殺 生 石 蘆  野

 
 是より殺生石に行。館代より馬にて送らる。此口付のおのこ、短冊得させよ

と乞。やさしき事を望侍るものかと、
 

野を横に馬牽きむけよほとゝぎす

 
 殺生石は温泉の出る山陰にあり。石の毒気いまだほろびず。蜂蝶のたぐひ、

真砂の色の見えぬほど、かさなり死す。
 
 又、C水ながるゝの柳は、蘆野の里にありて、田の畔に殘る。

 この所の郡守戸部某の「此柳みせばや」など、折/\にの給ひ聞え給ふを、いづ

くのほどにやと思ひしを、今日此柳のかげにこそ立より侍つれ。

 

田一枚植て立去る柳かな

 
 
C水ながるゝ
 
262 第三 夏歌

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