● こうせいニッキ●
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2006年8月17日(木)
椒聊よ、遠き条よ 番外編 おむすび・5

構えなくていい。
その言葉がひっかかり、孔明は、手鏡をのぞきこんでみる。
指摘されてみれば、たしかに暗い、疲れた顔をしているようだ。
「腐る、か」
あの男の指摘ももっともだな、と苦笑いをうかべつつ、孔明は手早く旅支度をすませた。いつもであれば、気に染まぬものに対しては、いやだときっぱり跳ね除けることができるのに、なぜかできなかった。
つまり、本心の、自分の心の奥のほうで、そんなにいやではないと判断しているためであろうか。
そんなことを考えながら手を動かすのであるが、用意するもののほとんどは、衣類や身だしなみを整えるための道具だけだ。

司馬徳操の私塾の仲間たちと旅をくりかえしたため、旅に慣れている、というのもあったが、徐州の故郷から、戦火をのがれて揚州、そして荊州へと転々とした経験から、身の回りのものは、最低限のものしかおかない習慣がみについていた。
そのかわり、その最低限のものに関しては、どんな小さなものでも、こだわりにこだわりぬいた逸品ばかりである。

さて、そうして旅支度をととのえ、さらに文官たちに、自分が留守のあいだの仕事の引継ぎをすませてしまうと、孔明は、趙雲の待つ門へと向かった。
最低でも、視察というからには、小隊のひとつくらいはくっついてくるのだろうと想像していた孔明であるが、意外なことに、待っていたのは、趙雲ひとりであった。
ふつう視察といえば、城と離れている地方の有力者たちに、自分たちの威光を示すため、正装したり、あるいは立派で派手な衣裳に身をつつんで赴くのが常であるが、これまた意外なことに、趙雲は武装はしていても鎧姿ではなく、鎖帷子に上衣を簡単に羽織っただけの、簡素な姿であった。
むしろ、あらわれた孔明の姿を見て、顔をしかめたほどである。
「派手だな」
「視察なのだろう?」
むしろ軽装なのが場違いなのだと口をとがらすと、趙雲は、なにを納得したのか、仕方ないか、とつぶやきつつ、出発の言葉を告げるでもなし、さっさと馬を門にくぐらせようとする。
あわてて孔明はたずねた。
「待て。二人だけか? ほかに随行する兵卒はおらぬのか?」
「おらん」
あっさり言って、趙雲は馬の腹を蹴って、どこへいくと地名も告げず、西へと馬を走らせる。
孔明もあわててそれを追う形となった。


※ こうせいニッキのファイル数が増えてきました。なにがなにやら書き散らした部分、再読に値しないようなものもあり、再編成してまとめようかと考えています。
が、大変だなあ…われながらすごい数。やらなくちゃいけないことはたくさんあるのに、だるさが抜けないのはナゼ(?_?) 早いところ体内時計の調整を進めたいと思います。少しずつですが夜型から朝方に戻りつつありまして、ですから日記の更新もすこしだけ早め。
ところでアンケートの「そのほか」に一票が増えていましたが、「徐庶」でいいのでしょうか。分からぬ(-_-;) メッセージがまた不具合で届かなかったのかな。独断と偏見で「徐庶」に一票とさせていただきます。ちがう!「趙雲の馬」に一票だ! とかいう場合は拍手などでお知らせいただけたらと思います。

2006年8月18日(金)
椒聊よ、遠き条よ 番外編 おむすび・6

馬をひととおり走らせ、新野の街をくぐりぬけたあと、田園のひろがるところまできて、趙雲はようやく馬の足をゆるめた。
その背を追いかける形で、孔明は、趙雲の背中を負いつつも、さまざまに頭をはたらかせていた。

この唐突な視察への誘い。
もしや、視察ではないのではないか。
新野城のほかのだれにも漏らしたくないひみつをこの男が持っていて、それをひそかに打ち明けようとしているのかもしれぬ。
だとすると、以前に入り込んでいた曹操の刺客の件であろう。

そう思いついたとたん、孔明の心は、上空にひろがる青空とおなじくらいに晴れ晴れとしたものになった。
単純なことではあるが、ひみつを打ち明けてもらえるとは、つまりは信頼されているということである。
憶測にすぎないが、もしそうなら、嬉しいことだ。

そうして、まるで贈り物を待つ子供のように、わくわくと趙雲が口を開くのを待っていた孔明であるが、趙雲は一向に口をひらかない。
様子を観察してみれば、さて、馬をはしらせここまできたはよいけれど、なにをどう切り出せばよいのだろうという顔になっている。
水を向けてやれば、口を開くであろうか。
それとも、沈黙をつづけて、自然と口を開くのを待つべきか。

そうして孔明が緊張して待っていると、趙雲は言った。
「今日は良い天気だ。雲もないほどだ」
見上げれば、たしかにそのとおりで、蒼い空には白い雲の欠片すらなく、初夏の太陽がさんさんと大地を明るく照らしている。
風があり、冷たさを含んでいるからよいが、それは体を休めていればの話で、田園に出て、稲穂の世話をしている農夫たちの動きが、どうも緩慢に見えるのは、気のせいではあるまい。

雲? 
そうか、天気の話からまずはいって、こちらの反応を見ようというのだな。

「雲が、大地の気があふれたものだという話は、ほんとうだろうか」
趙雲のことばに、怪訝に思いつつも孔明は応じた。
「さて、大地の裂け目から雲が生まれところは見たことがないが、山から立ち上る霧が雲に転じていく風景は見たことがある」
「その山に裂け目はあったか?」
「やけに裂け目にこだわるな。谷はあったけれど、あれを裂け目といえるかどうか」
「ふむ、俺も旅をしてきて、似たような光景を目にしたことがあるが、『大地の裂け目』は見つけることはできなかった」
趙雲が言いたいことはなんだろう。山の裂け目とは、なにかの暗喩だろうかと慎重に考えつつ、孔明は、とつとつと語る趙雲にたずねた。


※ 面接はPCスキルがもうすこしほしい、ということで駄目でありました……ワードもエクセルもパワーポイントも全部独学で学んだので、知識が虫食い状態です。うむ、勉強してからリベンジじゃ。
でもって、キャラ別が蒋琬 ・休昭ともに仲良くゼロというのを横目にキツネをも引き離し、文偉が12票。みなさまどうもありがとうございます(^。^)
でもって、昨日からアクセス数が減りましたが、そうか、お盆休みが終わったからか。はさみのは長いお盆休みに突入中。このあいだに貯金をたくさんつくっておきますね。今後の展開をおたのしみにー(^^ゞ

2006年8月19日(土)
椒聊よ、遠き条よ 番外編 おむすび・7

「そういえば、あなたの名も雲であったな。これは思い込みかもしれないが、自分の名と関連するものに対しては、やはり気になるものなのかな」
「あんたの名は亮だったな」
「そう。亮というと、光るものを表現する言葉だ。なかでも月亮ということばが有名だから、わたしなんぞは、どうしても月に興味を持つ。月には、ほんとうに蝦蟇がいて、不死の樹が生えているのかな、とかな」
「不死の樹なんぞ、ぞっとする。むかし始皇帝が不死の薬をもとめて、徐福に蓬莱という国を探させたという伝説があるが、俺なんぞは、そんなに生きつづけて、なにが楽しいのかと不思議に思うところだな」
「意外だな」
実感として孔明がそういうと、趙雲のほうが顔をしかめた。
「なぜ。軍師も始皇帝とおなじ類いか」
「不死か。そんなもの、考えたこともなかったけれど、なったら苦しいだろうな」
すると、趙雲は、じつに満足そうに、そして真剣なまなざしのままうなずいた。
「そうだろう。長く生きるということは、それだけ苦しい思いもしなければならないということだ。始皇帝という男は、よほど人生が楽しかったと見える。俺にはよくわからん」
「武将なら、不死であれば無敵だとか、そのように考えないのか」
「戦は一人でするものではない。俺以外の全員が不死だというのならともかく、俺一人が不死になったとして、戦に負けて、みかたのだれもが死んでしまったら、どうなる? 俺はみなの後を追うこともできず、ずっと地上を彷徨うことになるのだぞ」
「いわれてみればたしかにそうだが」

孔明は意外に思って、馬上の武将の、日に焼けた、自分とはまったく種類のちがう美貌を備えた顔を見た。
その視線に気づいたのか、趙雲が怪訝そうにたずねてくる。

「なんだ」
「いや、あなたがこんなふうに想像豊かな人だと思っていなかったから、おどろいた。気を悪くしたのなら許してくれ」
「気は悪くしないが、そうか。ふつうは、あまりこういう発想は、しないものか」
などと、一人合点を趙雲はしている。
たしかに、張飛あたりに不死について語らせたなら、死ななくていいのであれば暴れまくって敵を滅ぼすと言い切るだろう。

さきほどの裂け目の話といい、不死の話といい、趙雲が伝えたいことはなんなのだろう。
趙雲は、どうやらこちらが想像していた以上に、謎かけのうまい男であるらしい。

「裂け目の話に戻るが、どうしてその『裂け目』にこだわるのだ? 裂け目から雲が生まれる、という話は聞かないが」
「俺の長兄がそう言ったのだ。大地には裂け目があって、そこから雲が生じる。なぜかというと、裂け目には龍がすんでいて、龍の気がたちのぼり、そして雲になるのだと」
「なるほど、それであなたの字は『子龍』か。兄君も想像豊かな方だな」
「いや、俺の字を付けたのは長兄ではない。次兄だ」
「ふうん?」
それはそれで面白い話ではあるが、しかし、この男がわたしに伝えようとしていることはなんだ?
孔明は謎をさぐるべく、さらに話をすすめることにした。


※今日の仙台は暑そうです。わが家の庭は、朝、カーテンを開けるごとに諸星大二郎描くところのジャングルのようになっています。
草むしり、毎日少しずつでもしなくちゃいけないのですが、なーにせ虫よけスプレーを買い忘れていまに至る…今日こそ買ってこよう。それはともかく、休昭に二票はいっておりましたね~(^^♪ ありがとうございます! かれの更なる成長を見守ってやってくださいまし。気合が入ってきたぞ~\(~o~)/

2006年8月20日(日)
椒聊よ、遠き条よ 番外編・おむすび 8

「ところで視察だがね、わたしたちはいま、どこへ向かっているのだろうか。このあたりに集落はあるが、なにも問題がないはずだけれど、気になることでも?」
「いいや」
あっさりと趙雲は答える。
とすると、やはりひみつの打ち明け話か。
だから、兵卒もなにもつれず、二人きりなのだな、と孔明は考えた。
「では、これからどこへ向かうのだ」
「あの山だ」
と、趙雲が指す方角には、鬱蒼とした山の連なりがある。そのなかのひとつに、入ろうということであるらしい。
孔明は、おもわず周囲を見回す。
ともかく、なにもない、平和な田園風景である。
人家も納屋もまばらで、人通りもすくない。
しかし、それでも警戒して、だれもいないであろう山に入ってでないとできないほどに、重要な打ち明け話だというのか。
「そうだ、軍師、聞き忘れていたが、野宿はできるよな?」
「は? 野宿?」
てっきり、山里のそばの人家に宿をとるのだろうと計算していた孔明は、野宿と聞いてうろたえた。
なぜにうろたえたかといえば、自分のまとっているこの派手な衣裳、これは一張羅なのである。野宿なんぞをするのであれば、一張羅を着てはこなかった。
「野宿自体には慣れているが、ならば最初から野宿をすると言ってくれないか。であれば、こんな正装をしてこなかったのに。それとも、あの山に、だれか住んでいるというのか」
「集落とちかいから、だれか樵でも住んでいるかもしれぬが、あいにくと、俺はそいつに用はない。軍師は用事があるのか」
「あるわけなかろう」
「うむ、そうだろうな。野宿だとあらかじめ言わなかった俺も、口が足りなかった。謝る。しかし山の頂上までたどり着くのに、一日では無理だからな」
「は? 山の頂上?」
そこで打ち明け話? いや、なんだか変だぞ。
微妙に話がかみ合わないと気づいた孔明であるが、しかし、では、なぜ趙雲が自分を山に連れ出そうとしているのかが、やはりわからない。
ますます怪訝に思いつつ、趙雲のいう山に向けて、馬を歩かせた。


※ 昨日はわたしより先に派遣先を辞めた、最初にいじめを受けていた人と会ってお茶をしてきました。派遣先にいたときより、表情が明るくなって、まるで別人でした。よかった、よかった(^。^)
派遣先を三箇所は移動していると、自然と派遣ネットワークみたいなものが出来上がるものでして、はさみのもその末端なのですが(それだけ仙台が狭いということですねぇ)、あとからじゃんじゃか情報が入ってまいりました。在籍中には悪いと思って、皆控えていたようです。
派遣先でトラブルを起こして辞めた人の話が、まあ、ザックザク。ともかく評判わるくて、はさみのなんかはまだ穏便なほうだったようです。
職場の雰囲気が悪すぎると一ヶ月で辞めた人はザラで、。3日で「あんたみたいな馬鹿の下で働けません!」と啖呵を切ってやめた人(ある意味、カッコイイ)、中には「凶悪な霊に取り憑かれた」とネックレスと腕輪を数珠に変えて出勤して、それでも一ヶ月はもったのかな…がんばったようですが、結局、「霊が三つもいて駄目」と辞めた人もいるそうな。
面白すぎて、かえって小説にできないな、これは…最近は仙台の方でうちのHPを見て下さる方も多いようなので、実名を挙げたいところでありますよ。このところ、しょっちゅう、派遣のお仕事紹介サイトで掲載されているニ交替制の会社は要注意です。なんて営業妨害かなあ。お盆も本格的に明けますし、いい仕事がきますように(-_-;)