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「わたしの欠点というのは、自分で自分の容姿が好きではないから、公の場に出るのではないかぎり、自分の容姿が人に対してどんなふうに映るかを、あえて考えないところだな。しかも旅をしているということで油断した。失敗した」
「だったら、つぎに生れ変われることがあれば、ごくごく平凡な容姿で生まれてこられるように祈るのだな」
「羌族にも転生思想があるのか、勉強になる。ありがとう、自称・二代目神威将軍
どの」
「その強がりも、これきりで聞けなくなるというのはすこし寂しいものだ。ちなみに教えてやるが、羌族とおまえたちはすべてひとくくりにして考えたがるが、部族によって生活習慣や信仰はちがう。おまえたちが石をつかって逃げた村の部族ではひとつの神しか信仰しなかったが、俺の故郷では多くの神を崇めた」
「そうなのか。それほど違うというと、なにか歴史的に深刻な背景を想像してしまう。もともとまったく別の部族同士が、戦などでむりやり同一化されたということだろうか」
「そんなところだろう。俺もそこまで詳しくは知らん。祖先神アパペゴの語る伝説を聞けば、俺たちの祖先が、じつに多くの敵と戦ったことがわかる。敵のすべてが地上から滅んだわけではあるまい。みな、すこしづつわれらの中に組みいられて行ったのだ」
「そうだろうな。イ族もたしかそんなことを言っていた。この広い大地には、かつてさまざまな民族があったが、つよい力をもつ部族が、ほかの部族を吸収して大きくなっていったのだとな。わたしの祖先とて、いつの時期にか漢族に吸収された、部族のひとつであったようだ。というより、神代よりその血統を純粋なままに守っている部族、あるいは家などというものがあるのか、疑問だ」
「ならば、その疑問に俺が答えてやろう。俺の家は、太古よりその血を汚すことなく守り続けてきた。祖先はムチェジュによって創られた、選ばれたる者なのだ」
「それはびっくりだ」
「おまえたち漢族が羌とひとくくりにして呼ぶわれらとて、文字を持たないというだけで、多くの歴史を持っているということだ。文字を尊ぶおまえたちは、俺たちがよほど野蛮に見えるのだろう。母丘太守とやらは、俺たちのためと言いながら、むりやり、おまえたちの文化を押しつけてくる。このまま黙って従っておれば、俺たちは誇りをうしなう。だから戦うのだ」
「戦うにしても、卑怯ではないか。客を装って太守の城に入り込んだ、そこまではまあ、戦略としてはよかろう。しかし、襲うにあたり、その身の動きをにぶらせるために、あらかじめ毒を盛っておいたなど、いささか用意周到にすぎる」
「汚いというか。どちらが汚いのだ! 平和をもたらすためという名目で、俺たちを手なづけようとするからだ!」
「しかし、太守はおまえたちの宗教そのものを禁止したり、羌族の衣服を禁止したりするような真似はしていないのだろう。文字というものは、文化交流の最たるものだ。文字がわからねば、意思疎通もむずかしい。
もしわたしがおまえの軍師であったなら、こうして語ることばだけではなく、読み書きもおぼえるように、おまえに進言するのだがな。彼を知り、己を知れば、百戦危うからず、だぞ」
「御託はいい。石を出せ」
「あんまり人のいうことに耳を貸さないと、あとで痛い目にあうぞ。せっかくいいことを言ったのに。
いや、うちの主公が聞きすぎる人なのかな。なんだか懐かしくなってきた」
※更新でありますが、まだ準備がいまひとつ、というところで明日を予定しております(^^ゞ 内容は「椒聊」と「覚え書」です。なるべく早めにアップする予定です。どうぞ遊びにいらしてくださいませねー(^^)/
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