13・ハッキング-3
3.「浮遊島」と「巨人」の正体について
「秘宝の暴走」が終息した後、僕とアキは、ジリアスの海上に忽然と現れた、異文明の痕跡と見られる「浮遊島」の中で気がついた。
「浮遊島」については説明のしようがない。
たぶん、海底洞窟の遺跡とどこかで繋がっていたと考えられる。
「浮遊島」の地表には、ちゃんと草花が育ち、地上と変わらない生態系が確立されていた。
これは、ジリアスそのものの生態系と対比させることができる。
オリハルコンの力による可能性が大きいと思うが、実証はできない。
「浮遊島」には、それまでの謎の解明となる幾つかの糸口が隠されていた。
その一つ、先にのべた「巨人」について。
彼らは、オリハルコンで作られたものだ。
しかし、ロボットなのか、アンドロイドなのか、あるいは人造人間なのか、区別するのは難しい。
彼らの目的は、遺跡の衛兵としての守り役だ。
そして、僕とアキを遺跡の中心にまで案内してくれた。
彼らは人に似せて作られてある。よって、人と同じで微妙に顔の形が違う。
確認しただけでも、23体もの巨人が遺跡の中を動き回っていた。
僕とアキには敬意を払ってくれているのか、丁寧にお辞儀をして迎えてくれた。
指導者たる主人(トリトン・アトラスの血筋のためか?)に忠誠をつくす意志が働いているらしい。
でも、これがプログラミングされたものなのか、彼らの独自の意志によるものなのかはわからない。
次に「浮遊島」について。
これは、ジリアスにやってきた異文明の人々が築いた最後の砦だった。
激変した環境に適応できなかった異文明の人々は、この遺跡の中で滅亡してしまった。
その証拠に遺跡の中心には、巨大なモニュメントを思わせる異文明の人々の墓が安置されていた。
この場所は、巨人にとっても「聖なる場所」という意味があるらしい。
その墓を前にして、男女の死体を発見した。
ダーナとミラオだ。
僕は、この二人の姿を夢の中でしか見たことがなかった。
実在したこの二人の姿を、初めて確認することができた。
だけど、何千もの昔に死んだはずの人間が、なぜ腐りもしないで美しいまま残っていたのかわからない。
それについては、また謎が深まった。
僕は、このミラオとダーナに対面したことで、以上のことを教えてもらった。
それは、ダイイン・メッセージとは異なる内容だ。
それが3点目のポイントだ。
どういう仕組みで、僕は、この二人とリアルで会話を交わすことができたのか説明できない。
しかし、このとき、二人は僕に最後のメッセージを残した。
自分達は、後継者にすべてをまかすことしかできなかったこと。
オリハルコンの暴走は自分達の力だけでは食い止めることができなくなっていたこと。
そして、僕がアトラス人の意志を受け継ぎ、これからも、平和な世界を築くために働きかけてほしいといったことなどだ。
その意志を受け継いだ時こそ、僕はアトラス文明の王位を継いだことになるという。
この二人のメッセージが終わった直後、オリハルコンのエネルギーがはすべて消滅した。
もはや、オリハルコンには存続できるエネルギーが残されていなかったのではないだろうか。
「浮遊島」が消滅したのは、そんなオリハルコンの原理が働いたからだろう。
僕は、この事実を公表することなく、内に秘めることにした。
すべて過去の事実であり、残ったのは教訓だけだ。
教訓とは、個人の思いで達成されるものであり、そこに科学的根拠を持ち込む必要性はどこにもない。
ジリアスが最後に再生を遂げたことも、説明は不要である。
現在、ジリアスでは事件後の裏づけによる立証作業が続けられているが、公式の結果報告は、もう少し時を要するだろう。
「ジリアス事件」に関しての記述は、本来、存在してはならないものである。
異文明、オリハルコン、そして、トリトン。
これらに関する記述は、もとの目的を逸脱した言動を引き起こし、騒ぎと混乱を根付かせ、拡大させてしまう要因となるものだ。
すべてが消滅した今、人々の心をそんなもので惑わせる必要はどこにもない。
あくまで、極秘事項として処理。
以上の理由により、全プログラムファイルを今から 末梢 する。
調査したオリコドール艦長の努力に敬意を賞する意味で、僕自身の記述を補足し、完成されたものを一時的に登録する。
消去、実行
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確認…
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末 梢
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すべて白紙
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<tァイルエラー
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アクセス、終了…
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MAA シャットダウン?
YES NO