釉薬の取扱


こちらも目や口に入れたりしないという基本的なことはさることながら、粘土より手についた時はかぶれやすいという特徴もあります。
(より液体に近く、飛沫が飛びやすいので、眼鏡とかで目を保護した方がいいと思います。)
また、釉薬の種類によっては、使用している原料によって非常に有毒なものを含んでいるものもあります。
たとえば800℃とか低温度で焼ける釉薬などでは鉛が使用されていたり、銅の酸化物やバリウム、クロム、マンガン等々、そのまま生の状態で摂取すると非常に毒性の高いなものが含まれている製品もあります。(製品の注意書きとか、お店に問い合わせると中に何が入っているか教えてくれるところもあると思います。)
誤飲を防ぐため作業中の飲食は普通にやめるべきですし、作業後の飲食の際もよく手を洗って、衣服等への付着もチェックしてからが安全です。

焼き上がった製品の有害性に関しては…諸説あるのでここでは明言避けておきます(こればっかりは個人では科学的根拠を示せませんので)。ただ、焼き上がってしまうと、釉薬のガラス質で閉じこめられるので、そのまま食器として用いる分に大量に溶け出すというものでは無いと思っています(ごく少量はあるのだろうと思います。。)。
使用条件にもよると思いますが、酢の物を食べたり、電子レンジで一緒に加熱したりとか、比較的過酷な使用条件になるとどうなるかは判りません(ただ、発色に関わる元素なんかは釉薬の中の構成比率として、いいとこ2%〜5%の重量比で、ひとつの器に掛けられている釉薬はたかがしれている量。食品と接する面積も全体の一部。そしてガラス固化されていて表面に出てくるのは一体0.何%だと考えると、一回や二回の食事で致死量や症状が出るような量が摂れるのかどうか。。摂ろうと思っても摂れない気がします。「予防原則」とか「日常的に使う」ということを厳密に考えていけば蓄積する可能性もなきにしもあらずですが、それを言ったら日常の外食とて食材やら食器やら気にし出すとままならなくなる気もします。こういうのは完全に忘れない程度に気にしておけば幸せなのだろうというのが私のポリシーです。(「言わない」といいつつ、結局持論展開してしまうあたり弱いですね…))。
心配であれば、食品に接する器の内側には疑わしいものは使わないとか、無害な元素のみで作られる製品を買うかのどちらかでしょうか。

そのへんを気にしたくなければ、比較的無害なカルシウムやマグネシウム、鉄等を原料にした1200℃以上(800℃等低融点に設定されたものは鉛白や唐の土を原料にする「鉛入り」のものがあります。避けたければ「鉛フリー製品」と謳っているものを選ぶと良いでしょう。)を融点に設定された、基礎透明釉(一号釉、三号釉、並白釉等々)とか、黄瀬戸、黒天目(製品によっては黒色を強く出すためにマンガン含まれていることも。。)、鉄赤とかの発色成分が鉄であるものを選ぶのも手です。(そうやって作ると本当に信頼のできる製品が自分の手で作れますから陶芸の利点でもありますね。)


また当然釉薬も水道で流すのは、排水管で沈殿もしますし、有害だしで避けるべきものです。
また溜おきのバケツで洗うことをおすすめしますが、再生を想定せずそのまま廃棄というということであれば、粘土を洗ったバケツと兼用にしてもいいと思います(ただ、そうすると中身によっては庭に埋めるのは止めた方がいいと思いますが…)。
廃棄の場合、本焼の時にまとめて素焼きの器に入れて窯で焼き、ガラス化・封入し割れ物と一緒にゴミの日に出すという方法などあります。
うちでは釉薬は粉末で購入し、少量ずつをハケで塗るという方法でやっておりますので、少量余った釉薬とかとあわせてペットボトルに保存しております。
いずれ再生粘土と再生釉薬で作品を作るのもありかなと考えています(再生粘土は道具作ったりして消費してしまってますが、釉薬の方は結構な量が溜まってきているのでそろそろかなと。)。