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「おまえは、唄はうまいな」
「『唄は』とはなんだい、全般的になんでもうまい」
「嘘をつけ、嘘を。しかしいまの唄は、聞いたことがないな」
「公琰が旅先でおぼえてきたのを、教わったのだ。あれも喉自慢だからな。これで休昭に加わらせて笛を奏でさせると、なかなかのものなのだぞ。
欠点といえば、二人とも内気なので、よほど慣れた人間の前でないと、たがいのすばらしい芸を披露しないところだな。そうだ、こんど、身内だけでもよいから宴でもひらこうか。招かれない者がいじけるといけないから、ひみつにね」
「宴はかまわぬ。おまえの屋敷では目立つであろうから、俺の屋敷にでも集まればいいさ。それより、公琰が喉自慢だというのは初耳だ」
「声のよさ、というのは、上に立つものの必須条件だ。それにこの唄、どうだい、鳥肌が立っただろう。西方の異民族の、旅立つ者の無事を祈る唄だそうだが、漢族の唄にはない、独特の雰囲気があるとは思わないか」
「自分で鳥肌が立つかたずねるものかね」
「鳥肌が立っただろう」
「恥かしさで肌が粟立った」
「まーたまた、素直になりたまえ」
「わかったよ、鳥肌が立ったことにしておいてくれ。話が進まなくなる。それにしても、戦場でも思っていたが、おまえは咽喉が丈夫なのかな。ぜんぜん声が嗄れない。二里を歩いている間じゅう、ずっと唄っていただろう。おかげで旅人がいちいちこちらを振り返るので、かなり恥かしかったが」
「気にするな。旅の恥はかき捨て。ところで、祝すべき第一日も暮れようとしているのだが、宿屋はまだ見えないのかな」
「街外れにある大きな屋敷だが、街道から逸れた、ほら、そこの脇道を入って、まっすぐ行けばいい」
「へえ、ほんとうに、知らなければ向かわぬような道の先にあるのだな。このあたりは成都に近いせいか、いろいろ目が行き届いているので、野盗のたぐいも出ないし、郊外に宿を営むにはもってこいであろう。
あの、ちいさな細い煙が出ている家がそうかな」
「いや、あれはちがう。もっと大きくで、立派な屋敷だ。門構えも立派なら、竈も立派で、煙が見えるとしたら、あんなものではない。おや」
「どうした」
「あそこなのだが、なにかおかしいな」
「おや、たしかに赤い屋根は見えるが、うむ、おかしいな。あんなに木が生い茂って。ぜんぜん剪定していないようではないか。
子龍、最近、その宿に泊まったのはいつだ」
「三ヶ月前だ。そう昔ではなかろう」
「そのわりに、なんだか荒れているな。虫もひどい」
「門が開いているということは、だれかいるということかな。おまえはそこですこし待っていてくれ。俺が様子を見てくる」
※あたらしい会社に入ってそろそろ三週間が過ぎようとしております。仙台、一気に涼しくなったためか、みーんな病気。はさみのはお陰さまで元気です(*^^)v さてはて、いやー、アンケート、毎日楽しませていただいております。おもしろすぎますねー。明日のアップ準備を進めつつ、のほのほと嬉しくなっているはさみのでした。
明日も二本立てを目指しております(^^ゞどうぞ遊びにいらしてくださいませー。
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