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孔明は、大通りにしゃがみこむと、
「怖じずにどんどん射かけよ! 相手は兎怪なる!」
と、指示する士卒長らのまえに屈んで、かれらの手にしている弓矢や剣を、器用にひとつひとつとりあげた。
「ハイ、回収~、こっちも回収~」
孔明としては武器を取り上げてしまえば、みな恐れて、もう近づくまいと計算していたのであるが、なかには勇敢なものもいて、これ以上、宮城へすすませてたまるかとばかり、まだ攻撃をしようとする。
孔明は、そういった者に、ちっち、と指を振ると、ちいさく指で、ぴん、と弾いた。
まったく力をこめていなかったのであるが、兵卒は大きく身体をのけぞらせて、吹っ飛んだ。
「むむ、巨大になったというだけで、このすさまじい攻撃力。
仲達、もしかしたら、このまま北上したら、わたしは天下を取れてしまうのではないか」
飛廉の背中の仲達は、眉を逆立てて、言った。
「たわけー! そんなことになったら、歴史が変わってしまうわい! どこの世界に巨大うさぎが天下統一を果たした、などという歴史がある! 許さぬぞ、諸葛亮!」
「ええー。すべてのものに例外はあるではないか。ちょっといって、ぱっと天下を取って、さっと下宿先に帰る」
「許さぬぞ、諸葛亮! いや、たとえわたしが許しても、アイオーンの乙女が許すまい!」
いきりたつ仲達に、孔明は、そろそろと動かしていた足をぴたりと止めて、言った。
「うむ、そこだ」
「どこ」
「わたしがこのまま暴れれば、アイオーンの乙女があらわれる可能性が高い、というところだ。
おまえに連絡役をしてもらうにしても、居場所がわからぬ相手へどうやって連絡するのだ。
しかし、召喚した以上は、どこかでわれらの行動を監視しているはず。
そして、わたしが指示以外の行動をしたならば、乙女はかならずこれを阻止しようと動くであろう」
「たしかに道理であるが、アトラ・ハシースの規約に反するぞ」
「最高府の定めた規約には『外界の女神との契約にも適用される』とは書いておらぬもーん」
「もーん、ではない。可愛く言ってもダメ! 乙女は、わたしがなんとか探してみる。そなたは大人しくしているのだ!」
そう言って、仲達は、飛廉とともに、孔明のもとを離れていった。
さて、町中が、突如あらわれた巨大うさぎに混乱しているさなか、夜明けを迎えた馬超の屋敷では、みなが、一様にぽかんとした顔をして、目を覚ましていた。
それというのも、孔明たちによって記憶を消去されたのち、かれらはそのまま眠ってしまい、気がつけば朝だったのである。
しかし、だれかが肌掛けをかけてくれていたようだ。
ついでに寝台に運んでくれればよいのに、いや、そこまではよいから、せめて起こしてくれればよいのに、と、寝ぼけ眼で考える。
ちなみに、肌掛けは、孔明と趙雲、そして仲達が、みなで手分けして、かれらが目覚めるまでに風邪を引かぬように、かけてやったものだ。
いったい、なにがどうなったのだろう、とみなして首をひねっているなか、馬超だけは、この異変に、ただならぬものを感じていた。
※仙台に帰ってきて二日目。やっと体の調子も元に戻ってきた感があります。というわけで、HPの運営も、今日より元通り。ひとまず今週日曜日分のアップを本日、あさってのアップは、完成度の高いものを優先してアップというふうにしたいと思っております(^^ゞ
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