ざくろ石を食べる。 5
3.浮遊する無限
闇の空に漂うナカザワ。
光が差して来る。
溢れだし、どこまでも拡がり、今を越えて進んでゆく。
無限の夢幻。
微笑むナカザワ。目を閉じて、光に還ってゆく。
アダムがそれを迎える。
ひとつの役割を終え、リリトを見る。
アダム 「いつまで見続けるつもりだ。」
リリト舞台に進む。
リリト 「いつ?さぁ、考えたことがないわ。」
アダム 「ここに帰る気はないのだな。」
リリト 「ここ?どこのことかしら。」
アダム 「リリト、自由にも秩序が必要だ。すべての仕組みを見通したところで何も変りはしない。」
リリト 「ええ、とてもよく見えたわ。男の作ったものが。
・・・イヴは元気?」
アダム 「・・・あぁ。」
リリト 「一度、お会いしたいわね、その夢に。」
アダム 「夢?」
リリト 「肋骨で作った女なんですってね。なんて都合のいい・・。
最初からそんなものいやしなかったんでしょ?あなたの夢。
男の作りごとなんて、ロマンチックな夢物語ばかりだもの。」
アダム 「血を流して生きることはつらくはないのか。お前はいつも破滅に向かう。」
リリト 「魂は永遠ですものね。・・・身体は・・食べて、生きて、動いている。
自由にカタチを変えながら・・。」
アダム 「リリト・・・。」
リリト 「大丈夫よ、心配しないで。『限りあるもの』だから大切にするんじゃない。」
アダム 「行くのかい。」
リリト 「ええ。」
アダム 「どこに行くつもりだ。」
リリト 「わからないわ。」
アダム 「わからないのか。」
リリト 「あなたには、わからないことなんて、ないんでしょうけどね。」
アダム 「とんでもない。自分のことさえわからんよ。
いつからここにいるのか。どこまでが『私』なのか。
誰かの夢か、作り話かもしれん。」
リリト 「・・・・そこに居てくれないと、困るわ。」
アダム 「・・・我がままだな。」
リリト 「ずっと・・・居て。」
アダム 「私は・・・永遠だ。」
リリト、行こうとする。
アダム 「・・・それにしては、不思議だな。」
リリト、振り返る。
アダム 「私にも、胎児の記憶があるんだよ。」
風が吹いて来る。
光に中に観客ひとりひとりの顔が見える。
おしまい。
◎ 配役 ◎
女 1 ナカザワの母 飛田直美
女 2 踊る人 雨宮弥生
赤児 不幸な女 伊藤はるか
アダム 御用聞き 飛田展男
鈴木勝美(12日)
愛の男 しゃべる人 津曲健仁
リリト 小粥よう子
偉い僧侶 押火淳
ナカザワ 中沢優子
◎ スタッフ ◎
構成・演出 小粥よう子
舞台監督 河井克夫
照明 三田弘明 &ライトスタッフ
美術 深海十蔵 &ジャンジャックアートクラブ
(京鹿飛鳥・山田やまきち・池田希・岡美里)
音響 水越佳一 &モックサウンド
衣装 内田もずく
映像 風野玉三郎
振付 弥生
小道具 押火竜介
宣伝美術 池田のり子
協力 戸部公爾・関谷昌子・田代八重子・江森加代子・河合美果・和田健一
制作 空想遊戯 ・アトリエPAN ・飛田直美