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 新古今時代の十七名の歌人の自讃歌として十首の合計百七十首。建暦元年(1211年)9月後鳥羽院が命じたものと言われてきたが、現在は、不明で室町時代頃成立したとも言われます。 特に新古今和歌集からの撰歌が多いです。
 なお、1211年には、俊成、式子内親王、良経 は他界しており、特に後鳥羽院口伝によると良経 の自讃歌は、「誘われぬ」(春歌下)であるので、良経の歌は自讃歌ではないといえますし、後鳥羽院が命じたとすれば入れないはずはないと思っております。
異本は、他の系統の本に撰歌されているものです。
女房(後鳥羽院)
番号 巻名 異本
99 第二 春歌下 さくら咲く遠山鳥のしだり尾のながながし日もあかぬ色かな  
470 第五 秋歌下 露は袖に物思ふ頃はさぞな置くかならず秋のならひならねど  
989 第十 羇旅歌 見るままに山風あらくしぐるめり都もいまは夜寒なるらむ  
1029 第十一 戀歌一 わが戀はまきの下葉にもる時雨ぬるとも袖の色に出でめや  
1323 第十四 戀歌四 袖の露もあらぬ色にぞ消えかへる移ればかはる歎せしまに  
1783 第十八 雜歌下 おほぞらにちぎるおもひの年も經ぬ月日もうけよ行末の空  
1875 第十九 神祇歌 ながめばや神路の山に雲消えてゆふべの空を出でむ月かげ  
801 第八 哀傷歌 思ひ出づる折りたく柴の夕煙むせぶもうれし忘れがたみに  
803 第八 哀傷歌 亡き人のかたみの雲やしぐるらむゆふべの雨にいろはみえねど  
 
式子内親王
3 第一 春歌上 山ふかみ春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水  
52 第一 春歌上 ながめつる今日は昔になりぬとも軒端の梅はわれを忘るな  
380 第四 秋歌上 ながめわびぬ秋より外の宿もがな野にも山にも月やすむらむ  
534 第五 秋歌下 桐の葉もふみ分けがたくなりにけり必ず人を待つとならねど  
1204 第十三 戀歌三 君待つと閨へも入らぬまきの戸にいたくな更けそ山の端の月  
1124 第十二 戀歌二 夢にても見ゆらむものを歎きつつうちぬる宵の袖のけしきは  
1035 第十一 戀歌一 忘れてはうち歎かるるゆうべかなわれのみ知りて過ぐる月日を  
1034 第十一 戀歌一 玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする  
1329 第十四 戀歌四 生きてよも明日まで人はつらからじこの夕暮を問はばとへかし  
368 第四 秋歌上 それながら昔にもあらぬ秋風にいとどながめをしづのをだまき  
 
攝政太政大臣
1 第一 春歌上 みよし野は山もかすみて白雪のふりにし里に春は來にけり  
1545 第十六 雜歌上 天の戸をおしあけがたの雲間より神代の月のかげぞ殘れる  
418 第四 秋歌上 雲はみなはらひはてたる秋風を松にのこして月をみるかな  
1310 第十四 戀歌四 いつも聞くものとや人の思ふらむ來ぬ夕暮のまつかぜの聲  
1273 第十四 戀歌四 わが涙もとめて袖にやどれ月さりとて人のかげは見えねど  
941 第十 羇旅歌 忘れじと契りて出でし面影は見ゆらむものをふるさとの月  
1293 第十四 戀歌四 いはざりき今來むまでの空の雲月日へだててもの思へとは  
1272 第十四 戀歌四 めぐりあはむ限はいつと知らねども月な隔てそよその浮雲  
1599 第十七 雜歌中 人住まぬ不破の關屋の板びさし荒れにし後はただ秋の風  
746 第七 賀歌 春日山みやこの南しかぞおもふ北の藤なみ春にあへとは  
1087 第十二 戀歌二 洩らすなよ雲ゐるみねの初しぐれ木の葉は下に色かはるとも 異本
 
前大僧正慈圓
379 第四 秋歌上 いつまでかなみだくもらで月は見し秋待ちえても秋ぞ戀しき  
559 第六 冬歌 木の葉散る宿にかたしく袖の色をありとも知らでゆく嵐かな  
1338 第十五 戀歌五 野邊の露は色もなくてやこぼれつる袖より過ぐる荻の上風  
1673 第十七 雜歌中 岡のべの里のあるじを尋ぬれば人は答へず山おろしの風  
1780 第十八 雜歌下 思ふことなど問ふ人のなかるらむ仰げば空に月ぞさやけき  
1903 第十九 神祇歌 おしなべて日吉の影はくもらぬに涙あやしき昨日けふかな  
1738 第十八 雜歌下 世の中の晴れゆく空にふる霜のうき身ばかりぞおきどころなき  
1656 第十七 雜歌中 山ざとに獨ながめて思ふかな世に住む人のこころながさを  
1902 第十九 神祇歌 わがたのむ七のやしろの木綿襷かけても六の道にかへすな  
618 第六 冬歌 霜さゆる山田のくろのむら薄刈る人なしにのこるころかな  
360 第四 秋歌上 み山路やいつより秋の色ならむ見ざりし雲のゆふぐれの空 異本
 
源通光
25 第一 春歌上 みしま江や霜もまだひぬ蘆の葉につのぐむほどの春風ぞ吹く  
378 第四 秋歌上 武藏野や行けども秋のはてぞなきいかなる風か末に吹くらむ  
351 第四 秋歌上 明けぬとて野邊より山に入る鹿のあと吹きおくる萩の下風  
434 第四 秋歌上 さらにまた暮をたのめと明けにけりつきはつれなき秋の夜の空  
1106 第十二 戀歌二 ながめわびそれとはなしにものぞ思ふ雲のはたての夕暮の空  
1095 第十二 戀歌二 限あればしのぶの山のふもとにも落葉がうへの露ぞいろづく  
493 第五 秋歌下 あけぼのや川瀬の波のたかせ舟くだすか人の袖のあきぎり  
1562 第十六 雜歌上 淺茅生やそでにくちにし秋の霜わすれぬ夢を吹くあらしかな  
412 第四 秋歌上 たつた山夜半にあらしの松吹けば雲にはうときみねの月かげ 異本
1288 第十四 戀歌四 尋ねても袖にかくべきかたぞなきふかきよもぎのつゆのかごとを 異本
 
源通具
46 第一 春歌上 梅のはな誰が袖ふれしにほひぞと春や昔の月にとはばや  
294 第四 秋歌上 あはれまたいかに忍ばむ袖のつゆ野原の風に秋は來にけり  
609 第六 冬歌 霜むすぶ袖のかたしきうちとけて寝ぬ夜の月の影ぞ寒けき  
560 第六 冬歌 木の葉散るしぐれやまがふわが袖にもろき涙の色と見るまで  
1276 第十四 戀歌四 いま來むと契りしことは夢ながら見し夜に似たるありあけの月  
594 第六 冬歌 霜こほる袖にもかげは殘りけり露より馴れしありあけの月  
 
釈阿(藤原俊成)
201 第三 夏歌 むかし思ふ草のいほりのよるの雨涙な添へそ山ほととぎす  
1507 第十六 雜歌上 忘れじよ忘るなとだにいひてまし雲居の月のこころありせば  
1558 第十六 雜歌上 しめ置きて今やとおもふ秋山のよもぎがもとに松蟲の鳴く  
1508 第十六 雜歌上 いかにして袖に光のやどるらむ雲居の月はへだてこし身を  
1803 第十八 雜歌下 嵐吹く峯のもみぢの日に添へてもろくなりゆくわが涙かな  
719 第七 賀歌 やまびとの折る袖匂ふ菊の露うちはらふにも千世は經ぬべし  
973 第十 羇旅歌 難波人葦火たく屋にやどかりてすずろに袖のしほたるるかな  
796 第八 哀傷歌 稀にくる夜半もかなしき松風を絶えずや苔のしたに聞くらむ  
1111 第十二 戀歌二 散らすなよ篠の葉草のかりにても露かかるべき袖のうへかは  
933 第十 羇旅歌 立ちかへりまたも來て見む松島やをじまの苫屋波にあらすな  
1559 第十六 雜歌上 荒れわたる秋の庭こそあはれなれまして消えなむ露の夕暮 異本
 
俊成卿女
47 第一 春歌上 梅の花あかぬ色香もむかしにておなじかたみの春の夜の月  
1136 第十二 戀歌二 面影のかすめる月ぞやどりける春やむかしの袖のなみだに  
514 第五 秋歌下 あだに散る露のまくらに臥しわびて鶉鳴くなる床の山かぜ  
1762 第十八 雜歌下 惜しむともなみだに月も心から馴れぬる袖に秋をうらみて  
516 第五 秋歌下 色かはる露をば袖に置き迷ひうらがれてゆく野邊の秋かな  
1334 第十四 戀歌四 ふりにけり時雨は袖に秋かけていひしばかりを待つとせしまに  
617 第六 冬歌 霜がれはそことも見えぬ草の原たれに問はまし秋のなごりを  
1081 第十二 戀歌二 下もえに思ひ消えなむけぶりだにあとなき雲のはてぞ悲しき  
1390 第十五 戀歌五 夢ぞとよ見し面影も契りしも忘れずながらうつつならねば