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「軍師、石を隠せ。そして、石のことは、ここを出るまで口にするな」
「なんだ、どこかに出かけたと思ったら、唐突に。
それより、こんな狭い部屋の真ん中に、こんな衝立が必要あるのか? なんども一緒に旅に出て、野宿だってしているわけだ。なのに、なんだって宿屋に泊まるとなると、寝台のあいだに衝立をたてる必要が?
宿屋の人間が、こんな客は初めてだと、むしろ怪しんでいたぞ。常山真定の風習か?」
「そういうことにしておいてくれ」
「子龍、もしかして、わたしの寝相というのは、かなり悪いのかな。だから難を避けるために、こうして衝立をあいだに立てているとか?」
「ああ、もう、好きに解釈してくれていい」
「悪いのか」
「いじけるな。というより、先の話に戻すぞ。おまえの持っている石、あれは絶対にこの村では、ほかの人間の目に触れないようにするのだ」
「あなたがそこまで言うとなると、重要な意味があるのだな。ではそうする」
「うん、石のことをすこし探ってきた。すぐに答えが返ってきたぞ。この村にある塔、あれは羌族のものではない。似てはいるが、もっと西の国にある塔をまねて作ったものだそうだ。
この村には、何年か前から西域より移動してきた部族が流れてきていて、地元の者たちと共同で暮らしはじめて出来たものらしい」
「へえ、珍しいな。ふつう、そういう場合は、いくらか争いが起こりそうなものなのに」
「そうならなかった理由は、宗教だ。西域より流れてきた部族は、独特の宗教をもっていて、地元の者が、それに触れて、ともに同じ信仰をもつようになったのだ。そのため、特に争いもなく、うまく地元と流れてきた部族は融合したのだ」
「読めてきた。その宗教の象徴が、あの塔というわけだな。で、石を隠さねばならない理由は?」
「おまえのその石と、おなじものがご神体として扱われているのだ。この宿屋に人が多いのは、関が通れないから間道を抜けようとしている者たちばかりではなく、石の噂を聞いて、あつまってきた者たちが、各地からやってきているからだ」
「噂って?」
「おまえが夢に見たとおりだよ。石には、『なんでも願いをかなえることができる』効能があるらしい。重い持病を癒したい人間や、なにか思いつめた顔をした連中が、この宿を拠点にして、塔に通いつめているのだ」
「つまり、そんな中にこの石を出したら」
「そうだ。混乱が起こる。ご神体がもうひとつ増えたと喜ばれる可能性があるが、あまりおおっぴらに出すと、面倒に巻き込まれて、身分を明かさねばならなくなるかもしれぬ」
「宗教というからには、張魯のような、指導者がいるはずだろう。どんな人物であったか、見てきたか」
「ああ。なんとも俗っぽい、ありがたみをまったく感じられない雰囲気の男だよ。だからこそ危険だ。この石を見たら、なんとしても我が物にしようとうるさく付きまとってくる可能性がある。
もし石を押し付けるにしても、黙ってこっそり塔の外に置いて、村を出るのがいちばんかもしれないな」
「よし、それでは、今宵は早めに休んで、夜が明ける前に起きて、石を置いて、村をでよう」
※風邪をひいてしまいましたー(>_<)うう、苦しい…明日アップの日でありますが、準備が途中だったりします。ともかく仕事は休めない。ルル飲んで今日は早く寝ます。明日のアップで一本だけのアップになった場合は、土、日のいずれかに再度追加アップいたしますm(__)mみなさまも風邪に気をつけて…というか、うちの職場、毎日だれかが病院に行っているのですが、なんかヘンテコなウィルスでも発生しているのかなあ(-_-;)
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