|
「なるほど。俺は危険な道連れというわけか。あんたが、そう簡単に切り捨てられるということは、俺はあんたにとって、たいして重要じゃない人間だったのだな」
「友の一人だ。だが、それとこれとは別だ。まして、われらは怪異に操られている状態なのだ。情になどかまっておられぬ」
「冷たいやつだな」
「そうさ。それでも付き合ってくれたいままでに、感謝はしているが、これから先は別だ」
「では、成都にもどれというのか?」
「いいや、成都にもどることは許さぬ。あなたの身に、いつかかえってくる『反動』が、主公に悪影響を与えてはこまるからな。
主公のことは覚えているのだろう? 主公に真の忠心を誓うのであれば、成都にはもどることはできないはずだが?」
「あんた、いやなやつだな」
「とっくに知っていると思っていたが」
「主公に挨拶もさせないつもりか」
「当たりまえだ。主公に災難が降りかかったら、あなたは責任をとれるか?」
「とれないな」
「そうだ。わかったなら、わたしとともに北ヘ来い。途中まで送ってやる」
「途中までとはどういうことだ。それに、北ヘ行ってどうする」
「あなたは記憶がないという。それも、わたしに関する記憶がまるごとないというのであれば、それはもう他人も同然と言うことだ。
つまり蜀将としての趙子龍はいなくなったのだよ。
逆にたずねるが、成都にもどって、なんとする。成都には、あなたの家族はいないのだぞ」
「そうなのか? 俺は成都に妻子がいるのではないのか」
「いない。なぜそう思った」
「俺の年ならば、ふつういるだろう。それに、たしかに記憶はないが、なぜか成都に心残りがあるような気がしてならん」
「それはたぶん、馬のことだな。安心するがいい。もしも馬を届けてほしいというのであれば、ちゃんと手配する」
「馬、なのだろうか。というよりも、待つがいい。俺を北のどこへ向かわせようとしているのだ」
「蜀将としての立場を守らねばならない趙子龍はいなくなった。ならば、あなたは人の子として、常山真定の一族のもとへと帰るがいい」
「常山真定の一族のことも忘れているのだぞ」
「それでも血族であろう。戻れば、たとえ記憶が戻らなくとも、自然と気心が知れるのではないかな。
ああ、名前は変えるのだぞ。主公やほかの者たちには、あなたは旅先で死んだことにするからな」
「常山真定の家族といわれてもぴんとこない。あんたは、むかしの俺から、俺の家族のことを聞いていないか」
「さあ。残念だが、なにも聞いていないよ。
すまないが、野宿したせいか、体調が思わしくない。早めに宿をとりたいのだが、かまわないだろうか」
※ゆうべは実に濃密な夜をすごし(←あやしげ)楽しい新企画が、かなり具体的な形となりました。早くみなさんにお届けしたい、ということで、二回に分けてのアップとなります。ぜひぜひご意見を頂けたらと思います(^^♪
さてはて、アンケートにて塔へのご感想をくださった方、なんていい方なんでしょう(ToT)これから先の展開は、書いている人にも想像がつかないところがあったりしますが、楽しんでいただけるとうれしいです~(^.^)はさみのもがんばります(*^^)v
|