらく、これはわたしが夢で見た者たちであろう。月氏たちだ。
で、そのあとにこの土地に入ってきた羌族が、玉を得るために崖を掘っていたら、出てきたのは玉ではなくて、骨だった」
「動物の?」
「動物や人だったそうだ。そこで羌族は、その骨を竜骨として漢族の商人に売ることにしたのだそうだ」
「待て。動物の骨ならばともかく人の骨だと?」
「おもしろい話があるよ。人間も動物にはちがいないであろうし、粉々に砕いてしまえばわからなかろうと、動物の骨にまぜて売っても、ふしぎとばれてしまうのだそうだ。
しかしそれでもせっかくだからと、人の骨を煎じて飲んだ者がいてね、効用はどうかと効いたら、なんだかあいまいな返事だったな」
「恐ろしい話だな」
「それはともかく、狼が出るようになったのは、骨を掘り出してからなのだそうだ。崖を見ればわかると思うが、よくよく見ると崖というのは層があって、その層ごとに特長がちがう。
玉が出る層と骨が出る層がちがうことから、骨の出る層ばかりを掘っていたそうなのだが、あるときふと思い立ち、まったくなにも出てこなくなっていた玉の出る層を掘ってみたことがあったそうなんだ。そうしたら、大きな骨があらわれた」
「それは」
「竜の骨だ。これはこれで金になるから、みな喜んで骨を掘ったのであるが、しかし時を同じくして狼が頻繁にあらわれるようになって、人夫を襲うようになったので、結局は骨を諦めざるを得なくなった。
だれかが狼を神からの使者だと言ったことから、よけいにみな怖じて、谷に近づかなくなったらしい。で、その谷にある竜の骨はそのまま放置されているのだが、面白いことを言っている者がいた。その骨は、一度掘り出された痕が残っていたと。どうやら、一度掘り出したものを、わざわざ埋め戻した者がいたのだ」
「なんのためだろう」
「わからないよ。ただね、あらわれた狼を神の使者だとみなに告げたのは、ひとりの老人であったのだが、しかしだれもその老人が何者であるかを知らなかったらしい」
「老人」
「うん、その老人は、赤毛だったそうだ」


※塔、途中から出てきました『竜骨』のエピソードは、歴史好きの方ならピンと来たかもしれませんが、北京原人の骨の発見をめぐるお話から思いつきました。
関係ないですが、それこそ幼稚園か学校にあがったばかりの頃、戦中のどさくさで消えた北京原人の骨のミステリーを探るというドキュメント番組をやっていて(といっても、いまでいうUFO番組に近い感じだったのじゃないかしらん)、情報提供者を名乗る女性とTVスタッフが待ち合わせするのに、「しかし、彼女は現れることはなかった…」とナレーションが入って、結局調べたけどわかりませんでした、というオチだったのを鮮明におぼえています(こういうあんまり生活の役に立たない記憶力には自信アリ)。
噂ですが、この話もあんまり触っちゃいけないものらしい。帝銀事件もそんな噂が流れましたよね。アメリカが絡んでいるからとかいう理由…おっと、本当にマズイ話題だったら怖いのでこのあたりにしよう。しかし触っちゃいけないというのも本当だろうか…。はさみののいうことなんで、気にしないでくださいませ。
ちなみにはさみのの考えは『日本軍が来る前にと、中国人がご先祖を守ろうと隠した。戦中で国民意識を独自に燃え上がらせていた人物がいて、考古学的な価値よりも優先して、異国人からご先祖を守ろう、大切に祀ってあげようという意識がはたらいたならありうるのではないか。いまごろどこかのフツーの墓に埋葬されているかもしれん。最近の墓をわざわざ暴くものはないし…』。根拠0ですが(^_^;) 
とと、昨日のアップ分にも拍手をいただけました。ありがとうございます! 身体も回復してきたし、がんばって続きを用意いたしますね(^^♪

2007年1月25日(木)
実験連載 塔 132

「食糧も水も買ったし、これで、廃墟へ向かう準備は万端だ。ほかになにか必要なものはあるだろうか。狼はなにが嫌いなのだろう。なるべくならば話し合いですませたいところだが、さすが狼、話のわかりそうなやつではなかったな」
「そも、狼が人の話を素直に聞く動物だったら、なにも恐れることはないだろう」
「そうとも言い切れまい。人の話を聞いているふりをしながら、まったく聞いておらずに平気で牙を剥く人間だっているではないか」
「まあな。ところで、赤毛の老人というのは、あんたが言っていた夢のなかに出てきた、塔の住人だろうか」
「わたしが見た塔は、過去の風景だと思うのだけれど、もし塔がそこにあり、ひとがまだいるというのなら、そこに住んでいるのは塔の住人の子孫ではないだろうか。
市場でそれとなく聞いてみたが、やはり廃墟にはだれも住んでおらず、まして赤毛などという目立つ連中は、このあたりには滅多にいないそうだよ。
とはいえ、それは正確ではないな。このあたりにはいたのだが、土地をめぐって争そって、追い出されていなくなったのだ」
「塔はあるのか」
「いいや、見たことがないと言っていた。そもそも、その廃墟となっている村自体が、大昔に打ち捨てられた土の家を補強して住んでいただけの、かろうじて風雨をしのげるもので、まともな家ではなかったらしい。
塔があったのは、まだこの地に月氏がいたころの話だから、相当なむかしだ。あとになってやってきた者たちによって壊されていたとしても仕方なかろう」
「狼が神の使者だと告げた赤毛の老人は、意味ありげなことを言いってみなを不安にさせるのが大好きな、人の悪い一言居士で、そのうえ浮浪者ということは考えられぬか」
「おおいに考えられるが、しかし偶然の一致だろうかね。石のことを知っていて、狼を手なづけて石を盗ませたのだとしたら、厄介だ」
「ということは、その老人も狼と行動を共にしていたはずだ。赤毛なんぞ目立つであろうし、だれかが見ていたとしてもおかしくないのに、だれも狼と老人を見ていないのだろう」
「狼に乗って逃げた」
「狼が馬くらい大きかったというのならともかく、ふつうの大きさの狼ならば、それは無理だ」
「ふつうの大きさだったよ。ふむ、ナゾは深まる。しかし狼か老人かわからぬが、石のことを知っていたとすると、どうするつもりなのだろう。石を使うか、それともニキたちのように葬ろうとするか」
「それは当の本人に聞けばわかる。この渓谷を抜けると廃墟の村だな」


※さて、きのうの北京原人のくだり、はさみののヘンテコ推理に補足。現在、北京原人は人類の直接の先祖ではないということが解明されておりますが、当時はまだ研究がそこまで進んでいなかったので、『ご先祖の骨』というふうに思っただろうなあ、ということであります(^_^;) いや、でも本当にどこにあるんざましょ。こういう謎は考え出すと楽しくて止まりません(^^♪ さーて、それはともかく拍手をありがとうございます(^^)/ アップでありますが、明日・明後日、二回に分けて行います。これで、ずんだ、第一部完!となります。どうぞ遊びにいらしてくださいませm(__)m

2007年1月26日(金)
実験連載 塔 133

「ここから先は馬は進めない。仕方ないが置いていこう。さあ、おまえたち、わたしたちが戻るまで、よい子にしているのだよ」
「狭い道だな。こんな場所ではろくに荷物も運べやしない。ほんとうにこの先に村があるのだろうな」
「月氏の時代には隠された村だった。罪人や、攫ってきた旅人などをここで働かせて玉を掘っていたのだという。そのあとにやってきた者がどうしてここをふたたび見つけたのかはわからないが、おそらくは、玉を捜してのことではないかな。
あちこちの山へ行って、どんな物が採れるかを調べることを生業にしている者もいるようだし、そういう連中が、古い伝承を聞いてこの山のことを探り当て、玉を目当てに掘っていたら、見つかったのは骨だった、ということだろう」
「どこであれ人間が住まうところには、欲望からはじまるものがついてまわるのだな」
「子龍、世捨て人にあこがれているのか」
「なぜ」
「蜀に戻ったら案内するけれど、あなたは南の蛮地にちいさな家を持っていて、たまに一人でそこに籠もりきりになることがあった。荊州にいたころも、だれも知らないような土地に家を建てて籠もっていたな。もしかしたら、隠士になりたいとか、そういう憧れがあったのかと思ったのだ」
「どうだろうな。やはりよく覚えていないのだが、俺はそんなに世間を疎んじていたのかな。よくそれで将軍などというものが勤まっていたと思うのだが、どうだ。俺はちゃんと仕事はできていたのか」
「そこは心配しなくていい。申し分ないほどだった。ほかの武将が、ともかく勲功ばかり狙って派手に動きたがるのに、あなたは命令されたどおりのことをきっちりこなすことに優先順位を置いていた。まさに軍を統率する者から見たら、理想の武人だな。これは誉めすぎではないと思う」
「しかしそれは、命令されたことしかできない、ということではないのか」
「ちがうよ。なぜこの命令が出されるのか、という理由や意図がわかっているから、命令された範囲でしか動かないのだ。軍師という立場からいわせてもらえば、あなたはわたしの命令に、だれの目にもわかりやすい実態をともなわせてくれる人だ。
ふつう、よその土地に侵攻する際は、将兵に掠奪をあらかじめ約束しておく。そうすると、士気がちがってくるからだ。
ところが、あなたの軍というのは、いったいどういう調練を日ごろしているのやらというくらいに行儀がいいのだ。見事なものだよ。わたしが掠奪は許さぬというと、怒る武将もいる。いや、そっちのほうが数は多かろう。ほかにも敵将の首を挙げたいがために作戦を無視して突っ走る武将や、すこしでも豊かになりたいがために、隠れるようにして掠奪をする士卒が多いなかで、それだもの。
それだけ統率がとれている、ということは、あなたのほうこそ逆に恐れられているのではないか。よほど怖い大将をやっているのだろう。おぼえていないか」
「おぼえていないな。俺は周りの連中から恨まれているかもしれん」
「なにを恐れることがあるものか。たしかに、あなたに反感を持っている者もいるようだが、そんなものは放っておくがよいのだ。わたしはそんな者は選ばず、あなたを選ぶ。これからも、あなたがそうしていてもよいと言う限りは、ずっとそうだ。
派閥だのなんだのは関係ない。いつかわたしたちも死を迎える日が来るであろうが、そのずっとあとに、われらの名を史書のなかから見つけた者が、過去にこれほどの人物がいたのかとあらためておどろくような人間になりたいものだ。あなたがいてくれれば、きっとそれは叶うだろう」

※さて、ここからいささか長ーい問答がはじまりまして、ラストに向かいます。次回作も書き始めていたりします。脱力系のお話になる予定。来月の頭ごろから開始予定です。

2007年1月27日(土)
実験連載 塔 134

「そういう人間になりたいと思うのは、平和のためか」
「平和なのかな。平和というと、漠然としすぎていると思う」
「では、漢王朝の復興か」
「いいや。実際のところ、漢王朝というものには、わたしはあまりこだわりがない。あくまであれは、主公の立場を強くするための看板にすぎぬ。この国は、いや、もはや『この国』とひとくくりに呼べるものがあるのかすらわからないほどに分裂しているが、どこを見渡しても、あまりに疲弊しすぎていて、みなが苦しんでいる。
あまりに戦が続きすぎた。漢族が分裂したのを見て、それまで圧迫されていた異民族たちが、混乱に乗じて乱を起こし、ますます戦火は外に広がっていく。おおよそ人の住む場所で、戦乱を知らない土地を探すほうがむずかしいのではないか。
このような状況であらためて漢王朝を復興させたとて、その名から喚起される印象は、暗くつらい時代だけであろう。あたらしいものを示さねば、民の心はつかめまい。
その点は、やはり曹操は巨人というべきかな。官僚制度にしてもそうだが、文学においてすら、独自のものを生み出している。わたしはもう、むかしほどに自分を楽観視していない。もし世にいまいる天才をだれか一人挙げよと言われたら、わたしはためらいなく曹操の名を挙げるだろう」
「弱気だな。では、最初から曹操に従えばよかろうに」
「? ずいぶんと突き放した言葉だな。こんな話を聞いて、おもしろいか」
「あんたの話を聞いてみたくなったのさ。ここから先は単調な登りだから、気をまぎらせたい」
「それならばいいけれど、退屈だったら言ってくれ」
「退屈しないから聞いている」
「まあそうか。では答えるけれど、わたしが曹操のもとに仕えなかったのは、曹操がわたしの故郷を焼いたことを恨みに思っているからというわけではないのだよ。曹操は、もし仕えるとしたら、それはそれでおもしろい男かもしれないな。だれにも言わないでくれ。わたしは、あなたにだから言うのだし、主公を裏切るつもりはこれっぽっちもない」
「わかっている。で?」
「とはいえ、たしかに曹操は巨人であるが、しかしすべてが正しいというわけでもない。
曹操はいわば、ひとつの指針だ。曹操が偉大だと思うのは、こうしたらよかろうという、われわれがいままで気づかなかった方向を実際に見せてくれたことだろう。だが、曹操の、独自の方法が成功したのは、もちろん本人のずば抜けた才覚によるところが大きいけれど、かの者の地盤が中原だというのも大きかろう。
中原は、良くも悪くもこの国の中心。つまりはそこに住まう者たちも、文化的にも思想的にも洗練されており、先進的なものの考えができる者たちなのだ」
「そういうおまえはどうだ」
「古いものをこよなく愛するが、賢いために、先進的なものも理解できてしまう、可哀相な智者のはしくれ」
「厳しいな」
「いっそ漢王朝復興こそがすべての正義と頭から信じることができたら、どれだけよいかと思うよ。中原の者たちは、都に近いからこそ、そこで行われた腐敗がどれだけのものかを知っている。
だからこそ、この老朽化した国が滅んでいくことを当然のことと受け止めることができるのだ。
曹操が、漢王朝をないがしろにする賊であることは確かだが、一方では、民のために新しい国をつくり、平和をもたらした英雄でもある。
見ろ、曹操が治めた土地で大きな叛乱が起こったところがあるか? ちいさな叛乱は起こっても、それは広がらないのは、なにも曹操が力づくで抑えているからではない。曹操を世論が支持しているから、叛乱の火が広がらないのだ」


※雪が降る、とかいって、こんなに快晴ではそりゃないでしょうなあ……なんだか街が乾燥している気がします。さてはて、本日ずんだ第一部完となります。ご感想などいただけると大変ありがたいです(^^ゞ

2007年1月28日(日)
実験連載 塔 135

「あんたはよくわからんな。それだけ曹操を評価しているのに、敵対するのはどうしてだ」
「襄陽にいたころは、曹操のやり方に対して反発していたからな。徐州のこともそうだし、主公の力を殺ぐために強引に招聘された徐兄のこともある。
しかし実際に組織というものに入って、人々の上に立ち、世の中を見てみたときに、わかったのだ。曹操の方法も、そうせざるを得なかったということもあるのだと。
ひとつひとつあげればきりがないが、天下を治めるためには、仁君であるばかりではいられないのだ。強引な手法も必要なのだろう」
「恨みや悲しみを、理念で解決できると思うか」
「どうだろうね。じつはまだ迷っているのだ。うまく言えないが、ほんとうに曹操が選んだ方法は、それだけしかなかったものだろうかと思うところもある。
とはいえ、自分が曹操とおなじ立場になったときに、やはり同じ選択をするのではないかとも迷う。むかし話したけれど、これも覚えていないか」
「覚えていないな。あんたは、わりと俺にはなんでもしゃべっていたのだな」
「そうだよ」
「それだけ俺を信じていたわけか。俺があんたの足をすくって、あんたが信頼しすぎたために、どうとでも取れそうないまのことばを上奏したらどうなるだろうとか、そういうことは考えなかったのか」
「考えるまでもない。あなたに裏切られるのならば、所詮、わたしはその程度の器だったということだろう」
「あんたは割りきりがよすぎる」
「そうかな。割り切りがよいはずなら、悩むこともないだろうに、なぜだかわたしの心はいつも嵐でね、たまに嵐を鎮めてくれる人が必要なのだ。それが主にあなたなのだが」
「弱小勢力の中心にいるからだろう。いっそ、曹操に与してしまえば、かえって楽だぞ」
「あなたの口からそんなことを言われると、すこし怖いものがあるな。ならば言うけれど、たしかに楽だろうさ。けれど、やはりわたしの心は鎮まるまい。
たとえば、中原とはちがって、いまだに漢王朝を慕っている土地、蜀やむかしの荊州がこれにあたるが、そういう場所では曹操の手法は急進的で強引なものに映るだろう。
曹操が中原でしたのとおなじことをしたところで、土地には土地の気風というものがあるから、すべてがうまくおさまるとは思えない。蜀は保守的なところがあるから、いきなり曹操の手法をそのまま用いるのは駄目だろうな。
これが乱世でなければ、そもそも官僚制度もくずれていないだろうし、悩むこともなかろうが、官僚制度がこれだけガタガタに崩れてしまって久しく、地方にそれぞれ独自の政権が出来上がってしまい、さらに民もそれに慣れてしまっているという状況を現実のものとして受け止めなければだめだ。
とはいえ、それでは仲良くそれぞれ土地を分けて、まずは疲弊した土地を慰撫しましょう、といっても、それもまた現実としてむずかしかろうよ。そこで実際の地方の情勢や、地理条件などを見て、国を三つに分けてそれぞれ対立し、こう着状態が一時的にでも数年はつづく状況をつくって、地盤を固めてから、徐々にひとつにまとめていく策を考えたわけだ。
似たようなことを考えていた者は、ほかにもいたようだけれど、それを実際に運用できるか否かと見た場合、主公はわたしならばと見込まれたのだ」
「ふうん?」
「なんだ、気のない返事だな。これはただの自慢話ではないぞ。そこまでわたしを見込んでくれたのかと感動したから、わたしは主公にお仕えすることになったのだよ。
だから、裏切ろうなどと考えたりしたことは一度もない。ここをぜひに強調させてくれ」

※私事ではありますが、ここ数日で、ようやく心身ともに回復できたように思えます。やっぱり休養は大切だー。でもって、昨日のアップ分につきまして、拍手をくださった方々、ほんとうにありがとうございますm(__)m 楽しんでいただけたんだーと思うと、ほんとうにホッとします。特にずんだはうれしいより、安堵が先に立つという…さー、いつまでもその場しのぎはいけませんな。どんどん新しいものに挑戦していきます!(^^)! HPも楽しくできますように(^^♪