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「俺は、おまえを殴ったことはないだろう」
「『気つけ』の意味で何度かあるぞ」
「あれは例外だ。ともかく、そこまで警戒するなら、かえっておもしろい。なにを言いたい。言ってみろ」
「なんだろう、その挑戦的な笑みは。怖いぞ、ふつうに戻れ」
「ほら、戻したぞ。言ってみろ」
「……それなら言うが、これでヘソを曲げて成都に帰ったりしないな?」
「言葉による」
「なんだか、言いたくなくなってきたな」
「でも、おまえは言うだろう」
「そうなのだ。なんだか言わないといけない気がする。あの夫婦を見て、あなたは、自分の両親をどうしても思い出したのだろう。
あなたの両親と、そして兄上たちのことを。ちがうかな」
「そうだな。思い出したな」
「子龍、とても無責任に聞こえてしまったら申し訳ないのだが、そんなふうに、自分を過去に縛りつけるのはやめないか。
何度も言っているじゃないか。あなたは、わたしからすれば、びっくりするくらい、自分を低い位置に持っていこうとする、悪い癖がある。
まるで、そうすることで、自分を罰しているみたいだ。本当は、それではいけないと、ちゃんとわかっているのだろう」
「……………」
「あなたがいま抱えている悩みや苦しみは、たしかにあなたの実家の環境や生い立ちに起因しているのかもしれない。けれど、それは、あなたのせいではないのだよ。
そんなに苦しまなくてもいい。あなたは、なにも悪くないのだから」
「悪くないということはなかろう」
「なぜ」
「本来ならば孝をつくさねばならぬ親兄弟を憎み、そのうえ捨てたというのに、それが許されるだろうか」
「それを言うなら、わたしも一緒だよ。いや、わたしのほうが悪い。家長として育てられながら、長兄と対立し、そのうえ、本来ならばしなければならない『血を残す』ことをしないでいる。
おそらく、わたしは、自分の血を残すことは、これから先もないだろう。そういうわたしでさえも、こうして図々しくも元気に生きている。
自分を責めるくらいなら、わたしを軽蔑するがいい」
※アンケートが面白いことになっておりまして、趙雲がめずらしく票を集めておりますねー。いまのところトップ。そして昨日の休昭についてご反響いただきまして、みなさまありがとうございます。
けっかはっぴょうの後編が遅くなっていますね、申し訳ありません。次回……できるかな? がんばります。塔のほうも、そろそろ本題に入ります。そう、まだOPです。
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