● こうせいニッキ●
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2006年12月23日(土)
実験連載 塔 101

「なにやら妙な心地がするが……ところで、さろめとやら、そなたは踊らぬのか。っと、はは、これはおどろいた。見かけによらず、気のつよい。ちと手に触れただけではないか。つねりおったわ」
「踊リ子サンニハ、触ラナイデクダサイ。噛ミツキマス」
「ううむ、見るだけか。つまらぬのう。気の強い女子は好みではあるのだが、せめて踊りだけでも見せてくれればよいものを」
「満月デナイト、踊リマセン。得意ナ踊リハ、七ツノべーるノ踊リ。ソノアトニ、気ニ入ッタ男ノ首ヲホシガルノデ、イイ男ハ要注意。特ニ牢獄ニイル男ガ好ミナノデス」
「牢獄の男というと、あのだんまりを決め込んでいる男だな。ふむ、あの男は、ゆうべ、酒家にふらりとあらわれて、酒場女をからかっていた儂の部下をいきなり殴りつけたという堅物だ。
さろめとやら、おまえがその男を誘惑し、名前を聞き出すことに成功したなら、おまえの好きなものをなんでもくれてやろう」
「オオ、ソレハイイ企画。ソレ、キットウマクイク」
「ふん、昔の儂ならば、このように美しい女を前にしたなら、黙ってはいなかったのだが、最近は奥の機嫌がわるくてのう。これでほかの女に手をつけたなどと知れたら、どうなるかわかったものではない。物が飛んでくるだけならまだしも、殴る、蹴る、引っ掻く。想像しただけで酔いがさめてしまうわい」
「どめすてぃっく・ばいおれんすナ奥方ナノデスネ」
「儂の楽しみといえば、こうしてたまに開く宴会で、都の噂を聞いて憂さを晴らすことだ。それでも、あの男の妻よりは、だいぶマシなのだがな。
ほれ、あそこでやたらとはじけている、女装の男がおるだろう」
「アア、アノ、首ガぐるぐる回ル、ロクロッ首ナ、オトコマエ」
「あれは男前といっていいものなのか、いささか微妙な格好をしておるが、ともかく、あの男の妻は、じつにおそろしい女人でのう」
「ト、イイマスト?」
「わが妻は嫉妬深いが、しかし嫉妬とは、愛情の裏返しであろう。まあ、手と足を出されはするが、所詮、女の力ですることであるし、嫉妬してくれるからこそ女房をかわいいと思えるもの。
しかしあの御仁の奥方はそれはもう、度が過ぎているというか、なんというか……すこしでもおのれより器量の良い娘や若い娘に、あの男が色目らしきものをつかっただけで、殴る、蹴る…」
「オ宅ト変ワリマセンナ」
「殴る、蹴る、つねる、引っ掻く、家事を押し付ける、育児をまかせっぱなしにする、しまいには毒を盛る」
「毒!」
「愛情の裏返しにしては、ちと苛烈すぎる。おかげであの御仁とご子息たちは、広い豪奢な屋敷の隅っこで、いつも奥方の機嫌を伺いつつ、おびえて暮らしているそうな。そうした息の詰まる生活に耐え切れなくなると、視察と称してこうして新鮮な空気を吸いにくるのだ」
「ナルホド」×4
「われらとしてもそれに気づいているのであるが、気の毒すぎて指摘もできぬ」
「ソリャ切ナイネ。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」
「いかんな、つい湿っぽくなった。おい、さろめ。そなたに許可を与えよう、牢獄の男をうまく誘惑して素性をさぐってまいれ。もしも名の知れた男であったなら、この宴もますます盛り上がろうというものだ」


※昨日は残業で帰ったのが23時でありました。派遣でこの残業、なんですか(^_^;) いや、お金が稼げるからいいかーと思ったのもつかのま、無理しなきゃよかった(-_-;)反動で鼻風邪になりまして、1日じゅう眠っておりました。体力がほんとうに落ちたなあ…。
明日はクリスマス前夜でありますな。デパ地下で健康によさげなお惣菜を買ってこよう(^^♪ 明日は早めにアップできるようにがんばります。

2006年12月24日(日)
実験連載 塔 102

「思いもかけずうまくいったな。野放図なのか、見張りもいないようだし、あとは牢番をうまく誤魔化して、子龍を助け出せばよい。ところで、さろめって、なんだろう。
おっと、返杯を受けたせいで、紅が落ちてしまっている。直さねばならぬな。女というのはなんと面倒なのだろう。それに化粧というのは、どこか絵を描くことに似ている。
うむ、これでよし。簪も曲がっていないし、どこからどう見ても完璧だ……いや、待てい。完璧にする理由があるか? うむ、まあよいか、醜いよりは。

こんばんは、牢番どの。わたしか? 太守に言われて、ここに閉じ込められている男から名前を聞き出すように仰せつかったのだよ。
うん? なんだか男っぽい口調で、しかも声が低いだと? 細かいことは気にするな。
ほら、これは差し入れだ。わたしが男より名前を聞きだしているあいだ、それで一杯やっていてくれたまえ。干し肉も持ってきたよ。上はたいそう盛り上がっているようだね。
なに? 酌をしろ? まずは太守の命令を果たさねば。そなたの酌をすることで、太守の命令が滞る。それを報告してもよいのかね。下手をすれば、首が飛ぶよ。
そうとも、そうやって大人しく酒を飲んでいるがいい。男の牢はどこだ? 

………なんと不衛生なことよ。ひどい臭いだな。キツネのねぐらとて、これよりもうすこしマシであろうに。
あきれたことだ。もうさっそく酒を飲んでいる。そのほうがありがたいか。薬がすぐに利くだろうからな。
子龍、そこにいるのか? わたしだ。助けにきたぞ」
「…………………………………………は?」
「『は』ではない。わたしだ、わからぬか?」
「…………………………………………」
「おおい、もしかして、昨夜のことをまだ怒っているのか。どうして黙っているのだ、子龍? 子龍! なんと器用な。目を開いたまま気絶をしている。しっかりせい!」
「頼む、このまま気絶させてくれ」
「起きているではないか。遊んでいないで、しっかり目を覚ませ。そろそろ牢番の酒に盛った眠り薬が効き目を出すころだ。拷問は受けていないようだな。歩けるか?」
「歩ける。が、その前に聞く。その格好は、なんだ?」
「これか? あなたを助けるためにした格好だぞ。不服か?」
「不服というより……すまん、言葉が出てこない。あんたの行動は、どうしてそう突飛なんだ」
「突飛か。それほどに不愉快な姿だろうか。けっこう上ではばれなかったのだがな。ああ、そういえば、水鏡先生のところで籤引きで負けて、女装したことがあったが、そのときも『友達をなくしたくないなら、二度とするな』とかなんとか言われたことがあったっけ」
「友達がなくなる理由はわかる気がする。なんでそんなに違和感がないんだ。あんた、ほんっとーーーうに、女じゃないのだな?」
「すさまじい念の入れよう。わたしが女に見えるのか」
「見えるから聞いている。なんと不毛な会話だ」


※一時、雪の降った仙台であります。けれどホワイトクリスマスではないのだな。更新準備をちょっとずつ進めております。フフフ、お楽しみに…

2006年12月25日(月)
実験連載 塔 103

「髪型も化粧も完璧、衣裳の趣味もわるくなければ、宝飾品もうるさからず、かといって地味からず、これで背丈がこれほどに高くなければ、ふつうに美女でとおる似合いっぷり」
「自分で言うな。世の混乱を避けるためにも、ここを出たら、あんたはすぐにそれを脱いで、元の姿に戻るべきだ」
「もちろん、そうするとも。似合っているからといって、喜んでいるなどと思わないでくれ。
む、なかなか薬が利かないようだな。牢番の連中、まだまだ寝入りそうにない。図体のでかい連中だったから、薬のまわりが遅いのか。しばらくはここでじっとしていよう。
やれやれ、こうなるのであれば、もっと衣を香で焚き染めておくのであった。急いでいたから、ほとんど匂いが消えてしまっている」
「香まで付けているのか……」
「たしなみだぞ。あたりまえだろう。やはり美女の決め手は香だからな。それに、背丈のことできっと変に目立つだろうから、それを誤魔化すための香でもあるのだ。恐れ入ったか」
「いばるな。しかし、女に見えるが、見えるというだけで、おまえはやはり男だな」
「うむ、それはよい意見だ。目が覚めたか」
「最初から目は覚めている」
「そうか? まあ、昨日のことは忘れてさしあげよう。わたしの寛大さに感謝したまえ」
「それはどうも。俺も昨日の態度はわるかった。一晩やすんで、頭が冷えたかな」
「たいへんによろしい。ならば、こちらも安心できるというものだ。牢番が倒れるまで、すこし話をしよう。ちゃんと食事は摂ったか」
「閉じこめられてはいたが、扱いはわるくない。太守御自らお出ましになって、あれこれとたずねてきたが、脅されるわけでも小突かれるでもなし、こういうとあれだが、きちんと教化された人間だ、という印象があったな」
「うん、わたしもさっきあったけれど、悪い男ではなかったな。大物というほどでもないけれど、有能であることにはちがいあるまい。荒れ果てた涼州を復興させ、すさんだ民の心を立て直すため、あれこれと動いているようだよ。民の心のうえに己の国を建てる。うむ、主公と同じ考えだな、これは」
「主公か。もしも俺がこのまま成都にかえったなら、劉予州はどのような顔をされるであろう。ぼんやりとだが覚えているのだが、優しい方であったように思う。まちがっていないか」
「まちがっていないよ。おそらくは、残念がりはするけれど、それよりも喜ぶだろうね。記憶をなくしてしまってもなお、また戻ってきてくれたと。
やはり、あなたは変わらず律儀なのだよ。子龍、ひとつ聞いてもよいだろうか」
「なんだ」
「なぜにわたしに惹かれる。わたしの容姿が女のようであるからか」


※またも残業でありました(>_<)キビシイ。しかーし、本日はアップします!がんばります、というわけでまずはニッキを先行アップであります(^^ゞ またあとでお会いしましょう。

2006年12月26日(火)
実験連載 塔 104

「あんたはほんとうに突飛だな」
「そうか? しかし、どうしても聞いておきたかった。よい機会だから言おう。ほんとうは、以前からずっと聞かねばなるまいと思っていたことだったのだよ。けれど、怖くて聞けなかった。
もし聞いたなら、あなたは怒るか……いや、怒りはすまいな。あなたのことだから、きっと、わたしがそのように思っていることを、おのれのなにかがわたしを追いつめているものだと思って、自分を責めるだろう」
「いまなら聞けるというのか」
「いまのあなたを莫迦にしているのではないのだよ。記憶があろうとなかろうと、子龍は子龍だ、変わらない。
ただ、ちがうところといえば、いまのあなたは、とても正直だということだ。答えられるのではないか。いや、答えてほしい。嘘はなしだ」
「嘘をつくつもりもない。しかし、してみるに、あんたは自分が女と見えることがいやなのだな」
「うれしいと思うか。そもそも、女のような容姿なんぞ、政(まつりごと)の道を志す者にとっては邪魔にしかならぬ。この脆弱な容姿ゆえに、いままで、どれだけ理不尽な目に遭ってきたことやら。
宴に出ればからかいの種にされるし、普段でもよほど軟弱に見えるのか、こちらのことをよく知らぬ者の態度は、ほとんどが妙に馴れ馴れしかったり、莫迦にしたものになる」
「俺はどうだった」
「あなたは冷たかったよ。でも、そのあとがよかったから、帳消しにしよう。ありがたく思うように」
「あんたは、その憎まれ口がなかったら、最高なんだがな」
「これも含めてわたしさ」
「そうなのだろうな。俺は、以前の俺がわからないが、根本が同じとあんたが言うのであれば、きっと同じことを考えただろう」
「どんなふうに」
「あんたの容姿が女のように見えるから、惹かれたわけではない。もっと言うなら、女のように見える男というのは、宦官にかぎらず、天下にあまたいるわけだ。あんたはたしかに見た目はずばぬけているが、それだけで惹かれるものか。
もし、俺が盲目で、そしてあんたに会ったとしても、やはり同じように惹かれただろうな。とはいえ、あんたの容姿のよさが、まったく関係がない、というのも嘘だ。俺はあんたの全部をひっくるめて強く惹かれる。
なぜかはわからん。記憶をなくしてもそうならば、きっとこういうことなのだろう。あんたの持つものすべてが、俺の心に適うのだ」
「…………」
「どうした」
「ああ、いや、すまない。そこまですごいことばを言われたのは初めてだったから、おどろいた」
「逆に俺も聞きたい。あんたは記憶をなくした俺に対して、そうではないとばかり言う。では、あんたにとって、俺という人間は、なんなのだ」
「なんだ、って」
「恐ろしいことだ。あまり考えたくないが、あんたは俺を利用しているのか」

※仙台、雨が降ってまいりました。でもさほど冷えません。昨日のアップ分、拍手をくださった方々、ありがとうございます(^^ゞ はさみのは楽しみのために拍手は朝イチとアップする直前にしか見ないようにしておりますが、やっぱりアップしたあとは見ごたえがあります。どうもありがとうございました。コメントをくださった方へのお返事は、明日からこちらでさせていただきます(^^♪

2006年12月27日(水)
実験連載 塔 105

「利用など」
「そんな顔をするな。あんたは意外と顔に出る」
「すまない。でも、うまく言えないが、騙してはいないし、わざとあなたの気を引いたり、思わせぶりなことをしてみせたり、そんなことはない。それだけは信じてくれないか」
「いやなことを言うやつだと思うだろうな。こうしてあんたの先回りをして、言葉をぶつける、ろくでなしだとも」
「そんなふうに自分を貶めるあなたを見るほうがつらいよ。信じてほしいというのは取り下げる。信じなくていいし、恨んでもいい。けれど、そのことで、自分を責めないでくれ。
わたしがあなたを必要としている理由のなかに、利害が含まれているのはたしかだ。あなたの将としての才能が、いまのわたしの地位と名声を築いてくれた。それを失うということは、わたしの一部が欠けるのと等しい。手放したくないから、つよくあなたを拒まなかった」
「………」
「わたしをどんなに嫌ってもいい。憎まれてもかまわぬ。子龍、やはりあなたは、わたしのそばにいてはいけない。
あなたは、良くも悪くも純粋な人だ。生真面目で、一本気で、ひとつのことに集中したら、そこから動けなくなってしまう。それがまちがっているとはいわない。いや、言えない。そう言ってしまったら、あなたがいてくれるというだけでいままで救われてきた、わたしのことすら否定しなくてはならなくなる。
あなたにとって、わたしはすべてだったのだと、自信を持っていえるよ。その心地よさに、わたしがすっかり慣れて、あなたの心がどれほど苦しんでいるか、それを深く測ることもしなかった。
もしもわれらが間違っていて、罰を受けなければならないというのなら、それはわたしが引き受けるべきものなのだ」
「なぜ。あんたは、すこしも間違っちゃいない。俺とあんたは相性はいいのだろうさ。だが、あんたと俺のあいだには、じつは深い溝がある。
いまわかった。それを越えることはできない。もしも無理にでもそれを越えようとしたなら、あんたはきっと罪悪感に押しつぶされて、壊れてしまうだろう」
「わたしは冷たい人間だから」
「いいや。俺が、情に屈して歪みにはまった、あんたの姿を見たくないからだ。俺は、いまのままのあんたが好きだ。けれど、俺に踏み込もうとすればするほど、あんたを変えてしまう」
「変わらないものなど、どこにもないよ。あなたがたとえ元に戻ったとしても、むかしのままに変わらないなどということは、ありえない。いつか、わたしたちは憎みあうようにならないともかぎらないし、その逆だってあるわけだ」
「先のことはなにもわからないが、これだけは言える。この先、俺がどんな人生を歩くことになろうと、きっと、あんたの横にこうしている以上のことは、きっと望めないだろう。ほかのだれであれ、あんたの代わりにはならない。
俺は記憶がない。あんたの隣にいることでもたらされる利害の旨みもわからない。それでもそう思うのだ。これは、きっと、自分で唯一、信じてよいところなのだろう。俺を利用してくれてかまわん。それであんたが生きられるというのならな」
「自分を犠牲にしてもか」
「犠牲などとは思わんよ。あんたは口ではわあわあいうが、しかし本気で俺を嫌ったことは一度もないだろう」
「嫌えるはずもない」
「それだけで十分だ」


※アップ分に関しまして、拍手をありがとうございます(^^♪ うさぎ番外編がご好評いただけた様子。うれしいです!ではではお返事をば。12/26 17時に拍手をくださった方→ありがとうございます(^.^) はさみのにしては、珍しくほのぼのとしたラストを迎えられました。特にくっきーは書いていて楽しいので、また登場の際はぜひぜひ見てやってくださいませね(^^ゞ 12/27 15時に拍手をくださった方→あたりさわりのない友達ならごまんといても、喧嘩ともだちって貴重ですよね。「この二人、なんだかんだと楽しそうだねぇ」と思いつつ書いておりました。二人の活躍は、まだまだ続きます。今後も見守ってくださればと思います(^^)/  ほかにも拍手をくださった方、どうもありがとうございました♪

2006年12月28日(木)
実験連載 塔 106

「…………」
「泣いているのか」
「……………」
「すまないな、俺はほんとうにどうしようもない」
「子龍」
「なんだ」
「少しだけなら、わたしに触れてもよい」
「…………」
「少しだけなら、だが」
「少しの加減がよくわからん」
「だから、少し、だ」
「むずかしいやつだな」
「ふつうだろう」
「そうかな」
「うん、そうだ」


「こういうと怒るかもしれないが、やっぱりあんたは奇麗だな」
「着飾っているからな」
「そうではなくて、うまくいえない。ぜんぶが奇麗だ」
「そんなことはない」
「やけに謙虚だな。でもほんとうにそう思う」


「なんだか、不思議な感じがする。なんだろう」
「無理はするな」
「無理はしていない。わたしはあなたの手が好きだ」
「手?」
「うん。ほかのだれの手であろうと、触れられるのはいやなのだ。悪い癖で、なんだかぞっとする。けれど、あなたの手は平気なのだ。わたしを守ってくれる手だということが、わかっているからかな」
「そんなにきれいな手でもない」
「でも温かい。傷とまめだらけの手で、ごつごつした手だけれど、好きなのだ。だから、うん、そうだな、これくらいならば、よし」
「そうか…………………? なにを笑う」
「だって、おかしいだろう。人がわたしたちを見たら、どう思うだろう。想像したら、笑いたくなった。わたしはこんな格好で、しかも化粧なんぞしたものだから、きっと涙のせいでひどい顔になっている。遠目ならばともかく、近づいてみたら、きっと仰天するだろう」
「だれも近づきはしないさ。だれもいないのだから」
「ほかのだれが見ていなくても、わたしが見ている」
「むずかしいやつだな、ほんとうに。あんたを何も考えなくさせるには、どうしたらよいのだろう」
「それを思いついたら」
「思いついたら?」
「わたしは、あなたにすべてを委ねてもいい。でも、たぶん、無理だ」
「なぜ無理とわかる」
「無理なものは無理だ。もう、これ以上は、ならぬ」


※いったいどういう状況になっているのか、すべてお客様のご想像におまかせいたします(^_^;) 本日のはさみの、多くは語らず……明日から元に戻りますm(__)m