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だれだ、格好つけやがって、というのが、錦鯉が最初に思ったことである。
顔を上げれば、そこには三人の男が立っている。
が、その先頭に立つ、槍を手にした男の姿を見て、錦鯉は、思わず、げげ、と呻いた。
男の手にしている槍が、光龍の電光を帯びている霊具である、ということも、呻いた理由であるが、それよりも、男がアストラルである、ということが、その高い霊力の気配で、すぐに察知できたからである。
アモンさまを追って、アイオーンの乙女らが派遣してきた、外界の攻撃型アトラ・ハシース。
そのアトラ・ハシースのアストラルらしい。
アストラルの背後には、二人の男…年寄りと青年…がいるのだが、これは只人であるようだ。
それはともかく、このアストラル、相当に場慣れしているやつだな、と錦鯉は判断し、すぐさま、娘の腕を掴んだまま、攻撃をくりだされる前に、水の上から空中に跳ね上がるようにして、大きく飛び上がる。
家々の軒先を眼下におさめ、それから娘の腕をつかんだまま、近場の家の屋根に降り立つ。
娘は、腕が抜けるといって泣いたが、悪魔なので、そこはまったく気遣わない。
「逃げても無駄だぞ」
と、アストラルが追いかけてきた。
錦鯉は、黙って、泣き喚く娘の腕を、さらに引っ張ると、自分のまえに、盾のようにして、アストラルに向ける。
アストラルの背後では、さきほどの二人が、屋根のへりに掴まって、なんとか屋根をのぼろうとしているところであった。
アストラルは、中国人のようだ。基本世界から派生したアストラルらしく、この比較的平和な世界のアストラルには稀な、すさまじい殺気を放っている。
錦鯉は、こいつとまともにやりあったら、まず負けるのはこちらだな、と計算した。
さて、どうする。
「人質をとったつもりか。おまえは逃げられぬ。この槍の餌食となるか、それとも、大人しく捕縛されるか、どちからを選べ」
アストラルの提示する選択肢に、すなおに乗る悪魔なんぞおるまい。
ふざけやがって、と思いながら、錦鯉は、ふと、ひらめいた。
そうだ、さっきのアモンさまの宝。
これをこいつにぶつけたら、どうなるだろう。
「答えぬか。では、こちらから参る!」
と、アストラルが、槍をかまえてまっすぐと錦鯉に向かってくる。
その身のこなしは、風のように速い。
いや、速すぎた。
気づけば、娘の腕をつかんでいた錦鯉の腕は、槍の穂先によって斬られてしまい、アストラルは、見事に無駄のない動きでもって、自由になった娘を突き飛ばすようにして、やっと屋根にのぼってきた仲間に引き渡す。
片腕をとられた痛みをおぼえている間もない。
すぐさま槍をかまえてふたたび攻撃してくるアストラルに、錦鯉はなんとかそれをかわすことしかできない。
くそっ、こうなれば、宝を、と懐から、宝を取り出す。
それは、アモンからもらった、棘のような骨が大量に突出している、奇妙な古い骨であった。
巨人の骨だ、ということだが、さあて、本物かどうか、いまこそ確かめられるではないか。
そしてふたたび向き合った錦鯉とアストラルであるが、そのとき、ばっさばっさと、上空から、大きな羽音をさせたものが近づいてくる。
それはひろげた翼をふくめて10メートルはあろうかという大きな鳥で、黄金の羽毛を夜空に気高くなびかせながら、アストラルのところへやってくる。
新手か、と舌打ちした錦鯉であるが、鳥の背中から、なぜだかうさぎが顔をだし、悲しげな声をあげて、言った。
「おおい、大変ぞー! 諸葛亮が、またもや、呪詛にかかって、うさぎになってしまったぞい!
しかもアモンの『ザ・レッドシューズ』の呪いをかけられて、ずーっと踊り狂っておるのだー!」
※さてはてほいさっさ(謎の呪文)。妙に落ち着かない一日でした(-_-;) テンションを上げねば! 頑張れ、自分! と、励ましてみたり。はやく嵐よ過ぎてくれい…
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