源氏物語と新古今和歌集

牛車 下賀茂神社にて
 かの藤原俊成は、建久4年(1193年)六百番歌合の冬「枯野」の十三番の判において、

「紫式部歌詠みの程よりも物書く筆は殊勝也。其ノ上、花の宴の巻は、殊に艶なる物語

也。源氏見ざる歌詠みは遺恨ノ事也。」と源氏物語を絶賛し、また歌詠みは必ず源氏を

読むべきだと言っております。

 後鳥羽院を始め、撰者の多くは彼の弟子であることから、物語に引用された歌、光源

氏らの贈答に使った本歌の新古今和歌集の撰歌、そして源氏物語を参考にした新古今

和歌集の歌などを集めてみました。

 光源氏は、多くの女性を愛しましたが、結局幼い時に亡くなった母の影を追い求めて

いたのではないかと思います。

 上段は、源氏物語と巻名。下段は新古今和歌集です。

   
 源氏物語を印刷する場合、該当部分以外も全部出ますので該当部分の場合は範囲

指定してから印刷下さい。

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帚木 しのぶのみだれやとうたがひきこゆる事もありしかど
994 第十一  戀歌一 女に遣はしける 在原業平朝臣
春日野の若紫のすりごろもしのぶのみだれかぎり知られず

帚木 はゝき木の心をしらで
997 第十一  戀歌一 平定文家歌合に 坂上是則
その原やふせやに生ふる帚木のありとは見えて逢はぬ君かな

夕顔 あまの子なれば
1701 第十八  雜歌下 題しらず よみ人知らず
白波の寄する渚に世をすぐす海士の子なれば宿もさだめず

花宴 朧月夜ににるものぞなき
55 第一   春歌上 文集嘉陵春夜詩不明不暗朧朧月といへることをよめる 大江千里
照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき

つらき人しもこそと
1260 第十四  戀歌四 題しらず よみ人知らず
天の戸をおしあけがたの月見れば憂き人しもぞ戀しかりける

をくれさきだつほどのさだめなさは
757 第八   哀傷歌 題しらず 僧正遍昭
末の露もとの雫や世の中のおくれさきだつためしなるらむ

なれはまさらぬ御けしきの心うきこと
1050 第十一  戀歌一 題しらず 柿本人麿
み狩する狩場の小野のなら柴の馴れはまさらで戀ぞまされる

賢木 おぼしあがしても、なをうき人しもぞとおぼしいでらるゝおしあけ方の月影に
1260 第十四  戀歌四 題しらず よみ人知らず
天の戸をおしあけがたの月見れば憂き人しもぞ戀しかりける

賢木 あさぢふの露のやどりに君ををきてよものあらしぞしづ心なき
779 第八  哀傷歌 例ならぬこと重くなりて御ぐしおろし給ひける日上東門院中宮と申しける時遣はしける 一條院御歌
秋風の露のやどりに君を置きてちりを出でぬることぞかなしき
※一条天皇の出家は1011年で、源氏物語の初見は1001年頃とされ本歌が他にあるのかも
しれない。

須磨 せきふきこゆるといひけんうらなみ
1597 第十七  雜歌中 天暦御時屏風歌 壬生忠見
秋風の關吹き越ゆるたびごとに聲うち添ふる須磨の浦なみ

須磨 いつとなく大宮人のこひしきにさくらかざししけふもきにけり
104 第二   春歌下 題しらず 山部赤人
ももしきの大宮人はいとまあれ櫻かざして今日もくらしつ

明石 あはとみるあはぢのしまのあはれさへのこるくまなくすめるよの月
1513 第十六  雜歌上 題しらず 凡河内躬恆
淡路にてあはとはるかに見し月の近きこよひはところがらかも

蓬生 もえいづるはるにあひ給はなむとねじわたりつれど
32 第一   春歌上 題しらず 志貴皇子
岩そそぐたるひの上のさ蕨の萌えいづる春になりにけるかな

松風 みつねが、ところからか。とおぼめきけむことなどの給ひいでたるに、・・・
めぐりきててにとるばかりさやけきやあはぢのしまのあはとみし月
1513 第十六  雜歌上 題しらず 凡河内躬恆
淡路にてあはとはるかに見し月の近きこよひはところがらかも

常夏 わが心も思ひいりなば、しげくともさはらじかし、とおぼしよる
1013 第十一  戀歌一 題しらず 源重之
筑波山端山繁山しげけれど思ひ入るにはさはらざりけり

藤袴 おなじのの露にやつるゝふぢばかまあはれはかけよかことばかりも
みちのはてなるとかや
1052 第十一  戀歌一 題しらず よみ人知らず
東路の道のはてなる常陸帶のかごとばかりも逢ひ見てしがな

藤裏葉 幾かへり露けき春をすぐしきてはなのひもとくをりにあふらん
1017 第十一  戀歌一 年を經ていひわたり侍りける女のさすがにけぢかくはあらざりけるに春の末つ方いひ遣はしける 大中臣能宣朝臣
幾かへり咲き散る花を眺めつつもの思ひ暮らす春に逢ふらむ

藤裏葉 松にちぎれるはあだなるかは
166 第二   春歌下 藤の松にかかれるをよめる 紀貫之
みどりなる松にかかれる藤なれどおのが頃とぞ花は咲きける

柏木 もしをくれさきだつみちの
757 第八   哀傷歌 題しらず 僧正遍昭
末の露もとの雫や世の中のおくれさきだつためしなるらむ

柏木 をくれさきだつへだてなくとこそちぎりきこえしか。
757 第八   哀傷歌 題しらず 僧正遍昭
末の露もとの雫や世の中のおくれさきだつためしなるらむ

柏木 をくれさきだつほどのけぢめには
757 第八   哀傷歌 題しらず 僧正遍昭
末の露もとの雫や世の中のおくれさきだつためしなるらむ

夕霧 山どりの心ちぞし給うける。
1371 第十五  戀歌五 題しらず よみ人知らず
晝は來て夜はわかるる山鳥のかげ見るときぞ音は泣かれける

御法 もせばきえをあらそふ露の世にをくれさきだつ程へずもがな
757 第八   哀傷歌 題しらず 僧正遍昭
末の露もとの雫や世の中のおくれさきだつためしなるらむ

御法 をくれさきだつほどのなき世なりけりや
757 第八   哀傷歌 題しらず 僧正遍昭
末の露もとの雫や世の中のおくれさきだつためしなるらむ

竹河 つらきもあはれ、といふ事こそまことなりけれ
1402 第十五  戀歌五 題しらず C原深養父
嬉しくば忘るることもありなましつらきぞ長き形見なりける

竹河 みちのはてなるひたち帶の
1052 第十一  戀歌一 題しらず よみ人知らず
東路の道のはてなる常陸帶のかごとばかりも逢ひ見てしがな

宿木 たれものがれぬ事ながら、をくれさきだつほどは、
757 第八   哀傷歌 題しらず 僧正遍昭
末の露もとの雫や世の中のおくれさきだつためしなるらむ

宿木 よろづよをかけてにほはん花なればけふをもあかぬ色とこそみれ
163 第二  春歌下 飛香舎にて藤花宴侍りけるに 延喜御歌
かくてこそ見まくほしけれよろづ代をかけてにほへる藤波の花

東屋 つくばやまをわけみまほしき御心はありながら、は山のしげりまであながちに
1013 第十一  戀歌一 題しらず 源重之
筑波山端山繁山しげけれど思ひ入るにはさはらざりけり

東屋 年ごろの物がたり、うきしまのあはれなりし事も
1378 第十五  戀歌五 中納言家持に遣はしける 山口女王
鹽竈のまへに浮きたる浮島のうきておもひのある世なりけり

手習 まつち山となんみ給ふる
336 第四   秋歌上 題しらず 小野小町
たれをかもまつちの山の女郎花秋とちぎれる人ぞあるらし


源氏物語 本歌取り 参考歌
源氏物語の相聞歌、場面を参考とした歌などを集めてみました。