飛鏡、天に輝く

五十五

孔明のことばに、最初に挑発されたのは、ほかならぬ、書生の青年であった。
「名乗らぬ無礼者だとわたしを貶めるか。
しかしあえて言う。貴様のように舌先三寸で人心を惑わし、むしばむ輩に、わが尊き家名を名乗る価値なしと見たから、名乗らぬのだ! 
わが名を知らぬまま死ぬがいい」
「書生もどきが、ようやく正体を明かしつつある、というわけだな。
やはりその手のタコは、戦いをたしなむ者の手か。
そなたの言動から察するに、相当に名の知れた家の士大夫のようであるが、まだまだ青い」
「なに?」

孔明と書生の青年の年齢差は、見た目だけからはかるに、そう差はないようである。
しかし孔明は、年長者風を吹かせて、揶揄するように言った。

「ずいぶん世間知らずのようであるから、最後に教授して差し上げよう。
そなたはおのが家名と血統を誇りに思っているようであるが、そのなんと浅薄で哀れなことか。
そなたは礼節を知らず、そして情けというものを知らぬ。
意味なく苛烈に振舞おうとするその傲慢さは、逆に士大夫としてのおのれを貶める行為」
「なんだと!」
「それとも、尊き家名、というのは、自分でそう思っているだけで、本当はさほどでもない名前なのではあるまいか。
残念ながら地方では、実によくあることなのだよ。
中原からすれば、だれだ、貴様は、で終わる、ちっぽけな家名の出を、誇張して吹聴しているだけかもしれぬ。
あいにくと、わたしはそれを知らぬまま死ぬわけだが」
「貴様! では聞け、わが名は」

それまで、まったく表情を変えずに、いかなる状況においても、淡々と対応をつづけていた青年が、挑発につられて、怒りもあらわに孔明につっかかる。
この青年は、見た目こそ周瑜とちがうが、気性は似ているな、と孔明は思いつつ、青年のことばを手振りでさえぎった。

「いらぬ。聞きたくない」
「なに?」
「聞きたくない、と言ったのだよ。
だって、もしせっかくそなたが名乗ってくれたにもかかわらずだ、わたしがその名を知らなかったなら、そなたは傷つくことであろうな。
そなたとしては、誇らしげにわたしを斬り、そしてわたしの末期の表情に絶望を見たいのであろうが、それが残念なことに、蛮人のごとく憤怒にかられてわたしを斬り、そしてわたしは、このようなくだらぬ輩の手にかかるのかと失望して死ぬというふうになる。
わたしとしては、死ぬことに変わりはないから、絶望も失望もどっちもどっちだが、そなたは気の毒だな。
だから、わたしはわたしの人生の最後に、そなたにいい気分をさせてやる権利を譲ろうというのだよ」
「なんとたわ言を繰り出す口か! わが家名を貶めるとは許さぬ!」
「冷静になれ。まだ聞いてない家の名を貶められるか。
いまのそなたは、相当にぶざまだぞ。江東を守るだのなんだのと言っていたが、それほど短気で浅薄な気性で、なおかつ世間知らずという三重苦では、それもなかなかむずかしかろうな」

挑発をつづける孔明であるが、そこへ、屋敷をぐるりと取り囲む塀の屋根を越えて、ひょっこりと、子供たちが顔を出して、悲痛な声をあげた。
「もうおやめください、父上! この場は、われらがなんとかいたします。
かならずやあなたさまをお助けいたしますから、どうかこれ以上の挑発はなさらないでください!」
「まだいたのか。せっかく人が時間稼ぎをしていたというのに、どうしてこのあいだに逃げぬのだ。空気を読め! 
社会復帰には、空気を読む、この力がとても大切になってくるぞ。父の遺言と思って聞くがよい」
「またそのような戯言を。われらは逃げませぬ。あなたさまがここで死ぬというのなら、われらもここで死にます」
「だめだ! おまえたちは江夏へ逃げろ。わたしが叔父から譲り受けた遺産は、すべて、おまえたち全員に均等に行き渡るように、弟に管理を任せてある。
おまえたちは、もう闇に怯えることなく、陽の下を堂々と歩けるようになるのだ。
おまえたちは、あまりに若いころから闇に押し込められてしまったから、陽のありがたさを知らぬのだ。
わたしにかまうことはない。いいから、行け!」

孔明の叱責にもかかわらず、屋根から顔を出す子供たちは、動こうとする気配がない。
屋根のかわらに手をかけて、悲しそうな顔をして、孔明を見下ろしている。
子供たちの顔は、時間がたつにつれ、ひとつ、またひとつと、かえって増えているようである。
殺気こそ発していないものの、自分たちを見下ろしている格好となっている、武装した子供たちの登場に、書生と、その仲間である若者たちも、うろたえているのが気配でわかる。
このままでは両者は衝突し、血で血をあらう闘争になるだろう。

「おまえたちの忠心は、まことにうれしく思う」
と、孔明は、屋根にかじりつくようにして、身を乗り出している子供たちに呼びかけた。
「残念なのは、おまえたちの寄せてくれる心が、忠心である、ということだな。
わたしはおまえたちの父でありたいと思ったが、やはり短い時間のなかでは、それもむずかしかったようだ。
だが、この体は滅びようと、魂は不滅である。たとえ鬼になったとしても、わたしは、おまえたちを見守りつづけるであろうから、安心するがよい」
「おい」
書生が割って入ってきたので、孔明は顔をゆがませて、振り返った。
「いいかげん、そなたも空気を読まぬな。いま、父として、子に遺言を託しているのだぞ! 
あとでちゃんと死んでやるから、すこしは黙っておれ! 慈悲の心はないのか、慈悲の心は!」
「なんと図々しいやつ。いますぐ斬ってしまってもよいのだぞ」
凄む書生に、孔明は、しらけて答えた。
「これだけ多くの目があるなかで、おのれの感情の赴くままに、無抵抗のわたしを斬るか。
それだけで、そなた自身がつまらぬ男だと証明しているようなものだな。鬼になって祟ってやる価値もない」

「父上!」
屋根のうえから呼びかける子供たちに、孔明はひらひらと蝶のように手を振ってみせた。
「安心せい。わたしが鬼になったなら、まず曹操から順に祟って、最後はちゃんとおまえたちのところへ行くから」
「そういう話ではございませぬ。父上がなんとおっしゃろうと、われらはここを動きませぬ!」
「意固地になるな! ここでわたしを見捨てても、おまえたちを笑う者はおらぬよ。
わたしの望みが、おまえたちが生きることなのだから、むしろ親孝行ではないか。
図らずも、おまえたちに不幸を背負わせてしまったわが叔父は、やはりわたしを生かすために死んだ。
ならば、その意志を継ぎ、わたしも次代を受け継ぐおまえたちに命を与える。
復讐は考えるな。ただおのれを生かすことを考えろ。
漠然と生きてはならぬぞ、『活きる』のだ。もし道に惑うことがあるなら、子龍を頼れ。
かれならば、わたしの心を同じく引継ぎ、そなたたちを守ってくれるだろう」
「しかし」

子供たちのなかに、さきほどまであった固い決意が崩れつつある。
孔明は、あえて叔父の名を引き合いにした。
叔父は子供たちを守ろうとして、壷中をつくることを提言したが、さまざまな欲望の犠牲となり、その理想はふみにじられ、いまの壷中になってしまった。
叔父の遺志を継ぐと決意してからは、その責任も継がねばと、孔明は思っていた。かれらの、孔明の叔父に対する恨みも、おなじく引き受けなければならない。

「遠慮はいらぬ。行くがいい。ほかの兄弟たちにも、わたしを忘れてかまわぬと、ほかのだれでもない、わたし自身が言っていたと、そう伝えてくれ」
「偉度の兄上に叱られます」
「いいや、偉度が、いちばんわかっているだろう」
「しかし」
「大丈夫だ。わたしはおまえたちを恨んだりはせぬよ。元気で」

そのことばが、子供たちの背中を押した。
子供たちの顔が、ひとつ、またひとつと屋根から消えて行った。
そして、最後に残った顔が、泣きそうになりながら礼を取って消えていくと、孔明はようやく、これで、そうとは知らずにおかしてしまった叔父の罪の荷を軽く出来たとほっとした。
さて、つぎは自分の番である。

孔明が振り返ると、それまで自分を剣呑な表情で見つめていた若者たちの目線に、変化がある。
おどろきと、戸惑いが、その目線のなかに浮かんでいた。
得たいの知れないものを見るときの目線である。
「子供を細作として使うとは、見下げ果てたやつだと思っていたが、父だの子だのと、いったい、どういう意味なのだ」
書生のことばに、孔明はしかし、さきほどの挑戦的な態度を取り戻して、肩をすくめた。
「さて。あまりに長い話になるので、あえて端折るが、要するに、わたしはあの子らの父代わりなのだよ」
「端折りすぎだぞ、わけがわからぬ」
「わけがわかるように説明していたら、おそらく二、三日は、わたしの命は延びると思う」

ふざけているのか、本気なのか判然としない孔明のことばに、書生は、ぐっとことばをつまらせた。
「あの子たちが、素直に言うことを聞いてくれてよかった。大人の言うことには絶対に従わないといけないと、押さえつけられ続けてきた子供たちなのだ。
おまえたちの狙いは、わが命であろう。言っておくが、追うなよ」
書生は、孔明のことばに、苛立ちをこめてにらみつけきた。
「人の心配をするよりも、おのれの心配をしたらどうだ。おまえはこれで、一人になってしまった。
わけのわからぬやつだ。最初、老人がどうとか、いもしない人間をでっち上げて、われらの屋敷に立ち入ろうとし、つぎに、助けが来たのに、危ないからと追い返す。どういうつもりだ」
「どういうつもりもなにも、誤解だというのだ。わたしが曹操とつながっていると、どうして思う。
わたしが曹操側の人間であったなら、矢を借りるなどという派手に曹操に恥をかかせる手は打たぬぞ。
むしろ、もっともらしい嘘をでっちあげて、うまく曹操側から矢をふつうに借りてきたであろうよ」
「曹操は、はかりごとに巧みな男。それすら、われらを欺く手段であったなら?」
「それを言ったなら、きりがない。疑おうと思えばいくらでも疑える。決め付けに証拠がいらないのだから、わたしにどんな罪もなすりつけてしまえるではないか。
同じ論法でいえば、わたしを曹操側の人間ではないかと疑うそなたらとて、ほんとうに江東に味方する人間なのか? 
むしろ、わたしを消すことにより、江夏のわが陣営と、江東との同盟を崩さんとする曹操側だと疑えなくもない」
「なんだと」
「つまり、おまえの言いがかりは、その程度、というわけだ」
「ただの言いがかりではない。根拠はある」
「聞こう」

孔明が促すと、書生は、ひと呼吸おいてから、口をひらいた。
「貴様の同窓である龐士元は、都督におおくの恩義を受けていたにもかかわらず、逐電し、鳥林へ向かった。
陸口の漁夫が、龐士元らしき士人を対岸に送ったことを認めておる。あれほど特徴のある男ゆえ、見間違いということはあるまい」
今度は、孔明がおどろく番であった。
「龐士元が? なぜまた」
「それはこちらが聞きたいところだ」
「そのことば、そのまま返すぞ。わたしと龐士元がおなじ師に学んでいたことは事実だが、行動をともにしていたわけではないし、かれとわたしとでは、志がまったくちがう。
むしろ、かれは都督側について、江東のために動いていたはずだ。
姿が見えいということは知っていたが、曹操などと」

龐統が周瑜を見限り、曹操のもとへ向かったというのか? 
これまで、黄蓋の容態にばかり気を取られていたが、周瑜もまた病人であることに変わりはない。
龐統は、世間をどれだけ騒がすことができるか、という歪んだ目的でもって行動している男だ。
周瑜が使えないと断じて、曹操のもとへ出向いたのではあるまいか。
江東の情報を持って。
だとしたら、なるほど、江東の人間がぴりぴりするのは理解できる。

が、矛先が見当ちがいではないか。
そんなことを考えている孔明の周囲に、書生と、そして若者たちが、じわり、と距離を詰めてきた。

孔明は、口では若者たちを疑うようなことを言ってみたが、しかし、かれらが江東の人間であることを、まったく疑っていなかった。
曹操の人間が、すでに黄蓋の屋敷に入り込み、江東の人間を寄せ付けないようにしている可能性もあるが、しかし、そこまで面倒なことをして、あえて江東に長逗留する意味がないのだ。

江東の水軍の中核のひとりであり、古参の臣である黄蓋は、曹操にとっては魅力的な人材であることにはちがいない。
なにせ、曹操がもっともおそれる水軍の、なにもかもを知り尽くしている人物である。
そして、江東の家臣らについて知り抜いている。
黄蓋は仁徳の士であるから、かれを慕っているものも多い。
その人脈も魅力である。
曹操からすれば、覇権を伸ばしていくにあたり、南方に複数ある異民族たちとの争いを少なくするためにも、かれらに受けのよい黄蓋は必要な人材であることだろう。

しかし、だからといって、黄蓋に降伏を促すのであれば、疑いをわざわざ招くように、長期間、閉じこもりきりになる必要はない。
曹操側の人間が、黄蓋を幽閉しており、あえて外界との接点を断たせて、説得している可能性も、なくはない。

だが、これは悠長に過ぎる策で、曹操のやり方ではない。
惚れた人材には、女のように尽くすのが曹操であるが、最初の一手で駄目と知れたら、方向転換も早い。
それは、数々の実例から知れていることである。

もし本当に曹操が黄蓋を必要としており、これを江東から引き抜こうとしているのなら、最初に説得できなかった場合、おそらくは潔くあきらめるか、あるいは無理にでも略取しているはずである。
曹操は二度の失敗はできないはずだ。
なぜなら、すでに一度、矢を孔明に盗られているからである。
二度目の恥はかけない。
今度こそ、兵の士気は、回復が難しいほどに下がってしまうことが、容易に想定されるからだ。
恥をかくことをおそれて慎重になっている可能性もなくはないが、すでにいつ決戦の火蓋が切られてもおかしくない状況で、曹操がそこまで無理に黄蓋にこだわることはなかろうとも思われる。

江東の水軍を牽引している人物は、黄蓋だけではない。
まず、周瑜である。周瑜がいて、江東がある。
もし周瑜の意気を挫きたいのであれば、逆に周瑜と仲のよい人材を引き抜いたほうが打撃となるだろう。
周瑜と黄蓋は対立しているのだ。もしここで黄蓋が裏切ったと世間に知れたなら、やはり周都督は正しかったのだ、というふうに世論は大きくかたむき、かえって士気は高まる。
これらのことから、この書生らは、江東の人間と見てまちがいなかろう。

しかし、孔明としては、ありがたくない結論であった。
孔明をこれほどまで敵視するということは、かれらは周瑜によって派遣され、黄蓋を見張っている者たちであるということだ。
周瑜は、隙あらばと命を狙っている。
さきほど、書生が言った、
「諸葛孔明は行方が知れなくなり、その後、その名を聞くものはいなくなる」
という予言は的中しかねない。

武術の心得のない孔明は、じりじりと距離を詰めてくる若者たちと、慎重に距離を置きつつ、そっと懐に手を伸ばした。

懐に手をいれたとき、孔明を追い詰める狩人のように狙いを定めていた若者たちは、武器が出てくるのではと身構えたが、公明が懐に手をいれたまま、ただ距離をとり続けるのを見ると、ふたたび同じようにじりじりと詰め寄ってくる。
多勢に無勢で圧倒的優位にかかわらず、かれらが一気に襲い掛かってこない。
かれらがなぜ襲い掛かってこないのか、その理由は漠然としかわからないものの、若者たちが趙雲のように冷徹になりきれず、なぜか孔明を見る目に、警戒心があることに、かれらのおびえているようにもとれる行動の根拠があるように思われた。
ちらりと書生を見ると、書生は、自ら武器を持たず、孔明と若者らの、無言の対峙を観察しているばかりである。

たらりと、一筋の汗が、こめかみから顎に伝わって、頬をなぞると、顎から首筋へと落ちていった。
その不快な感触すらわからないまま、孔明は若者たちが一歩詰め寄れば、自身は斜めうしろへ、かれらが追いかけてまた斜めに向かってくると、さらに斜め後ろ、というふうにゆっくりと移動をしていった。

その間の抜けた追いかけっこを見て、庭木に寄りかかってその様子をながめていた書生が、辛らつに言い放った。
「なにをしておられるのやら、わかりませぬな。潔く斬られるのかと思えば、蟹のように無様に逃げ回るとは」
「蟹か、なかなか言い得て妙だ」
書生のことばを受けて、無理に唇に笑みを浮かべつつ、孔明は言う。
そして、移動をつづけて、ある地点までやってくると、懐に入れていた手を出した。
そして、そのまま、思い切り、目の前にいる若者らに、手のひらでぐっと掴んでいたものを投げつけた。

とたん、若者たちは視界を失った。

何が起こったのか、わけがわからないが、目の中に、なにかが入ってくる。
その痛みのために、思わず目をつぶるが、つづけて、鼻をとおして、さらに目を強く刺激する感覚があった。
痛みにも似たその衝撃のために、若者たちは、得たいの知れない感覚を追い出そうと、咳き込む。
しかし咳き込むと、さらに周囲に漂っている白煙が咽喉を痛めつけてくる。
げほん、ごほんとはげしく咳き込みながら、若者たちは、おのれの口と鼻を手でかばった。
まともに武器を持ってもいられない。
嘔吐をしている者すらいる。
仲間に声をかけようとするのだが、そうすると、ふたたび白煙が入ってくる。
そのため、しばらくかれらは、激しく咳き込みながら、不意に襲い掛かってきた異様な感覚と戦うしかなかった。

かれらの脳裏にあるのは、市井にひろまっている、孔明が仙術をつかう、という噂である。
その力ゆえに、曹操に矢を借りたときも、曹操側の反撃をまともに食らうことなく、一隻も欠けずに柴桑に戻ってこられたのだと、真剣に語る者すらいる。
だからこそ、きっと風を吹かせることもできるかもしれない、と。
もちろん、若者たちは矢を借りた顛末を、事細かに聞かされていたから、そんな莫迦な、とも思う。
だが、かれらもまた、神秘を信じる純真な心をどこかに持っている、人間らしい人間なのだ。
噂を真っ向から否定してみても、仙術などという、具体的にどんなものかすらわからない妖しげなものを、使わない人間がいない、とも言い切れないではないかと、疑念が心の底から沸いてくる。
さらには、孔明には、もしかしたらそうかもしれないと思わせるような、俗人離れした雰囲気がありすぎた。
だからこそ、かれらは孔明に威圧され、そして警戒し、襲い掛かることができなかったのである。

目で濁ったかれらの視界があきらかになったとき、もうそこに、孔明の姿はなかった。
孔明の姿もなかったが、かれらのまとめ役である、書生に化けた青年の姿もなかった。

56へつづく
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