● こうせいニッキ●
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2006年11月30日(木)
実験連載 塔 81
「莫迦だろう」
「なんとでも言うがよい。甘んじて受け入れよう」
「ああ、ぜひにそうしてくれ。おまえが衣を奪って…いや、そこまではよい。裸では外に出られないからな。あくまで衣は借りたものだと主張すればよかったのだ。問題はそのあと。なぜに堂々と正門から出るなどという真似をした」
「盗みをしたわけではないからだ。返すつもりだった」
「孔明、あんた、軍師将軍を拝領していると言ったな」
「言ったとも」
「では、賞罰を決めることは」
「ない。が、以前にいた荊州では賞罰も下していた。なにが言いたいのかわかってきたぞ。つまり、わたしのような人間が裁きの場に引き出されてきたら、わたし自身はどう思うかといいたいのだろう」
「正解だ。どう思う」
「…………」
「その顔がすべてを物語っているな。さいわいにも、この衣の持ち主は、浮屠教の
僧侶であったようだ。
かれらは殺生を好まぬはず。揉め事が大きくならぬうちに、素直に頭を下げて、必要ならば、衣の金を払うべきだ」
「浮屠教の僧侶だと、よくわかるな」
「見てすぐわかるだろう」
「いや、そうではなくて、浮屠教というものを知っている、ということにおどろいているのだ。これは王侯貴族のあいだで趣味のように流行った宗教だ。五斗米道とも黄巾党ともちがう。
わたしは知識としてしか知らぬのだが、あなたは以前に洛陽の寺に出かけたことがあるのか」
「あるのかもな。記憶がどうも混乱しているのだが、知識だけは自然と口に出てくる」
「ふうん? あなたが公孫瓚のもとを去って、主公にお仕えするまでの空白の数年間の記憶かな。浮屠教は殺生をせぬのか」
「捨身という思想があったはずだ。おのれを殺し、他者を生かす。ええと、どのような話であったかな。
たしか修行中の僧侶が、森に入って、食べ物を恵んでほしいといった。猿や犬などは食べ物を用意できたのだが、うさぎだけは、いつも草を食べている動物であるから、僧侶に渡す食べ物がない。そこで、僧侶に、火を焚いてほしいとたのんで、みずからの身を炎に投じたのだ」
「なんと。うさぎ……いい動物だな。いつも狩ってはふつうに食べていたが、認識をあらためたぞ。しかし、その話、まさか僧侶がその肉をありがたく食べて、元気になりました、という終わり方ではあるまいな。わたしであったなら、そのような肉を食べたりはできぬ」
「もしあんたの目のまえで、うさぎが投身自殺したらどうする」
「うさぎが死ぬ前に火を消すさ。うさぎが火を焚いてくれといいだした時点で、なにやらおかしい成り行きだと気づかねば、智者とはいえまい。その僧侶、よほど腹が減っていたのか、注意力が足りぬぞ」
「つづきが話しづらくなってきたのだが」
「話してみろ」
「では話すが、炎に包まれたうさぎであるが、炎は熱くならなかった。じつは、その僧とは神の化身で、動物たちの信心を試したものであったのだ。神はうさぎの心に感心し、その姿を月に刻みつけた」
「月には不老不死の樹が生えていて、蝦蟇がいるのだ。うさぎではない」
「浮屠教ではうさぎなのだ。つまり、浮屠教というのは、このうさぎのような心のありようを『捨身』といって、理想としている宗教なのだ」
「なるほど。では、いま目のまえにいる三人の僧侶も、いつでも人のために命を捧げる覚悟であるほどの者たちであろうから、必死で謝ればなんとなるだろうと、あなたは言いたいのだな」
「飲み込みが早くてたすかる。いいか、こいつらが盗人が出たと警吏のもとに走ったら、事態はややこしいことになるのは想像つくだろう。早いところ謝ってしまえ」
「たしかにそうだな。しかし、言葉は通じるのだろうか」
「通ジルヨ」


※ウルトラマン80ってありましたよね。いえ、なんでもないです。ちょっとばかり寝不足気味でありますが、あと二日でまた休みだし、がんばります。でもって、Dan Shui原稿書き終わりました。みなさまどうぞ第一号お楽しみに(^^♪ 例によってつるつる滑りまくっているはさみの作品のお目見えです…うはあ、いまから謝っておこう。ごめんなさい……(>_<)
2006年12月1日(金)
実験連載 塔 82

「アンタタチ、サッキカラ黙ッテ聞イテリャ、勝手ナコトバッカリヌカシヤガッテ、泥棒ハ泥棒デショ。コッチハテキパキ訴エルヨ」
「なんだか片言のような、ぺらぺらのような」
「ソノマエニ、ゴメンナサイデショー? ナンダロ、最近ノ若イ者ハ、躾ガナッテナイヨネ」
「ヤッパ、乱世セイジャナイノ?」
「時代ノセイニスルノハ、責任転嫁ッテモノダヨ。コリャ、個人ノ資質ノ問題。コイツラ、特別ニ図々シイノヨ」
「それはすまなかったな。たしかに人のものに黙って手をつけたのは悪かった。このとおり、潔く頭をさげようぞ。しかし、聞いてはくれぬか。こうなったのも、いろいろと事情があってだな」
「ナンダカ誠意ガ感ジラレナイ。言イ訳ハジメタシ」
「盗人タケダケシイネ」
「なんだか悪い言葉を覚えているようだな。ずいぶんとわれらの言葉に堪能なようだが、どこで覚えたのだ」
「太守ノトコ。ワレワレハ食客トシテモテナサレテイタヨ」
「なんと。もしや、この建物は、太守の屋敷なのか?」
「そのわりには、ずいぶんと人の気配がないが」
「太守ノ屋敷ナワケナイジャン? ココハ我々が間借シテイル、オ金持チノ別荘ダヨ。デモ、住ンデイルノハ、我ラ三兄弟ダケ。寂シイモンヨ」
「アリガタイオ話ヲシテヤッテルンダカラ、モウチョット歓迎シテクレテモ、イイト思ウヨネ」
「ダメ、コノ町ノ漢族、『ノリ』ガ悪スギ。説法聞イテモ、マルデ反応ナシ。マサニ馬ノ耳ニ念仏状態。コッチハガックリ。悪循環ネ」
「浮屠教の布教に来たわけか。隴西に、洛陽のような立派な寺を建てる目的だったのか?」
「ッテイウカ、オ布施ガ集ラナイト、コッチハ死活問題ダシ。ワレワレダッテ、人間ジャン? 食ベナキャ声ニ力ガハイラナイカラ、アリガタイオ話モ、イマイチニナッチャウワケ。ソレッテ意味ナイジャン?」
「なんとなく、この三人が珍重されない理由がわかった気がするな。それに、なんとも得体の知れぬ風体をしていることよ。いったいどこの国の生まれだ」
「安息国ノ男ヲ父ニ持チ、天山ノ麓ニテ暮ラス牛飼イノ娘ヲ母ニ持ツ、ワレラ生粋ノ西ノ人」
「要するに、ごちゃまぜというわけだな」
「ゴチャマゼハ、失礼。コレダカラ漢族ハ、イバリンボ。セメテ、国際交流ノ結実ト」
「『国際』ってなんだ」
「よくわからぬが、われらとちがう世界観を持っているらしいな。では、国際交流とやらの結実たる三人組、漢族を代表して言わせてもらうが、そなたたちのように『ありがたい話をしてやっている』という態度では、だれも耳を貸すまい。とくに、われらは、他民族より図抜けて誇り高いのだからな」
「低姿勢デ行ケッテカ」
「言イ訳ノツギハ、説教トキタモンダ」
「盗人ノクセシテ、高飛車ナ態度ハ、如何ナモノカト」
「う。見かけによらず弁の立つ。そう畳み掛けるようにいわなくても良かろう。すまぬ、こちらの立場をよくわかっていなかったようだ。この衣は、もちろん返すが、しばし貸してくれぬだろうか。
金はあるのだ。いますぐ市場に行って、自分たちの衣を買って、それに着替えたら、ちゃんと洗濯して返す」
「金」
「金ガアルンダ」
「おい、迂闊に金のことをいうな。なんだかこいつら、目の色が変わってきたぞ」
「うむ、失敗したかもな。子龍、どう見ても、こやつら、金持ちの屋敷にいるというわりには、三人揃って栄養失調で痩せすぎだ。われらが全力で逃げたら、追いかけてこられないのではないだろうか」
「うん、あんたのとろい足でも、逃げ切れるかもしれないな」
「とろいは余計。さあて、話がまとまったところで、逃げるとするか」
「ダメ。逃ゲタラ、三人デ大騒ギスルヨ。アンタタチ、警吏カラ逃ゲテイルンジャナイノ?」
「ワレワレ、読経デ、ノドハ鍛エテイルカラ、大声ダセルンダヨ」
「ツマリ、逃ゲラレナイッテコト」
「……さきほどとは、あきらかに目つきが変わってきたな。そなたら、本当に僧侶なのか? なにが目的だ。言ってみるがいい」
「ワレワレヲ西ニ連レテイケ」

※ぐっすり眠って気分爽快。金曜日にして月初めという忙しい日ですが明日はお休み。がんばるぞ。さて昨日、うれしいメッセージをくださった方ありがとうございます(^^♪ 復活に向けて、とっても励みになりましたー。さあて、やるぞー!(^^)!

2006年12月2日(土)
実験連載 塔 83

「最近は、どいつもこいつも、西へ向かうのが流行っているのかね。というより、もしや、こやつらも石を」
「待て、軽々しく例のもののことを言葉に出すな。どうも油断ならぬ」
「いささか人間不信に陥っていないか、子龍。まあ、気持ちはわかるがね」
「イイジャン、チョット足ヲ伸バシテ西ヘ行ククライ。コノトコロ、イロイロト物騒ダカラ、三人ダケノ旅ハ、チト心モトナイ。用心棒ガホシカッタトコロ」
「と、いいつつ三人の視線は、あなたに集中しているようだ。どうする、子龍、ここで分かれて、あなたは西へ行き、わたしは塔へ向かう、という方法もあるのだが」
「また同じ話を蒸し返す。言っただろう。行きはよくても、帰りはどうする。だいたい、成都を出るときにもらった日数はたった二ヶ月。ひとりでどこにあるかわからぬ塔をさがしあて、そのうえで成都にまっすぐ帰るなどということが、可能だと思うのか」
「行きで道をおぼえておけば、帰りは、来た道をたどるだけだろう。それに、そのころになれば、いい具合に薄汚れているだろうから、盗賊とて、わたしのようなものを狙うために、わざわざあらわれまい」
「甘い。あんたには、いろんな意味で、ひとに期待を抱かせるなにかがある。それはよい物も惹きつけるかもしれないが、同時に悪いものも惹きつけるのだ。その最たるものが、あんたの懐にある、例のものだろう」
「そういわれると、たしかにそうだが」
「というわけで、そこの坊主、衣の金は払う。しかし用心棒はよそで見つけてくれ」
「イマ、トンガリ目ノホウ、成都ッテ言ッタヨ」
「ウン、成都ッテ言ッタ。コノ、『ヒョロ長』ト『トンガリ目』、蜀ノ人間ダヨ。ツマリ、コイツラ敵地ニイルッテワケ。ダカラ警吏ヲイヤガッテルンダ。ワレワレガヨソモンダト思ッテ、油断シテンジャン?」
「ヨソモノダカラコソ、情報ニハ敏感ダッテノニ、ワカッテナイネ。コレダカラ田舎者ハ」
「む。われらは田舎者などではない。成都は確かに険阻な山に囲まれた土地であるから、そこの出ならばそういわれても仕方ないが、わたしは徐州の古都である琅邪の出であるし、子龍は冀州は常山真定の趙家の出で」
「ホラ、ヤッパリ田舎者。ワレワレカラ見タラ、成都ノホウガ、徐州ヤ冀州ヨリ、交易モ盛ンデ、国際的ナ都会ヨ。自分タチノ中心地ガ、ヨソノ国カラ見テモ、進ンダ土地ダナンテノハ、チト思イ上ガリ。シカモ、ココ何十年カノ戦争デ、アンタタチノ国ハ荒レ放題デ、マスマス衰エ気味ジャナイノサ。最近、チョイトバカリ、マシニナッテキタケドネ」
「西ニハ魑魅魍魎カ、匈奴シカイナイトカ思ッテンナラ、正直、ハズカシーヨ。西ッテ一口ニ言ッタッテ、アンタタチガ想像スル以上ニ、メチャクチャ広インダカラネ。人モイッパイイルシ、アンタタチヨリ賢イ人間ダッテ、ワンサカイルヨ」
「漢族ニハ、オ役人ニモ、タマニソウイウ勘違イガイルカラネ」
「半端ナ知識ガアルガユエノ、思考ノ硬直ッテヤツダネ」
「いささかカチンとくるものの、面白い視点だな。勉強になる」
「感心している場合か。こいつら、さりげなく俺たちを脅しているんだぞ」


※ぎゃあ。遅くなっちゃいました! さてはて、今日は、このこうせいニッキの貯金をせっせと作っております。シルクロードと、その周辺の民族の歴史について、調べながら(ふつうは、調べた後に書くもんですよ、はさみのさん)書いています。趙雲がおそらく戦ったであろう鮮卑の背景なんかがわかって面白いです。でもって、ここより、ちょっぴりおばか企画風味に変身。読みにくい部分もあるかもしれませんが、お付き合いいただけたらと思いますm(__)m

2006年12月3日(日)
実験連載 塔 84

「迂闊にもわれらが成都から来た人間であることを漏らしたのは、かれらが指摘するとおり、無知と傲慢があったからではないのかな。
つまり、われらの会話すら、かれらには理解できないであろう、という」
「真面目なやつだな。それがどうして洗濯物を盗むという暴挙に出たのかわからぬが、ともかく、危機は危機だ。どうする」
「どうするもこうするも、かれらがわれらを成都の人間だと知った以上は、沈黙を買うために、かれらの要望どおりにするしかあるまい。
もちろん、かれらの目的地まで正直に付いていくことはないのさ。われらとて西に向かう。むしろ、かれらは、われらのためのよき道案内になってくれるのではないか
「ナニ、ヒソヒソヤッテルノ。ナンカ怪シイ」
「気にするな。ちょっとした打ち合わせだ。わたしたちも西に行くわけであるし、おまえたちに同行するのもよいかと思う」
「アッソ。ソウイウコトナラ、イイケド」
「まず先に確認しておきたいのであるが、おまえたちは、西のどこへ向かおうとしているのだ」
「行ッタコトハナイトコロナンダケレド、ドウシテモ行キタイトコロガアル。コノママ東ニ進ンデ漢族ニ教エヲ説イテモ、ドーセ、先人ノヨウニ、チョット新シイモノガ好キナ金持チニ、チヤホヤサレルダケニナルダロウ、ッテ気ガスルンダヨネー。
ナンテイウカ、ワレワレガ来タノハ、時期尚早ダッタ、ッテ感ジ?」
「ワレワレ常ニ時代ノ先駆者。早スギテ、ダレモツイテコラレナイ。悲劇ヨネー」
「なんだか幸せな連中だな。しかし、行ったことはないが、どうしても行きたいところとは、どこだ」
「ソコニ行ケバ ドンナ夢モ カナウトイウヨ」
「誰モミナ 行キタガルガ 遥カニトオイ」
「その国の名は?」
「がんだーら」
「何処カニアル ユートピア」
「ゆ、ゆうと、は? なんだ? 
※ユートピアはトマス・モアの著書から生まれた言葉です
「ドウシタラ 行ケルノダロウ 教エテホシイ」
「知らぬ」
「♪がんだーら がんだーら♪」
「唄いだした…」
「唄いたくなるほどに行きたい土地なのか。いささか興味があるが、だいたいどのあたりかもわからぬのか」
「They say it was in India」
「すまん、われらにわかる言葉で話してくれ」
「大月氏ノ国アタリカナ」
「は? あんたわかるか? どのあたりだ?」
「安息国の手前だな。行っていけないことはないが、どれだけの日数がかかるのか、想像もつかぬ」
「ワタシヲがんだーらニ連レテッテ」
「どうする」
「悩むまでもない……途中までは同行し、折りを見て、別れることにしよう。玉門関を越えてしばらくしたら、われらも魏の人間の影に怯える必要もなくなるからな」


※またも寝込んでいました。というよりは、起きているほうが奇跡なのだと思うことにしよう…(うしろ向き)。さあて、Dan Shui第一号がアップされました♪ となりのリンクからも遊びにいけます。ぜひぜひご感想などいただけたらと思います。お待ちしております(^o^)丿

2006年12月4日(月)
実験連載 塔 85

「俺は驢馬か? 驢馬なのか? 用心棒といえば聞こえがいいが、要するに人足がほしかったのだろうが、これは」
「子龍、ひとつ持つか」
「あんたがこれを持ったら、すぐにへばる。この荷物に加えて、あんたまで担いでこの悪路を歩く自信はない」
「おや、信用のないことだ。わたしはこれでもなかなか力があ」
「ないね」
「みなまで言わせぬとは」
「すこし触れただけでわかる。あんたの肉は、あきれるほどに薄っぺらい。あの三人の怪しい坊主どももたしかに痩せているが、痩せてはいても、あんたとは内容のちがう痩せ方だ。鍛えているのは咽喉ばかりではないだろう」
「なるほど、走って逃げても追いつかれた可能性がある、と。しかし『かんたーら』とかなんとかいう国は遠すぎる」
「かんたーら? そんな発音だったかな」
「聞き取れなかった。あの僧侶たちの言葉は耳になじみがないゆえ、再現がむつかしい。ゆえに、『かんたーら』でよし」
「『かんたーら(仮)』は気を悪くしないだろうか」
「なぜ『かんたーら(仮)』に気を遣う必要がある。安心するがいい。『かんたーら』は寛大だ。仮の字をとっても、ムッとするまい」
「なぜわかる」
「どんな夢もかなえる太っ腹な国だ。石なんてちまちましたものではなく、国がどんな夢をかなえるというのだから、たいしたものではないか。ま、実在するのであればな」
「なんだ、信じていないのだな」
「当然だ。人というものの欲望には際限がないものだ。たとえどんなに奇跡がくりかえされて、ひとつの王のもと、理想的な国家が出来上がったとしても、そのままの状態を維持することはできまいよ。
まして理想的な国家とやらは、まちがいなく他国よりすぐれているという自負がつよいわけだから、そこが高じれば、やがてはおのれより優れていないとみられる者たちに対し、押し付けがましい理想を掲げて、容赦なく侵略をはじめていくだろう。それが人の常なのだ。いかに立派な王が始祖でも、代をかさねれば、やがてはおなじところへ行き着く。
安息国よりさらに西にある大秦国というのは、文化もたいへんにすぐれた国だというが、やはりとても好戦的な国だそうだ。だが、『かんたーら』なる名ではなかったはずだよ」
「大秦国か。どのような国なのか、想像もつかぬ。行ってみたいと思うか」
「思うけれど、しかし、わたしはいつまでも風来坊でいることを許されてはおらぬ。ああ、こういうところに人生のむずかしさがあると思わないか。そこに至る道はいま目のまえにあるのに、わたしは先へ進むことが許されないのだよ」
「俺なら行けるな」
「その気になればな」
「どうだ、あんたが行きたくても行けないというのなら、俺が行って来てやろうか。それで、どんなところか、あんたに教えてやるというのはどうだ」
「簡単に言うな。何十年とかかるかもしれないのに。それに成都に帰ると言っておきながら、前言をあっさりと翻すな」
「となると、やはり俺はあんたと一緒に成都に帰ってよいわけか。混乱のどさくさに、とっさに言ったことだと言われたら、どうしようかと思っていた」
「なんだ、わたしを試したのだな」
「チョイトー、アンタタチ、遅レテイルヨ。ぺらぺらトシャベッテナイデ、早ク来イッテノー」


※きれいに晴れた朝であります。土日とぐうぐう寝たので、気分は爽快…かな? 今週もがんばるぞい♪ でもって、拍手をくださった方、どうもありがとうございます! 懐かしい歌ですが名曲ですよねー。お話はまだつづきます、また読んでやって下さいませ。