飛鏡、天に輝く
三十一
孔明のほがらかな笑い声に、偉度をはじめ、それまでじっと部屋の隅でそれぞれ動かないでいた子供たちも、何事か、というふうに目を向けてきた。
その代表として、偉度が不服そうに言う。
「なにを笑ってらっしゃるのです。ちっとも笑い事ではございませぬ」
孔明は、まだ笑いがおさまらなかったが、かれらを不安にさせないようにするために、答えた。
「ああ、すまぬ、主公があの場にいたなら、どんなことになっていただろうと想像したら、笑いが止まらなくなってしまったのだ」
「笑う余裕があるとは、よいことではありますな」
大きな目をとがらせて、じろりと偉度が睨んでくる。
それを、孔明は手ぶりで、やんわりと抑えるように示した。
「そう言うな。声をたてて笑ったのは何十日ぶりであろう。
主公は千里の彼方におられても、わたしを励ましてくださるのだな」
「使者のことばには、つづきがございます」
憮然として、偉度が言う。
「ともかくぶちのめすことができないのなら、実際に鏃を得なければならないわけだが、江夏にあるありったけをあつめて、さらに鍛冶職人を派遣したところで、期日に間に合いそうにない。
ともかく残っている連中で知恵を絞ってみるから、けっして自暴自棄になってくれるな、とのことでございます」
「江夏にあるありったけ、か」
「ついでにもっと楽しくなる報せをば。使者が気を利かせて調べて参りました。
江夏にある鏃の総数は一万ちょっとだそうでございます。曹操に囲われずにすんだ鍛冶職人を総動員して、たとえ残り二万弱を用意したとしても、期日があるので、やはり守れませぬ」
「そうであろうな。新野にあった在庫のほとんどは、曹操の追撃をかわすために使い切ってしまった。
劉公子が樊城から出奔するさいに持ち出せたものとて、そう数は多くなかったはず。一万もあるというほうが、むしろおどろきだ」
「おどろいている場合ではございませぬぞ。どうなさるおつもりか」
「さて、みなで、あの鈴の大将といっしょに船で漕ぎ出でて、鳥林から鍛冶職人を奪い返してこようか」
「たぶん、みんな死にます」
「そうだろうな。おそらく岸に船をつけることもできずに、総員はりねずみだ」
孔明がぼやくと、ふと、小さな笑い声が聞こえた。
だれであろうと目を向ければ、それまで、うんでもなければすんでもなかった子供たちが、孔明と偉度のやりとりを聞いて、笑い声をあげたのである。
こちらを見る子供たちに、孔明はほほ笑み返す。
それを見て、偉度が、またもや辛辣に釘を刺した。
「愛想を振りまいている余裕もおありの様子。軍師、大きな声では申し上げられませぬが」
「こんなに静かな場所では、ふつうに話していても大声だ」
「混ぜっ返さないでいただきましょう! 突撃をかけるくらいなら、周都督の陣から鏃を盗んでまいります」
孔明は、目をぱちくりとさせて、偉度をまじまじと見た。
「おまえは天才かもしれぬな」
「本気で申し上げておりますが」
「却下」
「なぜでございます!」
孔明は笑みを引っ込めて、まっすぐに偉度と、偉度と同じように、じっとこちらに目線を向けている子供らに答えた。
「理由はふたつ。周公瑾は細かい男だ。わたしにこの策を持ちかけたさいに、こちらが盗みを働く可能性も考えていたのだろう。
鏃や矢を保管している庫は、いま厳重に警備されている。盗むのは容易ではないぞ」
「なぜご存知なのですか」
「わたしも盗むことを考えたからだ。それで調べさせたのだが、あいにくとそれくらいの発想は、向こうにもあったようだな」
なるほど、と納得しかけた偉度であるが、ふと、おや、と首をひねり、そしてたずねてきた。
「盗もうと言ったわたしを天才とおっしゃいましたが」
「うむ、言ったとも。わたしと同じ発想だからな。だから天才だと言った」
「……左様でございますか」
「理由のもうひとつ。こちらがわたしにとっては重要だが」
と、孔明は、ふたたび顔を引き締めて、子供らを見て、言った。
「子供に盗人の真似をさせる父がどこにおる。よって却下。以上だ」
偉度は、唖然として、孔明の顔をまじまじと見つめる。
「それが理由だとおっしゃるか」
「当たりまえだ。ときに偉度、主公のほうはわかったが、劉公子のほうはどうであった」
劉琦のことが思い出されたのか、偉度は、我に返ったようになって、答えた。
「はい、さっそく船を出すとのことでございます。おそらく、すでにこちらに向かっているはずでございますが」
それを聞いて、孔明はほっと安堵する。
「そうか、船はこの戦では馬より貴重だからな。渋られるかと思ったが」
「公子は、そのような御方ではございませぬ。使者の話によりますと、ほかにも子供たちがいたことにおどろいておられて、一人も漏らさずに連れてくるようにとお命じになられたとか」
そう言って、偉度は、いつもの剣呑な表情ではなく、そこにいない人にそうするように、ほほ笑んで見せた。
その目が、これまで見たこともなかったほどに、優しい色をたたえていることに、孔明はおどろく。
劉琦は、偉度を、父から与えられた学友だと思いこんでおり、その本来の姿を知ったのは、つい最近のことである。
それでも態度を変えず、むしろ、より親しみをもって、偉度たちに接するようになった。
そのことを、これまでどれだけ働いても、使い捨ての労力として、冷酷な仕打ちを受け続けていた子供らは、とても感謝しているのである。
偉度はとくに、劉琦のいろいろな面を身近で知っているので、仲間に対する想いとはまたちがう、特別な想いを劉琦に持っているようであった。
「船がこちらに向かっているというのなら、明日か明後日には柴桑に到着することだろう。おまえたちは助かるな」
孔明がいうと、偉度は、またも剣呑な表情にもどって、詰め寄ってきた。
「お一人で柴桑に残るとおっしゃるのですか。それでは、だれがあなたをお守りするのです」
「自分の身は自分で守る。大人だからな」
言い切る孔明に、偉度は冷たい目線を投げて寄こした。
「なんですか、そのめちゃくちゃな理屈は。あなたのようにお人よしでとろい方が一人になったなら、周都督のように狡猾な人物は、ここぞとばかりに刺客を差し向けて参りましょう。
いまとて、複数の細作らしき者どもが、軍師を見張っておりますぞ」
「人間、いかなる理由であれ、見られているうちが華だ」
「また混ぜっ返す。もし迎えの船が来ても、わたしは残ります」
「駄目だ。みなそろって江夏へ行くのだ。おまえがその長となり、責任をもって江夏へ帰れ」
「お待ちください、わたしをはじめ、年長の者はすべて残ります」
偉度の申し出は、孔明にとってはうれしいものであったが、しかし、そこは表に出さず、きっぱりと答えた。
「ならぬ。そなたたちが残ったところでどうにもならぬぞ。大人のことは大人に任せておればよい」
「われらは、大人と同じ働きをしてみせます」
「駄目だといったら、駄目だ。ではずばり言うが、そなたらがここに残ることで、もてなしてくださっている張子布どのに負担がかかることを忘れておらぬか。
そなたらが自分で自分の食い扶持を稼ぐというのなら別だが」
孔明のことばに、偉度はむっとして、答えた。
「では、われらが自分で自分の食い扶持を稼げば、ここに残ってもよいとおっしゃるのですね」
「言っておくが、まっとうな手段でなければ認めぬぞ。壷中の手法はつかってはならぬ。もし一人でもこれを破れば」
「ば?」
「二度と口を利かぬ」
「子供ですか」
「あいにくと大人だ。ゆえにほんとうに口を利かぬからな。それが嫌なら、江夏に帰るのだ、よいな」
翌朝、孔明はいつものように庵で目を覚ました。
期限は残り四日。
寝るまえに、目覚めたときに、天啓が降ってこないか、などと淡い期待をしたのであるが、天はなにも示してはくれなかった。
今日も無情に空は蒼い。
日に日に、空の色は秋らしく深まっていくようであった。
四日後には死ぬかもしれない。
人前では悠然としていたが、ひとりになると、その事実に圧倒されそうになり、弱気な考えばかりが浮かんでくる。
江夏からやってくる、子供たちの迎えの船に、まぎれて乗ってしまおうか、とか、あるいは、いっそ張昭に泣きついて、孫権にとりなしに入ってもらおうか、とか。
しかしそうしてはならないと思うのは、いまは鳥林に向かっているだろう趙雲のことや、江夏で戦の行方を、固唾を飲んで見守っている劉備らのことを考えるからである。
かれらを失望させてはならない。
その強い思いが、孔明の孤独感と焦燥感を、だいぶやわらげていた。
顔を洗い、更衣をすませて寝室を出ると、いつものように、近所の村から、獲れた魚をもって、手伝いの女たちや男たちがやってきているのが、にぎやかな声でわかった。
さて、今日は大漁だったのかな、と孔明は思いつつ、気を紛らせるために、厨に顔を出してみた。
孔明が顔をだすと、それまでにこにこと仲間うちで会話をしていた顔見知りの漁師が、いつになく畏まった様子で、孔明のところへやってくる。
なにかな、と思っていると、漁師はぺこりと頭をさげて、言った。
「まったく、軍師さまには、どれだけお礼を申し上げたらよいのやら。
ほんとうに、なにからなにまで、申し訳ないことです」
村の再建については、だいたい目途がたったことと、孔明が鏃のことに追われていることもあり、いまはなにも手を出していない状態であった。
さて、なんのことだろうと孔明は首をひねる。
「若い者は、ほとんどこの戦で兵にとられてしまいましたし、例の火事騒ぎのこともございましたので、漁をするにも人手が足りなくて困っていたのでございますよ。
今日はたくさんの子供らに手伝ってもらえましたので、ごらんください、こんなに獲れました」
と、漁師はうれしそうに水桶を示す。
たしかに、水桶には、活きがよくて大きな魚が何匹もひしめいて、ぴちぴちと跳ねていた。
だが、孔明は、わけがわからない。
いったいどういうことだろうと思いつつ、漁師にさらに話を聞くと、こんなことであった。
漁師たちが、夜明け前に漁に出かけようと外に出ると、なにやら船のまわりに、見なれぬ人影が立っている。
さては、また盗人かと身構えたのだが、その人影は近づいてくると、自分たちは庵に滞在している諸葛孔明の縁者で、けっこうな人数がいるのだが、知ってのとおり、諸葛孔明は客なので、自分たちを食べさせる満足な用意がない。
そこで、自分らで食べ物をこさえようという話になったので、獲れた魚を、自分たちが食べる分だけすこしもらうだけでよいから、手伝いをさせてほしいと申し出てきたのだという。
「みんな、いまどきの子供にしては礼儀正しい働き者ばかりで、村の者も大喜びで、さすが、軍師さまのお子さまがたは、うちらの子供とはちがう、と話しておりました」
子供。
そう聞いて、孔明は朝餉もとらずに村へと向かった。
あきれたものだ、と孔明は、村の様子を見て、思った。
壷中の訓練は、よほど苛烈なものだったにちがいないが、その苛烈さをみごとに克服し、今日まで生きてきた子供たちの、そのたくましさは、感動的である。
夜明け前にあらわれたという子供たちは、すっかり村に馴染んでいた。
偉度たち年長の少年らは、力仕事を率先して行い、少女らは、女たちとともに獲った魚や貝を選り分けたり、使った網を干したりしている。
子供たちもそれなりに働いていて、汗を流す大人たちに水を届けたり、村の子供の子守を手伝ったりしていた。
孔明がなににあきれたといえば、守ってやらねばと思っていた子供たちのほうが、よほどたくましかったことにである。
偉度らは、孔明の言った、
『自分で自分の食い扶持を稼げ』
を受けて、こうして近くの漁村にあらわれて、それを実行したのである。
子供だからできたことだろう。
大人であれば、いろいろと躊躇するか、さもなくば孔明の言葉に不貞腐れて、かえって大人しく江夏への船に乗ったか、どちらかで、こんなふうに近くの村の漁を手伝おうなどと考えなかったにちがいない。
村のほうとしても、漁師が言ったとおり、脱走兵に襲われて村の修繕に人手が取られていたこと、そしてもともと戦のために男手をとられていたことなどもあって、手伝いの申し出は願ったりかなったりだったのだ。
子供たちをまとめていた偉度は、孔明があらわれたのに気づくと、つんとすました顔をして近づいてきた。
だが、孔明の鼻をあかせたことが、うれしくてたまらないらしく、口は笑ってしまっている。
そのあたりが、まだ少年であった。
「おはようございます。今日も寝坊でございますな、軍師」
「わたしはいつもこの時間だ」
「左様でございましたか。軍師がぐっすり眠っておられるあいだに、われらは、それぞれの今日の食い扶持を稼いでしまいました」
そのようだ。
気が抜けるほどに平和な光景であった。
子供たちは、村の者たちにいろいろ教わりながら、せっせと作業をつづけている。
孔明のあきれ顔に、偉度は、今度は喜びを隠さずに、にまにまと笑みを浮かべながら、言った。
「そういうわけでございまして、われらも柴桑に残ります。むろん、残るのは、十四より上の、われら年長組だけですので、ご安心くださいませ」
「安心もなにも、偉度よ、そなたはわたしの立場がわかっておるのか」
孔明がいうと、偉度は、笑みをおさめて、その大きな瞳をまっすぐと向けてきた。
「重々承知しております。軍師こそ、お忘れのはず。わたしの甘い判断により、鳥林の兄弟たちは命を失ってしまいました。
この戦は、あなただけの戦ではない、わたしたちにとっての、仇討ちの戦でもあるのです」
「わたしの敵は龐士元そのものではない。曹操だ」
「それも承知しております。しかし、龐士元のねらいは、自分の思うとおりに天下をさわがせ、そして、嫌いなあなたをこの世から消すこと。それを挫かれることのほうが、あの、おのれの知力にうぬぼれた男にとっては、命を失うことより屈辱なのでございます。
あなたをお助けすれば、それはすなわち、龐士元の思惑を壊すことができます。ですから、われらはあなたとともに、この柴桑に残るのです」
偉度のことばに、孔明は沈黙した。
鳥林の兄弟たちが死んでしまったことを、偉度がどれだけ悔いて、嘆いたか、そのことを思い出すと、反対することができなかったのである。
村人たちは、思わぬ助っ人に大喜びで、その日は、始終、笑顔であった。
「あなたさまは、まことに、われらにとって恵みをくださる方でございます」
と、村長は言った。
そこまで感謝されると、孔明も、かえって悪い気がしてくる。
なにせ、子供らをこの村に派遣したのは、自分ではない。
子供らは、自発的に村にやってきたのだ。
どう答えるべきか、孔明が困っていると、村長はつづけて言う。
「この時期は夜釣りなどもできなくなりますし、そのうえ戦でございましょう。さらには盗人どもに襲われたこともありまして、じつは、村の者たちとで、われわれは今年の冬は越せるのだろうかと話し合っていたのですよ。
しかし、村の再建もおかげさまでうまく参りましたし、それに、聞けば、このお子さまがたは、軍師がこの土地を離れるまで、しばらくわれらを手伝ってくれるとか。いやはや、ありがたいことでございます」
祠の神に手を合わせるような勢いで、頭を下げる村長に、孔明はあわてて答えた。
「いえ、頭をお上げくだされ。この子らがこの村に来たのは、わたしの指示ではございませぬ」
「ですが、このお子さまがたの父君は、あなたさまなのでございましょう?」
たしかにそのつもりであったが、孔明としては、他者にそう指摘されるのが、なにやらこそばゆい。
子供たちのほうをちらりと見れば、向こうも向こうで、どんな反応をするかしら、というふうに、ちらちらと目線を投げてくる。
ここは素直になるべきか。
「たしかに、この子らの父はわたしです。かえって仕事を分けてくださったことに感謝いたします」
孔明がいうと、村長も、やめてくれ、というふうに手を振った。
「おやめくだされ。ほんとうにわれらは助かっているのですよ。この時期は、川にある魚の数は変わらないのに、漁は朝から昼すぎまでと限られてしまいますので、どうしても収入が減ってしまうのです。
人手も足りないので、近所の村へ手伝いをお願いしようかと思っていたくらいなのですよ」
人手が足りない、というのはわかる。
しかし、漁のできる時間がすくない、という話に、孔明は興味をひかれた。
「漁ができるのは、朝から昼すぎ、とおっしゃいましたが、わたしがこの土地に来てすぐのあいだは、夜釣りもしていたようなのに、なに故でございますか」
すると、村長は、人の良さそうな皺だらけの顔をくしゃりとさせて、笑った。
「あなたさまは土地の者ではないので、ご存知ないのですね。陽が落ちるのが早くなりますと、日中はあたたかいのですが、夜はとても冷えてまいります。
そのせいかわかりませぬが、この時期は、川のうえに濃い霧が出るのでございます。
それはもう、同じ船に乗っている者の姿すら、ときには見えなくなるほどでございまして、よほど慣れた船漕ぎでなければ、行き先をあやまって、とんでもないところへ流されてしまうのです」
「それは難儀でございますな」
答える孔明であるが、ふと、衣の片側が、妙に突っ張る。
裾を自分の沓で踏んでしまったのだろうかと見下ろせば、そこには、偉度たちが集めてきた子供のうち、もっとも幼い、五つくらいの子供が、にいっ、と笑顔を向けて立っていた。
その笑みに応じて、ほほ笑んでみせると、子供は安心したのか、手に持っているものを差し出してきた。
「さっき村の子からもらったの。はりねずみ。きのう、父上と兄上がお話してたでしょう。だから作ってもらったの」
言うとおり、子供の手には、松ぼっくりを器用にそれらしく見立てた、てづくりのはりねずみのおもちゃがあった。
孔明は、そうだ、昨日は偉度と、曹操の砦のそばに突っ込んでいったなら、きっと全員がはりねずみにされると冗談を言ったのだったな、と思い出していた。
「よいものを貰ったのだね」
得意そうに笑う子供に声をかけたその瞬間、孔明の頭に、稲妻のようにひらめいたものがあった。
はりねずみ。
そして、霧。
孔明は、身を屈ませて、はりねずみの人形をもつ子供を両手で抱え上げると、びっくりしている子供に言った。
「そなたはこの孔明の恩人だ。この恩は決して忘れぬぞ」
そして、孔明は、きょとんとしている村長を振り返る。
「霧が出るのは、このあたりだけの話でありましょうか」
「いいえ、このあたりだけではなく、樊口や陸口のあたりもそうでございましょう。晴れた日の夜は、長江のほとんどが霧に悩まされるのです」
「それは、あとどれくらいつづくものなのでしょう」
「さようでございますなあ。しばらく雨の降る気配もございませんので、ここ何日は続くことでございましょう」
それを聞くと、孔明は、漁の手伝いをつづけている偉度に、叫んだ。
「偉度、いますぐ周都督に言って、わたしのために船を用意してくれと伝えてくれ。
それと、ありったけの藁と縄も用意するようにと。それから、孔明は明晩に鏃を用意してさし上げますと伝えよ、いますぐだ!」